冷酷王の知られざる秘密

あげは凛子

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 私は腫れ上がったオズワルドの屹立の根本をさらに麻紐できつく縛り上げた。ついでに縛り上げた手首にはきつく縄が食い込んでいる。

 それだけでオズワルドは先程の凍りそうな程冷たい青い目をこちらに向けて、懇願するように私の前に倒れ込む。

「お願いだ……もう、限界なんだ!」

 その言葉に私はにっこりと笑って答えた。

「そんなに言うんなら仕方ないわね」

 腫れ上がった屹立に私はねっとりと舌を這わせる。途端にオズワルドは体をくねらせた。

「うっ……ああっ……!」
「ふふふ、気持ちいい?」
「きっ……気持ちい……い」
「でもまだイっちゃダメ」

 私はそう言ってオズワルドの屹立を見下ろした。その鈴口から先走りがダラダラと溢れ、シーツを濡らしている。

「っ……! な、なぜ?」
「だって治したいんでしょ?  だったら私の許しなく射精出来るだなんて思わないで」
「そ、そんな……」
「さっきまであんな事を言っていたのに、まさかもう我慢出来ないの?」

 私の言葉にオズワルドは顔を歪めて苦しげに頷いた。

 私はオズワルドの股間に顔を埋め、今度は根元から屹立の先へゆっくりと舌を這わせる。
 
 そのたびにビクビクと体を震わせるオズワルド。特徴的な銀髪がその度に一緒になって揺れる。
 
 その目はもう虚ろで口の端からはしたなくよだれが垂れていた。
 
 私はそのままオズワルドの屹立を口に含むと口を窄めて上下させ吸い上げた。そして同時に指で輪っかを作りしごき上げるように動かす。

「あっ……あ……ああ……も、もう……」

 オズワルドは身を捩らせ自ら腰を振り始める。私はさらに激しく口で扱きながら舌で亀頭を愛撫していく。

 そして指の腹で裏筋を強く擦ってやると、突然オズワルドが強引に私の口内に屹立を深く突っ込んできた。

「んぐっ!」

 思い切り喉奥を突かれ思わずえずきそうになったが、オズワルドは構わず腰を振り続ける。

「イ、イクっ……!」

 オズワルドの屹立が私の口の中で膨らんだ瞬間、私はオズワルドの身体を乱暴に押し返した。

「駄目。さっき言ったわよね? どこに出すんだった?」
「……ダ、ダリアの……中」
「そうよ。ほら、そこに転がって」


 ダリアと呼ばれる前の私は、新宿のそこそこ人気のSMクラブでそこそこ有名だった。女王様もM嬢も難なくこなすと言って。

 ところがある日、客の扱い方を間違えた同僚が逆上した客に襲われ、止めに入った私は――不運にも刺されてそのまま死んでしまったのだ。

 ハッと目を覚ますと私はどこかの見知らぬ汚いベッドで寝ていたのだが、隣には裸の屈強な男が眠っている。

「だ、誰?」

 私、まだ仕事中だった? 刺されたと思ったのは気のせい? そんな事を考えながらゆっくりと身体を起こすと、ベッドから出ようとした私の髪を今まで隣で眠っていた男が乱暴に掴んだ。

「おい! お前、どこ行くんだよ!? 俺が買ったのは二晩だぞ!」

 男はそう言って私を乱暴にベッドに連れ戻し、犯し始めた。私は仕事柄こんな対応にも慣れている。

 結局私はその後も男にあらゆる体位で犯され続けたが、いくら犯しても犯しても果てない私の性欲にとうとう男の方が先に音を上げた。

「こ、こんな女初めてだぜ……その歳で末恐ろしい……あんた、何でこんな所に居るんだ……」

 それだけ言って男は良い顔をして親指を立てると、そのままベッドの上で意識を失ってしまう。

 とりあえず私はベッドの下に落ちていた服をかき集め一刻も早くこの場を去ろうとしたのだが、その時にちらりと部屋にあった全身鏡に映った自分を見て愕然とした――。

「だ、誰よこれ!?」

 黒髪、黒目の純日本人の顔立ちだった私のはずなのに、何故か鏡には栗色の髪の明らかに西洋人が映っている。

 おまけにそこそこ可愛い。自分で言うのも何だが!

 恐らく20代前半ぐらいだろうか。どちらにしてもかなり若返っている。

 それから私は記憶を失くした振りをして自分の素性を調べる事にした。

 まずは名前。それはすぐに分かった。建物を出るなり同じぐらいの歳の子が私の事を「ダリア」と呼んだからだ。

 彼女の名前はマリア。茶髪の可愛い子だ。そしてこの子に私の素性を詳しく聞いた。

 まず始めに年齢ははっきりとは分からない。生まれたのは歓楽街で誰が母親で誰が父親かも分からない、いわゆる孤児だ。

 その後私はこの歓楽街で育てられ、数年前から客を取っているらしい。そもそもここはどこだ。私は自分が着ているドレスを摘んで首を傾げた。明らかに令和ではない。というか、日本ではない。もしかしてタイムトラベルでもしたか? とは思ったが、それにしては言葉が通じるのが不自然だ。

 だから私はマリアにこの世界の事も聞いてみた。すると、想像もしていなかった言葉が返ってくる。

 結論から言うと、ここは地球ではない。というか、もしかしたら太陽系ですら無いかもしれない。聞いた事の無い星の名前と、聞いた事も無い国の小さな村。それが私の今いる場所だ。

「とりあえず私の仕事は男と寝ること?」

 単刀直入に言った私に、マリアはコクリと頷き、その後少し考えるような仕草をする。

「どうしたの?」
「あ、ううん。今までは、そうだった。でも明日からは……」

 そこまで言ってマリアは何故か目に涙をためて私に抱きついてくる。

「ど、どうしたの?」
「ごめんね、ダリア。私の代わりにこんな事になるなんて……」
「こんな事って?」
「……本当に何も覚えてないのね。あなた、私の代わりに明日から冷酷王の軍の慰み者に決まったのよ……」
「は?」
「だから! あなたは明日からあの有名な冷酷王の軍の慰み者として戦場に行くことになったの!」

 事情が飲み込めない私にマリアがとうとう声を張り上げた。そのあまりの大声に通りに居た人たちが何事かと振り返るが、それが私達だと分かると汚らわしい者を見るかのような顔をして通り過ぎていく。

 どうやらこの世界では私達のような仕事をする人間は虫けら以下のようだ。

 けれど前世の私はこの仕事に誇りを持っていた。明日から慰み者? それがどうした。こちとら一度刺されて死んだ身だ。こうなったらこの世界でとことん生き抜いてやる。

 私はまださめざめと泣いているマリアの肩をがっちりと掴んだ。

「そんなに泣かないで、マリア。私、頑張ってくるわ」
「で、でも……」

 その言葉にマリアはまた表情を曇らせた。

「もしかしてまだ何かあるの?」
「れ、冷酷王の軍はそれはもう気性が荒い事で有名で、慰み者になった人は今まで誰一人生きて帰ってきた事がないのよ……」

 怯えた顔でそんな事を言うマリアを見て私はにっこり微笑んだ。

「大丈夫。私は草の根を齧ってでも生き延びてみせるから。いつか、また会えるといいわね」

 それだけ言って私はマリアに詳しい話を聞いて教えられた自宅へと戻ったのだった。
 
 それがつい昨日の事だ。

 私は今、支給された華美なドレスを着て各地から慰み者として集められた少女たちと一緒に馬車に揺られている。

 ちなみに慰み者の馬車はもう一台あり、そちらには見目の良い青年達が乗せられていた。

 少女たちの顔色は皆悪く、青ざめ、せっかくの綺麗なドレスも化粧も台無しだ。

 私は別にこの世界で何かしようなどとは思ってもいない。とりあえず生きていられればそれでいい。

 白濁液にどれほど塗れようが、食事さえ出来れば生きていける。刺されさえしなければそれでいいのだ。

 むしろビッチ先輩と後輩たちから呼ばれていた私だ。同僚や先輩からは常に腹上死を心配されていた。慰み者なんて、はっきり言って天職ではないか。
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