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10 ( ´・д・)エッ?ツバ?
しおりを挟むその女は声は、薄暗い洞窟の中で鈍く光る2つの目から響いてきた。
その目は、あの森の中で最後に見た目と同じ光を放つ目であった。
その目を持つ何かが上半身を起したばかりのオレの前までドスンドスンとやってきた。
オレは再び恐怖で凍りついた。
そいつをオレを見下ろすとまたもや人懐っこい女の声で言った。
『大丈夫?痛いところは無いかしら?』
そんなオレを気遣う言葉にようやくオレは少し安堵し、改めてその何かを見上げた。
薄暗くてちゃんとは見えないがやたらと体格のいい人間…女の子のように思えた。
そういえば、さっきまで、村人に散々石を投げつけられ、頭や最中などがズキズキと痛んではずが、
今はそれほど痛くない。
傷になにやらゲル状の臭いものが塗りつけられていて、そのおかげのようだ。
「あ、いや、い、今はそれほど痛みはないようだ。」
どもりながら、ありがとうとオレは礼を言った。
「この薬はキミが塗ってくれたの?」
『そうよ、私のツバはつけとけばだいたい傷は治るのよ。』
「そうか、ありが……」
__( ´・д・)エッ?ツバ?今、唾って言った?
「ツバって?そういう薬草かなにか?」
『いやん、ツバっ言えば唾よ。あたしの口からでるやつ!恥ずかしいからそんなの言わせないでよね!』
__え…?このゲル状のくっさいのが女の子の唾?
………思春期の妄想が音を立てて崩れていく………
『でも、あたしの匂い素敵でしょ?これで落ちなかった男はいなかったんだから!』
__え…?なんか勘違い系のメンヘラーなのかな?
でも、ここで怒らせるとヤバいと本能が告げていたので、「うん。」と適当にあわせておくことした。
『でも……』
するの女はかがみ込んで顔を近づけながら言った。
『あなたほどの素敵な香りの殿方に出会ったのは生まれて初めてよ!』
その近づけられた女の顔を間近に見て、オレはこれまでの違和感と本能が告げる警告の意味に気がついた。
【こいつは人間ではない。】
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