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4 こおに

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 なんとか緊張和らげようと
 オレは再び手に持ったさっきの竿を振りながら
 大声で声をかけた。



「怪しい者じゃありませーん!竿を返しに来ました~!」

 男たちは警戒をしているようで、こちらに来る様子もない。

 そこで、ゆっくりと集団に近づいていく。


 5メートルほど近づいたとき、男たちが鼻をつまみ、顔をしかめてざわつきだした。


「くさい!これはなに?」

「うえ!なにこのにおい!」

「きもちわるい!むしがわいてる!」

「こおに!これは、こおにのにおい!」

「こんなくさいひとはない!」

「よるな!くさい!こおに!おに!」


 ・・・・こおにくさい?(;´Д`)


「しばらく風呂にはいってないだけなんでーす!人間でーす!」


『ガツン!』


 不意に頭に激痛が走った。


「痛ってええええ!」


 どうやら石を投げつけられたようだ。


「こおに!かえれ!こおに!」

「かえせ!さお、かえせ!」

「ひつし!かえせ!ひつし!」


 男たちは一斉に石を投げつけてきた。

 かなりの大きさでコントロールも抜群である。


 ガツガツと石が飛んできて、たまらずオレは逃げ出した。


 男たちが石を投げながら追いかけてくる。


 ヤバい!これはやばい!捕まったらコロされる(;´Д`)


 命の危険を察したオレはそれはもう全速力で走った。


 今まで体育のマラソンでも常に最下位を争っていたオレだが
 生まれて初めて本気の全速力で、しかも坂道を駆け上がった。

 心の蔵がバクバク行ってるがガンガン飛んでくる握りこぶし大の石に追い立てられて狂ったように走った。

 丘を駆け上がると茂みに飛び込み、森の中へと逃げ込んだ。


 それでも森の中目がけて、ガンガンと本気の石が飛んで来て、背中や頭にもあたる。

 マジで痛い。。。。

 だらだらと頭から赤い血がしたたり落ちているのがわかる。


 必死に森の奥まで逃げ進むと、男たちは森には入らずに引き返していったのか、怒声も聞こえなくなった。


「助かった・・・のか?」


 いや・・・助かってない!
 何も解決してないよコレ・・・( ;˙꒳˙; )


 折角近くに村があったのに、村人に完全に警戒されて殺されかけた。

 初期装備無し、初心者の村で殺されかけるってどんだけ?

 このままだと森から出ることもできない。

 彼らは
『こおに』と叫んでいたが、『小鬼』つまり
 RPG的にゴブリンの類いのことだろうか?

 この世界の魔物を倒せというのが
 例の女神様からの指令だったから
 おそらくその小鬼とやらがこの世界の魔物で、
 どうやらその魔物とオレが思われたらしい。


 ____そんな魔物レベルで臭いのかオレ?(;´Д`)



 シャワーでも早いところ浴びないと、
 このままでは本気で生死にかかわりそうだ。
 というか、実際そのせいで元の世界で1回死んでるわけだけどね?

 しかし、こんな森の中では
 水浴びどころか飲み水すら見当たらない。


 疲れ切ったオレはそれでも、森の中を湧き水を探し、
 ひたすら茂みを掻き分けながら
 彷徨い歩くことしかできないのであった・・・。


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感想 1

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