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1 え?σ(゚∀゚ )オレ?
しおりを挟むざわ…ざわザワザワざわざわザワザワ…
耳元で無数の群衆のざわめき声がした。
永遠と続くかのような不快なざわめき声にたまらず目を開けると
それが雑音ではなく、パイプオルガンのような荘厳な音色の音楽であることに気がついた。
音のある方を見上げるとそこには、巨大なパイプオルガンと思われる楽器とその真ん中で鍵盤を引く女がいた。
日本人とはかけ離れたギリシャ神話の彫刻のような顔立ちの美しい女性であった。
周りはパイプオルガンと女性以外は真っ白な何も無いが美しい空間で満たされている。
その演奏をただひたすらに永遠と思える時間、聴き入っていると、いつしか、女の演奏が止まった。
女はゆっくりと立ち上がり無表情に俺を見下ろした。
見上げたオレと目が会うと、女は静かに目を閉じて口を開いた。
『おお、タケシ、死んでしまうとは…』
と、その瞬間、目を見開いた
『(# ゚Д゚)ゴルァ!!!』
……え?
_なにか、ブチギレていらっしゃる?
その瞬間、オレは我に帰った。
_あれ?ここどこだ?
_てか、これから入学式じゃね?
『タケシよ。キョロキョロするでない。』
『ここはお前たちの言う、死後の世界。』
『そして、私はこの世界を管理する者の一人。』
......つまり、オレは死んだのか?
_そしてこの作り物のような美女は神様?女神様?
_あ!女神様と言えば、オレの女神、真の女神、マーガレット!彼女は無事なのか?
『心配には及ばぬ。彼女については無事だ。』
_そうか、良かったと思った瞬間、目の前の女から再びキレ気味の声が響いた。
『全く、つまらいことをしてくれた。』
_____つまらないこと?
あのとき、オレはマーガレットに挨拶をしようと近づいた。
彼女はフラフラと遠ざかり車道に近づいた。
体調が悪くなったのだろうか?
そんな彼女の後ろからスクールバスが近づいているのを見たオレは
「あぶない!」
とっさに彼女の手を取ろうとした。
しかし、不運にも彼女に手は届かず気がつくと目の前には巨大なバスが壁のように迫っていた。
____オレはあのバスにひかれて死んだのか?
『いいえ、バスにはひかれていません。』
女は呆れたような疲れたような、そんな口調で言った。
『しかし、迫ったバスに驚きショックで心臓が止まったのです。心拍停止です。』
さすがガラスのハート。繊細なオレである。
『問題はバスに乗っていた乗客です。』
『満員のスクールバス。立って乗っていた生徒も多く、急停車により将棋倒しになり、打ちどころが悪く何人かの生徒が心肺停止となりました。』
_なんてこった!
_でも、マーガレットは無事なのだろう?
_だったらオレ英雄じゃん!
_彼女もきっと惚れ直したに違いない。
『彼女はあまりの異臭に立ちくらみをしただけ。でも車道に出ることはなかった。』
......あら~?
『さらに異臭の原因である者が近づいてきたらそれをかわそうとするのも道理。そのまま、異臭の塊は車道に飛び出し、多くの者の人生を狂わせた。』
__なんて酷い異臭のカタマリだろう!
___ゆるせんな!
_____はて?あのときゴミ収集車でも近づいてきてたっけ?
『タケシ、オマエのことだわ!そろそろ気がつけ!』
・・・・え?σ(゚∀゚ )オレ?
_そりゃ~、お勉強でしばらくフロにも入ってなかったし歯なんて歯ブラシすらなかったけど、たかが半年?1年?くらいじゃね?
『1年もフロに入らないとか歯も磨かないとか、入学式当日なのに、なんなの?』
__はい。面倒くさかったからです。
汚物を見る目ってこういう目なんだと今知りました。
『しかも、死んでもまだ臭いとかなんなの?死ぬの?いやもう死んでるよ?なんでなの?』
女神様のキャラがだんだんとブレてきているのは気のせいかな?
『受験のとき、お前と同じ教室で受験した生徒多くが落ちている。なぜだかわかるな?』
_んー、みんな努力がたりないな。
_オレ、トップで合格だからね!
『オマエの臭いでほぼ酸欠状態だったからだよ!』
・・え?σ(゚∀゚ )オレ?
『これまで他人から指摘されたことはなかったのか?』
...........昔から臭いキモい氏ねゴミクズと言われ続けていたので特に何も感じていませんでした。
『...........』
........沈黙
『オマエが死んだのは、まあどうでもいいとして、』
__え?σ(゚∀゚ )オレどうでもいいの?
『3名の生徒が予定外に心肺停止となっている。』
女神様はまた淡々と感情を押し殺すかのように語りだした。
『再び、お前たちの世界線に戻るには別の世界線で大きな徳を積み、世界を修復するような偉業をおこなうことしかないのだ。』
『よって、チャンスとして3人には世界を救う役目を言い渡した。』
_お~、異世界を救う勇者ってことね。
_あるあるな異世界転生ファンタジー展開キタコレ!
『その世界はまだ、多くの魔物が生息し人々を苦しめている。魔物たちを倒し、更に魔物を生み出している根源を探し出してこれを滅ぼすのだ。』
とりあえず魔王をやっちまうパターン!意外とどこも王道なのね。
『そして、お前にも責任を取って、彼らの助けとなってもらう!』
__やっぱり!オレも勇者一行に加わって世界を救えってことね?
__(・∀・)イイね!異世界無双キタコレ!
『これからオマエもその世界に送る。彼らをそこで探し出し世界を救う手助けをするのだ。』
「わかりました!必ずみんなと力をあわせて魔王を倒し、元の世界に戻ります!!!」
オレは力強く、つばを飛ばし気味でそう答えた。
『うあああ!息がくっさい!歯を磨け!』
女神は涙目でオレの勇ましい声に答えると、パイプオルガンの鍵盤を掻き鳴らした。
その瞬間、オレの意識は遠ざかり、暗闇に落ちていくような感覚に恐怖を覚えた…。
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