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四月、夢の高校生活。
中三の春まで学年最底辺だったオレが念願の進学校に通うところまでこれたのは
あの日、
あの場所で
あの言葉があったからだ。
「タケシと一緒の学校に行けたら、絶対に楽しいのに。」
___幼なじみで同じクラスだった彼女。
小学生の時までは手をつないで帰っていたこともあった。
しかし、歳を重ねるにつれオレたちは、
周りの目を気にしてか最近はほとんど口も利かなくなっていた。
だがそんな中、放課後に偶然教室で二人きりになったとき…
彼女は突然、自分の席で目を伏せながらつぶやいた。
「タケシと一緒の学校に行けたら」
「一緒の学校に行けたら」
それが呪文のようにオレの心にループした。
目がまわってしまうほどの言葉だった。
気づいて彼女を見ると、立ち上がって足早に教室を出ていくところだった。
___長い黒髪からのぞく耳が真っ赤になっていたのを覚えている_
彼女の学力は学年でもトップクラス。
しかも明るくて、美人で学校でも人気者だ。
クラス委員にも何度もなっている。
おまけに弓道部の部長で生徒会役員。
電車で数駅先の街の進学校に行くことは確実だ。
それに比べオレはクラスどころか学年でも最底辺。
しかも別にスポーツやそのほか特技があるわけでもない。
そんなオレにとって彼女は所謂高嶺の花、オレが手を伸ばしたところで崩れ落ちてしまうような尊い存在になっていた。
だがそんな裏背景すら忘れてしまうくらいには彼女の一言は衝撃的かつ破壊力抜群で、オレを奮い立たせるには十分だったのだ。
「彼女と一緒の学校に行って、最高の高校生活をエンジョイする!」
「見てろよ、リア充どもめ!!!」
あははははは
と、漫画の悪役のように笑う。
『これは明らかなフラグだ。』
そう思えてしまうほどにオレの頭の中は完全にお花畑状態になっていた。
彼女はずっとオレのことが好きだったのだ。
もう確定だろ。
これはもう彼女の願いに答えるしかないだろう。男として。
そう頭の中で叫びながら、本心の
「…また昔みたいに仲良くなりたいし。」
なんていう言葉までもが口に出てしまう。
あれ・・?最後に会話したの中一の春だっけ?
「このチャンスを逃したら、もう一生彼女と会えなくなる!?」
もともと当然のことながら彼女のことが好きだったオレの心は燃えまくっていた。
ピュアな男の信念はスサノオウの剣よりも鋭いという奴だ。(オレが今作ったことわざ)
_それまでやっていたスマホゲーも全てアンインストール
__マンガもアニメも全て封印
___親に頼み込んで進学塾に通い
____1日16時間以上はほぼ勉強に打ち込む日々
内申は最底辺だったオレはテストの一発勝負で最高点数を取るしかない……。
…
それはそれはそれは苦行の日々だった。
最初は勉強なんぞまったくわからず、掛け算九九も7の段をたまに間違えてしまうような生徒に
塾の先生からもガン無視されていた。
周りの奴らからもおよそ考えつくあらゆる屈辱的罵詈雑言差別発言の温かい激励をされた。
スクールカースト最底辺にとって勉強よりもこれが一番辛いのだ。
しかし、いつもなら一瞬でつぶれてしまう底辺のオレも、
その時はなぜかひたすら耐え抜けていた。
_なぜなら彼女の黒髪からのぞく赤い頬を見てしまったから。
こんな千載一遇のフラグを前にして、
飛びつかない中学生がどこにいるというのか?
飛びつかないとしたら、それはもう中学生ではない、ただの人生末期の老木だ。
思春期の欲望の力を侮ってはいけないのだ。
そのエネルギーは小型の核爆弾にも匹敵すると言っても過言ではない。
中坊の舞い上がった青春のエネルギーはそれくらいすさまじいのだ。
その力の前には受験ごときの不可能を可能にするのなんてのは造作もない……
親のクレカで課金してUR確定ガチャを引くよりもたやすいのだ。
もう両思いはもう目の前。
あとはオレがあの進学校に受かってしまえばいい、ただそれだけ。
そう信じ続けていた。
そして
オレの学力は徐々に上昇し、夏休み明けのテストでは遂に学年上位に食い込んでいた。
そうなると急に教師の態度も変わる。
シカトしていた教師も急に態度を変えて、急遽進学コースを薦めてきた。
親もさらに学費の高い塾の短期間集中進学講座の受講を認めてくれた。
そのすべてを利用しつくした。
使いつくした。
いつしか、目の前のテキストは全て彼女の赤らんだ頬にしか見えなくなっていた。。
睡眠時間?適切な食事と運動?
いかにも優等生⭐︎なライフスタイルの勉強法なんぞでオレの成績が上がるわけがない。
終盤では睡眠時間は2時間を超えることは無く、
しまいには最後に風呂に入った日すら忘れ、歯磨きも忘れ、自分の臭さによって眠ることができないくらいになっていた。
※これは眠らずに勉強するにはとてもよい方法なので皆様にも是非ともおススメである。
そしてついに学年最下位から学年末の期末試験では学年一位となり、
遂には進学校に入学試験も好成績で入学を果たしたのだ。
オレの学校からこの進学校に合格したのは彼女とオレの二人だけ。
もはや二人を邪魔するものは何もない。
はい、ハッピーエンド確定
ここまで読んでくれてみなさんありがとう!
あっははははは!!ひゃっほい!
❀❀❀❀❀❀
現在、四月、入学式…
高校行きの路線バスが停まるバス停に向かうオレの先には黒髪の彼女の後ろ姿が見える。
実はあれからまだ一度も彼女とは会話できていない。
卒業式のあの日も一瞬だけ目があったくらいだ。
それでもオレには問題はなかった。
これからは二人で楽しく過ごせるんだから!
オレは立ち止まってちょっと考える。
いや…
まず、なんて声をかけようか?
おおよそ三年ぶりの会話だ。
やっぱり・・・
『おはよう!今日から一緒の学校だね!』
こんな自然な感じの定番が良いのかな。
まぁ、いい。
出だしが失敗しても、彼女はきっとオレのことを好きでいてくれる。
バスが近づいてきた。
オレは高鳴る胸の鼓動を抑えながら、
なるべく平然とした顔を心掛け、
彼女のもとへと向かった。
彼女に向かってにこやかに、さわやかな笑顔で挨拶をしようと近づく。
彼女が振り向いた。
・
・
・
ああ、やっと言葉が交わせる……
スクールバスのエンジン音が聞こえてきた。
そして次の瞬間
オレは死んだ。
中三の春まで学年最底辺だったオレが念願の進学校に通うところまでこれたのは
あの日、
あの場所で
あの言葉があったからだ。
「タケシと一緒の学校に行けたら、絶対に楽しいのに。」
___幼なじみで同じクラスだった彼女。
小学生の時までは手をつないで帰っていたこともあった。
しかし、歳を重ねるにつれオレたちは、
周りの目を気にしてか最近はほとんど口も利かなくなっていた。
だがそんな中、放課後に偶然教室で二人きりになったとき…
彼女は突然、自分の席で目を伏せながらつぶやいた。
「タケシと一緒の学校に行けたら」
「一緒の学校に行けたら」
それが呪文のようにオレの心にループした。
目がまわってしまうほどの言葉だった。
気づいて彼女を見ると、立ち上がって足早に教室を出ていくところだった。
___長い黒髪からのぞく耳が真っ赤になっていたのを覚えている_
彼女の学力は学年でもトップクラス。
しかも明るくて、美人で学校でも人気者だ。
クラス委員にも何度もなっている。
おまけに弓道部の部長で生徒会役員。
電車で数駅先の街の進学校に行くことは確実だ。
それに比べオレはクラスどころか学年でも最底辺。
しかも別にスポーツやそのほか特技があるわけでもない。
そんなオレにとって彼女は所謂高嶺の花、オレが手を伸ばしたところで崩れ落ちてしまうような尊い存在になっていた。
だがそんな裏背景すら忘れてしまうくらいには彼女の一言は衝撃的かつ破壊力抜群で、オレを奮い立たせるには十分だったのだ。
「彼女と一緒の学校に行って、最高の高校生活をエンジョイする!」
「見てろよ、リア充どもめ!!!」
あははははは
と、漫画の悪役のように笑う。
『これは明らかなフラグだ。』
そう思えてしまうほどにオレの頭の中は完全にお花畑状態になっていた。
彼女はずっとオレのことが好きだったのだ。
もう確定だろ。
これはもう彼女の願いに答えるしかないだろう。男として。
そう頭の中で叫びながら、本心の
「…また昔みたいに仲良くなりたいし。」
なんていう言葉までもが口に出てしまう。
あれ・・?最後に会話したの中一の春だっけ?
「このチャンスを逃したら、もう一生彼女と会えなくなる!?」
もともと当然のことながら彼女のことが好きだったオレの心は燃えまくっていた。
ピュアな男の信念はスサノオウの剣よりも鋭いという奴だ。(オレが今作ったことわざ)
_それまでやっていたスマホゲーも全てアンインストール
__マンガもアニメも全て封印
___親に頼み込んで進学塾に通い
____1日16時間以上はほぼ勉強に打ち込む日々
内申は最底辺だったオレはテストの一発勝負で最高点数を取るしかない……。
…
それはそれはそれは苦行の日々だった。
最初は勉強なんぞまったくわからず、掛け算九九も7の段をたまに間違えてしまうような生徒に
塾の先生からもガン無視されていた。
周りの奴らからもおよそ考えつくあらゆる屈辱的罵詈雑言差別発言の温かい激励をされた。
スクールカースト最底辺にとって勉強よりもこれが一番辛いのだ。
しかし、いつもなら一瞬でつぶれてしまう底辺のオレも、
その時はなぜかひたすら耐え抜けていた。
_なぜなら彼女の黒髪からのぞく赤い頬を見てしまったから。
こんな千載一遇のフラグを前にして、
飛びつかない中学生がどこにいるというのか?
飛びつかないとしたら、それはもう中学生ではない、ただの人生末期の老木だ。
思春期の欲望の力を侮ってはいけないのだ。
そのエネルギーは小型の核爆弾にも匹敵すると言っても過言ではない。
中坊の舞い上がった青春のエネルギーはそれくらいすさまじいのだ。
その力の前には受験ごときの不可能を可能にするのなんてのは造作もない……
親のクレカで課金してUR確定ガチャを引くよりもたやすいのだ。
もう両思いはもう目の前。
あとはオレがあの進学校に受かってしまえばいい、ただそれだけ。
そう信じ続けていた。
そして
オレの学力は徐々に上昇し、夏休み明けのテストでは遂に学年上位に食い込んでいた。
そうなると急に教師の態度も変わる。
シカトしていた教師も急に態度を変えて、急遽進学コースを薦めてきた。
親もさらに学費の高い塾の短期間集中進学講座の受講を認めてくれた。
そのすべてを利用しつくした。
使いつくした。
いつしか、目の前のテキストは全て彼女の赤らんだ頬にしか見えなくなっていた。。
睡眠時間?適切な食事と運動?
いかにも優等生⭐︎なライフスタイルの勉強法なんぞでオレの成績が上がるわけがない。
終盤では睡眠時間は2時間を超えることは無く、
しまいには最後に風呂に入った日すら忘れ、歯磨きも忘れ、自分の臭さによって眠ることができないくらいになっていた。
※これは眠らずに勉強するにはとてもよい方法なので皆様にも是非ともおススメである。
そしてついに学年最下位から学年末の期末試験では学年一位となり、
遂には進学校に入学試験も好成績で入学を果たしたのだ。
オレの学校からこの進学校に合格したのは彼女とオレの二人だけ。
もはや二人を邪魔するものは何もない。
はい、ハッピーエンド確定
ここまで読んでくれてみなさんありがとう!
あっははははは!!ひゃっほい!
❀❀❀❀❀❀
現在、四月、入学式…
高校行きの路線バスが停まるバス停に向かうオレの先には黒髪の彼女の後ろ姿が見える。
実はあれからまだ一度も彼女とは会話できていない。
卒業式のあの日も一瞬だけ目があったくらいだ。
それでもオレには問題はなかった。
これからは二人で楽しく過ごせるんだから!
オレは立ち止まってちょっと考える。
いや…
まず、なんて声をかけようか?
おおよそ三年ぶりの会話だ。
やっぱり・・・
『おはよう!今日から一緒の学校だね!』
こんな自然な感じの定番が良いのかな。
まぁ、いい。
出だしが失敗しても、彼女はきっとオレのことを好きでいてくれる。
バスが近づいてきた。
オレは高鳴る胸の鼓動を抑えながら、
なるべく平然とした顔を心掛け、
彼女のもとへと向かった。
彼女に向かってにこやかに、さわやかな笑顔で挨拶をしようと近づく。
彼女が振り向いた。
・
・
・
ああ、やっと言葉が交わせる……
スクールバスのエンジン音が聞こえてきた。
そして次の瞬間
オレは死んだ。
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