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閑話 レイチェル物語

第三話

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レイチェル物語

第三話 ~勇者、和人に大敗する~

吸血鬼騒動で和人様が吸血鬼退治へと参加すること言われた。
もちろん私も同行したかったが、吸血鬼は若い女性の血を好むと同行を断られた。
落ち込む私に和人様は私にやってほしい事があると言われ、顔を上げる。
やってほしい事、それは王都に向かうであろう吸血鬼の退治であった。
あくまでも保険として王都に戦力を置いておきたいと言われ、その役を私が任されました。
私は喜びました。和人様の役に立てるそれだけが今の私の至上の喜び。
その後、和人様の父上様のSUN様と一緒に王都の防衛をすることとなった。

一週間後、和人様が同行する『勇者』と『聖女』が来た。
和人様の話の通り、回りに若い女性を侍らせている。
和人様から暫くは外には出ないようにと言われているので、余りでない。
顔合わせも当日しかしないからと言っておられた。
勇者達はこの街で一番高い宿に泊まるらしくそこからは余りでないらしい。
今日も和人様は勇者達に着いていくメンバーと打ち合わせをしている。

レイチェル「あ、和人様、お弁当を忘れられている。」

私は和人様の机の上に弁当箱を置いてあるのを見つけ、冒険者ギルドに届けに行った。

???「あれは?」

冒険者ギルド

私が冒険者ギルドに着いたときには殆ど人はおらず、簡単に受け付けにこられた。

受付嬢「あら?レイチェルちゃんどうしたの?」

レイチェル「和人様がお弁当をお忘れになられたのでお届けに参りました。」

受付嬢さんは私を会議室に案内した。


会議室

レイチェル「和人様!」

和人「レイチェル!どうしたの!?」

レイチェル「和人様!お弁当をお忘れになられてます。」

和人「あぁ、ごめん、ありがとう。」

和人様はチームの方達に私を王都の守りの要にすることを話した。

和人「一応皆には伝えておこうと思う。彼女はレイチェル、俺の奴隷だ。実力に関しては問題ない、僕が太鼓判で押す実力者で、俺の弟子だ。更に言うなれば今回の作戦、王都奇襲があるとした場合の保険としてレイチェルをこの街に残そうと思っている。どうだろか?」

冒険者一同「お前ほどの実力者が言うなれば異議無し」

どうやらこの方達はもう和人様の片鱗を味わった後らしい。

???「いいや、異議ありだ!」

扉の方から声が聞こえ全員が向くと勇者が立っていた。
そして和人様へ向けて文句を言ってきます。

勇者「お前!幼い子を無理矢理奴隷とするとは何事だ!」

完全な押し付けである。

和人「無理矢理?レイチェルは俺の奴隷をするのは嫌?」

和人様が悲しげな顔でこちらを見てきます。

レイチェル「とんでもございません。いつも温かいご飯を一緒に食べられ、温かい寝床で寝かせて頂き、更に強くしてくれるとても優しい方です。」

私は本心のままに告げます。
しかし、勇者は頭で全てを勘違いしたようです。

勇者「そんなのは言わせれば済む話だ。ほら、奴隷の子こっちに来なさい。僕の元で楽な生活を楽しもう!奴隷としても解放するよ?」

勇者はこちらに近づいてくるので私は和人様の後ろに隠れます。

和人「レイチェルが嫌がっている。申し訳ないがお引き取りを。」

勇者「外道は黙れ!大丈夫だよそんな外道は僕が倒して上げる。」

私は遂に鳥肌が立ち、寒気を催すと遂に叫びました。

レイチェル「いい加減にしてください。私は和人様の奴隷で幸せです。貴方の行動は迷惑です!!」

勇者は私の叫びに驚き、俯くと肩を震わせ和人様を 指差した。

勇者「おい、外道!彼女を掛けて勝負だ。」

和人様とどうやら私を『物』扱いしたことに切れたみたいで。

和人「良いよ。どこで殺る?」

勇者「ここには闘技場があるらしい出はないか。そこでやる。」

勇者は踵を返すと出ていった。
和人様は他の冒険者達に会議を少し中断すると言い出ていった。
私は和人様が心配で和人様を追いかけた。


闘技場

勇者「逃げずによく来たな!」

ギャラリーには勇者の取り巻きがおり、声援を送っている。

和人「早くしろ、俺は会議を中断してでも来てやったんだ。」

審判はギルド長が勤めるらしく、勝利条件は互いに戦闘不能もしくはギブアップで決まり、ルール内容は魔法も何でもありの三本勝負、始まりの合図と同時に勇者は剣を抜き、突っ込んでくる。

和人「『重力操作』発動。『トールハンマー』」

突っ込んでいた勇者は地面に叩きつけられる。
叩きつけられた床は丸く陥没し勇者は地面にめり込んでいた。

審判「勝負あり、勝者勇者」

何故か和人様出はなく勇者に軍配を上げた。
恐らく買収されている。

和人「審判、貴方も埋まる?」

和人様がそう言うと闘技場全体が重くなり審判と和人様以外の壇上は勇者の位置まで潰れてしまった。

審判「勝者、和人選手」

審判が勝者を変更し、満足げに頷く和人様。
そして審判の近くに行くと耳元で何かを告げた。
何を告げたのかは他の人には分からないだろうしかし、私には分かる。
和人様は審判にこう言ったのだ。

和人「正しく書かなきゃあんたの家族と一族も潰すからな?」

和人様は最高にカッコいいご主人様です。
ちなみに勇者は白目を向いて気絶しています。
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