中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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終章

管理者

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「カルロスが油断してくれることに賭けますか」
「いや。そりゃないだろ」
 考えることを放棄したサトシの提案に、フリードリヒとルーカスは異を唱える。
「じゃあ、何かありますか?対案」
「ん~」
 唱えてはみたモノの妙案が思いつくわけでもない。

『手詰まり』
 という表現が最もしっくりくる状況となってしまった。

「少なくとも、前回とやり方を変えればカルロスは警戒しますからね」
「でもさ。管理者がバックについてるんなら、このやり取りも筒抜けって事じゃない?」
「あ!」
 サトシにその発想は全く無かったらしく、口をぽかんと開けて完全にフリーズした。
「おい、ホントにフリーズしたんじゃないよな?」
「ああ。大丈夫です。でも、その考えには至りませんでした。しくりましたね」

 するとフリードリヒが考えながらゆっくりと話し始めた。

「確証は無いが、|クレータ街(ここ)にいる間は大丈夫なんじゃねぇかな」
「どうしてです?」
「この街は隠匿魔法で守られてる」
「隠匿魔法?」
「ああ、まあ、ありていに言えば偽装だな。外部からは単なるクレーターにしか見えないようにデータを弄ってる」
「そんなことできるのか!?」
「まあ、コードを弄るだけだからな。でも、放っておくとコードが再構築されてバレちまうからな。いつも魔力を流してコードを書き替え続けてる」
「なんでそんなことしてるんですか?」
「お前たち受けただろ?神罰。いや、粛清だっけ?」
「ああ、確かにこの街もチート級だもんな。どおりで無事なわけだ。で、それが何?」
「なんだよ。変なとこ鈍いな」
「まあ、ルークスさんですから」
「どういうことだよ」
「そう言う事だろうな。まあいい。で、チートを隠蔽できて粛清を受けてねぇって事は、管理者からこの場所は見えて無ぇって事だろ?」
「ああ~。そういうこと。
 って。ホントか?」
「わかんねぇよ。わかるわけねえだろ。俺は管理者じゃねぇんだから。むしろお前に聞きてぇよ。わかんねぇのかよ。管理者だろ!」
 その言葉にルークスはバツが悪そうに視線を逸らす。
「まあ、そこは期待してませんけど。そう言う事ならここでの作戦が漏れてないって事で行きましょう。実際前回もここで立案した作戦がばれてなかったんですから」
「期待してないって……」
 ルークスはショックを受けつつもサトシの言葉に疑問を持つ。
「まあ、俺への期待は置いといてだ。サトシ。さっきカルロスは管理者から助言を貰える的な事言ってたよな?」
「ええ。本人が言ってましたからね」
「だとしたら、なんで作戦がばれなかったんだ?」
「そこまで鈍いですか……だから、ここの隠匿魔法が……」
「いや。それじゃねぇよ。ヒデエな俺の評価。お前らウルサンに行ったんだよな?少なくともその時はお前らの考え読めるんじゃねぇのか?」

 ルークスの言葉を聞いて、サトシは腕を組み考え始める。
 確かにカルロスが他者の思考を読めるなら、あの時に確認できたはずだ。少なくともエリザが偽物であることくらいは看破出来ただろう。
 しかし、実際はまんまと策略に嵌ってしまった。

 これをどのようにとらえるか。
 フリードリヒも同様に理由を探る。

「いつも確認できるわけじゃねぇ……って事か?」
「何か制約があるのかもしれませんね」
「なんだよ。その制約って」
「いや。分かる訳無いでしょ?ルークスさんも考えてくださいよ。ってか、それこそ書板で調べてくださいよ」
「ああ、そうだっ……」
 ルークスは天命の書板を出そうとしてぴたりと動きを止める。
 その様子は以前のログアウトを彷彿とさせ、フリードリヒを焦らせる。
「おい!?」
「あ、いや。すまん」
「なんだよ。びっくりさせんなよ。で、どうした?急に」

「いや。管理者って……誰だろう」
「なんだよ今更」
「いや。天命の書板も管理者権限だよな?たぶん」
「あ、ああ。そうだろうな。そんなチート技。管理者権限以外の何物でもねぇと思うぜ」
「じゃあ、管理者ってエンリルなのか?」
「誰だ?エンリルって」
「あ!」
 サトシもその名前にハッとする。
「この書板をくれた「自称神」だよ。今は力を失ってるっつってたけどさ」
「なんだ。管理者に会ってたのか?じゃあ、話が早えぇじゃねぇか」
「いや。奴は俺達に協力してくれそうな感じじゃないんだよな。まあ、敵対してるかと言われれば、それも違う気がするけど……でも、もし奴が管理者なら。これ使うって事は奴に情報筒抜けなんじゃないか?」
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