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魔王の譚
創造神
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は?創造神?
なんだ?新興宗教にでも嵌ったのか?こいつ。
「おい!今俺の事馬鹿にしたやろ!?」
「バカにはしてねぇけどよ」
「けどなんや。バカにしてるやないか」
おうおう、今度はえらく食って掛かるな。
「まあええ。確かにそうなるわな。急に「創造神様」言われても。でもな。そうとしか言われヘンねん。最高神、唯一神、言い方は何でもええねん。ただ、この世界を創った神さんが俺のトコに来たんや」
ふ~ん。そう。
「あ!おい。急に聞く気失せてるやないか!?まて。こっからが大事な話なんや!」
「壺とか英語教材とか買わないといけなくなるのか?」
「やっぱりバカにしとるやないか。まあまて。最後まで聞け。な!?ええか?この世界は作られた世界なんや!」
さっきは多少馬鹿にしていたが、最後の言葉でカルロスが言わんとしていることの本質が見えた気がした。
そこからカルロスの話は熱を帯びてくる。
「なるほどな。君も気づいてる……っていうか、知ってんねやな。そうか。ルークスか。奴から聞いたんやな」
俺の表情から確信したのか、カルロスは嬉しそうに笑っている。
「どこまで聞いた……。いや。ええ。俺が話そう。いや、俺の話を聞いてくれ。な。ええやろ?」
俺は特に答えなかったが、奴は新しい遊びを見つけた子供のようにはしゃぎながら話始める。
「俺はウルサンで孤児院をやってたんや。もう100年以上前になるかなぁ、あの頃は楽しかった。周辺の貧しい村々を回って生活に困ってる家の子供を何人か引き取ってくんねん。口減らしやな。大した額やないけど、小さい子供らを引き取って金を渡したらその家の残りの家族はえらい喜んでなぁ。で、引き取ってきた子供らは、町に帰ってから、簡単な読み書きやら仕事を教えていくんや。ちゃんと飯も食わしたんねんで。風呂にも入れて小綺麗にしてやって。ほんなら、街の金持ち連中が労働力として雇(やと)てくれるんや。商売言うより慈善事業として楽しかったぁ。一番充実した日々を過ごしてたんちゃうかなぁ」
そりゃ、孤児院じゃなくて人買いじゃねえか?とは言わないでおこう。本人は至って楽しそうに話しているしな。話の腰を折るのは忍びない。
「20年かぁ~30年くらいかなぁ、よおわからんけど、そんくらいそんな仕事してたんや。けどな、ある時、どうも一部の金持ちがウチの子らをおかしなことにつこーとるらしいって話が聞こえてきてな」
「おかしなこと……」
「ああ、まあウルサン周辺の金持ちやからな。貴族崩れやら、豪商崩れ、ヤクザもんと脛に傷あるもんばっかりや。うちの子らは読み書きが出来るからな、最初のうちは丁稚なんかの小間使いとして重宝されとったんやけど、まあ、かわいい子らが多いからなぁ。しゃあないっちゃア、しゃあないんかもしれんけどなぁ。性的な目で見てしまうんも……ってこっちゃ」
こいつが仕切ってた人買い集団「ブギーマン」は表向き孤児院を装ってたが、その実(じつ)子供たちを性奴隷や魔術用素材として売りさばいてた。
「そんな話を聞いて、俺は急に冷めてしもたんよ。なんかツマらんなぁって。まあ、その頃には手元にかなりの金があったし、もう仕切りは部下に任せてたから……ええ機会やなぁと思てな。旅に出てん」
なるほどな。「ブギーマン首領のしっぽがつかめない」理由はそんな事か。当人が早い段階で雲隠れしてたんならさもありなんって感じだな。
「まあ、その頃商売敵が出てきてウルサンでの仕事がやり難(に)くなったってこともあってんけどな。商売敵は「雨女」……やったかなぁ。なあ「魔王」さん?」
俺はそれらの犯罪からせめて「魔力持ち」の子供だけでも救おうと人買い「雨女」を組織した。奴も俺の事を調べてはいたんだろうけど、中々俺に会えなかったって事か。
「それはええとして、その瘋癲(ふうてん)の旅の途中でな。いろんな経験してん。さっき話したこの世界の「雑」さを経験したんもそん時や。いつも決まった場所、決まった人間と生活してたら気づけへんかったと思うわ」
なるほどな。確かにそうかもしれん。特にNPCとの会話は数を重ねるごとに自然になる。同じ環境で生活していればその不自然さには鈍感になっていくかもな。
「そんな時に出会(でお)たんや。この世界一の理不尽に」
「この世界一の理不尽?」
「ルドルフや」
なんだ?新興宗教にでも嵌ったのか?こいつ。
「おい!今俺の事馬鹿にしたやろ!?」
「バカにはしてねぇけどよ」
「けどなんや。バカにしてるやないか」
おうおう、今度はえらく食って掛かるな。
「まあええ。確かにそうなるわな。急に「創造神様」言われても。でもな。そうとしか言われヘンねん。最高神、唯一神、言い方は何でもええねん。ただ、この世界を創った神さんが俺のトコに来たんや」
ふ~ん。そう。
「あ!おい。急に聞く気失せてるやないか!?まて。こっからが大事な話なんや!」
「壺とか英語教材とか買わないといけなくなるのか?」
「やっぱりバカにしとるやないか。まあまて。最後まで聞け。な!?ええか?この世界は作られた世界なんや!」
さっきは多少馬鹿にしていたが、最後の言葉でカルロスが言わんとしていることの本質が見えた気がした。
そこからカルロスの話は熱を帯びてくる。
「なるほどな。君も気づいてる……っていうか、知ってんねやな。そうか。ルークスか。奴から聞いたんやな」
俺の表情から確信したのか、カルロスは嬉しそうに笑っている。
「どこまで聞いた……。いや。ええ。俺が話そう。いや、俺の話を聞いてくれ。な。ええやろ?」
俺は特に答えなかったが、奴は新しい遊びを見つけた子供のようにはしゃぎながら話始める。
「俺はウルサンで孤児院をやってたんや。もう100年以上前になるかなぁ、あの頃は楽しかった。周辺の貧しい村々を回って生活に困ってる家の子供を何人か引き取ってくんねん。口減らしやな。大した額やないけど、小さい子供らを引き取って金を渡したらその家の残りの家族はえらい喜んでなぁ。で、引き取ってきた子供らは、町に帰ってから、簡単な読み書きやら仕事を教えていくんや。ちゃんと飯も食わしたんねんで。風呂にも入れて小綺麗にしてやって。ほんなら、街の金持ち連中が労働力として雇(やと)てくれるんや。商売言うより慈善事業として楽しかったぁ。一番充実した日々を過ごしてたんちゃうかなぁ」
そりゃ、孤児院じゃなくて人買いじゃねえか?とは言わないでおこう。本人は至って楽しそうに話しているしな。話の腰を折るのは忍びない。
「20年かぁ~30年くらいかなぁ、よおわからんけど、そんくらいそんな仕事してたんや。けどな、ある時、どうも一部の金持ちがウチの子らをおかしなことにつこーとるらしいって話が聞こえてきてな」
「おかしなこと……」
「ああ、まあウルサン周辺の金持ちやからな。貴族崩れやら、豪商崩れ、ヤクザもんと脛に傷あるもんばっかりや。うちの子らは読み書きが出来るからな、最初のうちは丁稚なんかの小間使いとして重宝されとったんやけど、まあ、かわいい子らが多いからなぁ。しゃあないっちゃア、しゃあないんかもしれんけどなぁ。性的な目で見てしまうんも……ってこっちゃ」
こいつが仕切ってた人買い集団「ブギーマン」は表向き孤児院を装ってたが、その実(じつ)子供たちを性奴隷や魔術用素材として売りさばいてた。
「そんな話を聞いて、俺は急に冷めてしもたんよ。なんかツマらんなぁって。まあ、その頃には手元にかなりの金があったし、もう仕切りは部下に任せてたから……ええ機会やなぁと思てな。旅に出てん」
なるほどな。「ブギーマン首領のしっぽがつかめない」理由はそんな事か。当人が早い段階で雲隠れしてたんならさもありなんって感じだな。
「まあ、その頃商売敵が出てきてウルサンでの仕事がやり難(に)くなったってこともあってんけどな。商売敵は「雨女」……やったかなぁ。なあ「魔王」さん?」
俺はそれらの犯罪からせめて「魔力持ち」の子供だけでも救おうと人買い「雨女」を組織した。奴も俺の事を調べてはいたんだろうけど、中々俺に会えなかったって事か。
「それはええとして、その瘋癲(ふうてん)の旅の途中でな。いろんな経験してん。さっき話したこの世界の「雑」さを経験したんもそん時や。いつも決まった場所、決まった人間と生活してたら気づけへんかったと思うわ」
なるほどな。確かにそうかもしれん。特にNPCとの会話は数を重ねるごとに自然になる。同じ環境で生活していればその不自然さには鈍感になっていくかもな。
「そんな時に出会(でお)たんや。この世界一の理不尽に」
「この世界一の理不尽?」
「ルドルフや」
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