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生方蒼甫の譚
案内
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「ほな、君らのアジトに連れてってもらえるか?」
「ああ、良いよ」
「ハルマン。俺らが出てったら動いてええから。おおきに」
カルロスはそう言うとまた指をパチンと鳴らす。が、ハルマンに変化は無い様だった。
「どうしよかなぁ。あ、君「転移」できるんやろ?ほな、それで連れてってもらおうか。ええか?」
「わかった」
俺とカルロスはハルマンを残して部屋を後にする。先程まで誰も居なかった廊下には、冒険者風の男たち3人が待機していた。
「あ、そうそう。こいつらも一緒に連れてったって」
「ルークスさん。よろしくお願いします」
誰かと思えばオズワルド達だ。なんでここに居るんだろう?随分楽しげな表情だ。その雰囲気を察したのかオズワルドが答える。
「カルロスさんにここに来るように言われまして」
「カルロスに……?」
「ああ、そうや。で、オズワルド、君はちょっと黙っとき。取り敢えずヨウトに行こうか。ついといで」
そう言うと、カルロスはまた指を鳴らす。オズワルドはにこやかな表情のまま俺たちの後をついてくる。
カルロスを先頭に階段を降りて吹き抜けのロビーへと向かう。ロビーにはすでに10人ほどの男たちが待機していた。
「よし。準備はええな。ほんなら君のアジトに転移してもらおうか。ルークス。頼むわ」
「ああ、わかった『転移』」
俺はロビーにいる全員を囲むように魔法陣を広げ、ヨウトへと転移する。
周囲の風景が一瞬歪んで転移が始まる。転移が終了すると俺たちはヨウトの中央、サトシの家の前に居た。
「あれ?おかしいな。なんで出て来(け)ぇへんねや」
転移を終えたカルロスは、さも不思議そうにサトシの家を眺めている。
「アイ!出といで!居(お)んねやろ?わかってんで!」
カルロスは大声でアイを呼ぶ。あれ?アイとも知り合いか?
すると、しばらくして玄関のドアが開きアイがゆっくりと歩み出てきた。その目は見開かれ、驚きと恐怖を綯い交ぜにした表情に見えた。
「な、なんであんたが居るのよ」
「ほほう。ご挨拶やな。で、なんでや。なんで君は俺に従わん?」
「なんで……あんた……なんかに従わないといけないのよ」
その声は、掠れてとぎれとぎれになりながらも気力を振り絞って吐き出しているようだった。こんなアイを見るのは初めてだ。そう思いながら眺めているとアイと目が合う。
カルロスの横に俺が居るのを見つけたアイの目は一段と大きく見開かれた。先ほどよりも強い恐怖を感じているようだった。
「ルークス!なんで……しょっ、正気に戻って!!」
正気?何を言ってる。俺は至って正気……
「あ~。あかんな……って。あれ?アイ。君なんか弄られてないか?なんやろなそれ。ちょっとこっち来(き)ぃ」
「嫌!!」
アイは何かから逃れるように両腕で自分を抱きしめその場にしゃがみ込む。
「あかんかぁ。ほなしゃあないな。オズワルド。アイを連れてきぃ」
「はい」
オズワルドは満面の笑みでアイの方に歩み寄る。
「ああ、良いよ」
「ハルマン。俺らが出てったら動いてええから。おおきに」
カルロスはそう言うとまた指をパチンと鳴らす。が、ハルマンに変化は無い様だった。
「どうしよかなぁ。あ、君「転移」できるんやろ?ほな、それで連れてってもらおうか。ええか?」
「わかった」
俺とカルロスはハルマンを残して部屋を後にする。先程まで誰も居なかった廊下には、冒険者風の男たち3人が待機していた。
「あ、そうそう。こいつらも一緒に連れてったって」
「ルークスさん。よろしくお願いします」
誰かと思えばオズワルド達だ。なんでここに居るんだろう?随分楽しげな表情だ。その雰囲気を察したのかオズワルドが答える。
「カルロスさんにここに来るように言われまして」
「カルロスに……?」
「ああ、そうや。で、オズワルド、君はちょっと黙っとき。取り敢えずヨウトに行こうか。ついといで」
そう言うと、カルロスはまた指を鳴らす。オズワルドはにこやかな表情のまま俺たちの後をついてくる。
カルロスを先頭に階段を降りて吹き抜けのロビーへと向かう。ロビーにはすでに10人ほどの男たちが待機していた。
「よし。準備はええな。ほんなら君のアジトに転移してもらおうか。ルークス。頼むわ」
「ああ、わかった『転移』」
俺はロビーにいる全員を囲むように魔法陣を広げ、ヨウトへと転移する。
周囲の風景が一瞬歪んで転移が始まる。転移が終了すると俺たちはヨウトの中央、サトシの家の前に居た。
「あれ?おかしいな。なんで出て来(け)ぇへんねや」
転移を終えたカルロスは、さも不思議そうにサトシの家を眺めている。
「アイ!出といで!居(お)んねやろ?わかってんで!」
カルロスは大声でアイを呼ぶ。あれ?アイとも知り合いか?
すると、しばらくして玄関のドアが開きアイがゆっくりと歩み出てきた。その目は見開かれ、驚きと恐怖を綯い交ぜにした表情に見えた。
「な、なんであんたが居るのよ」
「ほほう。ご挨拶やな。で、なんでや。なんで君は俺に従わん?」
「なんで……あんた……なんかに従わないといけないのよ」
その声は、掠れてとぎれとぎれになりながらも気力を振り絞って吐き出しているようだった。こんなアイを見るのは初めてだ。そう思いながら眺めているとアイと目が合う。
カルロスの横に俺が居るのを見つけたアイの目は一段と大きく見開かれた。先ほどよりも強い恐怖を感じているようだった。
「ルークス!なんで……しょっ、正気に戻って!!」
正気?何を言ってる。俺は至って正気……
「あ~。あかんな……って。あれ?アイ。君なんか弄られてないか?なんやろなそれ。ちょっとこっち来(き)ぃ」
「嫌!!」
アイは何かから逃れるように両腕で自分を抱きしめその場にしゃがみ込む。
「あかんかぁ。ほなしゃあないな。オズワルド。アイを連れてきぃ」
「はい」
オズワルドは満面の笑みでアイの方に歩み寄る。
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