中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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生方蒼甫の譚

過ちて改めざる是を過ちと謂う

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「いやあ。思ったより経験値も熟練度も入らないっすね」
 サトシは俺の下半身……というか、首から下をこちらに運びながら残念そうにつぶやいている。

 声を出そうとするがまともに出ない。そりゃそうか。たぶん肺の下半分が無くなってる。横隔膜はサトシが今運んでいる方にくっついてるだろうしな。
 やべ。意識が朦朧としてきた。
 視界が狭まりサトシの声が遠ざかる……
 
 ……


「あ、大丈夫ですか?どうです?」
 その声と共に意識と視界がクリアになってきた。
「あっ、ああ」
 何とか声を絞り出す。
 すると先ほどまでなかった手足の感覚が戻ってきた。

 しばらく手足の指を動かしたり唸り声をあげてみたりしているうちに、体の自由が戻ってきた。
 ゆっくり起き上がる俺に向かってサトシが

「大丈夫ですか?話せます?」
 などと、緊張感のない声で話しかける。
「あ、ああ。一応声は出るな」
 まだ胸のあたりに違和感があるが、何とか声を絞り出す。
 
「いやいや。驚きましたよ。真っ二つになるんだもの」
 どういうこと?
「お前が切ったんじゃないのか?」
「あっはい。確かに俺が切りましたけど。まさかこんなによく切れるとは」
 なんで包丁の通信販売みたいなこと言ってんの?いや、今君は俺を殺しかけたんですよ?その認識ある?
 
「ほとんど攻撃させてもらえませんでしたからね。何とか反撃を……って力いっぱい袈裟に斬ったら……ねぇ」
「ねぇじゃねえよ」
 呆れてものも言えん。まあ、俺も徹底して「行動不能(スタン)」を掛けてたからな。フラストレーション溜まってたんだろうな。
 痛覚無効化したからなんて理由でこいつと再戦するなど、どうかしてたな。いや、ホント。危うく死ぬところだよ。

「もう模擬戦はやめよう」
「え?やめるんですか?結構いい勝負できるんで練習としては良いと思いますけど。まあ、経験値とかはイマイチですが」
「命がいくらあっても足らんよ。取り敢えずゴーレムでの練習に切り替えようぜ」
 まあ、それもどうかとは思うが、よほど安全性が高い。サトシには逆らわないようにしよう。そうしよう。

「そっすね。ゴーレムで経験値と熟練度稼ぎますか。じゃあ、準備しますから回復しておいてください」

 軽い。軽いなぁ。俺の命もこれくらい軽いんだろうか……
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