中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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生方蒼甫の譚

早く作りたい。

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「ご馳走様!!」
 サトシはステーキを一気に平らげてダイニングから駆け出して行った。おそらく自分の工房へと向かったのだろう。

 いやはや。
 防具を作りたい&スキルを作成したい&レベルを上げたい

 ってか?

 ちょっと狂ってるね。
 その様子をティックたちも呆れて眺めていた。

 仕方ない奴だなぁ。俺もついて行ってやるか。

 すると、調理を終えたアイがステーキを運んできた。
「お待たせ!できたよ!」
 アイはティックたちに料理を提供すると楽しげに会話しながら食事を再開する。
 こう見てるとホントに普通の女の子だな。

 と思って眺めていたら、また睨まれた。

 解せぬ。
 
 さて、どうやら俺の居場所はないようだ。
 俺はサトシの所に向かうべく手早く自分の食器を片付けダイニングを後にした。

 外に出てみると、日の沈みかかったヨウトは静まり返っていた。
 粛清を受けてからまだ日は浅いが、街は以前の様子を取り戻し始めている。農場は植え付けがほぼ完了しているし、農業関係以外の設備はすべて地下に移設した。今後は発電機も整備予定だ。残念ながら送電設備はすべて破壊されてしまったが、折を見て復旧することになっている。
 従業員たちの宿舎は以前と同様地上に再建している。当初は再び粛清があった時の安全面を考えて地下に建設する事も検討した。が、ティックたちの「日の光を浴びたい」という意見から宿舎は地上に建設することにした。確かに地下での生活はあまり健全とは言えないしな。
 というわけで、この街も随分以前の賑わいを取り戻してきている。

 そんな街並みを眺めながら、以前サトシたちが住んでいた集落のあたりへと向かう。そこには地下施設へ続く入り口がある。
 入り口は銀行の地下金庫の様な大きな扉で守られている。ハンドルを回すとゆっくりと開く扉だ。別にこんな作りにしなくても超合金(イモータライト)で作ってるんだから、頑丈だし軽く開くんだけどさ。
『気分は大事ですよ』
 だと言ってこんなデザインにしていた。相変わらずよくわからんこだわりだ。

 で、そのこだわりの詰まった扉を開き、地下へと降りてゆく。

 地下工房では、すでにサトシが作業中だったが、俺の到着に気づくと作業の手を止めてこちらに駆け寄ってきた。

「ルークスさん。ちょうどよかった。前のアクセサリー出してもらえます?」
「スキル付与してる奴か?」
「ええ。あれを改造してみようかと思いまして」
「改造?」
「そうです。付与スキルの内容を変更できるんじゃないかと思って」
「ああ、そう言うことね」
 俺は自分の指に嵌っているリングをいくつか手渡す。
「できれば、全部もらえます?」
「全部か……」
 ネックレスやブレスレット、メリケンサックなど、ジャラジャラつけていたものを片っ端から外してサトシに渡してゆく。
「なあ、サトシ。これ纏められないか?」
「スキルを複数付与するってことですか?」
「そう。ほら。あんまりじゃらじゃらアクセサリー付けてるのもさ。「年甲斐も無く」なんて思われてたら恥ずかしいし」
「何言ってるんですか?見た目とスキルとどっちが大事だと思ってるんですか!?」
「そりゃそうだろうけどさ。もし可能なら助かるなぁって」

 サトシはそれを聞いてしばらく考え込む。
「できるかどうかは、それこそルークスさんがわかるでしょ?」
 そうでした。すいません。
 そう言われて俺は、努めて申し訳なさそうに天命の書板を手に取る。

「武器・防具・アクセサリーへの複数スキル付与については、「創造主」スキルの熟練度☆☆☆以上で可能となる」

「ほう。できるみたいだな」
「俺の今の熟練度で出来るんですね」
 サトシは先ほど俺から回収したアクセサリーを手に取り何やら念じ始める。
 その間に俺は天命の書板に質問してみる。

「Q:複数スキル付与した場合に別の特殊効果が発生する?」
「A:可能性あり。類似したスキルの場合は強化され、相反するスキルの場合は相殺される。スキルの特性によっては新たなスキルが合成される」

 ほぇ~。結構便利だな。試してみる価値あるんじゃないのか。
「なあ、サトシ、付与するスキルによっては合成とか強化にもなるらしいぞ」

「うわぁ!何すか!?集中してる時に話しかけな……」
「あ。すまん」
 おお、タイミング悪かったかな。すまんすまん。

 あれ?なんかサトシが固まった。

「なんだ。これ」
「どうした?サトシ」
「いや。なんか変なの出来たんですけど……」

 サトシは出来上がった指輪(リング)を親指と人差し指でつまみ俺に見せる。

「普通の指輪(リング)に見えるけどな。「ステータス」っと」

「業(カルマ)の指輪(リング):全能の逆説☆:スキル無効」

 無効?
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