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生方蒼甫の譚
Show by ショーバイ
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「で、これを売ってほしいんだが」
「いや、それ以前にお前が使った収納魔術が……」
なんだよ。しつこいな。
「売ってほしい?」
収納魔法にこだわるラファエルに対して、マンセルは早速頭を切り替えたらしい。流石商売の嗅覚が優れてらっしゃる。
「ああ、これはストーブとランプなんだが、今王都の鍛冶屋に同じものを作ってもらってる。できればこれを販売するルートを作ってもらいたい」
「これがストーブか?燃料は?」
「良いところに気づくね。俺が売りたいのはその燃料だ。まあ、論より証拠ってやつだな。まずは見てもらおうか」
俺は用意した灯油をストーブに入れて火をつける。途端に周囲は暖かくなり始める。まあ、対流型だからそこまですぐに温まるもんじゃないが、薪ストーブなんかよりはよほど早い
「へぇ。石油ストーブか。懐かしいな。小学校の頃使ったなぁ」
自称キャスバルが懐かしそうに眺めているが、マンセルの耳にはその言葉は届かなかった。
「なんだこれは!?この油は何だ?植物油か?いや。違うな」
ぶつぶつとつぶやきながら思案している様だ。良いねぇ。このストーブの良さに気づいてくれてありがたいよ。
「それだけじゃないんだな。こっちも見てもらえるかい?」
畳みかけるようにランプについても説明する。
俺はテレビショッピング仕込みの営業トークでマンセルにストーブとランプの性能。石油の有用性を懇々と説明した。
「胡散臭いな」
と言うのは、自称キャスバルの評価である。
「お前研究者だろ?なんだかしゃべりが胡散臭いぞ。もっと売り方あるだろ?」
流石元営業職の評価は辛い。
「まあ、そう言うなって。物は確かなんだからさ」
「そりゃそうだろうけどよ」
「ルークスさんとやら。これはどの鍛冶屋が作ってる?」
「ギルって奴に頼んでる。来月くらいには軌道に乗りそうだったぜ。結構良い腕してるからなぁ。……頼りなさげだけど」
「ギル?ああ、カールの所か」
気を取り直したラファエルが急に話始めた。
「ああ、ギルか。確かカールに一時期師事してたな」
「カールに習って使い物になったのがあいつだけだったからな」
なんか裏事情がありそうだが、腕が確かならそれでいい。
「よくわからんが、腕は良さそうだな。で、今のところあいつにストーブとランプを4つずつ作ってもらうことになってる。もし、販売を受け持ってもらえるなら、奴が追加を作ってくれるだろうぜ」
「で、お前さんは油で儲けるってことか?」
「ああ、だから油の販売網も確保したい。直接店をださせて貰えれば一番有り難いが、道具屋に油を卸すだけでも問題ない。どうだ。悪い話じゃないだろう?」
「そうだな」
マンセルはそう言いながら、頭の中でそろばんをはじいているようだった。しばらく目をきょろきょろさせながら考え込んでいたが、にやりと笑うと
「わかった。販売はワシに任せてもらおう。悪いようにはせん。価格についてはギルを交えて話したいが良いか?」
「ああ。良いぜ。よろしく頼む」
交渉成立だ。よぉし!稼ぐぞぉ!!
「いや、それ以前にお前が使った収納魔術が……」
なんだよ。しつこいな。
「売ってほしい?」
収納魔法にこだわるラファエルに対して、マンセルは早速頭を切り替えたらしい。流石商売の嗅覚が優れてらっしゃる。
「ああ、これはストーブとランプなんだが、今王都の鍛冶屋に同じものを作ってもらってる。できればこれを販売するルートを作ってもらいたい」
「これがストーブか?燃料は?」
「良いところに気づくね。俺が売りたいのはその燃料だ。まあ、論より証拠ってやつだな。まずは見てもらおうか」
俺は用意した灯油をストーブに入れて火をつける。途端に周囲は暖かくなり始める。まあ、対流型だからそこまですぐに温まるもんじゃないが、薪ストーブなんかよりはよほど早い
「へぇ。石油ストーブか。懐かしいな。小学校の頃使ったなぁ」
自称キャスバルが懐かしそうに眺めているが、マンセルの耳にはその言葉は届かなかった。
「なんだこれは!?この油は何だ?植物油か?いや。違うな」
ぶつぶつとつぶやきながら思案している様だ。良いねぇ。このストーブの良さに気づいてくれてありがたいよ。
「それだけじゃないんだな。こっちも見てもらえるかい?」
畳みかけるようにランプについても説明する。
俺はテレビショッピング仕込みの営業トークでマンセルにストーブとランプの性能。石油の有用性を懇々と説明した。
「胡散臭いな」
と言うのは、自称キャスバルの評価である。
「お前研究者だろ?なんだかしゃべりが胡散臭いぞ。もっと売り方あるだろ?」
流石元営業職の評価は辛い。
「まあ、そう言うなって。物は確かなんだからさ」
「そりゃそうだろうけどよ」
「ルークスさんとやら。これはどの鍛冶屋が作ってる?」
「ギルって奴に頼んでる。来月くらいには軌道に乗りそうだったぜ。結構良い腕してるからなぁ。……頼りなさげだけど」
「ギル?ああ、カールの所か」
気を取り直したラファエルが急に話始めた。
「ああ、ギルか。確かカールに一時期師事してたな」
「カールに習って使い物になったのがあいつだけだったからな」
なんか裏事情がありそうだが、腕が確かならそれでいい。
「よくわからんが、腕は良さそうだな。で、今のところあいつにストーブとランプを4つずつ作ってもらうことになってる。もし、販売を受け持ってもらえるなら、奴が追加を作ってくれるだろうぜ」
「で、お前さんは油で儲けるってことか?」
「ああ、だから油の販売網も確保したい。直接店をださせて貰えれば一番有り難いが、道具屋に油を卸すだけでも問題ない。どうだ。悪い話じゃないだろう?」
「そうだな」
マンセルはそう言いながら、頭の中でそろばんをはじいているようだった。しばらく目をきょろきょろさせながら考え込んでいたが、にやりと笑うと
「わかった。販売はワシに任せてもらおう。悪いようにはせん。価格についてはギルを交えて話したいが良いか?」
「ああ。良いぜ。よろしく頼む」
交渉成立だ。よぉし!稼ぐぞぉ!!
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