中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

文字の大きさ
上 下
169 / 321
生方蒼甫の譚

リプレイ

しおりを挟む
 俺は鍛冶屋を後にして宿屋へと向かった。
 紹介された宿屋は小綺麗で店員の対応もよかった。競合相手が多いからか値段も手ごろで定宿として申し分無さそうだ。
 とりあえず「食事無し」「部屋には入るな」「出てこなくても心配するな」と注文を付けて一か月分を先払いしておいた。まあ、店員は半信半疑と言った様子だったが。
 冒険者ギルドのおすすめなだけあって小綺麗な部屋だった。別に汚くても問題ないんだが、まあ、ねぇ。
 
 さて、宿の確保が終わったところでサトシのログでもチェックだ。いったんログアウトするか。
 
 ストーブとコンロが出来上がるまで時間があるので、ログアウト後も時間を止めずに様子を見る。

 ログを確認する。
 保存してあるログは二つ。一つは単なるイベントログ。かなりざっくりとしたデータではあるが、活動の状況とステータスが確認できる。それともう一つはアイが記録しているサトシの脳内データ。今回は取り敢えずイベントログが確認できればそれでいい。
 
 アイの記録データはサトシの脳内で行われている情報のやり取りを逐一保存している。しかし、あまりにも膨大なデータ量なのでリアルタイムで圧縮されていて確認するためには解凍が必要で時間が掛かる。今回はそこまで詳細なデータは要らないから外的な記録だけ確認できればそれでいい。
 
 でっと。サトシが最初にログインしたのは

 1011年8月2日23時58分18秒

 このログ自体はゲーム内時間で記録されているようだ。

 
 
 あ?

 なんだこれ。
 あいつゴブリンの群れに襲われてんじゃん。どういうこと?そんな設定入れてないぞ?そりゃこんな初期ステータスで襲われたら死ぬよね。

 って、死んでねぇし。よく生き延びたな。

 
 なんだ、2回目襲われてからステータス爆上がりしているな。で、3回目のゴブリンか。

 あー。ゴブリンの巣で後ろから刺されてるのかぁ。

 で、タイムスタンプが戻ってるな。

 本来ならステータスも初期値に戻るはずだが、死んだときと同じだ。
 
 俗に言う「強くてニューゲーム」ってやつか。
 後でアイのログもチェックする必要あるな。記憶が残ってるとすれば実験として問題があるよな。ゴブリンの群れに襲われるって言う時点で、とんでもないストレスだ。データの一部に不具合が発生してもおかしくない。

 ……そう言えば思い当たる節もあるな。

 確かにサトシの言動には不自然な部分が多い気がする。まあ、生身の本人に出会ったことが無いからよくわからんが、データとしての奴は何て言うか……こう……ん~何とも表現しにくいが、「冷めてる」というかなんというか。

 今どきの若者と言ってしまえばそれまでだが……。

 実験を中止するか?
 でも、生来あんな性格ってことも考えられるしなぁ。

 もう少し様子を見るか。


 その後もサトシのデータを確認するが、死と再生を繰り返し今に至っていた。

 ……

 いやいや。アイ。ちゃんと干渉しろヨ。なんで見殺しにしてんだよ。まあ、か弱い少女を観察者に設定したのは俺だけどさぁ。
 まさかこんな過酷な状況に置かれてるとはなぁ。


 アイが俺を恨むのも無理ないか。
 ってか、俺のせいじゃねぇんだけど!なんだよ。なんでこんな過酷な状況で生まれてんだよ!?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow
ファンタジー
カクヨムで異世界もの週間ランク70位! VRMMORゲームの大会のネタ副賞の異世界転生は本物だった!しかもモブスタート!? 副賞は異世界転移権。ネタ特典だと思ったが、何故かリアル異世界に転移した。これは無双の予感?いえ一般人のモブとしてスタートでした!! ある女神の妨害工作により本来出会える仲間は冒頭で死亡・・・ ゲームとリアルの違いに戸惑いつつも、メインヒロインとの出会いがあるのか?あるよね?と主人公は思うのだが・・・ しかし主人公はそんな妨害をゲーム知識で切り抜け、無双していく!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

せっかく転生したのに田舎の鍛冶屋でした!?〜才能なしと追い出された俺が300年鍛冶師を続けたら今さらスキルに目覚めた〜

パクパク
ファンタジー
かつて剣と魔法に彩られた世界に転生した主人公は、期待に胸を膨らませて目覚めた── ……はずだった。 生まれたのは、田舎の鍛冶屋の家。 冒険も魔法も遠く、毎日火を起こしては鉄を叩くばかりの“地味すぎる”人生が始まった。 「スキル《鍛冶師》さえ手に入れば…」という一縷の望みにすがり、10年、20年、果ては100年、200年と、 鍛冶だけを続ける孤独な歳月。 だが《鍛冶師》のスキルは、彼に訪れなかった。 ──代わりに発現したのは、《鍛眼》。 鉄や魔石に宿る“思い”を感じ取り、鍛冶に宿せるスキル。だがそれは、感情の奔流を直接受け取る、魂を削るような代物だった。 ──これは、鍛冶の物語。 剣に宿った願いを、今ふたたび打ち直す者の、物語。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...