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生方蒼甫の譚
リザードキング
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「ユーザー」の文字を見つけて、俺は居てもたってもいられず「キナコ」なるリザードマンの目の前に降り立つ。
リザードマンの「キナコ」は人間がワニの着ぐるみを着ているような感じだった。手足はすらりと長く、水かきがある左右の掌にそれぞれトライデントと盾を持っていた。
顔はワニそのもの。黒目勝ちで大きな目には縦長の光彩がある。大きな口には鋭い牙がびっしりと並んでいる。
俺が目の前に現れると、とっさに身構え叫ぶ。
「んなっ!?何者だ!!」
しゃべれるんだな。これは助かる。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけ……」
バシュ!!
ドガッ!!
キナコが俺にトライデントで突きを放つ。俺はその先端を裏拳ではじく。
「なっ!俺様の突きをいとも簡単に」
「まあ、落ち着けよ。な?むしろ俺が落ち着けないくらいなんだからさ。わかる?」
「貴様何を訳の分からないことを!アシッドジェル!!」
「デスペル!」
何かが起きる前に魔法を無効化する。その様にキナコは呆然としている。
「まあ、落ち着けよ。な?キナコ。話し合おうぜ」
「なんで俺の名前を!?」
勢い余って突っ込んじまったが、今のウチにティンクルバリアをかけておく。「ユーザー」の表示に我を忘れてたのは俺の方だったな。
その後も、キナコは俺に向かってトライデントや魔法で攻撃を仕掛けるが、どれもティンクルバリアに阻まれる。仲間を呼んで一斉に攻撃するものの、まったくダメージは通らない。まあ、レベル差を考えると当たり前だな。サトシ恐るべし。
ただ、このままでは会話にならないので、軽く痛めつけることにする。
俺を取り囲む、ポップとコーン、ヨウカンにキナコ……って。なんだよこれ。なんか腹立ってきたな。こいつらの急所を外して殴りつける。
ドガ!!バギ!!
「グハァ!」
リザードマンたちはその場に崩れ落ち、うめき声を上げている。
「あ~。もしもし?生きてる?」
すでに息も絶え絶えだ。やばい。やり過ぎたか?
「治癒(ヒール)」
キナコ達リザードマンを光が包み込み、傷を癒す。各々信じられないと言った表情でゆっくりと立ち上がった。
「なあ?俺と戦っても無駄だろ?勝てないんだから。な?まずは俺の話を聞いてくれよ」
キナコは悔しさをにじませながら俺の事を睨みつけている。まあ、いくら睨まれてもどうしようもないんだけどね。で、ちょっと聞いてみよう。
「でさ、キナコお前、この世界に生まれる前の記憶はあるか?」
「!?貴様!それ……」
キナコは驚きの表情で固まり、わなわなと震えていた。これは……
「おまえ、誰かに同じ質問されたか?」
「な!」
「図星か。なあ、そいつはどんな奴だ?どこにいる。教えてくれねぇか?」
キナコは忙しなく視線を動かしながら何かを考えているようだった。まあ、悩むのもわかるわな。たぶんそんな質問する奴がまだ近くに居るなら、こいつにとってかなり親しい相手だろうし。
「俺が危害を加えると思ってるんなら、心配しなくていい。単に話をしたいだけだ。何よりお前たちを殺すつもりならいつでも殺せる。力の差は十分理解しただろ?俺が本気でお前らを殺すつもりなら、この森ごと燃やし尽くしても良いんだ。出来ないとでも思うか?何なら証拠を見せようか?そうだなぁ、どのあたりを燃やせば信じてくれる?」
そう言いながら、周囲を見渡していると、キナコが慌てて口を開く。
「いや、やめてくれ。この森は我々にとって大切な場所だ。傷つけないでもらいたい。お前の実力は十分に理解した。……お前が望む者に会わせよう。だが、約束してほしい。決してその者に危害を与えないでくれ」
「ああ、約束しよう。あ、その前に、俺の質問に答えてくれるか?」
「質問?」
「この世界に生まれる前の記憶だ」
「ああ、その事か。俺にはその記憶はない」
「そうか。じゃあ、その質問をしたのは誰だ?」
「これからお前を長(おさ)の所へ連れて行く。俺たちが生まれ、言葉を話せるようになると長(おさ)から質問される。お前にはその記憶があると言うことだな」
「お、あ、ああ。まあ、そうだな」
そう言うことになるのかなぁ。まあいいか。まるっきり嘘ってわけでもないし。
「そうか、長(おさ)もお喜びになるだろう」
「喜ぶ?」
「いや、たぶんな。長(おさ)のその質問に是と答えることが出来た者は俺が知る限り部族には居ない。皆が質問の意味を測りかねた表情をするたびに、長は悲しい目をするんだ。それが辛くてな」
そうか、この長(おさ)ってやつは以前の記憶があるってことだな。これは期待が持てそうだ。
キナコに連れられ、沼地を進む。キナコは器用にぬかるみを「泳ぐ」と「歩く」の間くらいの動作で進んで行く。とてもじゃないが歩いて追いつけないので、俺は青い猫型ロボットのように地面から1cmほど浮かんだ状態でキナコの後を追う。キナコとその仲間たちはその様子に驚きつつも森の奥へと進む。
しばらく進むと巨石で造られた神殿風の建物が現れた。あー。東南アジアにありそうな「寺院」って感じの雰囲気だ。周囲を警備するリザードマンたちは、キナコを見るとその場に跪く。それを気にも留めずにキナコは奥へと進んで行く。廊下の奥には大きな両開きの扉があり、キナコが近づくと、扉の横に立って居たリザードマンが、扉を左右に開いてその場に跪く。
正面には、玉座に腰掛ける年老いたリザードマンが居た。
「キナコ。どうした。その者は誰だ」
「長よ、この者はあなたの質問に答えることが出来る者です。どうか話を聞いていただけないでしょうか?」
「?」
長は、やおら立ち上がると、覚束ない足取りでこちらへと近づいてくる。その目は大きく見開かれ驚きに満ちていた。
「お、お前は、この世界に生まれる前の記憶はあるか?」
今まで、何度も繰り返したであろう質問を長は口にする。
「ああ、正確には俺はこの世界に生まれたわけじゃないけどな。気が付いたらここに居た」
まあ、嘘ではないよね。辛うじて。
「お、おおぉぉ。以前は何処に?二ホンか?」
「あんた。日本人か?」
「ああ、そうだ!そうだとも。俺は日本人だ。お前は……」
長の目が潤み始める。大きく見開かれた目に涙が表面張力でたまり続けている。俺の姿がぼやけて見えないだろ?あれじゃ。ウルメいわしみたいになってんぞ。
「俺もそうだ。で、話を聞かせてくれないか?」
俺は長の方に歩み寄る。すると、長もこちらへとどんどん近づいてくる。
「長!お待ちを!!」
キナコが慌てて間に入ろうとする。危害を加えるんじゃないかと心配したんだろう。
「キナコ。大丈夫だ。ワシはこの者と二人だけで話がしたい。部屋の準備を頼む」
「え?は。は!」
キナコは一瞬ためらったが、気を取り直し長言う通りに周囲の者に指示を出す。ほどなく俺と長は隣の部屋に通された。
「それでは」
キナコは一礼すると、俺と長を部屋に残し去って行く。
落ち着いた雰囲気の部屋の中央。立派な椅子に俺とリザードマンの長とが向かい合って座っている。なかなかシュールな絵面だ。長も少し落ち着いてきたようだ。
「すまんな。取り乱してしまって。長かった。ようやく同じ境遇の人間と会えたと思うと嬉しくってな」
先ほどとは違った口調で話し始めた。どちらかと言えばこっちが素なんだろう。
「いや、気にするな。俺はここにきてまだ1年ほどなんだが、あんたは長いのか?」
「ああ、長いな。長すぎた。200年までは数えていたが、そこからは数えるのをやめた。おそらくその倍はここに居るだろうな」
「な!?400年もか?」
「恐らくな。長かった。ところで、あんた名前は?」
「ルークスだ」
「いや、出来れば本名を教えてもらいたい。俺は笹川栄一だ。ああ、この名前を口にするのも久しぶりだ」
笹川栄一か。完全に日本人だな。32人のデータには氏名が記載されていなかった。これだけではわからんな。
それに、俺の名前か。偽名を使うか。いや、変に嘘ついてばれても厄介だしな。
「生方蒼甫だ」
「うぶかた……そうすけ」
笹川はかみしめるように復唱する。日本語名を懐かしむように。
「そうか、珍しい名前だな。生まれは何処だ?」
「生まれは大阪だな。その後いろんなところを転々としたが、今は島根に居る」
「そうか、島根か。良いところだな。俺は生まれも育ちも福岡でね。ああ、福岡。懐かしいなぁ」
「訛りが出ないな?」
「さすがに何百年もこの世界で話していれば訛りも消えるさ。なんだかよくわからんが、皆標準語で話すからな。俺も知らず知らずのうちにうつっちまったよ。あんただって関西弁が出ないじゃないか」
「まあ、俺が大阪で暮らしてたのは子供の頃だったからな」
「そうか。で、生方さんは何の仕事をしてたんだい?」
「俺は大学で講師をしてた」
「そうか、いい仕事だな。俺は福岡で商社に勤めてたんだ」
「じゃあ、この世界にはなんで?」
「それがよく思い出せないんだ。福岡では30歳くらいまで暮らしてたと思うんだが、その後の記憶が……なんて言うか靄がかかったようでな。気が付いたらリザードマンとして卵から生まれてた」
「生まれてすぐの記憶があるのか?」
「ああ、最初は訳が分からなかったよ。薄暗い小部屋に詰め込まれてる感覚があって、苦しくて壁を叩いたら、壁が砕けて外の光が差し込んできてな。それが孵化だったんだ」
「そっから意識があるのか!」
「ああ、ただ、そっからは地獄だったよ」
そうか。こいつリザードマンだもんな。流石にモンスターに転生はキツイよなぁ。
リザードマンの「キナコ」は人間がワニの着ぐるみを着ているような感じだった。手足はすらりと長く、水かきがある左右の掌にそれぞれトライデントと盾を持っていた。
顔はワニそのもの。黒目勝ちで大きな目には縦長の光彩がある。大きな口には鋭い牙がびっしりと並んでいる。
俺が目の前に現れると、とっさに身構え叫ぶ。
「んなっ!?何者だ!!」
しゃべれるんだな。これは助かる。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけ……」
バシュ!!
ドガッ!!
キナコが俺にトライデントで突きを放つ。俺はその先端を裏拳ではじく。
「なっ!俺様の突きをいとも簡単に」
「まあ、落ち着けよ。な?むしろ俺が落ち着けないくらいなんだからさ。わかる?」
「貴様何を訳の分からないことを!アシッドジェル!!」
「デスペル!」
何かが起きる前に魔法を無効化する。その様にキナコは呆然としている。
「まあ、落ち着けよ。な?キナコ。話し合おうぜ」
「なんで俺の名前を!?」
勢い余って突っ込んじまったが、今のウチにティンクルバリアをかけておく。「ユーザー」の表示に我を忘れてたのは俺の方だったな。
その後も、キナコは俺に向かってトライデントや魔法で攻撃を仕掛けるが、どれもティンクルバリアに阻まれる。仲間を呼んで一斉に攻撃するものの、まったくダメージは通らない。まあ、レベル差を考えると当たり前だな。サトシ恐るべし。
ただ、このままでは会話にならないので、軽く痛めつけることにする。
俺を取り囲む、ポップとコーン、ヨウカンにキナコ……って。なんだよこれ。なんか腹立ってきたな。こいつらの急所を外して殴りつける。
ドガ!!バギ!!
「グハァ!」
リザードマンたちはその場に崩れ落ち、うめき声を上げている。
「あ~。もしもし?生きてる?」
すでに息も絶え絶えだ。やばい。やり過ぎたか?
「治癒(ヒール)」
キナコ達リザードマンを光が包み込み、傷を癒す。各々信じられないと言った表情でゆっくりと立ち上がった。
「なあ?俺と戦っても無駄だろ?勝てないんだから。な?まずは俺の話を聞いてくれよ」
キナコは悔しさをにじませながら俺の事を睨みつけている。まあ、いくら睨まれてもどうしようもないんだけどね。で、ちょっと聞いてみよう。
「でさ、キナコお前、この世界に生まれる前の記憶はあるか?」
「!?貴様!それ……」
キナコは驚きの表情で固まり、わなわなと震えていた。これは……
「おまえ、誰かに同じ質問されたか?」
「な!」
「図星か。なあ、そいつはどんな奴だ?どこにいる。教えてくれねぇか?」
キナコは忙しなく視線を動かしながら何かを考えているようだった。まあ、悩むのもわかるわな。たぶんそんな質問する奴がまだ近くに居るなら、こいつにとってかなり親しい相手だろうし。
「俺が危害を加えると思ってるんなら、心配しなくていい。単に話をしたいだけだ。何よりお前たちを殺すつもりならいつでも殺せる。力の差は十分理解しただろ?俺が本気でお前らを殺すつもりなら、この森ごと燃やし尽くしても良いんだ。出来ないとでも思うか?何なら証拠を見せようか?そうだなぁ、どのあたりを燃やせば信じてくれる?」
そう言いながら、周囲を見渡していると、キナコが慌てて口を開く。
「いや、やめてくれ。この森は我々にとって大切な場所だ。傷つけないでもらいたい。お前の実力は十分に理解した。……お前が望む者に会わせよう。だが、約束してほしい。決してその者に危害を与えないでくれ」
「ああ、約束しよう。あ、その前に、俺の質問に答えてくれるか?」
「質問?」
「この世界に生まれる前の記憶だ」
「ああ、その事か。俺にはその記憶はない」
「そうか。じゃあ、その質問をしたのは誰だ?」
「これからお前を長(おさ)の所へ連れて行く。俺たちが生まれ、言葉を話せるようになると長(おさ)から質問される。お前にはその記憶があると言うことだな」
「お、あ、ああ。まあ、そうだな」
そう言うことになるのかなぁ。まあいいか。まるっきり嘘ってわけでもないし。
「そうか、長(おさ)もお喜びになるだろう」
「喜ぶ?」
「いや、たぶんな。長(おさ)のその質問に是と答えることが出来た者は俺が知る限り部族には居ない。皆が質問の意味を測りかねた表情をするたびに、長は悲しい目をするんだ。それが辛くてな」
そうか、この長(おさ)ってやつは以前の記憶があるってことだな。これは期待が持てそうだ。
キナコに連れられ、沼地を進む。キナコは器用にぬかるみを「泳ぐ」と「歩く」の間くらいの動作で進んで行く。とてもじゃないが歩いて追いつけないので、俺は青い猫型ロボットのように地面から1cmほど浮かんだ状態でキナコの後を追う。キナコとその仲間たちはその様子に驚きつつも森の奥へと進む。
しばらく進むと巨石で造られた神殿風の建物が現れた。あー。東南アジアにありそうな「寺院」って感じの雰囲気だ。周囲を警備するリザードマンたちは、キナコを見るとその場に跪く。それを気にも留めずにキナコは奥へと進んで行く。廊下の奥には大きな両開きの扉があり、キナコが近づくと、扉の横に立って居たリザードマンが、扉を左右に開いてその場に跪く。
正面には、玉座に腰掛ける年老いたリザードマンが居た。
「キナコ。どうした。その者は誰だ」
「長よ、この者はあなたの質問に答えることが出来る者です。どうか話を聞いていただけないでしょうか?」
「?」
長は、やおら立ち上がると、覚束ない足取りでこちらへと近づいてくる。その目は大きく見開かれ驚きに満ちていた。
「お、お前は、この世界に生まれる前の記憶はあるか?」
今まで、何度も繰り返したであろう質問を長は口にする。
「ああ、正確には俺はこの世界に生まれたわけじゃないけどな。気が付いたらここに居た」
まあ、嘘ではないよね。辛うじて。
「お、おおぉぉ。以前は何処に?二ホンか?」
「あんた。日本人か?」
「ああ、そうだ!そうだとも。俺は日本人だ。お前は……」
長の目が潤み始める。大きく見開かれた目に涙が表面張力でたまり続けている。俺の姿がぼやけて見えないだろ?あれじゃ。ウルメいわしみたいになってんぞ。
「俺もそうだ。で、話を聞かせてくれないか?」
俺は長の方に歩み寄る。すると、長もこちらへとどんどん近づいてくる。
「長!お待ちを!!」
キナコが慌てて間に入ろうとする。危害を加えるんじゃないかと心配したんだろう。
「キナコ。大丈夫だ。ワシはこの者と二人だけで話がしたい。部屋の準備を頼む」
「え?は。は!」
キナコは一瞬ためらったが、気を取り直し長言う通りに周囲の者に指示を出す。ほどなく俺と長は隣の部屋に通された。
「それでは」
キナコは一礼すると、俺と長を部屋に残し去って行く。
落ち着いた雰囲気の部屋の中央。立派な椅子に俺とリザードマンの長とが向かい合って座っている。なかなかシュールな絵面だ。長も少し落ち着いてきたようだ。
「すまんな。取り乱してしまって。長かった。ようやく同じ境遇の人間と会えたと思うと嬉しくってな」
先ほどとは違った口調で話し始めた。どちらかと言えばこっちが素なんだろう。
「いや、気にするな。俺はここにきてまだ1年ほどなんだが、あんたは長いのか?」
「ああ、長いな。長すぎた。200年までは数えていたが、そこからは数えるのをやめた。おそらくその倍はここに居るだろうな」
「な!?400年もか?」
「恐らくな。長かった。ところで、あんた名前は?」
「ルークスだ」
「いや、出来れば本名を教えてもらいたい。俺は笹川栄一だ。ああ、この名前を口にするのも久しぶりだ」
笹川栄一か。完全に日本人だな。32人のデータには氏名が記載されていなかった。これだけではわからんな。
それに、俺の名前か。偽名を使うか。いや、変に嘘ついてばれても厄介だしな。
「生方蒼甫だ」
「うぶかた……そうすけ」
笹川はかみしめるように復唱する。日本語名を懐かしむように。
「そうか、珍しい名前だな。生まれは何処だ?」
「生まれは大阪だな。その後いろんなところを転々としたが、今は島根に居る」
「そうか、島根か。良いところだな。俺は生まれも育ちも福岡でね。ああ、福岡。懐かしいなぁ」
「訛りが出ないな?」
「さすがに何百年もこの世界で話していれば訛りも消えるさ。なんだかよくわからんが、皆標準語で話すからな。俺も知らず知らずのうちにうつっちまったよ。あんただって関西弁が出ないじゃないか」
「まあ、俺が大阪で暮らしてたのは子供の頃だったからな」
「そうか。で、生方さんは何の仕事をしてたんだい?」
「俺は大学で講師をしてた」
「そうか、いい仕事だな。俺は福岡で商社に勤めてたんだ」
「じゃあ、この世界にはなんで?」
「それがよく思い出せないんだ。福岡では30歳くらいまで暮らしてたと思うんだが、その後の記憶が……なんて言うか靄がかかったようでな。気が付いたらリザードマンとして卵から生まれてた」
「生まれてすぐの記憶があるのか?」
「ああ、最初は訳が分からなかったよ。薄暗い小部屋に詰め込まれてる感覚があって、苦しくて壁を叩いたら、壁が砕けて外の光が差し込んできてな。それが孵化だったんだ」
「そっから意識があるのか!」
「ああ、ただ、そっからは地獄だったよ」
そうか。こいつリザードマンだもんな。流石にモンスターに転生はキツイよなぁ。
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