中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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生方蒼甫の譚

テンスの農場

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「ぎやぁ!!!落ちる!!」
 うるさいなぁ。落ちないっつーの。

 さっきから、上空を飛んでいるが、ジョリー、バリー、ウエスの三人がうるさくて仕方ない。
「黙って。また口にチャックするよ?」
 冷たくサトシが言い放つと、三人は目に涙を浮かべながら黙り込む。

 サトシには逆らわないようにしよう。そうしよう。

 しばらく上空を飛び続けること数十分。遠くに町と畑が見えてきた。

「あれか?テンスの農場は」
 ジョリーにそう聞くと、泣きながら必死に頷いている。まあ、目も乾くしな。潤いが必要だよね。と、現実逃避をしてみる。
 俺たちは、農場の中央にある屋敷風の建物の上空から様子を窺う。周囲には農作業中と思われる従業員が数人うろついていたが、テンスらしき人物は見当たらない。

「屋敷を尋ねてみますか?」
「そうだな。それが手っ取り早そうだ。で、どうする気だ?いきなり殺すのか?」

「いやいや、なんでそんなに物騒なことするんですか?」

 え~っと、どの口がおっしゃる?

「いや、勢い的にそんな感じだったじゃん?」
「そんなことないですよ。ちゃんと平和的に解決したいと思ってますよ。同業者ですし。まあ、仲良くってわけにはいかないでしょうけど」
 
 サトシの思考回路がどうなってるのかさっぱりわからんが、とりあえず逆らう真似はしないでおこう。そうしよう。

「じゃあ、どうする?」
「とりあえず、うちをやめた従業員全員を集めて真意を確認しようかと」
「で、やっぱり辞めるって言ったら?皆殺し?」

「いや、だから!もう。俺をなんだと思ってるんですか。本人たちが辞めたいんなら無理強いはしませんよ。まあ、与えたモノは返してもらいますけど」
 与えたモノ?
「よし、行きますか」
 そう言うと、サトシとジョリーはするすると屋敷前に降り立つ。俺も残り二人を連れて後に続く。

「あ、ジョリー!バリー!ウェス!ウチの元従業員をここに連れてきて、今すぐに。わかった?」
 三人は一瞬何か言いたそうにしたが、すぐに回れ右して、それぞれ畑に散っていった。逆らえばどうなるか身をもって知ってしまった以上、彼らに選択の余地は無いだろう。

 サトシは、3人を見送ると屋敷の玄関に近づく。ドアをどかどかと叩きながら大声で呼びかける。
「テンスさん!テンスさーん!!」

 大声と、激しいノックの音に驚いたのか、使用人らしき女性がドアを開ける。

「ああ、ジェリーナじゃないか。元気にしてた?」
 またサトシの能面笑顔炸裂!ジェリーナは顔面蒼白になりその場固まる。
「ちょっとどいててね。」
 そう言うと、ジェリーナの首根っこを鷲掴みにし、背後に放り投げる。
 いや、セクハラだし!ついでにパワハラ!いや、いや、パワハラのパワーはそんな物理的な意味じゃなかろうけど。
 俺は慌てて放り投げられたジョリーを受け止めその場に下ろす。ジェリーナは恐怖のあまりへたり込んでしまった。

「テンスさーん!出てこないとこの屋敷破壊しますよ!!」
 平和的に解決する気ねぇ!!

 そう言いながら、サトシは玄関から中に入って行く。屋敷のエントランスは小綺麗な造りになっていて、天井も高く、エンドゥの領主様の屋敷に似た感じだった。豪農と言ったところか。ん~。ちょっとけばけばしい内装だけどね。成金趣味が透けて見える。

 すると、奥からごつい用心棒風の男3人と、還暦前と言ったおっさんが出てきた。

「なんだ。礼儀知らずな奴だな。どういう了見だ!おい!こいつをつまみ出せ!!」
「「「ヘイ!」」」
 三人の屈強そうな男たちがサトシに向かって悠然と歩み寄って来る。ああ、やられちゃいますよ。と思った時には三人とも金縛りにあっていた。

 グギッ!

 詠唱するまでもないって感じでしょうね。今のサトシさんからすれば。

「ほほう。お前も魔力持ちか。良いだろう。俺が相手になってやる!」
 テンスはさも自信ありげにサトシに掌をかざす。

 たぶん全く問題ないだろうが、一応ステータスを確認しておくか。
 
 『ユーザー:テンス 職業:農業主 LV:15 HP:425/428 MP:55/60 MPPS:1 STR:205 ATK:110 VIT:320 INT:150 DEF:140 RES:0 AGI:40 LUK:30 
  属性適合 魔術 火:Lv1』

 ああ、雑魚っすね。一応魔法使えるのか……


 ……


 ん?



 ん!?

 ユーザー!?
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