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生方蒼甫の譚
ヨウトへ
しおりを挟む 次は動力だな。
「次は原動機作りたいな」
「エンジンですか?エンジン作ってどうするんです?」
「動力があれば工作機械も動かせるし、場合によっちゃぁ発電もできるからな」
「うまく回るといいですけどね。で、エンジンはどんな形のやつにします?DOHCですか?16バルブくらいの?」
「なに?お前エンジン詳しいの?」
「いえ、昔レースゲームで少し見ただけです。正直何のことだかさっぱり。ちょっと言ってみたかったもんで」
「なんだよ。ちょっと期待したのに。じゃあ、お前、焼玉エンジンって知ってるか?」
「焼玉?」
「まあ、俺もイベントか何かでしか見たことないから詳しくは無いんけどさ。昔農作業の動力なんかに使われてたらしいんだよ。多少不純物が入ってる油でも燃料になるみたいでさ、だから油の需要拡大にもってこいだろ?」
「へぇ」
だがちょっと問題がある。サトシの能力は精度が微妙だ。だがエンジンを自作するには精度が必要だ。精度を出すためには測定器と工作機械が要る。でも、工作機械を作るためには電力と精度が……
とまあ、鶏が先か卵が先かって話になっちまうわけだ。
このあたりは、昔ながらの方法で作っていくしかなさそうだな。
結局歴史をなぞるしかないんだろうな。
そうは言っても、俺の専門は情報分野だし、サトシは材料だ。工学部とは言え、機械加工についての知識が乏しい俺たちにはなかなか荷が重い。
というわけで、また鍛冶屋に頼みたいがさすがにエンドゥの鍛冶屋に頼むわけにもいかんだろうなぁ。いまだしてる仕事が一段と遅れそうだ。職人を何人抱えてるかわからんが、あのストーブでギリギリの反応だったからなぁ。荷が勝ちすぎな気がする。
腕のいい鍛冶屋がいるとなると、ふつうに考えれば王都だろうな。でも、王都の情報が少ない中でそんな仕事持って行ったら、いろんなところから睨まれそうだ。
次は……ウサカかぁ。ちょっとあそこは力不足な気がするなぁ。
まあ、考えても仕方ない、とりあえず時間を空けるか。本当なら油の販路を拡大したいから、できる限りいろんな道具を作りたいが、まずは我慢だ。
などと俺が考え込んでいたら、ふいにサトシから声をかけられた。
「あ、ルークスさん」
「どうした?」
「いや、ヨウトをずっと空けてるじゃないですか。そろそろ帰らないと準備してた装備品が底をつくかなぁと思いまして」
あ、ヨウトのこと忘れてた。
「そう言やそうだな。一度帰るか」
と言う訳で、油田近くにある俺たちの邸宅に帰る。
「お帰り」
「アイ。一度ヨウトに帰ろうと思うんだけど、どうする?」
「ん~。ウサカには行く?」
「そうだね。ヨウトの様子を見てから行こうかと思うけど」
「じゃあ帰る」
どうやら調味料だな。あ、あとはレシピか。まあ、食事の内容が向上するのは素晴らしいことだ。ぜひ頑張ってもらいたい。
そうと決まれば行動は早かった。家の外には転移用の広いスペースが作ってあるので、そこからヨウトに飛ぶ。
……
転移陣が消えると、そこは静まり返ったヨウトの町だった。
「あれ?みんなどこ行ったんだ?畑に見当たらないな」
転移した場所は昔の様との町はずれ。墓地からほど近い場所だ。今となってはこの辺りまで畑が広がっている。
「いませんね。ティック達どこ行ったんだろう?」
サトシと俺は反重力で上空に舞い上がり従業員たちを探す。
すると、遠くの畑でもぞもぞ動いている人影を見つけた。昔サトシたちがすんでいた集落あたりだ。
「あ、ティックとアンですね。あそこにいあるのは。おーい!!」
サトシが大声で呼びかけると、二人が気づいたらしく、こちらに向かってかけてくる。俺たちは二人のもとに降り立つ。
「お疲れさん。今日はみんな休み?」
「あ、あの」
「ん?どうしたの?」
「いや、実は……私たち以外の従業員は……みんなやめちゃいました」
「「やめた!?」」
「次は原動機作りたいな」
「エンジンですか?エンジン作ってどうするんです?」
「動力があれば工作機械も動かせるし、場合によっちゃぁ発電もできるからな」
「うまく回るといいですけどね。で、エンジンはどんな形のやつにします?DOHCですか?16バルブくらいの?」
「なに?お前エンジン詳しいの?」
「いえ、昔レースゲームで少し見ただけです。正直何のことだかさっぱり。ちょっと言ってみたかったもんで」
「なんだよ。ちょっと期待したのに。じゃあ、お前、焼玉エンジンって知ってるか?」
「焼玉?」
「まあ、俺もイベントか何かでしか見たことないから詳しくは無いんけどさ。昔農作業の動力なんかに使われてたらしいんだよ。多少不純物が入ってる油でも燃料になるみたいでさ、だから油の需要拡大にもってこいだろ?」
「へぇ」
だがちょっと問題がある。サトシの能力は精度が微妙だ。だがエンジンを自作するには精度が必要だ。精度を出すためには測定器と工作機械が要る。でも、工作機械を作るためには電力と精度が……
とまあ、鶏が先か卵が先かって話になっちまうわけだ。
このあたりは、昔ながらの方法で作っていくしかなさそうだな。
結局歴史をなぞるしかないんだろうな。
そうは言っても、俺の専門は情報分野だし、サトシは材料だ。工学部とは言え、機械加工についての知識が乏しい俺たちにはなかなか荷が重い。
というわけで、また鍛冶屋に頼みたいがさすがにエンドゥの鍛冶屋に頼むわけにもいかんだろうなぁ。いまだしてる仕事が一段と遅れそうだ。職人を何人抱えてるかわからんが、あのストーブでギリギリの反応だったからなぁ。荷が勝ちすぎな気がする。
腕のいい鍛冶屋がいるとなると、ふつうに考えれば王都だろうな。でも、王都の情報が少ない中でそんな仕事持って行ったら、いろんなところから睨まれそうだ。
次は……ウサカかぁ。ちょっとあそこは力不足な気がするなぁ。
まあ、考えても仕方ない、とりあえず時間を空けるか。本当なら油の販路を拡大したいから、できる限りいろんな道具を作りたいが、まずは我慢だ。
などと俺が考え込んでいたら、ふいにサトシから声をかけられた。
「あ、ルークスさん」
「どうした?」
「いや、ヨウトをずっと空けてるじゃないですか。そろそろ帰らないと準備してた装備品が底をつくかなぁと思いまして」
あ、ヨウトのこと忘れてた。
「そう言やそうだな。一度帰るか」
と言う訳で、油田近くにある俺たちの邸宅に帰る。
「お帰り」
「アイ。一度ヨウトに帰ろうと思うんだけど、どうする?」
「ん~。ウサカには行く?」
「そうだね。ヨウトの様子を見てから行こうかと思うけど」
「じゃあ帰る」
どうやら調味料だな。あ、あとはレシピか。まあ、食事の内容が向上するのは素晴らしいことだ。ぜひ頑張ってもらいたい。
そうと決まれば行動は早かった。家の外には転移用の広いスペースが作ってあるので、そこからヨウトに飛ぶ。
……
転移陣が消えると、そこは静まり返ったヨウトの町だった。
「あれ?みんなどこ行ったんだ?畑に見当たらないな」
転移した場所は昔の様との町はずれ。墓地からほど近い場所だ。今となってはこの辺りまで畑が広がっている。
「いませんね。ティック達どこ行ったんだろう?」
サトシと俺は反重力で上空に舞い上がり従業員たちを探す。
すると、遠くの畑でもぞもぞ動いている人影を見つけた。昔サトシたちがすんでいた集落あたりだ。
「あ、ティックとアンですね。あそこにいあるのは。おーい!!」
サトシが大声で呼びかけると、二人が気づいたらしく、こちらに向かってかけてくる。俺たちは二人のもとに降り立つ。
「お疲れさん。今日はみんな休み?」
「あ、あの」
「ん?どうしたの?」
「いや、実は……私たち以外の従業員は……みんなやめちゃいました」
「「やめた!?」」
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