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生方蒼甫の譚
吸血鬼
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「相変わらず無様な姿ですね」
聞き覚えのある声の主はクロードだった。
「奇妙なとこで会うな。
ってことはお前はマンティコアの手下ってことでいいかい?」
「はて?どうやってここにたどり着いたのでしょう?あなたは屋敷で始末したはずですが」
あまり動揺は見えないが、こちらを警戒しているようだ。
「ステータス」
「吸血鬼(バンパイア) Lv92 HP:582612/582612 ATK:53693 DEF:44254 吸収:水 土 風 闇 耐性:火」
ああ、強いね。確かに。
ってことはマンティコア四天王って感じ?
あの中では最強だね。
まあ、あの中では。
「ルークスさん。こいつ誰です?」
「ああ、クロードっつって、領主様の代わりに町を治めてる奴だ」
「それが吸血鬼(バンパイア)っすか?あぁ、それで領主様は代々短命ってことですか!」
「おお、そう言う事か!」
「え、今気づいたんですか?」
「だって、いま吸血鬼(バンパイア)だって知ったんだもの」
「ああ、そうですね。それなら仕方ないですよね」
サトシの顔が呆れているように見えるが、気のせいだろう。
そう思おう。そうしよう。
「脆弱な人間風情が随分余裕ですね。今置かれている状況を理解していますか?」
わお。フラグ立てまくるね。ウチのサトシを馬鹿にしすぎじゃない?こっえーぞ!
ビュッ!!
あ!
とんでもない量のライトボールが吸血鬼(バンパイア)を襲う。
アイ。やっちまったな。
だが、吸血鬼も流石で、乱れうちのライトボールを寸でのところで躱している。
まあ、躱せてないモノもかなりあるようだが……
「ぐうぅ。人間風情がふざけおって!!」
怒りに顔をゆがませてこちらを睨みつけている。
吸血鬼の左腕と右わき腹がアイのライトボールでえぐれている。
ライトボールの威力もえぐくなってますな。サトシやりすぎ。
41日は伊達じゃない!ってか。
しかし、敵もさるもの。みるみる失われた左腕と右わき腹が再生する。再生能力高いね。
「貴様らも上の奴らと同様にグールになって未来永劫この屋敷の中を彷徨うがいい!!」
背後から強い殺気を感じて振り返ってみると、エレミヤが今にも血の涙を流さんばかりにクロードを睨みつけている。
「貴様ぁ、よくも私の家族を!!」
「その姿ではどうするとこもできまい。その者たちが目の前でグールになるさまを再び目に焼き付けるがいい!」
クロードはそう言いながら俺たちに向かって進もうとする。
が、その場でつんのめる。
「なっ!」
クロードの足は地面から生えた茨で固定化されていた。
「小癪な真似を!!」
「ルークスさん。こいつに聞いておく事って何かあります?」
緊張感のない声でサトシが尋ねてくる。余裕だねぇ。嫌いじゃないよ、強者の風格。
「ん~。そうなぁ。あ!一応確認。領主様は本物?」
「は!これからグールとなってこの屋敷を徘徊するお前達には要らぬ話だ!
……が、せめてもの手向けに教えてやろう。
キース達一族は我らの養分にすぎぬ。
御方様の信仰も集められぬ無能どもにはその程度の役割がお似合いよ」
そう言いながらクロードは自らの太ももを手刀で切り落とし即座に再生させた足で一歩踏み出す。
「じゃあ、イパって貴族もか?」
「あの者は我らの信奉者にすぎぬ。愚かな人間ではあるが富と地位を持つゆえに役には立つ」
クロードは破れた服を忌々しそうに見つめながら、質問に答える。意外に律儀だな。
「あ~。そう。サトシ。十分じゃない。もう」
そう言うと、サトシは軽く頷きクロードに向けて掌をかざす。
ザシュ!
せっかく切り落としてまで脱出した足と、頭にトゲトゲが発生する。
うわぁ。こんな死に方嫌だなぁ。
一瞬クロードは上体をふらつかせるが、また力強く直立すると手刀で首と足を順に切り落とす。
切り落とされた頭が再生し、その後再生した足で前に歩みを進める。
「貴様ぁ!楽には死なせんぞ!!」
新しく生え変わったクロードの顔が怒りにゆがむ。
ああ、そうか。頭は弱点じゃないのね。
探索で弱点を探る。
はい。案の定心臓だね。
心臓のあたりが赤く光ってる。サトシもそれを見て俺に目配せをした。
「吸血鬼と言えば、って感じですね。じゃあ、これで」
ザシュ!!
サトシがクロードに掌をかざすと、クロードの胸に大ぶりの杭が出現する。背中まで貫通した杭には、持ち手にあたるところに十字架の彫刻が施されていた。
芸が細かいね。
「グハァ!!」
クロードは胸を掻きむしりながら悶え、膝から崩れ落ちる。しばらくは小刻みに震えていたが、動きが止まると頭の先から灰となりさらさらと崩れ落ちて行った。
頭の中で勝利のファンファーレが鳴り響いたところを見ると、倒したんだろう。ちょろいな。
っていうか、サトシ異常じゃない?無敵に近いと思うけど。
まあ、それは置いといて。
「で、エレミヤさん。
ちょっと邪魔が入っちゃいましたけど、話の続きを聞かせてもらっていいですか?」
あまりにあっけなく吸血鬼が倒されたことで、エレミヤは安どのため息を一つ吐くと話をつづける。
「あの吸血鬼をいとも簡単に……ここまでお強いとは思いもよりませんでした。ありがとうございます。これでグールにされた家族も浮かばれるでしょう」
ああ、粉みじんにしちゃった奴かぁ……サトシも微妙な表情になっている。
「さて、どこまでお話ししたでしょうか……、町の人たちに敵視された当たりでしたでしょうか。そう。私が洗脳を解いた人々は失意のどん底に落とされ、私の事を酷く恨み敵視するようになりました。この屋敷を焼き討ちする計画まで立てていたようです」
そこまで恨まれるってのも、よっぽどだな。
「しかし、それを事前に察知した弟は、再度支配の力を使い、町の人々の気持ちを別の仕事に向けたのです。それが町の移転計画でした。弟の機転で私たち家族は襲われることなく過ごすことが出来たのです」
「じゃあ、なんでこんなことに?」
「弟のその行為が、マンティコアの逆鱗に触れたようでした。生贄によって力を取り戻していたマンティコアは、信仰を集めるどころかエンリルに肩入れし反逆した私を助けた弟を許しませんでした。弟に対して監視役として先ほどのクロードを付けたのです。また、エンリルの側についた私への罰として……」
エレミヤはそこで言葉を詰まらせる。
「すいません。あれは娘の誕生日の事でした。屋敷に突然現れたクロードが、躾と称して私の自由を奪いました。食卓に着いたまま動けなくなった私の前で……
妻や、まだ年頃を迎える前の娘までも……凌辱の限りを尽くしたうえで、皆をグールにしたのです。身体の自由を奪われた私にはその様を椅子に座ったままま見ていることしかできませんでした」
エレミヤは涙で言葉を詰まらせる。しばらく黙っていたエレミヤは、大きく深呼吸すると続きを話し始める。
「その後、グールとなった家族を置いて、私だけがこの地下牢に連れてこられました。おそらくここは古代の街が繁栄していた頃の名残なのでしょう。家族のだれもこの地下牢の存在は知りませんでした。ここに吊るされ、クロードの手下に昼夜を問わず拷問を受け続け、自分では死ぬことさえかなわず長い年月が過ぎました。いつのころからか、拷問を受けることもなくなり、ただただここでグールとなった家族の嘆きの声を聴く日々が続いていました。今にして思えば、その時にはもう私は死んでいたのでしょう」
俺はポケットから宝石を取り出す。「王妃の宝石」食堂で拾ったものだ。
「あ、それは。」
「食堂で拾いました。ご家族が身に着けておられたものですか?」
懐かしそうに宝石を眺めていたエレミヤは幸せだったころの思い出に浸っているようだった。
「それは鉱山が軌道に乗り始めて家が豊かになったころ、弟から私に贈られたものです。私も同じものを弟に贈りました。「いつか家族が出来たら、その家族に着けてもらおう」と」
「そうですか……。これと同じものを、今の領主の屋敷で見ました。宝物庫に誇らしげに飾ってありましたよ。」
「……弟も大事に持っていてくれたんですね。
弟は思い立つとすぐ行動に移す性格でしたから、私から見ると危なっかしく感じていました。考え無しに何でも行動するように見えていたんです。ですから、私が弟を止めてやらないと……そう考えていました。でも、弟はしっかりと考えた上で行動していたんです。むしろ、その行動の一面しか見ていなかったのは私の方でした。弟からすると手のかかる兄だったでしょう。
弟が町を移転し屋敷も移すと言った時、私はとうとう見捨てられたんだと思いました。しかし、弟が私を助けるためにそんな大事業を起こしたとクロードに教えられたのです。そして、そのために弟にも相応の罰が与えられたと。無能な自分を悔やみました。さぞ弟は私の事を恨んでいるだろうと。
でも、その宝石を大事に取っていてくれたんですね。もしあの世で弟に合うことが出来たなら、今までの愚行を詫びたいと思います。また二人で楽しく暮らしたい……と」
エレミヤの体はぼんやりと光始め、足の先から光輝く砂になりさらさらと崩れていく。
「家族を開放してくれてありがとうございました。最後に厚かましいお願いで申し訳ありませんが、マンティコアを倒し弟の子孫を解放してあげてください……。屋敷の裏庭にある洞窟が、マンティコアのいる奥の間に繋がっています。どうか、よろしくお願いします」
そう言うと、エレミヤは光の粒となって消えていった。
聞き覚えのある声の主はクロードだった。
「奇妙なとこで会うな。
ってことはお前はマンティコアの手下ってことでいいかい?」
「はて?どうやってここにたどり着いたのでしょう?あなたは屋敷で始末したはずですが」
あまり動揺は見えないが、こちらを警戒しているようだ。
「ステータス」
「吸血鬼(バンパイア) Lv92 HP:582612/582612 ATK:53693 DEF:44254 吸収:水 土 風 闇 耐性:火」
ああ、強いね。確かに。
ってことはマンティコア四天王って感じ?
あの中では最強だね。
まあ、あの中では。
「ルークスさん。こいつ誰です?」
「ああ、クロードっつって、領主様の代わりに町を治めてる奴だ」
「それが吸血鬼(バンパイア)っすか?あぁ、それで領主様は代々短命ってことですか!」
「おお、そう言う事か!」
「え、今気づいたんですか?」
「だって、いま吸血鬼(バンパイア)だって知ったんだもの」
「ああ、そうですね。それなら仕方ないですよね」
サトシの顔が呆れているように見えるが、気のせいだろう。
そう思おう。そうしよう。
「脆弱な人間風情が随分余裕ですね。今置かれている状況を理解していますか?」
わお。フラグ立てまくるね。ウチのサトシを馬鹿にしすぎじゃない?こっえーぞ!
ビュッ!!
あ!
とんでもない量のライトボールが吸血鬼(バンパイア)を襲う。
アイ。やっちまったな。
だが、吸血鬼も流石で、乱れうちのライトボールを寸でのところで躱している。
まあ、躱せてないモノもかなりあるようだが……
「ぐうぅ。人間風情がふざけおって!!」
怒りに顔をゆがませてこちらを睨みつけている。
吸血鬼の左腕と右わき腹がアイのライトボールでえぐれている。
ライトボールの威力もえぐくなってますな。サトシやりすぎ。
41日は伊達じゃない!ってか。
しかし、敵もさるもの。みるみる失われた左腕と右わき腹が再生する。再生能力高いね。
「貴様らも上の奴らと同様にグールになって未来永劫この屋敷の中を彷徨うがいい!!」
背後から強い殺気を感じて振り返ってみると、エレミヤが今にも血の涙を流さんばかりにクロードを睨みつけている。
「貴様ぁ、よくも私の家族を!!」
「その姿ではどうするとこもできまい。その者たちが目の前でグールになるさまを再び目に焼き付けるがいい!」
クロードはそう言いながら俺たちに向かって進もうとする。
が、その場でつんのめる。
「なっ!」
クロードの足は地面から生えた茨で固定化されていた。
「小癪な真似を!!」
「ルークスさん。こいつに聞いておく事って何かあります?」
緊張感のない声でサトシが尋ねてくる。余裕だねぇ。嫌いじゃないよ、強者の風格。
「ん~。そうなぁ。あ!一応確認。領主様は本物?」
「は!これからグールとなってこの屋敷を徘徊するお前達には要らぬ話だ!
……が、せめてもの手向けに教えてやろう。
キース達一族は我らの養分にすぎぬ。
御方様の信仰も集められぬ無能どもにはその程度の役割がお似合いよ」
そう言いながらクロードは自らの太ももを手刀で切り落とし即座に再生させた足で一歩踏み出す。
「じゃあ、イパって貴族もか?」
「あの者は我らの信奉者にすぎぬ。愚かな人間ではあるが富と地位を持つゆえに役には立つ」
クロードは破れた服を忌々しそうに見つめながら、質問に答える。意外に律儀だな。
「あ~。そう。サトシ。十分じゃない。もう」
そう言うと、サトシは軽く頷きクロードに向けて掌をかざす。
ザシュ!
せっかく切り落としてまで脱出した足と、頭にトゲトゲが発生する。
うわぁ。こんな死に方嫌だなぁ。
一瞬クロードは上体をふらつかせるが、また力強く直立すると手刀で首と足を順に切り落とす。
切り落とされた頭が再生し、その後再生した足で前に歩みを進める。
「貴様ぁ!楽には死なせんぞ!!」
新しく生え変わったクロードの顔が怒りにゆがむ。
ああ、そうか。頭は弱点じゃないのね。
探索で弱点を探る。
はい。案の定心臓だね。
心臓のあたりが赤く光ってる。サトシもそれを見て俺に目配せをした。
「吸血鬼と言えば、って感じですね。じゃあ、これで」
ザシュ!!
サトシがクロードに掌をかざすと、クロードの胸に大ぶりの杭が出現する。背中まで貫通した杭には、持ち手にあたるところに十字架の彫刻が施されていた。
芸が細かいね。
「グハァ!!」
クロードは胸を掻きむしりながら悶え、膝から崩れ落ちる。しばらくは小刻みに震えていたが、動きが止まると頭の先から灰となりさらさらと崩れ落ちて行った。
頭の中で勝利のファンファーレが鳴り響いたところを見ると、倒したんだろう。ちょろいな。
っていうか、サトシ異常じゃない?無敵に近いと思うけど。
まあ、それは置いといて。
「で、エレミヤさん。
ちょっと邪魔が入っちゃいましたけど、話の続きを聞かせてもらっていいですか?」
あまりにあっけなく吸血鬼が倒されたことで、エレミヤは安どのため息を一つ吐くと話をつづける。
「あの吸血鬼をいとも簡単に……ここまでお強いとは思いもよりませんでした。ありがとうございます。これでグールにされた家族も浮かばれるでしょう」
ああ、粉みじんにしちゃった奴かぁ……サトシも微妙な表情になっている。
「さて、どこまでお話ししたでしょうか……、町の人たちに敵視された当たりでしたでしょうか。そう。私が洗脳を解いた人々は失意のどん底に落とされ、私の事を酷く恨み敵視するようになりました。この屋敷を焼き討ちする計画まで立てていたようです」
そこまで恨まれるってのも、よっぽどだな。
「しかし、それを事前に察知した弟は、再度支配の力を使い、町の人々の気持ちを別の仕事に向けたのです。それが町の移転計画でした。弟の機転で私たち家族は襲われることなく過ごすことが出来たのです」
「じゃあ、なんでこんなことに?」
「弟のその行為が、マンティコアの逆鱗に触れたようでした。生贄によって力を取り戻していたマンティコアは、信仰を集めるどころかエンリルに肩入れし反逆した私を助けた弟を許しませんでした。弟に対して監視役として先ほどのクロードを付けたのです。また、エンリルの側についた私への罰として……」
エレミヤはそこで言葉を詰まらせる。
「すいません。あれは娘の誕生日の事でした。屋敷に突然現れたクロードが、躾と称して私の自由を奪いました。食卓に着いたまま動けなくなった私の前で……
妻や、まだ年頃を迎える前の娘までも……凌辱の限りを尽くしたうえで、皆をグールにしたのです。身体の自由を奪われた私にはその様を椅子に座ったままま見ていることしかできませんでした」
エレミヤは涙で言葉を詰まらせる。しばらく黙っていたエレミヤは、大きく深呼吸すると続きを話し始める。
「その後、グールとなった家族を置いて、私だけがこの地下牢に連れてこられました。おそらくここは古代の街が繁栄していた頃の名残なのでしょう。家族のだれもこの地下牢の存在は知りませんでした。ここに吊るされ、クロードの手下に昼夜を問わず拷問を受け続け、自分では死ぬことさえかなわず長い年月が過ぎました。いつのころからか、拷問を受けることもなくなり、ただただここでグールとなった家族の嘆きの声を聴く日々が続いていました。今にして思えば、その時にはもう私は死んでいたのでしょう」
俺はポケットから宝石を取り出す。「王妃の宝石」食堂で拾ったものだ。
「あ、それは。」
「食堂で拾いました。ご家族が身に着けておられたものですか?」
懐かしそうに宝石を眺めていたエレミヤは幸せだったころの思い出に浸っているようだった。
「それは鉱山が軌道に乗り始めて家が豊かになったころ、弟から私に贈られたものです。私も同じものを弟に贈りました。「いつか家族が出来たら、その家族に着けてもらおう」と」
「そうですか……。これと同じものを、今の領主の屋敷で見ました。宝物庫に誇らしげに飾ってありましたよ。」
「……弟も大事に持っていてくれたんですね。
弟は思い立つとすぐ行動に移す性格でしたから、私から見ると危なっかしく感じていました。考え無しに何でも行動するように見えていたんです。ですから、私が弟を止めてやらないと……そう考えていました。でも、弟はしっかりと考えた上で行動していたんです。むしろ、その行動の一面しか見ていなかったのは私の方でした。弟からすると手のかかる兄だったでしょう。
弟が町を移転し屋敷も移すと言った時、私はとうとう見捨てられたんだと思いました。しかし、弟が私を助けるためにそんな大事業を起こしたとクロードに教えられたのです。そして、そのために弟にも相応の罰が与えられたと。無能な自分を悔やみました。さぞ弟は私の事を恨んでいるだろうと。
でも、その宝石を大事に取っていてくれたんですね。もしあの世で弟に合うことが出来たなら、今までの愚行を詫びたいと思います。また二人で楽しく暮らしたい……と」
エレミヤの体はぼんやりと光始め、足の先から光輝く砂になりさらさらと崩れていく。
「家族を開放してくれてありがとうございました。最後に厚かましいお願いで申し訳ありませんが、マンティコアを倒し弟の子孫を解放してあげてください……。屋敷の裏庭にある洞窟が、マンティコアのいる奥の間に繋がっています。どうか、よろしくお願いします」
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