中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ

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サトシの譚

神殿

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 神殿。そう呼ぶにふさわしい荘厳な廊下だった。廊下の幅は8mほど。待っすく奥まで伸びている。両サイドには壁掛けの燭台が並んでいる。ろうそくに火がともっているわけではないが、ぼんやり光っている。おそらく魔法だろう。両側の壁には窓も扉もなく、天井には色鮮やかな絵画が描かれている。神話の一部だろうか。所々はがれているが、建立当時は色鮮やかで煌びやかだったことがうかがえる。
「すげーな。これ。あのジジイが言ってた通りだな。」
「きれいだね。」
「ああ、すごいな。ってことは、やっぱりマンティコアも居るってことですかね?」
「そう言う事だろうな。まあ、入り口に居るのが最強ってことも無いだろう。こっからかなり厳しくなると思うぜ。」
 三人は気持ちを引き締め先へと進む。長い廊下にはトラップの類は無く、突き当たりまで難なく進む。そこには見上げるほどの大きな両開きの扉が鎮座していた。

「中には何が居るのかなっと。『探索(シーク)』」
 魔法陣が扉から中へと入って行く。目の前に無数の光の点が現れる。50は優に超えている。

「サトシ、確認できそうか?」
「やってみます。」

「骸骨騎士(スケルトンナイト) Lv132 HP:115200/115200 ATK:8482 DEF:6379 弱点:火 光」

 ステータスを確認したサトシは、薄ら笑いを浮かべていた。その様子を見てルークスが問いかける。

「なんか、朗報?」

「あはは。いや。Lvって100以上あるんですね。132って。入り口に居た骸骨騎士の上位版って感じです。」
「マジか!?」
「ついでに、HP11万って言ってくれちゃってますよ。これが50体以上……。どうします?」

「どうもこうも。ここまで来て帰れるかよ。結局ここまで何もしてないからな。逃げ回った以外。」
「帰ってもいいんじゃない?」
「アイ!やる気なさすぎるぞ。もっと盛り上がっていこうぜ!」
「ウザイ。」
「えぇ~。アイ。そんな子だっけ?」
「だって、ウザいんだもん。」
「「おう。」」
 二人はアイを悲しげな眼で見つめる。
『助けた頃、こんなだったっけ?』
 サトシは当時を思い出そうとしたが、どうも記憶がつながらない。こんなもんだったと言われれば、そんな気もするし……という程度だった。思い出すのもめんどくさくなり、とりあえず目の前の問題を片付けることにする。

「で、どうしましょうか?」
「サトシ切り替え速いな。」
 ルークスは今一つ切り替え切れていないようだったが、サトシに意見を求める。
「方法ありそうか?」
「俺とアイのライトボールでどのくらいダメージ与えられるかでしょうね。これなら俺もアイも連射できますけど。ただ、入り口の骸骨騎士ですらあまり致命傷クリティカルになってないですからね。ソーラレイどのくらい打てそうです?」
「いや、あれは日中で屋外じゃないと威力が出ないんだよ。夜で、挙句に地下だろ?ほとんど威力は無いな。」
「あれが無しですか。きついっすね。」

 三人はその場で考え込む。
「この扉開けると骸骨騎士は飛び出してくるのかなぁ。」
「どうでしょうね。壁際で整列してる感じですから、中に入ると襲われるタイプだと思うんですけど。」
 やはりサトシはゲーム脳だった。
「ああ、そんな感じな気がするよな。どうする、一回扉開けて、ライトボール乱れ打ってみる?で、危なくなったら扉閉めるみたいな感じで。」
「扉閉めたら襲ってこないってことありますかね?それこそゲーム脳じゃないっすか?」
「まあ、やってみようぜ。危なくなったら、あの穴から鉱山側に逃げよう。」
「ん~。それもそうですね。やってみますか。」

 とりあえず、三人は魔力を動かしながら、一斉射撃の準備をする。
「じゃあ、俺が扉開けるぞ。準備良いか?」
「良いですよ。」
「大丈夫。」

「それじゃ。開けるぞ!」
 ルークスは大扉の取っ手を持ち、力いっぱい手前に引く、両開きの扉はゆっくりと開いてゆく。
 その向こうに広がる大広間には、胡乱な目をした骸骨騎士が壁際に整列している。日中倒した骸骨騎士とは違い、フルプレートを着込み、明らかな強者の風格をまとっていた。

「「いけぇ!!!」」

 ライトボールを乱れ打つ。廊下と大広間は色を失うほどの明るさで、サトシたちにも状況は全くわからなかった。
 最初に魔力が尽きたのはアイだった。
「もう限界。後ろに下がる。」
「ああ、俺の後ろに隠れていて。」
 サトシはアイを庇いながら、ライトボールを打ち続ける。ルークスは、部屋の中に一歩、また一歩と入って行き、中の様子を窺う。

 ガキィン!

 ルークスの頭上に魔法陣と「無効」の文字が現れる。まばゆい光の中から骸骨騎士がルークスめがけて攻撃を仕掛けてきた。

「まずいな。押し込まれる。行動加速ヘイストを頼む!」
「わかりました。行動加速ヘイスト
 サトシがルークスに行動加速ヘイストをかけることで、ルークスの魔法が勢いを増し、にじり寄る骸骨騎士を押し返した。そして、

「一旦閉めるぞ!」

 ルークスは力いっぱい扉を閉める。数匹の骸骨騎士が扉を押し返そうと近寄ってくる。
 その様子にサトシがすかさず
「トルネード!」
 扉を開こうとする骸骨騎士を部屋の中央まで吹き飛ばす。ダメージは与えられなかったが、扉を閉じることはできた。

 扉が閉じるとあたりに静寂が戻る。固唾の飲んで3人は骸骨騎士たちの様子を探るが、どうやらこちらに出てくる気配は無いようだ。

「やっぱり、この部屋の中しか動けないんですかね?」
「そうみたいだな。助かった。あれに囲まれちゃ堪ったモンじゃないぞ。」

「でもどうする?いまのでどのくらいダメージ与えられた?」

 サトシは中の骸骨騎士を確認するが、浮かない顔だった。
「どうだった?」
「2匹ほど、HPが2/3位になってますね。」
「2匹!?あれだけやって?それに与えたダメージ1/3程度か?」
「ですね。これはまずいですね。長期戦ですよ。」

「ダメそうな気がしてきたな。」
 ルークスは天を仰いだ。
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