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サトシの譚

市場調査

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 集落の井戸にポンプを設置し、畑の周りには水路を整備した。おかげで畑を20倍以上の広さにすることが出来きた。それにより集落の畑はヨウトのそばまで広がり、集落はヨウトの一部となる。ヨウトの野菜はウサカで人気となり、農夫募集には多くの応募が来ていた。当初2名の予定だったが、結局20名を採用することとなる。いつの間にやらヨウトの街は活気を取り戻していた。
 また、サトシが修理したオークのクズ武器はウサカで飛ぶように売れた。それに気を良くしたサトシは、創造クリエイションスキルにより装飾にこだわった装備や、特殊なコーティングを施した武器などを製作する。サトシの作品はルイスの店で一番の人気商品となっていた。

 そんな生活を繰り返して半年。サトシたちの財政は随分と潤ってきていた。

「どうする?今日もエンドゥで依頼受けるか?」
「そうですね。また武器拾ってこないと、そろそろ素材がないですしね。」
「えー。アタシは新しいレシピが欲しいからそろそろウサカに行きたい。」
「ウサカか。確かに、最近行ってないな。ルーカスさん、一度ウサカに行ってからエンドゥで依頼探してみましょう。」
「そうだな、二葉亭の飯も久々に食いたい気もするしな。」
「じゃあ、俺はジョイスさんとルイスさんの店にも寄っていきますね。最近ティックに納品まかせっきりなので。」
「そうだな。装備品や道具の流行りも聞いておいた方がいいかもな。」
「それじゃ早速行きますか。ティックたちに伝えてきます。」
 ティックたちに予定を伝えると、三人は転移魔法でウサカへと飛んだ。

 ウサカの街は以前にもまして活気にあふれていた。ジョイスの店は相変わらず盛況のようだった。サトシは店番に挨拶をし、ジョイスに取り次いでもらう。
 店はずいぶん大きくなっており、2階が事務所になっていた。事務員らしき女性に案内され応接室に通された。中には豪奢なソファーやテーブルが並んでおり、三人はソファーに深く腰掛ける。
「こんなソファーもいいな。うちも入れるか?」
「どこに入れるんです?」
「リビングとか。」
「そんなの入れたらリビングが狭くなる。」
 アイは相変わらずルークスに冷たい。そんな会話をしていると、ジョイスが部屋に入ってきた。
「待たせたな。久しぶり!変わりないか?」
「ジョイスさんこんにちは!おかげさまで元気です。どうですか?うちの野菜の売れ具合」
「相変わらず飛ぶように売れるよ。うちの看板商品だよ。これからも頼むぜ!」
「こちらこそよろしくお願いします。で、なにか新しい野菜の注文とかあります?」
「そうさな。その都度ティックに頼んじゃいるから、今のところは大丈夫だな。量の方も安定して入れてもらってるから、この調子で頼むよ。」
「わかりました。今後ともよろしくお願いします。」
「ところで、冒険者始めたって?それもエンドゥで?」
「ええ、なにか?」
「いや、エンドゥ最近寂れてるだろ?まあウルサンも以前ほどの活気は無いらしいけどな。」
「さびれてるんですか?あんまり変わらない気がしますが……」
「お前たちが冒険者になったのって半年ほど前だっけ?」
「そうですね。」
「じゃあ、そのころはもう寂れてたろうな。あそこもともと鉱山の街だからな。鉱山が今使えなくなってるから……」
「何で使えないんですか?」
「あれだ、鉱山から魔獣が出たらしいんだ。奥に魔獣の巣があって、掘り進んでったら繋がっちまったってもっぱらの噂だけどな。」
「へぇ。じゃあギルドに依頼が出てるかもな。討伐依頼かなんか。」
 ルークスの言葉にサトシは疑問を覚える。
「見たことない気がしますけどね。ありましたっけ鉱山での魔獣討伐依頼。」
「さあ。どうだったろうな。俺は装備品がゲットできそうな依頼しか探してなかったからな。読み飛ばしてたのかもしれんな。」
「アイは?」
「どうだろう。あんまり覚えてない。」
 実際アイも冒険者家業には興味が無いようで、依頼についてはあまり注意してみていなかったらしい。
「そうですか。鉱山なら面白いドロップアイテムとかでそうですね。ちょっと探してみます。」
「いや、やめといたほうがいいんじゃないか?噂では結構な魔獣が出るって話だぜ。まあ、俺は人づてに聞いただけだから真偽のほどはよくわからんけどな。あんまり無茶すんなよ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
 そんなやり取りを終えて、ジョイスの店を後にする。

「あったかなぁ?そんな依頼。」
 ルイスの店への道すがら、サトシは一人ごちる。
「まあ、俺も全部の依頼を見てたわけじゃないからな。見落とすこともあるんじゃないか?受付嬢に聞いて見りゃいいだろ。」
「そうですね。」

 ルイスの店は改装工事中だった。入り口には張り紙がある。
『店舗拡張のため改装工事中。下記の場所に販売所を移転しております。御用の方はそちらまでお越しください。ルイス』

「ルイスさんの店も繁盛してるみたいですね。」
「だな。お前さんの作る作品が良い値で売れてるんじゃないか?」
「だといいですね。」

 店から2軒ほど先の地図に示された場所へ行くと、数人の客が店番と商談をしていた。
「あの。ルイスさんいます?」
「ああ、サトシさんですね。少々お待ちください。今店主を呼んでまいりますので。」
 店番の一人が表通りに駆けてゆく。しばらく待つと息を切らせながら帰ってきた。

「店主は大工と打ち合わせ中ですので、そちらにお越しいただけますか?」
 どうやら改装中の店の中に居たらしい。
「こんにちはルイスさん。」
「おう。久しぶりだな。」
 ルイスは大工と打ち合わせをしている最中だったようだ。大工に指示する手を止めてサトシの方に向き直る。
「どうです?売れ行きは。」
「どうもこうも、おかげで店を拡張できるようになったよ。サトシのおかげだよ。」
「そう言っていただくとありがたいです。で、最近の売れ筋みたいなものを教えてもらえるとありがたいんですが。」
「ああ、そうだな。こっちも助かるよ。ちょっと工房の方へ行こうか。」
 ルイスはそう言うと、大工に一言二言指示を与えて工房へと向かう。
 
「お貴族様の依頼も結構あるが、冒険者用とか職人用の道具を増やしたいんだよ。」
「ちょっと手ごろな商品ってことですか?」
「そうそう、仕入れ値で言うと10~20リルくらいの奴だな。お前さんから買ってる商品は安くても100リルを下らないからな。だいたい豪商用か、お貴族様向けだ。」
「安めの道具の方が儲かるんですか?」
「いや、逆だな。どっちかって言うと儲かるのは金持ち相手の商売だ。でもな。いつもいつも金持ちが買ってくれるとは限らんからな。金持ちとの商売は売れればデカいが、次の依頼が来るまでの期間が読めないからよ。できる限り手ごろな商品も増やしておきたいんだ。」
「なるほど。じゃあ、小さい道具類とかの方がいいですか?」
「そうさなぁ。投擲武器とか有るといいな。矢とか小刀なんかはある意味消耗品だからな。定期的に売れる。」
「あー。確かに。わかりました。なんか考えてみます。」
「おお、そのあたりの物を作ってもらえると助かるよ。新しいものが出来たらまた見せてくれ。」

 ルイスの店を出てからサトシは腕を組み黙って歩いていた。
「どうした?なんかあったか?」
 ルークスはサトシに尋ねる。
「いや、作るなら何がいいかなぁと思いまして。」
「投擲武器の事か?」
「そうです。手裏剣とかクナイとかボウガンの矢とか、たぶん出来るとは思うんですが、大量生産するのめんどくさいなぁと。」
「製造機を作るとか?」
「それこそ電力要りますよね。まあ、電力じゃなくても動力は必要かと。」
「そうだなぁ。じゃあ、まず発電設備か?」
「それも考えたんですけどね。動力何にします?」
「ん~。水力、火力あたりか。火力も石油がないしなぁ。お前油出せる?」
「油は出せるとは思いますけど……ずっと俺の体から出る油を集めて……って。ガマガエルじゃないんだから。」
「まあ、そうだよな。現実的じゃないな。じゃあ、水力か。火力だとしても薪とかか。」
「たしかコークスは手に入ると思うんですよ。鍛冶屋で見たんで。」
「コークスか。そのあたりで発電するとなると、蒸気機関かなぁ。」
「ああ、蒸気機関ですか。それなら作れそうな気がしますね。でも大掛かりになりますね。」
「そうだなぁ。ちょっと腰を据えて作らないとな。」

 そんな話をしながら二葉亭に到着した。

「よ!久しぶりだな。」
 店には居るとマスターが気さくに声をかけてきた。
「こんにちは!」
 アイが愛想よく挨拶する。
「アイちゃん久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「うん。また料理のレシピ教えてもらいたいなぁと思って。」
 アイは直球勝負だ。レシピを盗む気満々である。
「アイちゃんにはかなわないなぁ。仕方ない。俺の秘伝の料理を教えちゃおう!」
「マスター。ありがとう!」
 アイはサトシやルークスに見せたことの無い笑顔で答える。サトシとルークスは呆気に取られてそのやり取りを眺めていた。

 三人は二葉亭の料理に舌鼓を打ちつつ、今後の予定について話し合う。とは言っても、アイはマスターから教えてもらったレシピに夢中で上の空だったが。
「で、これからどうする?」
「まずはエンドゥで依頼を漁りましょうか。鉱山の依頼が気になりますしね。」
「確かにな。でも、装備品収集は大丈夫か?ルイスの店に卸すには、細々したもの拾った方がいいんじゃないか?」
「でも、投擲武器となると、人間相手じゃないですか?たぶん依頼で回収できるようなもの少なそうですけどね。」
「そういえばそうか。じゃあ、鉱山の依頼受けてみるか?」
「そうしましょうか。鉱山の中にいろんな道具落ちてるかもしれませんし。」
「だな。」
 話がまとまりかけたところで、アイが口を挟む。
「ミートチョッパーが欲しい。」
「なんだ?急に。」
「ハンバーグが作りたい。ミンチ肉をいちいち包丁で作りたくない。」
 急に駄々っ子のようにアイが要求し始める。
「ミートチョッパーって、どこかに売ってたっけ?」
 サトシがアイに尋ねる。
「ルイスさんの店に置いてあったよ。売り場の方に。」
 どうやら移設中のルイスの店に置いてあったミートチョッパーが気になっていたらしい。
「そうか。ハンバーグが食えるのか。じゃあ、買いに行くか!」
 サトシもハンバーグと聞いてノリノリだった。もう一度ルイスの店に行きミートチョッパーを買うことにする。

 二葉亭を後にして、ルイスの店への道すがら
「ハンバーグか。コメが欲しくなるな……」
 ルークスの呟きに、サトシの動きが止まる。
「米……。」
「どうしたの?行かないの、ルイスさんの店!」
 アイは動きのとまったサトシの腕をつかむと引っ張り始める。

「ああ、ごめん。つい。」
 サトシの頭の中は米の事でいっぱいだった。
『ああ、米食いたい。』

 サトシはアイに手を引かれながら力なく往来を進む。

「なあ、サトシ。お前米出せないの?」
「!」
 ルークスの言葉に、サトシはハッと我に返り、アイに引かれていない手で米を作ってみる。手から湧き出る生米。わずかな量であったが、確かに作ることが出来た。

「イケるかもしれません!」
「でかした!」
 サトシとルークスはご満悦だ。アイに手を引かれながらにやにやと往来を進む姿は不審者が警察に連行される姿そのものだったが、サトシもルークスも気にしない。
 ルイスの店でミートチョッパーを購入し、そそくさと転移でヨウトに戻った。

 家に戻ると、アイは早速ミートチョッパーを大事そうに抱えながら台所に向かう。どうやら晩飯の仕込みを始めるようだ。サトシも台所へ向かい、手ごろなボールを手に取るとリビングへと戻ってくる。手からどんどん米を創造し、ボールに移してゆく。その様をルークスと二人でにやにやと眺めていた。
「これはイケそうですね。」
「ああ、期待が膨らむな。」
「とりあえず、炊飯は鍋で試しますか。」
「そうだな。」
「で、これは無洗米か?」
「そのつもりで出しました。」
「じゃあ、さっそく。」
 二人は台所に行き、今作った米を鍋で焚く。しばらくすると米が炊ける甘い香りが漂ってきた。頃合いを見計らって火から下ろし米を蒸らす。

「そろそろ良いかな。」
「よさそうだな。」
「じゃ、開けますよ。」
 二人は固唾をのんで、鍋の蓋を開ける。
 モワッ!と白い煙が立ち上る。甘い香りに自然と顔がほころぶ。

「ちょっとつまんでみますか。」
「ああ、おれも。」
「いや、おれが、」

 二人は争うように鍋の米をつまんで口に頬張る。

「「あぁ~」」
 二人は恍惚とした表情でその場にへたり込む。
「うまい。」
「うまいですね。」
 その様子を見ていたアイが、甘い香りに誘われて寄ってくる。
「良い匂いね。何してるの?さっきから。」
 鍋にある米をスプーンですくうと口に運ぶ。

「あんまり味しないね。」
 その言葉に、サトシとルークスは優越感に浸った表情で答える。
「わかってないなぁ。これが良いんだよ。」
「ですよね。味の濃いものと一緒に食べたときに真価を発揮するんだよ。」
「なんかムカつく。その表情。」
 アイは二人を置いて、自分の作業に戻る。

「サトシ、種もみ作れないか?」
「栽培しますか!」
「ああ、やってみる価値はあると思うぞ。」
「わかりました。やりましょう。」
 二人は固い握手を交わすと、米栽培へ期待に胸を躍らせ準備に取り掛かった。
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