1 / 2
僕らは暗躍する
しおりを挟む
ワイワイガヤガヤ
今日も朝から賑やかで、平和な教室の光景を眺めながら私は一人、隅の自席で読書に励んでいた。
今日は新しい担任の先生が来るらしい。
前任の私たちのクラスの先生は女性で、理由は不明だが急遽辞任することになったらしい。
とても私たちに親身に寄り添ってくれる良い先生だったから少し寂しい。
開いた窓からは潮の匂いを帯びた風が流れてくる。
海の見えるこの高校は、どうやら昔は『悲劇の世界』の中心地施設だったらしい。
昔と言っても、今から20年ほど前の話だ。
いや、30年ほど前から20年前まで、の言い方が正しいか。
30年前、世界は悲劇に堕ちた。
多くの人々が、不幸の事故によって命を落とした。
そう、何故か、みんな、たまたま足を滑らせて落下して死んだり、たまたま上から物が落ちてきてそれに当たって死んだり、そんなたまたまが続けざまに多くの人々に襲いかかったのだ。
殺人でも無い。自然災害でも無い。
不慮の事故。
それが原因で、私たちが生まれる少し前までは世界の総人口は78億もいたらしい。とてもじゃないけど、信じられない。
だって、今のこの世界の総人口は、1億にも満たないんだから。
ガラガラガラ
朝のホームルーム開始時刻5分前。
教室の前方の扉が音をたてて開いた。
そこから姿を現したのは、一人の無精髭を生やした中年男性。
間違いなく、私の嫌いな人トップ1位に入りそうな見た目だ。
小汚い。臭そう。だらしない。の三拍子である。
「えー、今からー、ロングホームルームをー、始める」
ロングホームルーム?朝はショートホームルームのはずじゃないの?
スケジュールすら把握してないなんて、この先が思いやられる。
「えー、起立。気をつけー、礼」
パァン!!!!!!!!!!!!!!
きっと私以外のクラスメイトも同じような感想を抱いてるんじゃないか。
みんなが早くもその男性に疑惑の目を向けながら起立して、頭を下げて挨拶をした時。
具体的には、頭を下げてその男性から目を離したほんの一瞬のうちに。
その軽快な音は響いた。
え?
頭を上げると、私の目に映る光景には………
グラ、グラグラ、バタン。
頭部が無く、無理やりにちぎられた首からは血がブシュブシュっと噴き出して、周りを赤く染めている一人の男子だったものの首なし死体が、倒れた。
え、え?
何が起きたのか。いったい、今、な、何が起きたのか。
「えー、これからー、世界の真実をー。あの頃のー、悲劇をー、教えます。今から世界はー、悲劇に堕ちます。よってー、君らにはー、…………暗躍をしてもらう」
男性は、そこから語り出した。
20年前のことを。
『世界の悲劇』とは何なのかを。
私たちは、急にクラスメイトの一人が無惨な死に方をして、なおかつそれを目の前の男性が、その手に持つショットガンで殺ったことは明白で。
私たちは恐怖で、黙って聞くことしか出来ないのだった。
彼の唐突な一人語りは、この一言から始まった。
「えー、まずはー、何から話そうか。そう、そうだ。あれだ。まずは僕らのこと。あと、僕らが集められた『悲劇の世界』の中心地のこと。それから、そこで何があったのか。どのように終わったのか。そう、あの日。僕らは一つの目的で集まったんだ。
――――――僕らは暗躍する
という一つの共通目的で、集まったんだ」
今日も朝から賑やかで、平和な教室の光景を眺めながら私は一人、隅の自席で読書に励んでいた。
今日は新しい担任の先生が来るらしい。
前任の私たちのクラスの先生は女性で、理由は不明だが急遽辞任することになったらしい。
とても私たちに親身に寄り添ってくれる良い先生だったから少し寂しい。
開いた窓からは潮の匂いを帯びた風が流れてくる。
海の見えるこの高校は、どうやら昔は『悲劇の世界』の中心地施設だったらしい。
昔と言っても、今から20年ほど前の話だ。
いや、30年ほど前から20年前まで、の言い方が正しいか。
30年前、世界は悲劇に堕ちた。
多くの人々が、不幸の事故によって命を落とした。
そう、何故か、みんな、たまたま足を滑らせて落下して死んだり、たまたま上から物が落ちてきてそれに当たって死んだり、そんなたまたまが続けざまに多くの人々に襲いかかったのだ。
殺人でも無い。自然災害でも無い。
不慮の事故。
それが原因で、私たちが生まれる少し前までは世界の総人口は78億もいたらしい。とてもじゃないけど、信じられない。
だって、今のこの世界の総人口は、1億にも満たないんだから。
ガラガラガラ
朝のホームルーム開始時刻5分前。
教室の前方の扉が音をたてて開いた。
そこから姿を現したのは、一人の無精髭を生やした中年男性。
間違いなく、私の嫌いな人トップ1位に入りそうな見た目だ。
小汚い。臭そう。だらしない。の三拍子である。
「えー、今からー、ロングホームルームをー、始める」
ロングホームルーム?朝はショートホームルームのはずじゃないの?
スケジュールすら把握してないなんて、この先が思いやられる。
「えー、起立。気をつけー、礼」
パァン!!!!!!!!!!!!!!
きっと私以外のクラスメイトも同じような感想を抱いてるんじゃないか。
みんなが早くもその男性に疑惑の目を向けながら起立して、頭を下げて挨拶をした時。
具体的には、頭を下げてその男性から目を離したほんの一瞬のうちに。
その軽快な音は響いた。
え?
頭を上げると、私の目に映る光景には………
グラ、グラグラ、バタン。
頭部が無く、無理やりにちぎられた首からは血がブシュブシュっと噴き出して、周りを赤く染めている一人の男子だったものの首なし死体が、倒れた。
え、え?
何が起きたのか。いったい、今、な、何が起きたのか。
「えー、これからー、世界の真実をー。あの頃のー、悲劇をー、教えます。今から世界はー、悲劇に堕ちます。よってー、君らにはー、…………暗躍をしてもらう」
男性は、そこから語り出した。
20年前のことを。
『世界の悲劇』とは何なのかを。
私たちは、急にクラスメイトの一人が無惨な死に方をして、なおかつそれを目の前の男性が、その手に持つショットガンで殺ったことは明白で。
私たちは恐怖で、黙って聞くことしか出来ないのだった。
彼の唐突な一人語りは、この一言から始まった。
「えー、まずはー、何から話そうか。そう、そうだ。あれだ。まずは僕らのこと。あと、僕らが集められた『悲劇の世界』の中心地のこと。それから、そこで何があったのか。どのように終わったのか。そう、あの日。僕らは一つの目的で集まったんだ。
――――――僕らは暗躍する
という一つの共通目的で、集まったんだ」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したところで
緑窓六角祭
ファンタジー
普通の男子高校生である篠崎陽平はどうやらクラスごと異世界に転移したらしいのだが、よくわからないので、友人の栗木と佐原と3人で手探りで地味にやってくことにした。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
※カクヨム・アルファポリス重複投稿

不遇弓使いの英雄譚ー無敵スキル『絶対反転』を得て救世主となる
たからかた
ファンタジー
弓使いの青年アーチロビンの絶望からの逆転と無双、そして純情可憐な美少女との初恋物語!
弓使いアーチロビンは、勇者ネプォンの雑用係として、日々酷使されていた。ある日、見栄っ張りのネプォンの提案で、この世で最強の大帝神龍王に挑むが、太刀打ちできずに全滅の危機に晒される。危機を乗り切るために、生贄にされてしまうアーチロビン。死を覚悟した彼だったが、大帝神龍王に気に入られ、逆に人智を超えた最強の力を与えられてしまう。
それから半年ー魔族の出現は未だに続いていた。苦しむ人々のために、人知れず魔族と闘い続けるアーチロビン。
勇者ネプォンによって、魔王は倒されたのに、何故魔族は出現するのか? 人々の疑いは高まり、やがて自ら収拾に動かざるを得なくなるネプォン。生来の傲慢さと怠惰な気質が、彼を破滅へと追い込むとも知らず…。
そして、そんな勇者とは逆に、否が応でも広まっていくアーチロビンの名声。
魔王は天に選ばれた英雄しか倒せない───そんな絶対法則が存在する世界で、最強の弓使いが立ち上がる。
狐族の白狐の美少女フィオとの初々しい恋愛も織り交ぜながら、謙虚で無欲な青年が英雄と呼ばれるまでを描きます!
※小説家になろうにも投稿したものです。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

成長チートと全能神
ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。
戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!!
____________________________
質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる