追放からはじまる異世界終末キャンプライフ

第一章

閑話 異世界野菜の話

　ある日、ぼくたちは道中で、珍しい野菜を見つけた。
　それは「ルブリジェム」と呼ばれる異世界の野菜で、見た目は青々とした丸い実がたくさんついたブドウのようだったが、触ると柔らかくてプニプニとした食感があった。
　ステータスによれば、この野菜は独特の栄養価があり、様々な料理に使われるという。そこで、ぼくたちはアリシアの家でその「ルブリジェム」を使った料理を挑戦することにした。

　アリシアの家に到着すると、まずリリアがルブリジェムを使った料理の準備を始めた。彼女はまず、ルブリジェムの実を一つ一つ手で摘み、ざるに移して洗った。その後、実を半分に切り、中にある種を取り除いた。さらに、アルフがその種を焙煎し、香ばしい風味を引き出すことに成功した。今後お茶にしてみるらしい。フェンはその様子を興味深そうに見つめていた。

　リリアはルブリジェムを使って、煮込み料理をつくってみるそうだ。彼女がぼくたちが途中で獲得した肉や他の野菜を一緒に煮込み、アルフが途中で赤くて大きな「ファイアペッパー」という唐辛子のような野菜を加えた。辛みを加えたいようだ。その後、ルブリジェムを加えて、弱火でじっくりと煮込んでいった。

　ぼくは他の野菜もつかって一品つくろうと思い、「ジューシーグリーン」という青々とした野菜を切り始めた。こちらはどうやらこの世界でとても珍しいとされる野菜で、高い栄養価があるらしい。シンプルにオイルドレッシングをかけてジューシーグリーンサラダが完成だ。

　アリシアはぼくたちの料理の手伝いを提案してくれたが、彼女もなにかつくってくれるそうなので、そちらを任せることにした。

　煮込み料理が完成すると、ぼくたちは皆でテーブルに着き、見るからにおいしそうな食事を楽しみはじめた。ジューシーグリーンは歯ごたえが良く、シャキシャキとした食感が楽しめた。ルブリジェムの煮込み料理は、一口目を食べると、ルブリジェムの甘みとほろ苦さが口いっぱいに広がり、他の野菜や肉とも絶妙に絡み合っていた。ファイアペッパーは確かに辛かったが、辛さが後からじわじわと来る感じで、程よい刺激があってルブリジェムの食感も楽しくて、美味しかった。特にフェンは、ルブリジェムが大変気に入ったようで、彼のおかわりの分までペロリと平らげてしまった。

　その後、アリシアがルブリジェムのデザートも作ってくれた。彼女はルブリジェムをハチミツに漬け込んで、氷魔法で冷やしてから皆に出してくれた。口に入れると、甘いハチミツとルブリジェムのほろ苦さが見事にマッチし、全員がおいしさに驚いた。

　異世界の野菜もおいしいなぁ。