追放からはじまる異世界終末キャンプライフ

ネオノート

文字の大きさ
上 下
8 / 39
第一章

第八話 歓待の宴と新しい仲間

しおりを挟む
 夜の帳が下り、焚き火が暖かく照らす中、イツキはグリズリオンの肉を調理し、リリアとフェンと一緒に食事を楽しんでいた。グリズリオンの肉は、じっくりと炭火で焼き上げることで、独特の香ばしさと柔らかさを引き出していた。

リリアは美味しそうに肉を口に運びながら、今日の出来事について話し始めた。

「実は私、森の中で友達と遊んでいたんです。そんな時に、いきなりグリズリオンに襲われてしまって」

 リリアは顔を曇らせ、思い出したように震えた。

「私たちは必死で逃げましたが、途中で友達とはぐれてしまって……それからは、ただひたすらに逃げ続けたんです。」

「でも、よく逃げ切れたね。グリズリオンは強力なモンスターだから、無事でいられて良かった」

「本当にありがとうございます。イツキさんが助けてくれなかったら、私はもう……」

「リリア、君が住んでいる村に戻って、友達や家族に無事だって知らせよう。きっと皆心配してるだろうから」

リリアはぼくの言葉に笑顔を見せた。

「ありがとうございます、イツキさん。それに、イツキさんとフェンさんも村のみんなに紹介したいです」

 リリアの村はグリズリオンが出現した場所からほど近い、湖の近くにあった。村に到着すると、リリアは村のリーダーであるオルドールのもとへと向かった。

「彼はイツキさんです。私をグリズリオンから救ってくれました。彼のおかげで、無事に帰ることができたんです。と、ところで一緒にいた……」
「あぁ、ローザは無事だよ。リリアのことをひどく心配していた。すぐに行ってあげるといい」
「よ、よかったぁ~」

 リリアは一緒にいた友達の安全を確認できて心底ほっとした表情をしている。

 オルドールの白髪は丁寧に整えられ、まるで熟練の英国紳士のような雰囲気をただよわせるオルドールは、エルフの中では年長者であるようで、人間だと60歳以上には見える(エルフの寿命を考えると、おそらくそれよりはるかに年を取っているのだろうが)。
 オルドールは、イツキをじっくりと見つめた後、笑顔で手を差し伸べた。

「そうか、リリアを助けてくれたんだね。感謝してもしきれないよ。私たちの村にようこそ、イツキさん」

イツキも微笑んでオルドールの手を握り、お互いに礼を交わした。

「こちらこそ、リリアさんの案内で、無事にここまで来ることができました。どうぞ、よろしくお願いします」

 村の皆はイツキたちを温かく迎え入れ、その日の夜には歓迎の宴会が開かれた。村人たちが持ち寄った料理が並び、笑い声や賑やかな会話が響く中、イツキ、リリア、そしてフェンは楽しい時間を過ごした。

 宴会の最中、リリアは思い切ってイツキに提案をした。

「イツキさん、もしよければ、私も一緒に旅に連れていってもらえませんか?」

 イツキは少し驚いた様子でリリアを見つめたが、すぐに笑顔で答えた。

「もちろん、それはとても光栄だ。これからも一緒に冒険ができるなら、喜んで!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

【完結】ゲーム転生、死んだ彼女がそこにいた〜死亡フラグから救えるのは俺しかいない〜

たけのこ
ファンタジー
恋人だったミナエが死んでしまった。葬式から部屋に戻ると、俺はすぐにシミュレーションRPG「ハッピーロード」の電源を入れた。このゲーム、なぜかヒロインのローラ姫が絶対に死ぬストーリーになっている。世界中のゲーマーがローラ姫の死なない道を見つけようとしているが、未だそれを達成したものはいない。そんなゲームに、気がつけば俺は転生していた。しかも、生まれ変わった俺の姿は、盗賊団の下っ端ゴブリンだった。俺は、ゲームの運命に抗いながら、なんとかこの世界で生き延び、死の運命にあるローラ姫を救おうとする。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

出来損ない王女(5歳)が、問題児部隊の隊長に就任しました

瑠美るみ子
ファンタジー
魔法至上主義のグラスター王国にて。 レクティタは王族にも関わらず魔力が無かったため、実の父である国王から虐げられていた。 そんな中、彼女は国境の王国魔法軍第七特殊部隊の隊長に任命される。 そこは、実力はあるものの、異教徒や平民の魔法使いばかり集まった部隊で、最近巷で有名になっている集団であった。 王国魔法のみが正当な魔法と信じる国王は、国民から英雄視される第七部隊が目障りだった。そのため、褒美としてレクティタを隊長に就任させ、彼女を生贄に部隊を潰そうとした……のだが。 「隊長~勉強頑張っているか~?」 「ひひひ……差し入れのお菓子です」 「あ、クッキー!!」 「この時間にお菓子をあげると夕飯が入らなくなるからやめなさいといつも言っているでしょう! 隊長もこっそり食べない! せめて一枚だけにしないさい!」 第七部隊の面々は、国王の思惑とは反対に、レクティタと交流していきどんどん仲良くなっていく。 そして、レクティタ自身もまた、変人だが魔法使いのエリートである彼らに囲まれて、英才教育を受けていくうちに己の才能を開花していく。 ほのぼのとコメディ七割、戦闘とシリアス三割ぐらいの、第七部隊の日常物語。 *小説家になろう・カクヨム様にても掲載しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...