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仲間回収編

創世記

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ーーー創世記ーーー

この世界の名は、『エリュシオン』という。
これは何処かの世界の『死後の世界』の名と同じである。
特に意味は無い、意図は無い、他意は無い。

ただ、遠い昔、創造主がこの世界を『知った』時、この名がいいだろうと、意味なく付けた。

これから話すのは、世界製造に至った経緯、全ての真相、神の過ち...否、『罪』である。



この世界は『始まり』が無い、故に『終わり』が無い。

否、『始まり』が決まっていないだけである。

何をもって『始まり』とするか、それは世界によって違う、この世界は幾何億の世界の一つ、最も古く、見つけられなかった世界、この世界にとっての始まりは、『知覚される』事であった。

この世界を『知覚した』者は神と呼ばれた。

神とは、概念が産まれる度に創られる者の事を呼ぶ。
神は自分が創られる元となった概念が消えると、自らも消える。

この世界『エリュシオン』を知覚した神の概念は『無』という者であった。

『音』『闇』『光』『命』『死』『欲』『福』と言った概念の神は消えない、永遠に『存在』するのである。

『無』もまた、永遠に『存在』する者の一つである。

しかし、それら『永遠の者とわのもの』は『世界』と言う概念が産まれた時から存在する訳では無い。

しっかりとした『理由』があって初めて創られる。

誰に、どうやって、何故『創られる』のか、大体の神はこう答える。


『娯楽の為』と、『娯楽の為』に『創る』概念の神が創り出すと。

話を戻そう…

『無』は、この世界の目の前に創られた。

そして『無』が創られて初めて見た物は『世界』であった。

『無』は世界を見て、創られてから初めての言葉に、最も相応しい言葉を発した。

『美しい』と

世界はその言葉を受け、『始まり』を開始した。

世界はまず始めに『地』を創った。

丸く、何よりも大きい『地』を創り出した世界は、残りを『無』に託し、自らは『地』に宿った。

『無』は世界に託された『創造』を使い、『天界』と『死界』を創り出した。

世界に『創造』を返した『無』は、自らの力で知的生命体を作る事に至り、『天使』を創り出した。

『無』は天使に言った、

『この世界を創り出したのは私だ』と、天使は『無』の事を『創造主』と呼び、信仰した。

約400年経ち、無は思った、


つまらない


そこで無は『心』を持った『自律型知的生命体』を創り出した。

自律型知的生命体は全部で7体、それぞれが天使の中でも随一の力があった。

無はそれぞれに『存在名』を与え、自分の腹心になる事を命じた。

しかし、7体に『存在名』を与えた事が、無にとっての最初で最後の誤ちだった。

『存在名』を与え、200年が経った頃、7体に個性が現れた。
『怠惰』『憤怒』『暴食』『色欲』『嫉妬』『傲慢』『貪欲』

どれもが『負の感情』と呼ばれるものである事を知った神は悲しみ、『死界』に7体を閉じ込めた。

閉じ込める時、7体は言った。

『創造主は怠惰ですね、ご自分が招いた事なのにご自分で解決しようとせず、勝手に更生しろとは...私以上の怠惰ですよ』

『クソッ!神の癖に押し付けてんじゃねぇ!万能なんだろう!?俺達より上なんだろう!?』

『うーん...創造主は器が小さいね…そんな器じゃ、掬えるものも掬えないよ?』

『神様は~煩悩がないのかしら~?誰しも己に秘めたるものがあるってことを見抜かないとダメだと思うわよ~?』

『神だ、創造主だ、それがどうした?それが従う理由にはならないよ?でも、でもでもでもでも、羨ましい、妬ましい、神に産まれればこんな事も無かったの?』

『ちっ...せっかく天界を頂こうと思ってたのに...まあいい、どうせ全て俺の物になるのだからな…だが神よ、『負の感情が芽生えた』からって捨てるのは『傲慢』だと思うぜ?』

『はぁ...神さん、全ての生きとし生けるものが『正しい』と思うのは自由ですが、『正しさ』を俺達に強要するのは筋違いだと思いますよ?全てを自分の思い通りに動かそうとするのは、それこそ『貪欲』だと思ます』

7体の言った事は正しい、それは分かっている。だが何故だ、何故こんなにも私は『憤怒』している?

神は怒り、天使すべてに『悪魔討伐』を言い渡した。

が、悪魔は元天使最強の存在、故に誰も勝つ事が叶わなかった。

そこで神は『天使』とも『悪魔』とも違う種族を創った。

それが『最高の種族』である。

神は始めに、肉体構造を戦闘に特化させるため、近接戦闘が得意な種族を創り出した。その名は『獣人種ビーストレース』。

次に神は魔法による遠距離戦闘や鍛治、水中戦闘を可能にする為に、『亜人種ジョイン』を創り出した。

次に神はあらゆる行動を封じられた時の為に、自然の力を借りれる『精霊種スピリット』を創り出した。

次に神は、『悪魔』を倒す為の最良の手段を探すため、『悪魔種デーモン』を創り出したが、誤って『魔物種モンスター』も作り出してしまう。

次に神はどういう経緯で天使が悪魔になったのかを詳しく調べるため、少数の天使を堕とした。しかし、聖の力が強い天使には、完全には堕ちず、『天翼種アレーション』となり、堕ちたものは『悪魔種』か、『魔物種』となった。

更に神は、全ての種族と共通点があり、最弱であり、何でもできる、『可能性の種族』である『人類種アベレージ』を創り出した。

神は『最高の種族』が討伐に失敗した時用に、準最強の種族『龍種ドラゴン』を創り出した。が、龍種は自我が発達するのが遅く、一匹を残して魔物種となってしまった。その1匹こそが、始祖龍と呼ばれる龍である。

神は始祖龍を憐れみ、人間と混じわる事を命じた。
そこで産まれたのが、『龍人種ドラゴニュート』である。

神はこの9種族の最大の特徴を活かした個体を、『変異種ストロングス』と呼んだ。

しかし神は、『最高の種族』が相手側に引き込まれた時、止める手段が無いことに思い至った。

そこで考え付いたのが、『傀儡種マリオネット』である。

神は『傀儡種』を使い、『最高の種族』のあらゆる行動を監視でき、操る事が可能となった。



神は『十一種族イレブンレイス』の特徴や特性、スキルや魔法、更には知識をも全て兼ね備えている者を1体創り出した。

その者は自らの事を『スザク・トオヨミ』と呼び、彼は仲間を欲した。

総勢200体の『最高の種族』、もといスザク率いる『妖狐族』が完成した。
















神は仰った『この世界を創り出したとは私だ』と

神は仰った『お前達十一種族は試作品に過ぎない』と

そしてもう一言、スザク以外誰も知らない言葉がある。


















『完全に完成されたものは無い、試作品として完成している『十一種族』は生き物としてはまだ完成していない、スザクよ、お主は『最高の種族の長』だが、ただ『最高』と言うだけで、まだ完成していない、成長という贈り物しか出来ないが…許してくれ...』

これが、最初で最後の『神』の弱音であった。









この世界には始まりが無い、故に終わりも無い。
しかしそれは、始まりという概念、終わりという概念が無ければ無いも有るも意味を成さない。

しかし、もし始まりが意味を成し、終わりが意味を成したら、それは...





















ある種の始まりなのかもしれない
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