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第2巻 新革党の選挙戦

そして投票日

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 巨大な政権政党。それにぶつかる新進気鋭な小政党。まったくわけがわからず田舎者に担ぎ上げられた者、それぞれの思惑がぶつかる激しい選挙戦であった。その結果、候補者達は有権者からいかなる評価を得たのであろうか。
 今日は投票日。選挙運動が許されるのは前日までなので前日までの喧騒が嘘のように静まり返っている。そんな中、古味は自らも投票すべく投票所へ向かった。茨城県への選挙区替えは選挙直前に決まったことなので、今回俺は自分に投票することはできない。住民票がある千葉県の選挙区に新革党からは立候補していないので、なんとなく野党の女性の候補者に投票しようと思う。

 思えば学生時代は余り選挙には行っていなかった。ニートやフリーターを経て、営業の仕事をするようになってから、客と世間話などをするうちに商店の店主などは政治の結果に関心が高いことがわかってきた感じだ。実際、市会議員に立候補した客もいたぐらいだ。地元商店での繋がりは市会議員ぐらいの選挙なら有利に働くのだろう。
 そうこう考えているうちに投票所に着いた。投票所にはまばらだが途切れず人が来ており、列ができていたので俺も列に並んだ。こうして一緒に並んでいる人たちはどういった職業についている人たちなのだろう。
 投票を終えて外にでると呼び止められた。どうやら出口調査に来ている人だ。
「差支えないようであればアンケートに答えていただけますか?」
 俺が古味良一とは気づいていないようだ。というより古味良一を知らないかもしれないが。
「いいですよ」
 人によってはこういった質問を嫌がるかもしれないが、俺は国会議員なのでもちろん嫌がらない。
「支持政党はどこでしょうか?」
「新革党です」
「えっ?新革党?」
 意外そうな顔をしている。
「年齢層を教えていただけますでしょうか?」
 30代と答える。
「よろしければどの候補者に投票したか教えていただけますでしょうか?」
 俺は正直に投票した人の名前を答えた。
 開票速報が始まる瞬間に当確がはっきりする人がいるのはこうした地道な出口調査の結果なのだろう。俺の選挙区でも同じような調査が行われているのだろうか。だとすれば、俺も自分の選挙区の出口調査を一緒にしてみたい気分だ。そんなくだらないことを考えて投票所を出た足で、そのまま自分の選挙事務所に帰った。
 
 選挙事務所に帰ると、大型テレビの前にパイプ椅子が並べられていた。もともと大勢の支援者がいるわけではないが、開票速報が始まったら何人かは来る予定らしい。
「古味さん。終盤の追い上げの手ごたえありましたから、楽しみに結果を待ちましょう」
 目白さんの言葉に俺は黙ってうなずく。
 当選したらダルマに目を入れるのか。その時、テレビカメラは待った方がいいのかな。など余計なことをいろいろ考えながら、20時の開票速報を待つことにした。
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