23 / 120
学院編
13 炎竜王は誰だ
しおりを挟む
決闘で勝ったアサヒは、学院に入学して数日だというのに「卒業」を言い渡され、学院の外で竜で運搬を請け負う仕事を手伝うことになった。
なぜか連帯責任だか何だかでカズオミも一緒にだ。
「ごめんな、カズオミ。結局お前まで巻き込んで」
「いいよ、気にしないで」
「カズオミ……お前って良い奴だな」
アサヒは感動した。
そうこうしている内に一等級の女子生徒ユエリが現れて、一緒に麓の村アルザスまで行くことになった。
アサヒ達の仕事は、アルザスの村から新鮮な野菜や魚を王都アケボノまで運んでくることらしい。
三等級出身の竜騎士の先輩と一緒に、アサヒ達は移動することになった。
移動は竜に乗って空を飛ぶ。
ここには先輩の竜と、アサヒとカズオミの竜がいる訳だが、バラバラに竜に騎乗すると説明が面倒になるということで、カズオミの竜に皆で乗ることになった。
普段は羽が生えたイグアナのような姿でカズオミの肩に乗っている竜のゲルドだが、竜の姿に戻るとかなり巨大だ。
ゲルドは、エメラルドグリーンの鱗に透明な薄くて平べったい四枚羽を持った、変わった姿の竜だった。蜥蜴よりも昆虫、バッタの雰囲気がある。
「僕の竜は土属性なんだ」
火竜より機動力がなく、のそのそ移動して平らな羽で滑空するゲルド。カズオミによると、竜の中では戦闘に向いていない種類なのだそうだ。
竜の翼を持ってしても目的地の村までは二時間は掛かるらしい。
同乗の先輩竜騎士から軽く説明を受けた後は、何もすることが無くなってしまった。
暇を持て余したアサヒ達は世間話を始めた。
「……それにしてもヒズミ様は本当に伝説の炎竜王様なのかなあ」
「って言われても」
カズオミの振ってきた話題は伝説の炎竜王についてだった。
隣で黙っているユエリが反応して、興味深そうにこちらを見る。
「炎竜王と言えば慈悲深くて優しい、島の人間や竜を守ってくれる最強の竜騎士らしいんだけど。ヒズミ様は弱い者いじめする生徒を罰さないし、僕らみたいな無害な生徒を学院の外に放り出そうとしている」
カズオミは寝ぐせで爆発している栗色の頭をかしげてみせる。
「ねえアサヒ、ヒズミ様は炎竜王だと思う?」
聞かれてアサヒは眉間にしわを寄せた。
「俺に分かるわけないだろ。だいたいその炎竜王、ってのが何なのかも分からないのに」
「だよねえ……竜騎士なら竜王が誰か分かる、会えば特別なものを感じるって聞いたけど、本当なのかどうなのか。ピクシスにはここ百年以上、竜王がいないから誰にも分からない」
空を見上げるカズオミ。
ユエリが途中から口を挟んだ。
「でも、十数年前に炎竜王が生まれたという噂を聞いたわ。必ずどこかにいるはず。ヒズミ・コノエ以外に炎竜王らしい人物はいるの?」
「うーん。思い当たらないですね」
彼女の疑問に答えるカズオミは困った顔をしている。
「……そもそもピクシスに竜王がいない理由は、栄光時代の最後にある。二百年程前、光の島コローナが五島すべてを統一した時代があった。最初は素晴らしい政治をしたんだけど、段々傲慢になった光竜王に五島の人々は困り果てたんだ。その悪政に立ち上がって戦いを挑んだのが炎竜王。激しい戦いの末に炎竜王は光竜王と相打ちになって封印されたんだ。五島はバラバラになり、以降、炎竜王は姿を現さなくなった」
「封印?」
「そう。だから、ヒズミ様が炎竜王でないなら、本当の炎竜王様はどこかに封印されたままになっているかもね。噂だけで、誰も今代の炎竜王に会ったことが無いから」
カズオミの解説は親切で分かりやすかった。
だが、アサヒはうーんとうなる。
「……なんで炎竜王が必要なんだ?」
「え?」
「皆が頑張って生きていけるなら、それでいいじゃないか」
アサヒは別世界の記憶を思い起こした。
かの世界には竜王はおらず普通の人々が助け合って生きていた。竜王や魔法がなくても人は生きていける。アサヒはそれを知っていた。
「あなた何言ってるの? 竜王がいないと困るじゃない」
「そうだよアサヒ。ピクシスが弱っているのも竜王がいないからなんだよ」
「あー、分かった! 分かったよ!」
ユエリとカズオミの両方にそう言われてアサヒは降参する。
そうこうしているうちにアサヒ達は村に着いた。
火山の麓の村アルザスは森に囲まれて小さな湖のある、自然豊かな村だった。農民らしい人々が農作物や魚を持って道を行き来している姿が見える。
まだ空が明るい日中だったが運搬は明日の朝はじめるらしい。今日は運搬しやすいように、荷物をまとめて準備するのだそうだ。
「おい、お前、アサヒと言ったか。二等級に勝ったんだって?」
村を見回していると、先輩の竜騎士の一人が近づいてくる。
彼はニヤニヤ笑っていたがそれはどうも好意的な笑みではなかった。
「二等級に勝つくらいなら、荷物を運ぶくらい楽勝だよな! 俺の分も頼むよ」
「え?」
「よしよーし、良い後輩を持って俺は幸せだなあ!」
勝手なことを言って有無を言わさず仕事を押し付けると、その先輩は高笑いして去っていった。
無表情な顔をした村人が「ではこちらの荷物も明日の朝届けてください」とアサヒ達の前に荷物を置いていく。
「ど、どうするんだよアサヒ!」
積み上げられた大量の荷物を前に、カズオミは頬に手をあててムンクの叫びのようになった。
アサヒは腕組みしてニヤリと笑う。
「なんとかなるだろ」
「なる訳ないだろーーっ」
「なるって。カズオミ、お前、工具を持ってきてたよな。ユエリ、この村で丈夫な紐を作っているところ、知ってるか?」
聞かれたユエリは、出発直前の会話もあってすぐにアサヒの言葉の意図を察した。
「あなた、まさか……」
「工夫すれば力が弱くても何とでもなるって教えてやるよ」
楽しそうに笑ったアサヒは、使える道具や材料が無いか探すため、カズオミとユエリと一緒に村の中を歩き始めた。
なぜか連帯責任だか何だかでカズオミも一緒にだ。
「ごめんな、カズオミ。結局お前まで巻き込んで」
「いいよ、気にしないで」
「カズオミ……お前って良い奴だな」
アサヒは感動した。
そうこうしている内に一等級の女子生徒ユエリが現れて、一緒に麓の村アルザスまで行くことになった。
アサヒ達の仕事は、アルザスの村から新鮮な野菜や魚を王都アケボノまで運んでくることらしい。
三等級出身の竜騎士の先輩と一緒に、アサヒ達は移動することになった。
移動は竜に乗って空を飛ぶ。
ここには先輩の竜と、アサヒとカズオミの竜がいる訳だが、バラバラに竜に騎乗すると説明が面倒になるということで、カズオミの竜に皆で乗ることになった。
普段は羽が生えたイグアナのような姿でカズオミの肩に乗っている竜のゲルドだが、竜の姿に戻るとかなり巨大だ。
ゲルドは、エメラルドグリーンの鱗に透明な薄くて平べったい四枚羽を持った、変わった姿の竜だった。蜥蜴よりも昆虫、バッタの雰囲気がある。
「僕の竜は土属性なんだ」
火竜より機動力がなく、のそのそ移動して平らな羽で滑空するゲルド。カズオミによると、竜の中では戦闘に向いていない種類なのだそうだ。
竜の翼を持ってしても目的地の村までは二時間は掛かるらしい。
同乗の先輩竜騎士から軽く説明を受けた後は、何もすることが無くなってしまった。
暇を持て余したアサヒ達は世間話を始めた。
「……それにしてもヒズミ様は本当に伝説の炎竜王様なのかなあ」
「って言われても」
カズオミの振ってきた話題は伝説の炎竜王についてだった。
隣で黙っているユエリが反応して、興味深そうにこちらを見る。
「炎竜王と言えば慈悲深くて優しい、島の人間や竜を守ってくれる最強の竜騎士らしいんだけど。ヒズミ様は弱い者いじめする生徒を罰さないし、僕らみたいな無害な生徒を学院の外に放り出そうとしている」
カズオミは寝ぐせで爆発している栗色の頭をかしげてみせる。
「ねえアサヒ、ヒズミ様は炎竜王だと思う?」
聞かれてアサヒは眉間にしわを寄せた。
「俺に分かるわけないだろ。だいたいその炎竜王、ってのが何なのかも分からないのに」
「だよねえ……竜騎士なら竜王が誰か分かる、会えば特別なものを感じるって聞いたけど、本当なのかどうなのか。ピクシスにはここ百年以上、竜王がいないから誰にも分からない」
空を見上げるカズオミ。
ユエリが途中から口を挟んだ。
「でも、十数年前に炎竜王が生まれたという噂を聞いたわ。必ずどこかにいるはず。ヒズミ・コノエ以外に炎竜王らしい人物はいるの?」
「うーん。思い当たらないですね」
彼女の疑問に答えるカズオミは困った顔をしている。
「……そもそもピクシスに竜王がいない理由は、栄光時代の最後にある。二百年程前、光の島コローナが五島すべてを統一した時代があった。最初は素晴らしい政治をしたんだけど、段々傲慢になった光竜王に五島の人々は困り果てたんだ。その悪政に立ち上がって戦いを挑んだのが炎竜王。激しい戦いの末に炎竜王は光竜王と相打ちになって封印されたんだ。五島はバラバラになり、以降、炎竜王は姿を現さなくなった」
「封印?」
「そう。だから、ヒズミ様が炎竜王でないなら、本当の炎竜王様はどこかに封印されたままになっているかもね。噂だけで、誰も今代の炎竜王に会ったことが無いから」
カズオミの解説は親切で分かりやすかった。
だが、アサヒはうーんとうなる。
「……なんで炎竜王が必要なんだ?」
「え?」
「皆が頑張って生きていけるなら、それでいいじゃないか」
アサヒは別世界の記憶を思い起こした。
かの世界には竜王はおらず普通の人々が助け合って生きていた。竜王や魔法がなくても人は生きていける。アサヒはそれを知っていた。
「あなた何言ってるの? 竜王がいないと困るじゃない」
「そうだよアサヒ。ピクシスが弱っているのも竜王がいないからなんだよ」
「あー、分かった! 分かったよ!」
ユエリとカズオミの両方にそう言われてアサヒは降参する。
そうこうしているうちにアサヒ達は村に着いた。
火山の麓の村アルザスは森に囲まれて小さな湖のある、自然豊かな村だった。農民らしい人々が農作物や魚を持って道を行き来している姿が見える。
まだ空が明るい日中だったが運搬は明日の朝はじめるらしい。今日は運搬しやすいように、荷物をまとめて準備するのだそうだ。
「おい、お前、アサヒと言ったか。二等級に勝ったんだって?」
村を見回していると、先輩の竜騎士の一人が近づいてくる。
彼はニヤニヤ笑っていたがそれはどうも好意的な笑みではなかった。
「二等級に勝つくらいなら、荷物を運ぶくらい楽勝だよな! 俺の分も頼むよ」
「え?」
「よしよーし、良い後輩を持って俺は幸せだなあ!」
勝手なことを言って有無を言わさず仕事を押し付けると、その先輩は高笑いして去っていった。
無表情な顔をした村人が「ではこちらの荷物も明日の朝届けてください」とアサヒ達の前に荷物を置いていく。
「ど、どうするんだよアサヒ!」
積み上げられた大量の荷物を前に、カズオミは頬に手をあててムンクの叫びのようになった。
アサヒは腕組みしてニヤリと笑う。
「なんとかなるだろ」
「なる訳ないだろーーっ」
「なるって。カズオミ、お前、工具を持ってきてたよな。ユエリ、この村で丈夫な紐を作っているところ、知ってるか?」
聞かれたユエリは、出発直前の会話もあってすぐにアサヒの言葉の意図を察した。
「あなた、まさか……」
「工夫すれば力が弱くても何とでもなるって教えてやるよ」
楽しそうに笑ったアサヒは、使える道具や材料が無いか探すため、カズオミとユエリと一緒に村の中を歩き始めた。
0
お気に入りに追加
4,059
あなたにおすすめの小説
魔王復活!
大好き丸
ファンタジー
世界を恐怖に陥れた最悪の魔王ヴァルタゼア。
勇者一行は魔王城ヘルキャッスルの罠を掻い潜り、
遂に魔王との戦いの火蓋が切って落とされた。
長き戦いの末、辛くも勝利した勇者一行に魔王は言い放つ。
「この体が滅びようと我が魂は不滅!」
魔王は復活を誓い、人類に恐怖を与え消滅したのだった。
それから時は流れ―。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
転生しようとしたら魔族に邪魔されて加護が受けられませんでした。おかげで魔力がありません。
ライゼノ
ファンタジー
事故により死んだ俺は女神に転生の話を持ちかけられる。女神の加護により高い身体能力と魔力を得られるはずであったが、魔族の襲撃により加護を受けることなく転生してしまう。転生をした俺は後に気づく。魔力が使えて当たり前の世界で、俺は魔力を全く持たずに生まれてしまったことを。魔法に満ち溢れた世界で、魔力を持たない俺はこの世界で生き残ることはできるのか。どのように他者に負けぬ『強さ』を手に入れるのか。
師弟編の感想頂けると凄く嬉しいです!
最新話は小説家になろうにて公開しております。
https://ncode.syosetu.com/n2519ft/
よろしければこちらも見ていただけると非常に嬉しいです!
応援よろしくお願いします!
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる