不思議の国で遊女にされそうです!

ことわ子

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原因

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 思っていたよりも階段は長く、そして孤独だった。
 両手を軽く広げたほどの幅しかない階段はどこに行き着くかも教えてくれない。規則的に並んでいる段差のお陰で光がなくてもなんとか前に進めた。
 そうやって、闇雲に進み始めて数分、ようやく目線の先にぼーっとした光が現れた。相変わらず光源は剥き出しの電球一つのようで、大した灯りではなかったが、それでもずっと感じ続けていた孤独感は薄らいだ。
 早く光のある場所に行きたい、そんな思いから足が自然と速くなる。とんとんとんとん、と忙しない音を立てながら階段を駆け降りると、また小さな部屋らしき場所に出た。
 一番初めに目にしたのは朱色の檻だった。
 その檻は部屋を二分するように遮っていて、檻の中の方は暗くなっていてよく見えない。
 やけに鮮やかな朱色だけが景色から浮いていて、ここからすぐにでも逃げ出したいと思うほど不気味だった。

(座敷牢だ……)

 本物を見たのは初めてで、実際座敷牢であっているかどうかは分からないが、多分そうなのだろうと感じた。
 ここは遊郭なのだ。そういう場所があってもおかしくはない。
 俺はあまりの気味の悪さにすぐに引き返そうとした、が。

「…………誰かいる?」

 牢の奥から聞こえた微かな人の吐息のような音に俺は思わず脚を止めた。
 絶対に関わるべきじゃない、そう自分の中の理性が叫んでいるにも関わらず、俺の身体は吸い寄せられるように檻の近くまで動いていた。
 だいぶ暗闇に慣れてきた目で奥を覗く。
 そこには楼主の姿があった。
 知っている人物に一瞬緊張が解けるが、様子のおかしさに息が止まった。
 楼主は上を向き、キセルを吸っていた。よく見れば牢の中は黒い煙が充満していて、這うように天井を動いている。見ているだけで息苦しいと俺は反射的に息を潜めたが、これがただの煙ではないと分かったのは、それから一瞬遅れてのことだった。
 煙のように見えた『ソレ』はまるで意思を持つかのように、楼主が吸っているキセルの中へどんどんと流れ込んでいった。
 楼主の口の端から黒い液体が漏れ出し、首筋を伝って着物の襟を汚していく。明らかに何か良くないことをしているのに、楼主は動かず俺に気付いてもいないようだった。
 そして、ふと、この様子をどこかで見たことがあるような気がしてきた。
 必死に記憶を遡り、楼主と出会ったあの日を思い出す。
 アレに襲われた時、俺はもう死んでしまうかもしれないと思った。耳から侵入してこようとする重く濁った何か。今思い出しても背筋がザワザワとする。脳みそを鷲掴みにされる感覚は確実に俺を一度殺した。
 それなのに、楼主が俺に触れた瞬間、俺は全ての痛みから解放された。
 あの時、何が起こったのか、深く考えたことはなかった。
 あの時、俺の中に入ってこようとしたアレを楼主が受け止めていたとしたら。
 あの時、俺が助かったのは楼主のおかげなのだとしたら。

『大掃除の日に姿を見たことはない』

 シャロニカさんの言葉が何度も頭の中に鳴り響く。
 シャロニカさんは楼主はそういう地位の人間だと言っていた。俺は楼主はサボっているのだと思った。

(違う。違った)

 楼主が掃除をしているものはなんなのか。

 分からないことだらけなのに、結論に辿り着いてしまった。目の前で行われている行為がおぞまいものだと理解してしまった。
 全身の血が沸騰したような衝動のまま、俺は朱色の檻の扉を開け放った。鍵がかかっていなくて良かったと思った。もしかかっていたら、檻ごと壊さなくてはならなかったから。
 そのままの勢いで楼主が持っていたキセルを思い切りはたき飛ばした。壁にぶつかったキセルはカン、と音を鳴らし床へ転がった。
 そんな暴挙が行われたというのに、楼主は上を向いたまま、俺のことを見ようとはしなかった。
 いや、見えていないのだと、黒いモヤが渦巻く瞳を見て理解した。だらんと垂れた両腕に力はなく、俺が消えていなければ倒れ込んでいただろう。
 どうすればいいのか分からなかった。
 それなのに、考えている猶予はないと、ここに存在する全てが伝えてくる。
 パニックを起こした俺は、楼主が俺にしてくれたことと同じことをしてみることにした。
 楼主の口の端から流れ落ちる何かを自分に移すように唇で触れる。楼主の唇と僅かに重なった部分が熱を持ったような気がした。
 予想通り、ソレは俺の方に舵を切り始めた。あの時感じた死の恐怖がはっきりとした輪郭を伴って俺に襲いかかってきた。
 脳みそだけじゃない。内臓が汚染され、全て乗っ取られていくような感覚に意識を失いそうになる。
 しかし、途中で止めるわけにはいかなかった。
 せめて、あの冷たくて美しい金色の瞳が戻るまでは耐えなければと思った。
 内臓から血管へと広がり、徐々に俺が俺でなくなっていく感覚がしてくる。
 楼主は今まで何回こんなことを繰り返してきたのだろう。こんな耐え難い苦痛を一人で背負い込んで。
 楼主を支える力が無くなった俺は、楼主と共に床へと倒れ込んだ。ここで終わりだと思った。
 最後の力を降りしぼって開いていた瞳はあの金色を写すことは叶わず、そのまま闇の中へ沈んでしまった。

 ***

 何かに身体を固定されているような動きづらさに身じろぎすると、何かが頬をくすぐった。
 全身が怠いと感じられているということは、俺はどうにか生き残ったのだろう。この身体の動きづらさを考えると、五体満足かは怪しいが、少なくとももう脳みそを鷲掴みされるような感覚はない。
 俺は恐る恐る薄目を開けた。
 自分の両手両足を確認してホッとしたのも束の間、胴体に固く回された誰かの腕と、俺の太ももを両側から挟むように置かれている誰かの脚が気になった。これのせいで動きづらかったのだと思い至り、拘束を解こうと腕を剥がそうとするがびくともしない。不意に感じた首元をくすぐる何かに身を竦めると、俺の背後に密着した誰かが小さく息を吐いた。

(え、)

 そこでようやく、背後から誰かに抱きしめられているのだと気付く。よくカップルが彼氏の脚の間に女の子を座らせるアレだ。
 俺が気を失っている間に一体何があったのか。
 とりあえず、背後にいる人物の顔だけは確認しようと身をよじろうとすると、切り揃えられた綺麗な黒髪が目に入ってきた。

(楼主……?)

 見覚えのあるその髪を辿っていくと、これまた見覚えのある寝顔が現れた。
 楼主は俺を抱き抱えたまま、穏やかに寝息を立てていた。
 益々訳が分からない。
 なんにせよ、楼主を起こさないことには何も始まらないと、少しの罪悪感を覚えながらも肩を叩く。が、完全に寝こけている楼主は起きる気配が微塵もない。
 俺は仕方なく声を出した。

「あの、すみません! 離してもらえますか?」

 思ったよりも大きな声が出てしまったが、ようやく楼主が目を覚ましたので結果オーライだということにしておこう。
 楼主の瞳は瞼に隠れたり現れたりを繰り返していたが、その色は俺が見たかったもので、一気に安堵感が広がった。

「…………亜莉寿?」
「あ、はい……」

 唐突に名前を呼ばれ、反射的に返事をする。
 まだ現実の現の境目を漂っていた楼主は、俺の返事にようやくちゃんと覚醒した。

「亜莉寿? 本当に?」
「え……? 本当? ですけど……」
「良かった……!」

 そして感激したように俺のことを力一杯抱きしめる。何が何だか分かっていない俺はしばらくされるがままになっていたが、そろそろ身体が痛いとなったところで楼主の腕の中から抜け出した。

「あ……」

 何故か寂しそうな声を出す楼主を無視して、俺は室内を見渡した。俺の記憶が途切れる前にいた部屋と同じ場所だったが、あの黒い何かはもう無かった。

「楼主……様、具合はどうですか?」

 俺は怠さが残っているだけで、今のところそれ以外に不調は感じない。楼主もそうだったらいいなと思いながら質問すると、楼主は一瞬でも迷ったような表情をした後、口を開いた。

「夜柯、と、呼んでほしい」
「え……?」

 まさかの返しに何を言われたのか分からず一瞬固まるが、確かに名前で呼ぶ方がいいかと思い、もう一度質問を繰り返した。

「夜柯様、具合は――」
「様もいらない」

 それは流石に本人たっての希望でも厳しい。
 何故なら彼は楼主で俺は居候の一従業員だからだ。本人が良くても周りの人たちがギョッとしてしまうだろう。

「………………夜柯、さん?」

 俺の返答に夜柯さんは少しだけ不貞腐れたような顔をした後「今はそれでもいいけど」と小さな声で漏らした。
 また、夜柯さんの機嫌が悪くなって部屋を追い出されてしまったら困ると、俺は早急に話を進めることにした。
 聞きたいことがいくつもあった。それに答えてもらえるかどうかは分からないが、聞きもしないで引き下がれなかった。
 俺は夜柯さんに向き合うように腰を下ろし、ジッと目を見た。

「あの、黒いものは何なんですか?」

 ある程度、俺の質問は予測していたのだろう。夜柯さんは観念した様子で俺から視線を逸らし、ポツリ、ポツリと言葉を紡ぎ出した。

「あれは、人の欲」
「欲……?」
「そう、欲。悪い感情。こんな場所には人の欲が溜まりやすい。だから僕が連れて来られた」
「連れて来られた……?」

 不穏な流れに、俺は小さく喉を鳴らした。
 
「ここに来るまでの記憶はない。小さい頃にこの牢に閉じ込められてから、ずっとそうやって生きてきた」

 不意に、牢に入れられた幼い夜柯さんと施設にした頃の自分の姿が重なった。俺の周りには沢山の人がいたが、夜柯さんはひとりぼっちだった。そう考えただけで色々な思いが込み上げてきて目頭が熱くなった。
 夜柯さんは詳しいことは言わなかったが、そうやって、の中に先ほど見た光景も含まれるのだろうと思うと、益々やるせない気持ちになる。

「人の欲を飲み込み続けて自分で自分が分からなくなって、それでも次々と欲は生まれてきて」

 まるで、人柱だと思った。
 あんなことを夜柯さんに押し付けた人間がいるのかと思うと、怒りでどうにかなりそうだった。

「僕が投げ出したらこの町は終わる」
「そんな訳ない……!」

 気付けば大声を出していた。頭に登った血が行き場を失っているのを感じた。
 今まで生きてきた中でも感じたことのない激しい感情に自分でもどうしたらいいのか分からなくなる。持って行き場がない、そう感じた瞬間、俺は夜柯さんの手を取って走り出していた。
 階段を幾つも駆け上がり、地上へと出る扉を開ける。何人もの従業員が廊下を掃除している中、ドタドタと脚を鳴らし、夜柯さんを引っ張っている俺の様子は異様だっただろう。
 しかし、そんなことに構っている暇はない。
 夜柯さんが抵抗しないのを良いことに、俺は遂にはニコラの客がいた『鳳凰の間』まで夜柯さんを連れ出した。
 以前、ここに来た時に、この部屋の窓からこの見世が見渡せることを知った。まだ障子戸は修繕されておらず、開け放たれている部屋に上がり込む。
 そして窓の近くまで誘導した。

「見てください!」

 そう言って俺は窓から転がり落ちそうなほど身を乗り出し腕を広げた。

「この見世には沢山の人がいます。勿論この町にも」

 俺の視線の先には手分けして掃除をしている従業員たちが何人もいた。

「一人一人の悪い感情を夜柯さん一人で受け止める必要なんてないです。自分の欲は――悪い感情は自分で向き合っていくべきです!」

 一見暴論のようだが、俺には確信があった。
 それは、夜柯さんから漏れ出ていた欲を俺自身が受け止められたということだ。
 その時、これは夜柯さん一人が背負うべきものではないと確信した。
 死にそうな思いをしたが、死んでいない。夜柯さんだって生きている。だったらそれをみんなで負担すれば良いだけの話だ。
 そもそも、自分の欲に向き合えない人間は成長なんて出来ない。そんな人間が溢れかえるの方が恐ろしいと思った。
 夜柯さんはまるで初めて陽の光を浴びたように眩しそうに目を細め、髪を風に靡かせながら見世を見渡した。
 ただの掃除をしているだけなのに、やけに賑やかな声があちこちから聞こえてくる。
 黙って見守っていた俺の耳に、気の抜けた笑い声が聞こえた。

「うん。うん、――そうかもね……」

 誰に言うでもなく、もしかしたら自分に語りかけているかのように、夜柯さんはそう言いながら笑った。
 俺はこの世界のことを何も知らない。何も分かっていない。もしかしたら、今俺はとんでもないことを言ってしまったのかもしれないし、すぐにどうにか出来る問題でもないのかもしれない。
 それでも、目の前にいるこの人の、誰にも怒れなかったこの人の、代わりに怒りたいと思った。

「……亜莉寿」
「は――?」

 名前を呼ばれたと思ったら抱き締められた。
 窓から入ってきた風が俺と夜柯さんの頬をくすぐる。

「ありがとう」

 声が僅かに震えていることには気が付かないことにした。俺は片腕を夜柯さんの背中に回し、さするように動かそうとした。が。

「…………ア、アリス……?」

 突如聞こえた俺を呼ぶ声に一瞬で我に返る。
 背中に回っていた手を勢いよく下ろし、棒立ちになって声のした方を見る。
 そこにはシャロニカさんとペトラさんが、それぞれ赤い顔やニヤニヤ顔で立っていた。

「え~いつの間に夜柯様とアリスデキてたの~? あたしも混ぜて」
「ペトラ!」

 ペトラさんを諌めるシャロニカさんの声が明らかに動揺しているのが分かる。完全に何か勘違いをしていると思ったが、弁明する前にペトラさんが夜柯さんの腕に触れた。
 途端に胸が苦しくなる。何でだろうと思っていると、シャロニカさんが慌てて喋り始めた。

「夜柯様とアリスがここの階段駆け上がっていったって聞いたからね、何かあったのかと思って心配で! で、でも別に何もないならいいのよ! あ、何もないってことはないのかもしれないけど、と、とにかく私たちはお邪魔よね! ペトラ行くわよ!」
「あ~ん、シャロニカのいけずぅ」
 
 そう言いながら、光の速さでペトラさんを夜柯さんから引き剥がし、慌ただしく部屋から出ていった。

「…………俺たちも戻りましょうか」

 結局、問題解決とはならなかったが、少しは前進したように思えた。それは夜柯さんの表情からも読み取れ、こんなに穏やかな顔で笑うんだと一瞬見惚れた。
 俺は自分の中に生まれた新たな『問題』を見ないふりをして、夜柯さんと共に部屋へと戻った。
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