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花を手折るまで後、4日【3】
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久しぶりの馬上に全身の筋肉が硬直する。暗い森を手探りで進んでいく感覚は久しぶりだ。
腰が引けて前かがみになると隣から声をかけられた。
「姿勢が悪くなってるぞ」
「あ、うん……久しぶりの乗馬だから緊張しちゃって」
「気持ちは分かるけど、緊張は馬にも伝わるからちゃんとしてろ」
「分かってる……」
シセルは簡単にそう言うが、実際はかなり難しい。なるべく気性の優しい馬を選んでもらったが、それでも動きは大きい。少しでも駆け足になると手綱を強く握ってしまう。
こんな状態で狩りなんか出来るはずがない。
護衛兼、姉の監視役で付いてきてくれたシセルは気まずそうな顔で前を向いている。
それもそうだろう、自分の姉がいきなり尋ねてきた挙句、僕を連れ出して夜狩りに行くと言い出した。あまりに突拍子もなく、はた迷惑な行動に弟として恥ずかしさを感じているのかもしれない。
「シセル……、なんかごめんね」
「なんでリシュが謝る?」
「いや、僕が頼りないからこうなったわけだし……」
「リシュは悪くない」
声を落として喋っていると後ろから声がした。
「リシュ様、もうそろそろ狩りを始めては?」
「あぁ、はい、そうですね……」
背後からの圧が強い。
エステラ姉さんは乗馬が苦手なため、城で待っていると言っていた。つまり、背後に居るのはアリンダ様とその護衛と騎士団数人。アリンダ様はさすがシセルと同じ教育を受けた人間と言う出で立ちで、長い髪は一つに束ね、動きやすいように男装をしている。
アリンダ様からの圧もさることながら、騎士団の人たちにみっともない姿を見せられないというプレッシャーも大きかった。
王族として一通りの教育は受けている。弓の使い方もそれなりに練習した。しかし自分には向かないと感じてからは鍛錬も疎かになっていた。
やるしかないのかな……。
誰にも助けは求められない。自分でこの状況をどうにか切り抜けなくてはならない。
僕は覚悟を決めると、弓を構えた。
通常、狩りではウサギや狐を狙う。鹿を仕留められたら運がいい。しかし夜狩りでは夜行性の動物を狙う。大型のネコ科動物がよく標的にされていて、美しい個体を剥製にして飾ることが勲章になるとされていた。
ネコ科の動物はよく目が光る。宝石のような輝きを目掛けて弓を放つのだ。
僕は目を凝らした。少しの音も逃さないように周囲を窺う。出来れば現れないで欲しいと考えながら、耳を澄ます。
と、背後から微かな物音がした。
反射的に向き直り、矢を放つ。アリンダ様と獣の間に矢は突き刺さった。
「オオカミだ!」
誰かがそう叫んだ。
アリンダ様と対峙した一際大きなオオカミを筆頭に周辺からいくつもの足音が近づいてきた。シセルはすばやく剣を抜き、僕に寄り添う。
急に姿を現したオオカミに驚いた馬が暴れ始める。騎士団は体制を崩し、アリンダ様の護衛も近づいてくるオオカミを牽制していた。
オオカミがアリンダ様に向かって唸り声を上げる。アリンダ様が乗っている馬が興奮して大きく仰け反った。
振り落とされないように必死にしがみつくアリンダ様。
「シセル! アリンダ様が危ない!」
僕がそう叫んでもシセルはその場を動かなかった。
どうして、そう思うよりも先に身体が勝手に動いた。大人しい僕の馬は冷静に僕の意思を汲んでくれた。
威嚇のように剣を振り上げ、オオカミを蹴散らす勢いで駆けて行く。
アリンダ様の近くまで寄ると、手綱を引いて馬を落ち着かせた。
「早くシセルの元に戻りなさい!」
「嫌です」
僕はきっぱりと断ると、剣先をオオカミの方へ向けた。
しかしじりじりと忍び寄る獣は攻撃の手を緩めなようとしない。少し体勢を低くして狙いを定めると一気に飛び掛ってこようとした。が。
シセルが間に飛び込んできて、オオカミの喉元を切り伏せた。赤い鮮血が舞い、周囲に静寂をもたらす。あれほど攻撃的だったオオカミの群れはリーダーを失ったからか、後退し始めた。
形勢は変わり、オオカミたちは暗い森へと逃げていく。
僕はすばやく馬から降りると、うずくまっているシセルの元に駆け寄った。
「シセル!」
「なんで急にオオカミの前に出たんだよバカ!」
「だってアリンダ様が危なかったし……」
「姉さまは自分の身くらい自分で守れる! それより自分の心配しろ!」
想像以上に罵倒され心が折れかける。シセルは僕を守るためにアリンダ様を助けようとはしなかった。いくらそういう教育で育ってきたからと言っても、僕にはそれが少し寂しく感じる。
「でも……」
「でもじゃ──」
シセルは言いかけて言葉を切る。ぐ、と何かに耐えるような表情をした後、短く息を吐いた。
「シセル?」
不自然な呼吸を不審に思い、僕はシセルを抱き上げた。そして朽ちた木が横倒しになっている場所に座らせる。
「な、にを──」
「ちょっと黙ってて」
僕はシセルの穿いているロングブーツを無理やり脱がせた。ズボンの裾を捲り上げると足首が少し鬱血している。どうやら足を捻ったらしい。
「僕を助けたときに?」
「違う」
シセルはそっぽを向く。
「歩ける?」
「大丈夫だ」
シセルは立ち上がろうとしたがバランスを崩して僕に寄りかかってきた。
「ちょっと待ってて」
僕は再びシセルを座らせると、周囲を見回した。確かこの森には『あれ』があった気がする。
目を凝らすと、アリンダ様の後方の低い木に囲まれた茂みにそれを見つけた。
「ちょっと失礼します」
騎士団を掻き分け、アリンダ様の横を通り過ぎ、低い木をなぎ倒していく。現れたのは雨水が溜まり続けて出来たような泥沼だった。
一同は僕の動きを黙って見ていた。
「あるといいなあ」
僕は呟いて、靴を穿いたまま沼に足を踏み入れた。見た目からは分からないほど深さがあり、膝の上の辺りまで泥に浸かる。
「リシュ様!?」
騎士団の一人が堪らず声を上げた。
「あ、大丈夫です。もう少しで見つかるんで待っててください」
それだけ言うと、僕は両手を沼に突っ込んだ。冷たい感触と異臭が伝わってくる。呼吸を止めながら手探りで泥をかき回すとざらついたものが手に触れた。
あった。
しっかりと手で掴むと思い切り引き上げた。ぶちっと千切れる音がして歪な形をした植物の根が姿を現す。
「良かった、大丈夫そうだ」
泥がまとわり付いた重たい足取りでシセルのところへ戻る。シセルは不思議そうに僕の顔を見上げていた。
「ちょっと変な臭いがするかも。我慢してね」
「……分かった」
僕は採ってきた植物の根を真っ二つに折り割った。すると中から粘りのある薄黄色の液体が流れ出てくる。
その液体を手で受け止めるとシセルの足首へと塗りつけた。
独特の刺激臭が鼻をつく。思わず咽そうになるのを必死に堪えると、首に巻いていたスカーフを取り、巻きつけた。
「鎮痛効果がある薬草だよ。すごく良く効くけど、臭いがきつくて……」
「あ、あぁ……ありがとう……」
シセルへの処置を終えると、アリンダ様の方へ向き直った。
「お待たせしてしまいすみません」
アリンダ様は無言で僕たちを見つめていた。
僕は大きく息を吸うと覚悟を決めて声を出した。
「見ての通り、僕は狩りが苦手で頼りない人間です。なのでこれ以上の成果は見込めないと思います。今日のところはもうご容赦いただけないでしょうか?」
最初からこうしていれば良かったのだ。そうすればシセルも怪我をせずにすんだ。
アリンダ様は少しだけ顔色が悪い、沈んだ表情で小さく首を縦に振った。僕はほっと一息吐くと、再びシセルを抱えあげた。
「──おい! 降ろせ!」
「怪我人は暴れないでよ。上手く馬に乗せられない……」
「自分で乗れる!」
「強がりはよくないよ」
騒がしいシセルを何とか馬の上に跨らせると、手綱を引き、歩き出す。もう片方の手には自分が乗ってきた馬の手綱を握り締め二頭同時に導く。
「リ、リシュ様! 我々がやりますので!」
我に返った騎士団の人たちが慌てて駆け寄ってきて、シセルが乗った馬の手綱を引いて歩き出した。
できるならシセルを自分の前に乗せてかっこよくエスコートするように帰還したかった。しかし僕の技術では帰るまでに怪我人が二人に増えかねない。
僕は乗馬の訓練を疎かにしてきたことを少しだけ後悔しながら、白み始めた遠くの空を見上げた。
久しぶりの馬上に全身の筋肉が硬直する。暗い森を手探りで進んでいく感覚は久しぶりだ。
腰が引けて前かがみになると隣から声をかけられた。
「姿勢が悪くなってるぞ」
「あ、うん……久しぶりの乗馬だから緊張しちゃって」
「気持ちは分かるけど、緊張は馬にも伝わるからちゃんとしてろ」
「分かってる……」
シセルは簡単にそう言うが、実際はかなり難しい。なるべく気性の優しい馬を選んでもらったが、それでも動きは大きい。少しでも駆け足になると手綱を強く握ってしまう。
こんな状態で狩りなんか出来るはずがない。
護衛兼、姉の監視役で付いてきてくれたシセルは気まずそうな顔で前を向いている。
それもそうだろう、自分の姉がいきなり尋ねてきた挙句、僕を連れ出して夜狩りに行くと言い出した。あまりに突拍子もなく、はた迷惑な行動に弟として恥ずかしさを感じているのかもしれない。
「シセル……、なんかごめんね」
「なんでリシュが謝る?」
「いや、僕が頼りないからこうなったわけだし……」
「リシュは悪くない」
声を落として喋っていると後ろから声がした。
「リシュ様、もうそろそろ狩りを始めては?」
「あぁ、はい、そうですね……」
背後からの圧が強い。
エステラ姉さんは乗馬が苦手なため、城で待っていると言っていた。つまり、背後に居るのはアリンダ様とその護衛と騎士団数人。アリンダ様はさすがシセルと同じ教育を受けた人間と言う出で立ちで、長い髪は一つに束ね、動きやすいように男装をしている。
アリンダ様からの圧もさることながら、騎士団の人たちにみっともない姿を見せられないというプレッシャーも大きかった。
王族として一通りの教育は受けている。弓の使い方もそれなりに練習した。しかし自分には向かないと感じてからは鍛錬も疎かになっていた。
やるしかないのかな……。
誰にも助けは求められない。自分でこの状況をどうにか切り抜けなくてはならない。
僕は覚悟を決めると、弓を構えた。
通常、狩りではウサギや狐を狙う。鹿を仕留められたら運がいい。しかし夜狩りでは夜行性の動物を狙う。大型のネコ科動物がよく標的にされていて、美しい個体を剥製にして飾ることが勲章になるとされていた。
ネコ科の動物はよく目が光る。宝石のような輝きを目掛けて弓を放つのだ。
僕は目を凝らした。少しの音も逃さないように周囲を窺う。出来れば現れないで欲しいと考えながら、耳を澄ます。
と、背後から微かな物音がした。
反射的に向き直り、矢を放つ。アリンダ様と獣の間に矢は突き刺さった。
「オオカミだ!」
誰かがそう叫んだ。
アリンダ様と対峙した一際大きなオオカミを筆頭に周辺からいくつもの足音が近づいてきた。シセルはすばやく剣を抜き、僕に寄り添う。
急に姿を現したオオカミに驚いた馬が暴れ始める。騎士団は体制を崩し、アリンダ様の護衛も近づいてくるオオカミを牽制していた。
オオカミがアリンダ様に向かって唸り声を上げる。アリンダ様が乗っている馬が興奮して大きく仰け反った。
振り落とされないように必死にしがみつくアリンダ様。
「シセル! アリンダ様が危ない!」
僕がそう叫んでもシセルはその場を動かなかった。
どうして、そう思うよりも先に身体が勝手に動いた。大人しい僕の馬は冷静に僕の意思を汲んでくれた。
威嚇のように剣を振り上げ、オオカミを蹴散らす勢いで駆けて行く。
アリンダ様の近くまで寄ると、手綱を引いて馬を落ち着かせた。
「早くシセルの元に戻りなさい!」
「嫌です」
僕はきっぱりと断ると、剣先をオオカミの方へ向けた。
しかしじりじりと忍び寄る獣は攻撃の手を緩めなようとしない。少し体勢を低くして狙いを定めると一気に飛び掛ってこようとした。が。
シセルが間に飛び込んできて、オオカミの喉元を切り伏せた。赤い鮮血が舞い、周囲に静寂をもたらす。あれほど攻撃的だったオオカミの群れはリーダーを失ったからか、後退し始めた。
形勢は変わり、オオカミたちは暗い森へと逃げていく。
僕はすばやく馬から降りると、うずくまっているシセルの元に駆け寄った。
「シセル!」
「なんで急にオオカミの前に出たんだよバカ!」
「だってアリンダ様が危なかったし……」
「姉さまは自分の身くらい自分で守れる! それより自分の心配しろ!」
想像以上に罵倒され心が折れかける。シセルは僕を守るためにアリンダ様を助けようとはしなかった。いくらそういう教育で育ってきたからと言っても、僕にはそれが少し寂しく感じる。
「でも……」
「でもじゃ──」
シセルは言いかけて言葉を切る。ぐ、と何かに耐えるような表情をした後、短く息を吐いた。
「シセル?」
不自然な呼吸を不審に思い、僕はシセルを抱き上げた。そして朽ちた木が横倒しになっている場所に座らせる。
「な、にを──」
「ちょっと黙ってて」
僕はシセルの穿いているロングブーツを無理やり脱がせた。ズボンの裾を捲り上げると足首が少し鬱血している。どうやら足を捻ったらしい。
「僕を助けたときに?」
「違う」
シセルはそっぽを向く。
「歩ける?」
「大丈夫だ」
シセルは立ち上がろうとしたがバランスを崩して僕に寄りかかってきた。
「ちょっと待ってて」
僕は再びシセルを座らせると、周囲を見回した。確かこの森には『あれ』があった気がする。
目を凝らすと、アリンダ様の後方の低い木に囲まれた茂みにそれを見つけた。
「ちょっと失礼します」
騎士団を掻き分け、アリンダ様の横を通り過ぎ、低い木をなぎ倒していく。現れたのは雨水が溜まり続けて出来たような泥沼だった。
一同は僕の動きを黙って見ていた。
「あるといいなあ」
僕は呟いて、靴を穿いたまま沼に足を踏み入れた。見た目からは分からないほど深さがあり、膝の上の辺りまで泥に浸かる。
「リシュ様!?」
騎士団の一人が堪らず声を上げた。
「あ、大丈夫です。もう少しで見つかるんで待っててください」
それだけ言うと、僕は両手を沼に突っ込んだ。冷たい感触と異臭が伝わってくる。呼吸を止めながら手探りで泥をかき回すとざらついたものが手に触れた。
あった。
しっかりと手で掴むと思い切り引き上げた。ぶちっと千切れる音がして歪な形をした植物の根が姿を現す。
「良かった、大丈夫そうだ」
泥がまとわり付いた重たい足取りでシセルのところへ戻る。シセルは不思議そうに僕の顔を見上げていた。
「ちょっと変な臭いがするかも。我慢してね」
「……分かった」
僕は採ってきた植物の根を真っ二つに折り割った。すると中から粘りのある薄黄色の液体が流れ出てくる。
その液体を手で受け止めるとシセルの足首へと塗りつけた。
独特の刺激臭が鼻をつく。思わず咽そうになるのを必死に堪えると、首に巻いていたスカーフを取り、巻きつけた。
「鎮痛効果がある薬草だよ。すごく良く効くけど、臭いがきつくて……」
「あ、あぁ……ありがとう……」
シセルへの処置を終えると、アリンダ様の方へ向き直った。
「お待たせしてしまいすみません」
アリンダ様は無言で僕たちを見つめていた。
僕は大きく息を吸うと覚悟を決めて声を出した。
「見ての通り、僕は狩りが苦手で頼りない人間です。なのでこれ以上の成果は見込めないと思います。今日のところはもうご容赦いただけないでしょうか?」
最初からこうしていれば良かったのだ。そうすればシセルも怪我をせずにすんだ。
アリンダ様は少しだけ顔色が悪い、沈んだ表情で小さく首を縦に振った。僕はほっと一息吐くと、再びシセルを抱えあげた。
「──おい! 降ろせ!」
「怪我人は暴れないでよ。上手く馬に乗せられない……」
「自分で乗れる!」
「強がりはよくないよ」
騒がしいシセルを何とか馬の上に跨らせると、手綱を引き、歩き出す。もう片方の手には自分が乗ってきた馬の手綱を握り締め二頭同時に導く。
「リ、リシュ様! 我々がやりますので!」
我に返った騎士団の人たちが慌てて駆け寄ってきて、シセルが乗った馬の手綱を引いて歩き出した。
できるならシセルを自分の前に乗せてかっこよくエスコートするように帰還したかった。しかし僕の技術では帰るまでに怪我人が二人に増えかねない。
僕は乗馬の訓練を疎かにしてきたことを少しだけ後悔しながら、白み始めた遠くの空を見上げた。
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