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花を手折るまで後、4日【2】
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「リシュ様、おはようございます」
「あ、おはようございます……」
カルロッテ様の穏やかな微笑みがやけにまぶしく感じる。
既におはようの時間は過ぎていて少し恥ずかしかった僕は僅かに目を逸らしながら応えた。
「昨日はよく眠れましたか?」
「はい……。ご心配おかけしました」
カルロッテ様は微笑みながら、席に着いた僕の前に淹れたての紅茶を出してくれた。紅茶好きの姉さんのためにお茶を淹れる練習をしたらしい。その成果か、今では城で一番と言われるほどの腕前になった。
「いつもありがとうございます」
「とんでもない。わたしに出来ることはこれくらいですから」
いつも謙虚なカルロッテ様。一見、正反対の姉さんとは相性が悪いように見えるが、僕は二人が喧嘩したところを見たことがない。
「今日は珍しい茶葉が手に入ったんです。とても香りが良いんですよ」
「さっき姉さんが言ってました。とても楽しみです」
僕はカップを持ち上げると一口飲んだ。心地良い温度の液体が身体の中に馴染んでいく。
「寒い地域で栽培されている品種で春先にしか収穫出来ないそうです。あと──」
「これ、疲労にも効きますよね」
「え……」
僕はもう一度香りを確かめると微笑んだ。
「この茶葉は処理を変えれば薬草にもなるんです。確か疲労回復だったかな」
「でた! リシュの無駄な知識」
「無駄って……」
「エステラ言い過ぎよ」
僕の唯一と言っても良い特技の薬学の知識を馬鹿にされて、少しむくれる。
「疲労回復効果があると聞いてリシュ様をお茶に誘おうと言い出したんですよ」
誰が、と聞かなくても分かる。少しばつの悪そうな顔で僕の目の前に座っている姉さんが誤魔化すように紅茶をすすった。
僕は何も言わなかったが、口角が上がるのを抑えきることができずに結局姉さんに怒られた。
「はぁ~美味しかった~」
紅茶を飲み終え、お菓子も食べ終わると、エステラ姉さんは幸せそうにため息をついた。
その様子を見て、カルロッテ様も笑顔になる。この二人を包む空気はいつも温かい。
「ごちそうさまでした」
僕はカルロッテ様にお礼を言い、エステラ姉さんの方を向いた。
「姉さんも、ありがとう」
「どういたしまして」
素っ気ない返事とは裏腹に少しだけ安堵の表情が見え隠れした。姉さんのこういうところが好きだと思う。
「あー……、リシュ、今日はこの後何か予定はあるの?」
「今日は特に予定はないです」
「それは都合がよかったわ」
僕の返答に割って入る高い声。聞き覚えがあるその声の主は、中庭に隣接する建物の影から姿を現した。
「アリンダ……様」
シセルと同じ綺麗な金色の長い髪を片手で払いながら、ドレスの裾を優雅に捌きながら近づいてくる。
「ごきげんよう、リシュ様」
威圧的な態度の割には畏まったお辞儀をし、挨拶してくる。
どんな時もどんな相手に対しても敬意を払うことは忘れない。これはシセルの家の家訓だが、アリンダ様にもその家訓は完璧に受け継がれている。
「お、お久しぶりです……」
シセルの姉であり、伯爵家の次期当主であるアリンダ様はシセルのことを溺愛している。
女兄弟ばかりの伯爵家の中で唯一の男であるシセルが可愛がられるのは当然といえば当然なのだが、中でもアリンダ様の愛情が一際大きかった。
そんなこともあり、はっきり言うと僕はアリンダ様が苦手だった。それはエステラ姉さんも同じなようで、なるべく会わないように逃げ回っていた。
エステラ姉さんは「げっ」というあからさま顔をして動かなくなった。気の優しいカルロッテ様にアリンダ様の相手は出来ないだろうと、断腸の思いで僕が会話を続ける。
「今日はどんな御用で?」
「リシュ様、今日のご予定は?」
特に予定はない、という会話をばっちり聞かれているのは分かっている。もう一度念押しのように聞いてくる姿勢がやけに怖い。
「と、特にはないです……」
「あら、良かった。じゃあ少しお話していただけるかしら。実はね、とても愉快なお話を聞いたもので」
その『愉快なお話』には心当たりがある。そうであってくれるな、と願いながら相槌をうつ。
「はあ……」
「うちのシセルがリシュ様の『花』に決まったそうで」
嫌な予感は当たる。
ついでに、さっきからアリンダ様の目が怖い理由も分かってしまった。
「あ、……はい」
「シセルが手紙で知らせてくれてね。本来ならそちら側から連絡があって然るべきだと思うのだけど」
相手が王族であっても容赦しない。ぐうの音もでない正論に頭が痛くなってくる。
しかし、僕が自ら伯爵家に手紙を贈らなかったのには理由があった。他でもないシセルに止められたのだ。
僕がアリンダ様と合わないと思っていることをシセルは薄々気づいていて、更にアリンダ様が僕のことをよく思っていないことも分かっていた。それも踏まえて家への報告は俺からしておくと言われた。
そういった事情があるのだが、なにを言ってもアリンダ様には言い訳にしか聞こえないだろう。
「シセルの手紙には『花』になることを決めたと書かれていたの」
シセルからも直接聞いたが、未だに夢なんじゃないかと思っていた僕は、アリンダ様の口から聞いて顔が緩みそうになった。
危ない。
僕はギリギリで顔を取り繕うと神妙な顔に見えるように口を結んだ。
「シセルのことを大切に思うなら今回のことをお祝いしてあげるべきよね、分かってる」
「はあ」
「でも、わたくしの気持ちはどうなるの?」
アリンダ様の気持ちまで配慮しないといけないのかと、元気になったはずなのに眩暈がしてくる。そもそも『花』を決めたのは僕ではなくて神なのだ。そこには誰の力も介入していない。
「あの、」
今まで黙って聞いていたカルロッテ様が不意に口を開いた。
「もしかしてアリンダ様は寂しいんでしょうか?」
少しだけ天然なカルロッテ様は時々とんでもない爆弾を落とすことがある。場が一瞬にして冷え切った今が良い例だ。
「それでしたら心配ないですわ! 『花』になったからといって家族の絆が失われることはありません!」
自身の体験談からフォローを入れてくれているのは分かる。しかし今の状況では完全に悪手だ。みるみる顔を赤くしていくアリンダ様がそれを物語っている。
「そ、そういうことではなくて! わたくしは心配なのです!」
珍しく声を荒げる様子に、エステラ姉さんが我に返った。
「心配って? うちのリシュのどこに心配する要素があるの?」
あろうことか、姉さんもこの戦いに参戦してきた。
売り言葉に買い言葉で泥沼化してくる。
我ながら心配する要素だらけだと思わないでもないので返答に困っていた。が、この返しは良くない。
案の定、アリンダ様は少し興奮したように手を握り締めた。
「シセルと違ってリシュ様は頼りなさ過ぎますわ! 聞けば、狩りなども嗜まないようですし、いざという時に守られてばかりの人間につき従うなんて、命がいくつあっても足りません!」
「リシュが狩りが出来ないと誰が言ったの? 狩りくらいできますわ!」
「え、」
僕は狩りが嫌いだ。生きるためならいざ知らす、娯楽のために罪もない生き物を殺生するなんて理解できない。
シセルもそれには同意なようで、極力狩りへの参加は控えていた。それでも武芸を極める伯爵家の伝統の狩りには参加せざるを得ないからと、殺生をした後は必ず神に祈っていた。
「では是非見せていただきたいわ。いいかしら」
「もちろんよ!」
僕の答えも聞かずエステラ姉さんは即答する。こんなことになるなら固まったままでいてほしかった。
「では、そうですね。これからすぐにはどうでしょう?」
「今から? もうじき日が暮れるわ」
「ただの狩りでは実力が測りきれませんもの。不利な状況下でこそ力を発揮できなければ意味がありませんわ」
「……一理あるわね。分かったわ」
「話が早くて助かります」
「夜狩りの準備をしてちょうだい」
姉さんはレイリーを呼ぶとそう言った。
僕の意思どころか存在自体忘れられているような話の流れに口を挟むことができなかった。
どうしよう……。
盛り上がる姉たちを濁った目で見つめ、僕は気が遠くなっていくのを感じた。
「リシュ様、おはようございます」
「あ、おはようございます……」
カルロッテ様の穏やかな微笑みがやけにまぶしく感じる。
既におはようの時間は過ぎていて少し恥ずかしかった僕は僅かに目を逸らしながら応えた。
「昨日はよく眠れましたか?」
「はい……。ご心配おかけしました」
カルロッテ様は微笑みながら、席に着いた僕の前に淹れたての紅茶を出してくれた。紅茶好きの姉さんのためにお茶を淹れる練習をしたらしい。その成果か、今では城で一番と言われるほどの腕前になった。
「いつもありがとうございます」
「とんでもない。わたしに出来ることはこれくらいですから」
いつも謙虚なカルロッテ様。一見、正反対の姉さんとは相性が悪いように見えるが、僕は二人が喧嘩したところを見たことがない。
「今日は珍しい茶葉が手に入ったんです。とても香りが良いんですよ」
「さっき姉さんが言ってました。とても楽しみです」
僕はカップを持ち上げると一口飲んだ。心地良い温度の液体が身体の中に馴染んでいく。
「寒い地域で栽培されている品種で春先にしか収穫出来ないそうです。あと──」
「これ、疲労にも効きますよね」
「え……」
僕はもう一度香りを確かめると微笑んだ。
「この茶葉は処理を変えれば薬草にもなるんです。確か疲労回復だったかな」
「でた! リシュの無駄な知識」
「無駄って……」
「エステラ言い過ぎよ」
僕の唯一と言っても良い特技の薬学の知識を馬鹿にされて、少しむくれる。
「疲労回復効果があると聞いてリシュ様をお茶に誘おうと言い出したんですよ」
誰が、と聞かなくても分かる。少しばつの悪そうな顔で僕の目の前に座っている姉さんが誤魔化すように紅茶をすすった。
僕は何も言わなかったが、口角が上がるのを抑えきることができずに結局姉さんに怒られた。
「はぁ~美味しかった~」
紅茶を飲み終え、お菓子も食べ終わると、エステラ姉さんは幸せそうにため息をついた。
その様子を見て、カルロッテ様も笑顔になる。この二人を包む空気はいつも温かい。
「ごちそうさまでした」
僕はカルロッテ様にお礼を言い、エステラ姉さんの方を向いた。
「姉さんも、ありがとう」
「どういたしまして」
素っ気ない返事とは裏腹に少しだけ安堵の表情が見え隠れした。姉さんのこういうところが好きだと思う。
「あー……、リシュ、今日はこの後何か予定はあるの?」
「今日は特に予定はないです」
「それは都合がよかったわ」
僕の返答に割って入る高い声。聞き覚えがあるその声の主は、中庭に隣接する建物の影から姿を現した。
「アリンダ……様」
シセルと同じ綺麗な金色の長い髪を片手で払いながら、ドレスの裾を優雅に捌きながら近づいてくる。
「ごきげんよう、リシュ様」
威圧的な態度の割には畏まったお辞儀をし、挨拶してくる。
どんな時もどんな相手に対しても敬意を払うことは忘れない。これはシセルの家の家訓だが、アリンダ様にもその家訓は完璧に受け継がれている。
「お、お久しぶりです……」
シセルの姉であり、伯爵家の次期当主であるアリンダ様はシセルのことを溺愛している。
女兄弟ばかりの伯爵家の中で唯一の男であるシセルが可愛がられるのは当然といえば当然なのだが、中でもアリンダ様の愛情が一際大きかった。
そんなこともあり、はっきり言うと僕はアリンダ様が苦手だった。それはエステラ姉さんも同じなようで、なるべく会わないように逃げ回っていた。
エステラ姉さんは「げっ」というあからさま顔をして動かなくなった。気の優しいカルロッテ様にアリンダ様の相手は出来ないだろうと、断腸の思いで僕が会話を続ける。
「今日はどんな御用で?」
「リシュ様、今日のご予定は?」
特に予定はない、という会話をばっちり聞かれているのは分かっている。もう一度念押しのように聞いてくる姿勢がやけに怖い。
「と、特にはないです……」
「あら、良かった。じゃあ少しお話していただけるかしら。実はね、とても愉快なお話を聞いたもので」
その『愉快なお話』には心当たりがある。そうであってくれるな、と願いながら相槌をうつ。
「はあ……」
「うちのシセルがリシュ様の『花』に決まったそうで」
嫌な予感は当たる。
ついでに、さっきからアリンダ様の目が怖い理由も分かってしまった。
「あ、……はい」
「シセルが手紙で知らせてくれてね。本来ならそちら側から連絡があって然るべきだと思うのだけど」
相手が王族であっても容赦しない。ぐうの音もでない正論に頭が痛くなってくる。
しかし、僕が自ら伯爵家に手紙を贈らなかったのには理由があった。他でもないシセルに止められたのだ。
僕がアリンダ様と合わないと思っていることをシセルは薄々気づいていて、更にアリンダ様が僕のことをよく思っていないことも分かっていた。それも踏まえて家への報告は俺からしておくと言われた。
そういった事情があるのだが、なにを言ってもアリンダ様には言い訳にしか聞こえないだろう。
「シセルの手紙には『花』になることを決めたと書かれていたの」
シセルからも直接聞いたが、未だに夢なんじゃないかと思っていた僕は、アリンダ様の口から聞いて顔が緩みそうになった。
危ない。
僕はギリギリで顔を取り繕うと神妙な顔に見えるように口を結んだ。
「シセルのことを大切に思うなら今回のことをお祝いしてあげるべきよね、分かってる」
「はあ」
「でも、わたくしの気持ちはどうなるの?」
アリンダ様の気持ちまで配慮しないといけないのかと、元気になったはずなのに眩暈がしてくる。そもそも『花』を決めたのは僕ではなくて神なのだ。そこには誰の力も介入していない。
「あの、」
今まで黙って聞いていたカルロッテ様が不意に口を開いた。
「もしかしてアリンダ様は寂しいんでしょうか?」
少しだけ天然なカルロッテ様は時々とんでもない爆弾を落とすことがある。場が一瞬にして冷え切った今が良い例だ。
「それでしたら心配ないですわ! 『花』になったからといって家族の絆が失われることはありません!」
自身の体験談からフォローを入れてくれているのは分かる。しかし今の状況では完全に悪手だ。みるみる顔を赤くしていくアリンダ様がそれを物語っている。
「そ、そういうことではなくて! わたくしは心配なのです!」
珍しく声を荒げる様子に、エステラ姉さんが我に返った。
「心配って? うちのリシュのどこに心配する要素があるの?」
あろうことか、姉さんもこの戦いに参戦してきた。
売り言葉に買い言葉で泥沼化してくる。
我ながら心配する要素だらけだと思わないでもないので返答に困っていた。が、この返しは良くない。
案の定、アリンダ様は少し興奮したように手を握り締めた。
「シセルと違ってリシュ様は頼りなさ過ぎますわ! 聞けば、狩りなども嗜まないようですし、いざという時に守られてばかりの人間につき従うなんて、命がいくつあっても足りません!」
「リシュが狩りが出来ないと誰が言ったの? 狩りくらいできますわ!」
「え、」
僕は狩りが嫌いだ。生きるためならいざ知らす、娯楽のために罪もない生き物を殺生するなんて理解できない。
シセルもそれには同意なようで、極力狩りへの参加は控えていた。それでも武芸を極める伯爵家の伝統の狩りには参加せざるを得ないからと、殺生をした後は必ず神に祈っていた。
「では是非見せていただきたいわ。いいかしら」
「もちろんよ!」
僕の答えも聞かずエステラ姉さんは即答する。こんなことになるなら固まったままでいてほしかった。
「では、そうですね。これからすぐにはどうでしょう?」
「今から? もうじき日が暮れるわ」
「ただの狩りでは実力が測りきれませんもの。不利な状況下でこそ力を発揮できなければ意味がありませんわ」
「……一理あるわね。分かったわ」
「話が早くて助かります」
「夜狩りの準備をしてちょうだい」
姉さんはレイリーを呼ぶとそう言った。
僕の意思どころか存在自体忘れられているような話の流れに口を挟むことができなかった。
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