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俺の世界!俺の時代!俺が通るぞ道を開けい!
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にゅいいいいいいいいん
最近流行りの電気自動車が、全開にアクセルを踏んで加速する時の音、あれにそっくりの音がした。マシーンの鼓動が鳴り響く。時空間を移動するために費やされるとてつもないエネルギーの脈拍が感じられる。鳥肌が立った。
「よしよし、今回も上出来だ。これならお前さんを向こうの世界まで安全に連れて行ってくれるだろう。」
「ジジイ、中を見ていいか?」
「おお、見ておけ見ておけ。ついでにそうだ、餞別としてこれもお前にやる。」
ジジイが差し出したのは、刃渡り30cm近い物騒なサバイバル・ナイフと、白い錠剤、ミネラルウォーターのペットボトル、そして見たこともない銘柄のウイスキーの瓶だった。
「なんだよこれ。どういう組み合わせだ?」
「まあもらえるものはもらっておけよ。そのくらいの賢さならお前にもあるだろ。」
「もちろん。当然全部もらうが、この白い薬は何だ?」
「これか、これはバイアグラだ。」
相変わらず面白いジジイだ。
「お前さんも・・・苦労したんだな。」俺は言った。
「まあな。お前さんの息子は今はギンギンのようだが、あっちの世界に行ってしまったらいつ栄養失調になるのかもわからんし、怪我をするかもしれん。だが、チャンスがあったら絶対にそれを逃すな。必ず射精しろ。この薬はそのためにお前に渡すんだ。輸入品だが、実によく効く。」
ジジイは自分の股間を指さして言った。ファスナーのあたりがもっこりしている。
「任しとけっての。玉がカラカラになるまでやってやるよ。」俺は言った。
「いい塩梅だ。そうこなくっちゃな。」
そしてジジイは急にクソまじめな顔になった。
「いいか、男なら、お前も男ならな、熱く熱く闘え。何があっても、どうなろうとも、息子をおっ勃てて元気よくやれ。瞬間瞬間を勢いで乗り切れ。お前なら必ず勝てる。つらいことがあっても、お前にはそれを乗り切る力がある。俺の男を見る目には狂いはない。信じている。」
突然、ジジイは俺の両頬をわしづかみにすると、俺の唇にキスをした。アツい唾液がなだれ込んできた。柔らかな感触がとても心地よかった。
「さあ、出発だ!乗れ!」
ジジイはこちらの顔も見ずにすぐ向こうへ歩いて行った。きっと恥ずかしかったに違いない。
「あのう、出発する前にちょっと・・・」
「なんだ?」ジジイが驚いた顔で俺を見た。
「ウンコに行かせてくれ・・・」
というわけで、俺はタイム・マシンに乗っている。出発直前にジジイが「今日は磁気旋風が激しいみたいだ、ちょっと揺れるかもしれん。これを持っていけ。」と渡してくれた吐き気止めを一気に10錠くらい飲んでさらに吐きそうになりながら、信じられないくらい上等なウイスキーをちびりちびりやっているところだ。
「断っておくがそれじゃ勃たねえぞ!」ジジイの最後の捨てぜりふだった。どこまでも面白い奴だ。
出発してから2時間ぐらいたつのに、まだお目当ての世界には行けてないらしい。まあいいや。俺はこれから人間世界の秩序がまるで失われた荒野の中で生きていかなければならない。そのために、ちょいと休んでおこう。
狭いコックピットの中で、俺は座席を倒して目をつむった。
なかなか興奮して寝付けなかった。俺の人生・・・これからどうなるんだろう?絶対に、間違いなく、これだけは言える。それは決して楽なものではないだろう、ということ。だが、もう一つ、これも絶対に言える。「俺の人生はこれから、ますます面白くなる。」
自然の中でのセックス。池のほとりでの交合。なんて、なんて素敵なんだろう。向こうには女たちがいる。俺を待ち焦がれながら、睾丸の風呂に入ったり、男根石を崇め奉ったりしながら、生き残った男がいないか、血眼で探し回っている。待ってろ、俺が行ってやる。一人残らず可愛がってやるから。
バイアグラを飲んでいないのに、もう俺は勃起してきた。たまらなくなって俺はシコろうとした。が、辞めといた。人類史上初のタイム・マシンの中でシコった男になりたかったが、きたる時まできちんと禁欲をしておこうと思ったのだ。
ウイスキーの酔いが回ってきた。いつのまにか俺は寝ていた。
気がつくと、あたりは白い光に包まれていた。懐かしい。太陽の光だ。久しぶりだった。なにそろ俺はずっとジジイの屋敷にいたのだから。
厚いアクリル板で仕切られた小さな窓から外を覗く。そこには衝撃の風景が広がっていた。開いた口が塞がらない。
すべてが植物に覆われていた。ひび割れた赤い煉瓦の建物が、つると雑草に覆われてまるっきり緑色になっている。植物は意気揚々としていた。今まで奪われたものを取り返そうと意気込んでいる命の輝きだった。あの赤煉瓦の建物、見覚えがある。あれは丸の内駅舎じゃないか?ここは、東京だ!着いたんだ!ついに着いた!!
急いで着替える。サバイバル・ナイフを腰に差して、ミネラルウォーターとバイアグラとウイスキーをリュックに入れた。そして、ここぞという時のために自分が持ち歩いていた、秘密のポーチを出した。そこには、制汗剤と香水、爪切り、ワックス、そしてコンドームが入っている。俺は制汗剤と香水を自分のムサい体にふりかけ、ワックスでガチガチにキメた。コンドームは・・・こいつは捨てていこう。
さあ、出発だ!俺の世界!俺の時代!新たなステージの幕開けだ!!
コックピットを開けると、嗅いだこともない爽やかな風が流れ込んできた。
最近流行りの電気自動車が、全開にアクセルを踏んで加速する時の音、あれにそっくりの音がした。マシーンの鼓動が鳴り響く。時空間を移動するために費やされるとてつもないエネルギーの脈拍が感じられる。鳥肌が立った。
「よしよし、今回も上出来だ。これならお前さんを向こうの世界まで安全に連れて行ってくれるだろう。」
「ジジイ、中を見ていいか?」
「おお、見ておけ見ておけ。ついでにそうだ、餞別としてこれもお前にやる。」
ジジイが差し出したのは、刃渡り30cm近い物騒なサバイバル・ナイフと、白い錠剤、ミネラルウォーターのペットボトル、そして見たこともない銘柄のウイスキーの瓶だった。
「なんだよこれ。どういう組み合わせだ?」
「まあもらえるものはもらっておけよ。そのくらいの賢さならお前にもあるだろ。」
「もちろん。当然全部もらうが、この白い薬は何だ?」
「これか、これはバイアグラだ。」
相変わらず面白いジジイだ。
「お前さんも・・・苦労したんだな。」俺は言った。
「まあな。お前さんの息子は今はギンギンのようだが、あっちの世界に行ってしまったらいつ栄養失調になるのかもわからんし、怪我をするかもしれん。だが、チャンスがあったら絶対にそれを逃すな。必ず射精しろ。この薬はそのためにお前に渡すんだ。輸入品だが、実によく効く。」
ジジイは自分の股間を指さして言った。ファスナーのあたりがもっこりしている。
「任しとけっての。玉がカラカラになるまでやってやるよ。」俺は言った。
「いい塩梅だ。そうこなくっちゃな。」
そしてジジイは急にクソまじめな顔になった。
「いいか、男なら、お前も男ならな、熱く熱く闘え。何があっても、どうなろうとも、息子をおっ勃てて元気よくやれ。瞬間瞬間を勢いで乗り切れ。お前なら必ず勝てる。つらいことがあっても、お前にはそれを乗り切る力がある。俺の男を見る目には狂いはない。信じている。」
突然、ジジイは俺の両頬をわしづかみにすると、俺の唇にキスをした。アツい唾液がなだれ込んできた。柔らかな感触がとても心地よかった。
「さあ、出発だ!乗れ!」
ジジイはこちらの顔も見ずにすぐ向こうへ歩いて行った。きっと恥ずかしかったに違いない。
「あのう、出発する前にちょっと・・・」
「なんだ?」ジジイが驚いた顔で俺を見た。
「ウンコに行かせてくれ・・・」
というわけで、俺はタイム・マシンに乗っている。出発直前にジジイが「今日は磁気旋風が激しいみたいだ、ちょっと揺れるかもしれん。これを持っていけ。」と渡してくれた吐き気止めを一気に10錠くらい飲んでさらに吐きそうになりながら、信じられないくらい上等なウイスキーをちびりちびりやっているところだ。
「断っておくがそれじゃ勃たねえぞ!」ジジイの最後の捨てぜりふだった。どこまでも面白い奴だ。
出発してから2時間ぐらいたつのに、まだお目当ての世界には行けてないらしい。まあいいや。俺はこれから人間世界の秩序がまるで失われた荒野の中で生きていかなければならない。そのために、ちょいと休んでおこう。
狭いコックピットの中で、俺は座席を倒して目をつむった。
なかなか興奮して寝付けなかった。俺の人生・・・これからどうなるんだろう?絶対に、間違いなく、これだけは言える。それは決して楽なものではないだろう、ということ。だが、もう一つ、これも絶対に言える。「俺の人生はこれから、ますます面白くなる。」
自然の中でのセックス。池のほとりでの交合。なんて、なんて素敵なんだろう。向こうには女たちがいる。俺を待ち焦がれながら、睾丸の風呂に入ったり、男根石を崇め奉ったりしながら、生き残った男がいないか、血眼で探し回っている。待ってろ、俺が行ってやる。一人残らず可愛がってやるから。
バイアグラを飲んでいないのに、もう俺は勃起してきた。たまらなくなって俺はシコろうとした。が、辞めといた。人類史上初のタイム・マシンの中でシコった男になりたかったが、きたる時まできちんと禁欲をしておこうと思ったのだ。
ウイスキーの酔いが回ってきた。いつのまにか俺は寝ていた。
気がつくと、あたりは白い光に包まれていた。懐かしい。太陽の光だ。久しぶりだった。なにそろ俺はずっとジジイの屋敷にいたのだから。
厚いアクリル板で仕切られた小さな窓から外を覗く。そこには衝撃の風景が広がっていた。開いた口が塞がらない。
すべてが植物に覆われていた。ひび割れた赤い煉瓦の建物が、つると雑草に覆われてまるっきり緑色になっている。植物は意気揚々としていた。今まで奪われたものを取り返そうと意気込んでいる命の輝きだった。あの赤煉瓦の建物、見覚えがある。あれは丸の内駅舎じゃないか?ここは、東京だ!着いたんだ!ついに着いた!!
急いで着替える。サバイバル・ナイフを腰に差して、ミネラルウォーターとバイアグラとウイスキーをリュックに入れた。そして、ここぞという時のために自分が持ち歩いていた、秘密のポーチを出した。そこには、制汗剤と香水、爪切り、ワックス、そしてコンドームが入っている。俺は制汗剤と香水を自分のムサい体にふりかけ、ワックスでガチガチにキメた。コンドームは・・・こいつは捨てていこう。
さあ、出発だ!俺の世界!俺の時代!新たなステージの幕開けだ!!
コックピットを開けると、嗅いだこともない爽やかな風が流れ込んできた。
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