契約結婚~彼には愛する人がいる~

よしたけ たけこ

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番外編 アーネストのその後

プロローグ

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「はぁ、はぁ、はぁ・・・」


もう1年近くも歩き、取り敢えずは国境を目指している。

騎乗することも、馬車に乗ることもせずに、宿にも泊まらずに野宿をしながら歩いている。

身分を捨てて、誰にも気付かれないように、足跡を辿れないようにするために。

アリスもエレンも、いつの間にかそれぞれの幸せを見つけた。

俺は、どうしてこうなってしまったのだろう。

一途に愛していたはずだった。

心から大切に思っていたはずだった。

全て失ってしまったようで、俺は全てがどうでも良くなった。

何もかも捨ててしまいたかった。

だからネイサンに爵位を継承したあと、俺はひっそりと邸を出た。

〇〇〇

そして今日も歩きながら、考える。

俺は、アリスの事を心から愛していた。
ずっと、アリスが目覚める日を信じて待ち続けた。

だけど、そんな俺を心配する両親の気持ちを無視する事も出来なかった。

せめてもと。
俺が跡を継ぐ事を望む両親の願いを叶えるため、契約結婚をした。

単なる契約関係だったはずなのに、気付けばエレンに惹かれてしまっていた。

だけど俺は自分の心変わりを認める事ができず、アリスを見捨てる事も出来なかった。

そんな中途半端な俺は、結局どちらも失ってしまった。


どこで間違えた?
どうすれば失わずにすんだ?


何度も繰り返し考えるが、答えは出ない。


王都を出てから、いくつもの領地を越えてきた。
そろそろだと思うが。
国境までは、あとどれくらいだろうか。



そうして歩き続ける俺の目の前に現れたのは、二手に分かれた道。
やっとここまで来たか。

この道を右へ進むか、左へ進むか。
どちらの道も別の国へと繋がる道だ。

どちらの国へ向かうべきか。

右に進んだ先の国は、小さいながらも安定した統治が続いている穏やかな国だ。
左に進んだ先の国は、内戦が続いており荒れているが身分を隠していても気にする者はいないだろう。


果たして、どちらに進むべきなのか。
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