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第28話 side アリス
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今日はアーネストとの結婚式。
王都で一番大きな教会で、本当に沢山の人がお祝いに来てくれている。
かつての友人達も、控え室に挨拶に来てくれた。
そして、アーネストも式の前に会いに来てくれている。
「綺麗だよ、アリス。」
「ありがとう、アーネスト。あなたも素敵よ。」
私のドレス姿を見て、綺麗だと言ったとき、微かに悲しそうな顔をした。
その顔に、私はある人の事が頭をよぎった。
○○○
アーネストと結婚していた女性。
その人の事は、アーネストのプロポーズを受けたときに聞いた。
爵位のために契約結婚した女性。
彼女との間には何もなく、白い結婚だったらしい。
そして後継者として養子を迎えたと。
私が目覚めてすぐに離婚は成立している。
ただの契約相手であり、そこに愛はないと言っていた。
両親も、それは間違いないと言っていた。
どんなときも、アーネストの最優先は私だったと。
だけど、私はショックだった。
愛がないとしても、彼は他の人と結婚していた。
そして、いとも簡単に離婚した。
そんな事、簡単にできてしまうの?
彼は、愛しているのは私だから、なんの心配もいらないと言った。
まるで、何でもないことかのように。
え?これは当たり前のことなの?
結婚は愛する人とするものでしょう?
私がおかしいの?
アーネスト、あなたはそんな事が出来る人だった?
あなたは本当に、あのアーネストなの?
だけど・・・。
私だけを残して、周りは何もかもが変わってしまった。
もしもアーネストとの結婚を拒んだら、その後私はどうするの?
アーネストとの結婚以外の未来なんて、考えたこともないのに。
突きつけられる現実に、追いつくことが出来ない私は、結局そのまま結婚することにした。
だけど、何度も何度も心が揺らいだ。
本当に結婚してしまって良いのかと。
例えば、養子のネイサンに初めて会ったとき。
「あなたがネイサンね。これからよろしくね。」
「はい・・・お義母様。」
一瞬のためらいに、彼女の事がよぎる。
アーネストの話では、ネイサンは彼女の事を名前で呼んでいたと言っていた。
だから、ネイサンの義母は間違いなく私だけだと。
本当にそうなの?ネイサンの中では、彼女だけが義母なのではないの?
そう思ってアーネストを見ると、彼はじっと飾られている花を見つめていた。
ねぇ、今あなたは誰のことを想っているの?
それに、やっぱり18年という月日は彼を変えてしまっていた。
彼は、私が知る18歳のアーネストではない。
私が眠っている18年の間に色々な経験をして、大人の男性になった。
少し大人ぶった顔をするようになったのに、照れると耳を赤くしていた、可愛いあなたはもういない。
私だけが18歳のままで、彼は一人で先に大人になってしまった。
私は今の彼を愛してる?
あなたは、何も変わっていない私を愛してる?
それでもやっぱり、私は彼から離れられなかった。
そして今日、完全に逃げられなくなった。
○○○
私が侯爵家に嫁いでから、お義母様が領地から来てくれて侯爵夫人としての仕事を教えてくれた。
お義母様のことは昔から知っているから、私としては嬉しかったのだけど。
1ヶ月程度で、「もう大丈夫ね」と言って領地へ帰ってしまわれた。
私には昔と変わらず優しくしてくれたけれど、やっぱりふとした瞬間に他の人の事を考えていると分かった。
そんな時は、お義母様も飾られている花を見つめていた。
悲しそうな、寂しそうな、そんな顔をして。
アーネストも、ネイサンも、使用人達も。
みんながみんな、邸に飾られている花をみては悲しそうな、寂しそうな顔をする。
分かってるわ。きっとそういうとき、彼女の事を考えているのでしょう?
私は、いつのまにか花が嫌いになってしまった。
それでも何とか侯爵夫人として過ごしてきた。
暗い顔なんてみせずに、いつも明るく過ごした。
アーネストとネイサンと、家族になれるように。
そして今日、ネイサンが魔法学園の寮へ入るため、邸を出て行った。
ついに、アーネストと二人きりになってしまった。
愛し合っているはずなのに、私とアーネストの間には距離を感じる。
そして彼はまた、花を見ている。
「・・・行ってしまったわね。寂しくなるわ。」
そっと声をかけると、彼と目が合った。
「そうだな。まぁ、長期休暇には帰ってくるさ。」
「そうね。」
これから先、本当に上手くやっていけるだろうか。
彼女の気配を残すこの邸で。
でも、もう逃げられない。
私とアーネストの事は、まるで物語のようだと世間では人気なのだそうだ。
小説にされたり、近々演劇まで作られるそうだ。
王国で一番有名な夫婦となった私たちは、逃げられない。
王都で一番大きな教会で、本当に沢山の人がお祝いに来てくれている。
かつての友人達も、控え室に挨拶に来てくれた。
そして、アーネストも式の前に会いに来てくれている。
「綺麗だよ、アリス。」
「ありがとう、アーネスト。あなたも素敵よ。」
私のドレス姿を見て、綺麗だと言ったとき、微かに悲しそうな顔をした。
その顔に、私はある人の事が頭をよぎった。
○○○
アーネストと結婚していた女性。
その人の事は、アーネストのプロポーズを受けたときに聞いた。
爵位のために契約結婚した女性。
彼女との間には何もなく、白い結婚だったらしい。
そして後継者として養子を迎えたと。
私が目覚めてすぐに離婚は成立している。
ただの契約相手であり、そこに愛はないと言っていた。
両親も、それは間違いないと言っていた。
どんなときも、アーネストの最優先は私だったと。
だけど、私はショックだった。
愛がないとしても、彼は他の人と結婚していた。
そして、いとも簡単に離婚した。
そんな事、簡単にできてしまうの?
彼は、愛しているのは私だから、なんの心配もいらないと言った。
まるで、何でもないことかのように。
え?これは当たり前のことなの?
結婚は愛する人とするものでしょう?
私がおかしいの?
アーネスト、あなたはそんな事が出来る人だった?
あなたは本当に、あのアーネストなの?
だけど・・・。
私だけを残して、周りは何もかもが変わってしまった。
もしもアーネストとの結婚を拒んだら、その後私はどうするの?
アーネストとの結婚以外の未来なんて、考えたこともないのに。
突きつけられる現実に、追いつくことが出来ない私は、結局そのまま結婚することにした。
だけど、何度も何度も心が揺らいだ。
本当に結婚してしまって良いのかと。
例えば、養子のネイサンに初めて会ったとき。
「あなたがネイサンね。これからよろしくね。」
「はい・・・お義母様。」
一瞬のためらいに、彼女の事がよぎる。
アーネストの話では、ネイサンは彼女の事を名前で呼んでいたと言っていた。
だから、ネイサンの義母は間違いなく私だけだと。
本当にそうなの?ネイサンの中では、彼女だけが義母なのではないの?
そう思ってアーネストを見ると、彼はじっと飾られている花を見つめていた。
ねぇ、今あなたは誰のことを想っているの?
それに、やっぱり18年という月日は彼を変えてしまっていた。
彼は、私が知る18歳のアーネストではない。
私が眠っている18年の間に色々な経験をして、大人の男性になった。
少し大人ぶった顔をするようになったのに、照れると耳を赤くしていた、可愛いあなたはもういない。
私だけが18歳のままで、彼は一人で先に大人になってしまった。
私は今の彼を愛してる?
あなたは、何も変わっていない私を愛してる?
それでもやっぱり、私は彼から離れられなかった。
そして今日、完全に逃げられなくなった。
○○○
私が侯爵家に嫁いでから、お義母様が領地から来てくれて侯爵夫人としての仕事を教えてくれた。
お義母様のことは昔から知っているから、私としては嬉しかったのだけど。
1ヶ月程度で、「もう大丈夫ね」と言って領地へ帰ってしまわれた。
私には昔と変わらず優しくしてくれたけれど、やっぱりふとした瞬間に他の人の事を考えていると分かった。
そんな時は、お義母様も飾られている花を見つめていた。
悲しそうな、寂しそうな、そんな顔をして。
アーネストも、ネイサンも、使用人達も。
みんながみんな、邸に飾られている花をみては悲しそうな、寂しそうな顔をする。
分かってるわ。きっとそういうとき、彼女の事を考えているのでしょう?
私は、いつのまにか花が嫌いになってしまった。
それでも何とか侯爵夫人として過ごしてきた。
暗い顔なんてみせずに、いつも明るく過ごした。
アーネストとネイサンと、家族になれるように。
そして今日、ネイサンが魔法学園の寮へ入るため、邸を出て行った。
ついに、アーネストと二人きりになってしまった。
愛し合っているはずなのに、私とアーネストの間には距離を感じる。
そして彼はまた、花を見ている。
「・・・行ってしまったわね。寂しくなるわ。」
そっと声をかけると、彼と目が合った。
「そうだな。まぁ、長期休暇には帰ってくるさ。」
「そうね。」
これから先、本当に上手くやっていけるだろうか。
彼女の気配を残すこの邸で。
でも、もう逃げられない。
私とアーネストの事は、まるで物語のようだと世間では人気なのだそうだ。
小説にされたり、近々演劇まで作られるそうだ。
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