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第27話 side アリス
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「アリス、今日も変わりはなかったかい?」
・・・ん?なんだか聞き覚えのある声で呼ばれたような。
そっと目を開ける。
誰かが私の手を握っている。・・・誰?
えっと・・・もしかして・・・
「・・・・・・アーネスト?」
なんだか声が上手く出せなかったけど、なんとか声が出せた。
と、思ったら手を握っている人が勢いよくこちらを見る。
やっぱりアーネストね。もの凄く驚いた顔をしてる。
ちょっと面白い。だけど・・・
「私、どうしてベッドにいるの・・・?たしか・・・学園で・・・」
そう言いかけたところで、突然アーネストに抱きしめられる。
「アリス・・・アリス・・・夢ならどうか覚めないでくれ・・・」
え?なに?この反応?しかも泣いてる?
「ちょ、ちょっと、アーネスト?どうしたの?どうして泣いてるの?」
アーネストにきつく抱きしめられながら、訳が分からず混乱していると。
お父様やお母様、使用人達も部屋に慌てた様子で入ってきた。
ようやくアーネストに解放されたのだけど・・・
え?なに?
どうして皆、そんなに泣いているの?余計に訳が分からない。
それにしても・・・
「なんか、アーネスト老けた?お父様もお母様も・・・皆して急に老けた・・・?」
○○○
あの後、お医者さんの診察を受けた。
いろいろ質問されたり、体のあちこちを魔法で調べたりしてたみたい。
診察が終わった後にアーネストと両親と4人で話したのだけど。
私、18年も眠ってたんだって!
そりゃ皆して老けてるはずよね。
私の記憶では、学園に魔物が現れて大変だーってなった辺りで途切れてる。
アーネストの話では、そのあと魔物と戦ってる時にアーネストを庇って魔物の攻撃を受けたらしい。
覚えていないけど、その方が良かったかもしれない。
だって恐ろしいもの。
その後はずっと眠ったままだったそうだ。
どうして急に目が覚めたのかは、誰にも分からないみたい。
私にも聞かれたけれど、何も覚えてない。
突然、アーネストの声が聞こえたとしか言い様がない。
しばらく話して、翌日にも少し話しをしてから、アーネストは侯爵家へ帰っていった。
しかし、18年て。アーネストは36歳だなんて、ビックリ。
・・・奥さんとか、子どもとか・・・いるのかな?
何だか怖くて聞けなかった。
それからしばらくの間、アーネストは姿を見せなかった。
「お母様、あのね、アーネストって・・・」
誰かと結婚しているの?
そう聞きたいのに、怖くて聞けない。
「アーネストがどうしたの?」
「・・・あれっきり来ないから、どうしてるのかなって。」
結局、質問を変えた。でも、お母様の顔が一瞬曇ったような気がする。
「仕事が忙しいのよ、きっと。いつも、あなたに会いに来るために仕事を調整していたみたいだから。」
「そうなの・・・。仕事かぁ。私、これからどうしたらいいのかなぁ。」
働いたこともなく18年も眠っていた私。
かつての同級生も友達も、皆すっかり大人になっているわ。
それこそ、家庭をもったり。
「貴方の好きなようにしていいのよ。ずっとこの家に居てもいいし。・・・結婚してもいいのよ。」
私の好きなように・・・。
本当なら、もうすぐアーネストと結婚するはずだった。
そしてアーネストとの子どもを産んで。
そう、子どもを二人は産んで、一人は公爵家を継がせる。
そのはずだった。
・・・それしか考えていなかった。
アーネストと結婚する以外の未来なんて、考えたこともない。
だけど、もう無理なのかな・・・。
考え込んでいたら、アーネストが来たみたい。
「公爵夫人、アリスに話があるので、外して頂けますか?」
お母様が私の手を一度そっと握ってから、部屋を出て行った。
そして、アーネストが私の前に片膝をついた。
「え?」
そっと私の手をとって
「アリス、ずっと君が目覚めるのを待っていた。私と結婚してくれますか?」
思わず涙が溢れる。
「はい。」
アーネストに抱きしめられる。
良かった。アーネストは18年経っても変わってなかったのね。
・・・ん?なんだか聞き覚えのある声で呼ばれたような。
そっと目を開ける。
誰かが私の手を握っている。・・・誰?
えっと・・・もしかして・・・
「・・・・・・アーネスト?」
なんだか声が上手く出せなかったけど、なんとか声が出せた。
と、思ったら手を握っている人が勢いよくこちらを見る。
やっぱりアーネストね。もの凄く驚いた顔をしてる。
ちょっと面白い。だけど・・・
「私、どうしてベッドにいるの・・・?たしか・・・学園で・・・」
そう言いかけたところで、突然アーネストに抱きしめられる。
「アリス・・・アリス・・・夢ならどうか覚めないでくれ・・・」
え?なに?この反応?しかも泣いてる?
「ちょ、ちょっと、アーネスト?どうしたの?どうして泣いてるの?」
アーネストにきつく抱きしめられながら、訳が分からず混乱していると。
お父様やお母様、使用人達も部屋に慌てた様子で入ってきた。
ようやくアーネストに解放されたのだけど・・・
え?なに?
どうして皆、そんなに泣いているの?余計に訳が分からない。
それにしても・・・
「なんか、アーネスト老けた?お父様もお母様も・・・皆して急に老けた・・・?」
○○○
あの後、お医者さんの診察を受けた。
いろいろ質問されたり、体のあちこちを魔法で調べたりしてたみたい。
診察が終わった後にアーネストと両親と4人で話したのだけど。
私、18年も眠ってたんだって!
そりゃ皆して老けてるはずよね。
私の記憶では、学園に魔物が現れて大変だーってなった辺りで途切れてる。
アーネストの話では、そのあと魔物と戦ってる時にアーネストを庇って魔物の攻撃を受けたらしい。
覚えていないけど、その方が良かったかもしれない。
だって恐ろしいもの。
その後はずっと眠ったままだったそうだ。
どうして急に目が覚めたのかは、誰にも分からないみたい。
私にも聞かれたけれど、何も覚えてない。
突然、アーネストの声が聞こえたとしか言い様がない。
しばらく話して、翌日にも少し話しをしてから、アーネストは侯爵家へ帰っていった。
しかし、18年て。アーネストは36歳だなんて、ビックリ。
・・・奥さんとか、子どもとか・・・いるのかな?
何だか怖くて聞けなかった。
それからしばらくの間、アーネストは姿を見せなかった。
「お母様、あのね、アーネストって・・・」
誰かと結婚しているの?
そう聞きたいのに、怖くて聞けない。
「アーネストがどうしたの?」
「・・・あれっきり来ないから、どうしてるのかなって。」
結局、質問を変えた。でも、お母様の顔が一瞬曇ったような気がする。
「仕事が忙しいのよ、きっと。いつも、あなたに会いに来るために仕事を調整していたみたいだから。」
「そうなの・・・。仕事かぁ。私、これからどうしたらいいのかなぁ。」
働いたこともなく18年も眠っていた私。
かつての同級生も友達も、皆すっかり大人になっているわ。
それこそ、家庭をもったり。
「貴方の好きなようにしていいのよ。ずっとこの家に居てもいいし。・・・結婚してもいいのよ。」
私の好きなように・・・。
本当なら、もうすぐアーネストと結婚するはずだった。
そしてアーネストとの子どもを産んで。
そう、子どもを二人は産んで、一人は公爵家を継がせる。
そのはずだった。
・・・それしか考えていなかった。
アーネストと結婚する以外の未来なんて、考えたこともない。
だけど、もう無理なのかな・・・。
考え込んでいたら、アーネストが来たみたい。
「公爵夫人、アリスに話があるので、外して頂けますか?」
お母様が私の手を一度そっと握ってから、部屋を出て行った。
そして、アーネストが私の前に片膝をついた。
「え?」
そっと私の手をとって
「アリス、ずっと君が目覚めるのを待っていた。私と結婚してくれますか?」
思わず涙が溢れる。
「はい。」
アーネストに抱きしめられる。
良かった。アーネストは18年経っても変わってなかったのね。
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