愛する人と結婚して幸せになると思っていた

side ダニエル

第四話

！！！！！！！！！
近親相姦の話が出てきます。
R18な話ではございませんが、苦手な方は飛ばしてください！
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父がかつて愛した女性。

名前はアリシア。

アリシアは生まれてすぐに教会の前に置き去りにされた。
その後、孤児院で育った彼女は３歳の時に、近くの街で生花店を営む夫婦に引き取られた。

その夫婦の愛情を受けて、アリシアはすくすく成長した。彼女が１５歳のとき、家族とともに王都の街に引っ越し、新しい生花店を家族３人で営みはじめた。

アリシアが１7歳になったころ、たまたま街へお忍びで遊びに来ていた俺の父、アレックスと出会う。

そして、一目で恋に落ちたアレックスとアリシアは恋人同士になった。
しかし、二人の幸せは長くは続かなかった。

アレックスは侯爵家と縁を切ってアリシアと結婚したいと父親に申し出た。
しかし、頑なにアリシアと一緒になることに強く反対する父親に対して、「認めなくてもいい。このままクーガー家から出て行く」と訴えた。

そこでアレックスの父親が、仕方なく隠された事実を打ち明けた。

○○○

俺の祖父には弟と妹がいた。
祖父は特に妹を溺愛していた。それは異常なまでに。

祖父が祖母と結婚し、祖母が第一子を妊娠したころ、妹に婚約者ができた。

妹が嫁ぐことがどうしても許せず、ある日。祖父は禁忌をおかした。

妹はショックのあまり引きこもり、婚約は解消された。
そして妹は人知れず女の子を出産し、そのまま息を引き取った。

女の子は王都から離れた、ある街の教会の前に置き去りにされた。
その女の子こそが、アリシアだったのだ。

そうして何の因果か・・・
お互いが兄妹だとは知らぬまま、アリシアとアレックスは恋に落ちてしまったのだ。

○○○

アレックスは当然信じられなかった。
厳格な父が、人として許されない事をしたなんて。
そして、そんな父親と同じように自分も知らなかったとはいえ、血を分けた妹を一人の女性として愛してしまったなんて。


しかし、それは紛れもない事実。これ以上の過ちは許されない。
心を引きちぎられるような痛みを感じながらも、アリシアと別れることにした。

もちろん、アリシアにこんなことは知らせたくない。
アリシアには、「ただの遊びだった。本気にするなんて思ってなかった。侯爵家の跡取りが家を捨てるはずがないだろう？」と一方的に別れを告げた。


しかし、その時すでにアリシアのお腹にはアレックスとのこどもが宿っていた。
隠された事実を知らないアリシアは、そのまま女の子を出産した。

アリシアは結婚することなく、両親とともに娘を育てた。
そして最近、アリシアは病気でこの世を去った。娘をひとり残して。

アリシアは亡くなる直前に、ひとりで残していく娘を心配して、父に自分の娘の支援をしてもらえないかと手紙を送ってきたのだ。


父はその手紙を読んで愕然とした。まさか自分とアリシアの間にこどもがいたなんて。
茫然自失となっていた所に、何も知らない母がやってきてその手紙を見てしまったそうだ。

俺は父から聞かされる事実に吐き気を催した。
あまりの衝撃に、数日学院を休み自室にひきこもってしまった。