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第8話 77
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蝉が鳴いている。
俺だって泣きたいわ。
今春斗さんに誘われて都内にいる。
まぁ、電車で約20分そこから徒歩で向かっている。
片手にはスマホを持ち、
地図アプリと睨めっこの状態だ。
「―――――――どこや?」
マジ分からん。
ていうか今何℃だ?
ちかくの電子モニターに今日の天気予報が表示されている。
『本日は降水確率0%となっており
暖かい日が続くでしょう。
お出かけの際には熱中症に気をつけて
こまめに水分補給を心がけてください』
それを見ながらカバンから先ほどかった
ミネラルウォーターを飲む。
てか、暖かい日ってなんぞ?
40℃って暖かいっていうの?
そんな誰に言っても意味のない愚痴を心の中でつぶやき
また地図を見た。
「もう少しだと思うんだけどな…」
こんなことなら春斗さんの言葉に甘えて
迎えに来てもらうんだった。
絶対徒歩10分って嘘だよ。
だって俺もう20分以上歩いてるぜ?
ブッブッブッブッブッ
スマホに着信があった。
地図の画面を押しのけて
春斗さんからの着信だ。
『大吾くん、今どんな感じだい?
確かもう駅にはついてるよね?』
「はい、着いたんですが、やっぱり道が分からなくて…」
もう恥じも糞もない
このまま干からびるくらいならおとなしく道を聞こう。
というか、待たせてるのも俺だしね。
『ははは、最初はわかりにくいからね。
今どの辺かわかるかな?』
そういわれ俺は周りと見渡した。
特に代わり映えのない建物が多く
何か目印になるものはないだろうか。
「えーっとですね。
あ、梅屋が近くにありますよ」
――――梅屋。
愛すべき牛丼のお店だ。
『え?梅屋?
…………もしかして逆方向に進んでない?』
「―――――――は!?」
嘘だろ!?
ちゃんと地図見たぞ!?
『あ~あれだね。
最寄駅の近くに銀行が二つあるから
間違えちゃったんじゃないかな?』
「すいません、
すぐに駅まで戻ります…」
『うん、その方がいいね。
一応券売機の所で待ってるからさ
ゆっくりでいいから慌てないようにね」
「はい!
ありがとう御座います」
電話を切り、深呼吸をする。
うし、
走るか。
ゆっくりでいいと言ってくれているが、
予定時間を越えているのだ。
俺は走って駅まで行き、
近くで止まり息を整えた。
そこから駅の券売機の方へ向かう。
いた。
「お、こうやってリアルで会うのは初めてだね。
大吾君」
アバターと同じ顔だからこういう時はすぐに分かるものだ。
春斗さんはゲームと同じく
イケメンだった。
しかも身長は180近くあり、程よい筋肉もついているようだ。
眼鏡をしているが、いつもゲーム上で会っているアーシェスそのものだ。
「春斗さん、遅くなってすいませんでした」
「大丈夫、大丈夫、元々こっちの都合で声掛けてたからね
全然気にしないで」
くそ、マジいい人だな。
調子に乗らないように気をつけよう。
「…ありがとう御座います」
「よし、じゃあ、行こうか」
そうして俺は春斗さんの後ろをついて行き、
歩き出した。
あぁ、こっちだったか。
惜しかったな
本当に5分程度歩いたところで
あるビルの前で止まった。
「ここの5階だ。
エレベーターで行こう」
「はい、分かりました」
今更だが緊張してきた。
春斗さんが所属している事務所77。
77と書いて「なな」と読むらしい。
調べてみたが、アーシェスさんをはじめ多くの
配信者が所属している事務所だ。
春斗さんの用にリアルスキンを使い
アバターで配信している人が多くわりに
美男美女が多い。
やはり顔って大切だよなって思った。
春斗さんはこの事務所でチャンネル登録者No1なのだ。
マジびっくりだぜ。
まぁ、顔もよくゲームスキルも高いからそりゃ
数字も上がるだろうね。
エレベーターが5Fに着き
電子音と共にドアが開く。
「ようこそ、[77]へ。
歓迎するよ、大吾くん」
春斗さんがこちらを見てそういった。
俺だって泣きたいわ。
今春斗さんに誘われて都内にいる。
まぁ、電車で約20分そこから徒歩で向かっている。
片手にはスマホを持ち、
地図アプリと睨めっこの状態だ。
「―――――――どこや?」
マジ分からん。
ていうか今何℃だ?
ちかくの電子モニターに今日の天気予報が表示されている。
『本日は降水確率0%となっており
暖かい日が続くでしょう。
お出かけの際には熱中症に気をつけて
こまめに水分補給を心がけてください』
それを見ながらカバンから先ほどかった
ミネラルウォーターを飲む。
てか、暖かい日ってなんぞ?
40℃って暖かいっていうの?
そんな誰に言っても意味のない愚痴を心の中でつぶやき
また地図を見た。
「もう少しだと思うんだけどな…」
こんなことなら春斗さんの言葉に甘えて
迎えに来てもらうんだった。
絶対徒歩10分って嘘だよ。
だって俺もう20分以上歩いてるぜ?
ブッブッブッブッブッ
スマホに着信があった。
地図の画面を押しのけて
春斗さんからの着信だ。
『大吾くん、今どんな感じだい?
確かもう駅にはついてるよね?』
「はい、着いたんですが、やっぱり道が分からなくて…」
もう恥じも糞もない
このまま干からびるくらいならおとなしく道を聞こう。
というか、待たせてるのも俺だしね。
『ははは、最初はわかりにくいからね。
今どの辺かわかるかな?』
そういわれ俺は周りと見渡した。
特に代わり映えのない建物が多く
何か目印になるものはないだろうか。
「えーっとですね。
あ、梅屋が近くにありますよ」
――――梅屋。
愛すべき牛丼のお店だ。
『え?梅屋?
…………もしかして逆方向に進んでない?』
「―――――――は!?」
嘘だろ!?
ちゃんと地図見たぞ!?
『あ~あれだね。
最寄駅の近くに銀行が二つあるから
間違えちゃったんじゃないかな?』
「すいません、
すぐに駅まで戻ります…」
『うん、その方がいいね。
一応券売機の所で待ってるからさ
ゆっくりでいいから慌てないようにね」
「はい!
ありがとう御座います」
電話を切り、深呼吸をする。
うし、
走るか。
ゆっくりでいいと言ってくれているが、
予定時間を越えているのだ。
俺は走って駅まで行き、
近くで止まり息を整えた。
そこから駅の券売機の方へ向かう。
いた。
「お、こうやってリアルで会うのは初めてだね。
大吾君」
アバターと同じ顔だからこういう時はすぐに分かるものだ。
春斗さんはゲームと同じく
イケメンだった。
しかも身長は180近くあり、程よい筋肉もついているようだ。
眼鏡をしているが、いつもゲーム上で会っているアーシェスそのものだ。
「春斗さん、遅くなってすいませんでした」
「大丈夫、大丈夫、元々こっちの都合で声掛けてたからね
全然気にしないで」
くそ、マジいい人だな。
調子に乗らないように気をつけよう。
「…ありがとう御座います」
「よし、じゃあ、行こうか」
そうして俺は春斗さんの後ろをついて行き、
歩き出した。
あぁ、こっちだったか。
惜しかったな
本当に5分程度歩いたところで
あるビルの前で止まった。
「ここの5階だ。
エレベーターで行こう」
「はい、分かりました」
今更だが緊張してきた。
春斗さんが所属している事務所77。
77と書いて「なな」と読むらしい。
調べてみたが、アーシェスさんをはじめ多くの
配信者が所属している事務所だ。
春斗さんの用にリアルスキンを使い
アバターで配信している人が多くわりに
美男美女が多い。
やはり顔って大切だよなって思った。
春斗さんはこの事務所でチャンネル登録者No1なのだ。
マジびっくりだぜ。
まぁ、顔もよくゲームスキルも高いからそりゃ
数字も上がるだろうね。
エレベーターが5Fに着き
電子音と共にドアが開く。
「ようこそ、[77]へ。
歓迎するよ、大吾くん」
春斗さんがこちらを見てそういった。
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