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学園とこの世界について
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教師はその質問に、ちょっと眉を顰めて、でも、気にしない様子を装って答えた。
「私は『ゴールド』よ。『プラチナ』にはなれなかったけれど……でも、あなたたちの大半にはきっちり教えられるレベルよ」
察するに、私に対する態度がきついのは、きっと私の『プラチナ』の素質に対する劣等感からなのだろう。だからって、まだ魔法を習いもしていない私に対して、あんな挑発の仕方……教師としてどうなの?
「そうなんですね! 答えてくれてありがとうございます」
蘭那はにこにこと微笑みながらお礼を言った。
「まあ、事前の適性検査で『プラチナ』と認められたのはこのクラスでは『桐亜』さんだけだけど、ごく稀に『ゴールド』から『プラチナ』に格上げされる子もいないわけではないから、とにかく頑張ることね」
なんだか偉そうな上から目線の物言いだけど、「とにかく頑張ること」なんてありきたりな言葉で締めくくることしかできないなんて、所詮その程度の教師なんだな、と私は思ってしまった……。まあ、私だって素質はともかく、まだ何者でもないのだけど。
「そういえば私、名乗るのを忘れていたわね。私の名はキャロライナ・スティップノップ! 外国人だけど、魔法が使えるようになったから教師になった者よ!」
突然に出てきた、カタカナの響きな名前に、半分びっくりして、でも、半分納得してしまった。教師の顔立ちはどう見ても、私たち生徒と比べて彫りが深いし、髪は茶色だし、瞳の色は緑……まあ、遠目に見てだから、はっきりとはわからないのだけど。
そこでチャイムが鳴った。日本の学校と同じように、この学園でもチャイムが鳴るらしい。私は今まで気付かなかったけれど。スティップノップ先生は、そこで簡単な挨拶をして、教科書などをまとめると、そそくさと教室を出て行った。
「ふー。なんだかすごい先生だったね、桐亜ちゃん」
蘭那にそう話しかけられて、私は苦笑した。
「そうだね。色々とびっくりしちゃった」
そのあと、スティップノップ先生以外に4人の先生の授業が代わる代わるあったのだけれど、どの先生もそこまで無鉄砲とか個性的とかいうほどのこともなく、つつがなく授業を終えて、教室を出て行き、私たちも今日最後の授業を終えたら、それぞれ帰路についた。
……はずだった。
「私は『ゴールド』よ。『プラチナ』にはなれなかったけれど……でも、あなたたちの大半にはきっちり教えられるレベルよ」
察するに、私に対する態度がきついのは、きっと私の『プラチナ』の素質に対する劣等感からなのだろう。だからって、まだ魔法を習いもしていない私に対して、あんな挑発の仕方……教師としてどうなの?
「そうなんですね! 答えてくれてありがとうございます」
蘭那はにこにこと微笑みながらお礼を言った。
「まあ、事前の適性検査で『プラチナ』と認められたのはこのクラスでは『桐亜』さんだけだけど、ごく稀に『ゴールド』から『プラチナ』に格上げされる子もいないわけではないから、とにかく頑張ることね」
なんだか偉そうな上から目線の物言いだけど、「とにかく頑張ること」なんてありきたりな言葉で締めくくることしかできないなんて、所詮その程度の教師なんだな、と私は思ってしまった……。まあ、私だって素質はともかく、まだ何者でもないのだけど。
「そういえば私、名乗るのを忘れていたわね。私の名はキャロライナ・スティップノップ! 外国人だけど、魔法が使えるようになったから教師になった者よ!」
突然に出てきた、カタカナの響きな名前に、半分びっくりして、でも、半分納得してしまった。教師の顔立ちはどう見ても、私たち生徒と比べて彫りが深いし、髪は茶色だし、瞳の色は緑……まあ、遠目に見てだから、はっきりとはわからないのだけど。
そこでチャイムが鳴った。日本の学校と同じように、この学園でもチャイムが鳴るらしい。私は今まで気付かなかったけれど。スティップノップ先生は、そこで簡単な挨拶をして、教科書などをまとめると、そそくさと教室を出て行った。
「ふー。なんだかすごい先生だったね、桐亜ちゃん」
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「そうだね。色々とびっくりしちゃった」
そのあと、スティップノップ先生以外に4人の先生の授業が代わる代わるあったのだけれど、どの先生もそこまで無鉄砲とか個性的とかいうほどのこともなく、つつがなく授業を終えて、教室を出て行き、私たちも今日最後の授業を終えたら、それぞれ帰路についた。
……はずだった。
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