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番外編/Bright morning light.
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日を追うごとにずぅっと光が沈まないこの街が赤や緑の装飾に彩られていった。今にも雪がちらほらと落ちてきそうな、そんな寒空が四角く切り取られているのを視界の端に捉えつつ、目の前の国際小包を慎重に開封していく。
「……なんか…こっちまでドキドキするっスよ…」
予備デスクに腰掛けた藤宮が固唾を飲んで俺の一挙手一投足を見つめている。その様子に思わず苦笑いが溢れた。
あっという間に知香の誕生日まで1週間となった。池野課長、そして片桐に依頼していた指輪は今月初旬に完成し、小包として今日俺の手元に届いた。
この小包だけは自宅に送ってもらうわけにはいかない。そう考えて近隣の営業所留めで手配してもらったのだが、臨時の株主総会が近くなかなか取りに行く時間が取れずにいたところ、偶然その近くに商談に出るという藤宮が代理で取りに行くと申し出てくれたのだ。
「すまねぇな、藤宮。助かった」
「どうってことねぇっスよ。これくらい」
藤宮がニカっと満面の笑みを浮かべる。……本当に、俺は周囲の人間に恵まれている。その幸運を噛み締めていると、コンコン、と、扉がノックされた。
「部長、来月の株主総会の資料について……お! 届いたのか」
浅田が手に持った資料に視線を落としながら扉を開いて丁寧語で俺に問いかけてくるが、俺の手元の小包の存在に気が付いたのか声色と口調を切り替えた。
「いよいよだな、邨上」
「……だな」
ニヤリ、と、揶揄うように声をかけてくる浅田に、ふっと笑みを返す。このふたりには……本当に頭が上がらない。
浅田が俺のデスクに歩み寄ってくる間に、ゆっくりと小包を開封した。緩衝材の奥に潜む、木製の小さな四角い箱。それをそっと取り出し、ゆっくりと開いていく。
「……」
眼前に映るのは、黒いベルベットの布の上に浮かぶ……青とも、藍色とも、紺色とも。紫とも、藤色とも、葡萄色とも言えない。美しい、だけの一言で表せられないような複雑で濃密な煌めきを湛えた、白金の指輪。
「……すげぇっスね…」
「……だな…すげぇ」
完成した指輪の画像を見ていた俺よりも早く、真横のふたりが自分を取り戻している。そのことに気がつき、ハッと我に返った。
俺が放心している場合ではない。このふたりには、まだ……頼まなければならないことがあるのだ。
「お前らに、もう一つだけ頼みたいことがある。いいか?」
俺のひどく真剣な表情に、浅田と藤宮が不思議そうに顔を見合わせた。視線を左右に振って両者に目を合わせながら、ゆっくりと言葉を続けていく。
「……浅田はお前の再従兄弟に、藤宮はお前の彼女に、伝えて欲しい。来週の月曜日、知香を残業させないでくれ、と」
俺の問いにパチパチと目を瞬かせた浅田が、「そういうことか」と小さく呟く。
「うっす。りぃちゃんに伝えておきます」
藤宮はニコニコと満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに了承の言葉を発した。その事実に、来週は計画通りになりそうだ、と。そう胸を撫で下ろした、次の瞬間。
「すまん、邨上。俺はそれには協力できねぇ。俺は真梨の実家の連絡先しか知らねぇんだ」
浅田が手に持った株主総会の資料を腋の下に挟んで身体の前で手を合わせ頭を下げた。その仕草を大慌てで阻止する。そんな風に平謝りされるほどのことではない。……が、内心では思わず落胆の吐息がこぼれ落ちていった。
(……あいつに、連絡取るっきゃねえか…)
ひどく悔しげな表情を浮かべる浅田を宥めながら、黒曜石の瞳を思い浮かべて心の中で独り言ちた。
久しぶりに会話を交わし俺が連絡を取った目的を噛み砕いた電話の向こう側にいる小林は、呆れたような口調で俺に言葉を投げつけていた。
『ようやくですか。長かったですね。あんたのことだからあの事件の直後にとっくに済ませているかと』
「……色々と忙しくてな…」
まるで糾弾されるようなその言葉に妙に居た堪れなくなり、視線を彷徨わせて小さくため息を吐き出した。部長業務を終えオフィスビルを出て最寄り駅まで歩みを進めながら、ゆっくりと会話を交わしていく。
「今日はもう遅いから、明日にでも三木に伝えて欲しい。……頼めるか?」
頭上には群青色の空が広がっている。知香が所属する通関部は年末が差し迫り非常に忙しいらしい。後輩である三木も同様だ。きっとこの時間に三木に連絡を取ることは仔犬自身が渋るだろう、という考えの元に発した言葉だった、のだが。
『……ちょっと待ってくださいね』
俺のその申し出の言葉のあとに、僅かな衣擦れの音と、パタパタとスリッパの音がスピーカーから響いていく。そうして。
『……真梨さん』
『何?』
張り上げたような三木の声が、少し遠くに聞こえている。そこから導き出される、このふたりの現在の関係に思わず目を見開いた。
(……同棲…してんのか…)
知香に本気で惚れていたからこそ……あの時。俺に託すという身を引き裂くような選択をした仔犬だから。こいつには、どうしたって幸せになって欲しい、と。そう思っていた。
その願いは、とっくの昔に聞き届けられていたのだ、と。そう理解して。ゆっくりと、顔が綻んだ。
◇ ◇ ◇
『あのねぇ、智くん。あの原石見つけるの、俺がどれだけ苦労したかわかってる?』
クリスマス当日の……昼休み。手元に指輪を用意し、今夜知香へ告げる言葉を自分の中でシュミレーションしつつ、電話をかけて応答した片桐の第一声が……これ、だった。数ヶ月前に俺に向けていたあの飄々とした雰囲気は、欠片も感じられない。
「……それは、すまないと思ってる」
思わず眉を下げながら返答すると、大きなため息とともに先ほどから変わらない、呆れたような、そうして咎めるような。そんな口調で畳み掛けるように言葉が続けられていく。
『その一言で済むなら警察要らないよ? スワヒリ語の勉強と並行してそれ探して。カナさんは急にいろいろ仕事押し付けてくるし。この2ヶ月ほんっとに大変だったんだけど』
あの池野課長のことだ。あの人の下に着いていた頃、俺も急に案件を投げられる事は多かった。そう言えば、3月の決算日に株主総会で発表する新部門プレスリリースの原案を作ることをぶん投げられたこともあった。もう、遥か遠い昔のように感じてしまう。タンザニアに移住し自ら会社を興したとて、そういった点も変わらないのだな、と思うと、思わず苦笑いが零れ落ちていく。
『普通に考えたら小数点第2位までしかないものを第3位までよく指定してきたよね。なに、俺への嫌がらせのつもり?』
むすくれたような声色で飛んでくる批難の言葉に眉を顰めた。あの時の電話には片桐も同席していたはず。元はと言えば池野課長の提案だったろう、という言葉が喉元まで出かかるが、その言葉を已の所で飲み込んだ。
今はこんな言い合いをしている場合ではない。そう自分を諫め「手間をかけさせてすまなかった」と声を上げると、沈黙ののちにがさがさと頭を掻くような音が耳元で響いた。
俺はもちろん、片桐も。こんな関係に落ち着くとは、互いに思っていなかったはずだ。自分が放った文句に対してこうも素直に頭を下げた俺に、どう応対していいのか……片桐自身もわからないのだろうと察した。
『……で? 話って、何。もうすぐ仕事に出るから手短に済ませて欲しいんだけど』
はぁっというため息とともに、投げつけるように言葉が紡がれる。日本は今は昼で、タンザニアは朝の時間帯だ。出勤する前だからこそ、時間を浪費したくない、と。そう言いたいのだろう。その言葉に……ゆっくりと瞼をおろした。真っ暗な視界に映り込むのは、最愛の女性の屈託のない笑顔。
(……前に)
知香とともに、幸せになるために。俺も、前に……進む。浅田に言われたように、腹を割って話す機会は―――今、この瞬間しかない。
覚悟を決めるように拳を握り締め、瞳を閉ざしたまま一気に心の内を吐き出した。
「……俺は、お前に感謝はしている。だが、赦したくない。俺から知香を奪おうとしたことも。知香の心に触れて、感情を捻じ曲げようとしたことも」
『……』
俺だけが在籍する、企画開発部のブースに。僅かに低くした俺の声が、この静かな空間に溶け込んで消えていく。
片桐の胸の中に閉じ込めてあった、誰も失いたくない、という、一糸纏わぬ裸の……言葉。それに触れたとて、全てを赦せるほど俺は人格者ではなかった。そんな自分が、嫌になる。
『……別に、赦さなくていいよ。っていうか、赦さないで。お前のためじゃなく、他でもない知香ちゃんのために』
「……」
自分に向けられる悪意をものともしない、抑揚のない静かな声が耳元で響いた。毒を喰らわば皿までの精神を貫き通した片桐は、他人から向けられる黒い感情に対してひどく鈍感なのかもしれない。
赦すな、と……あの日、他人の心のやわらかな部分に触れるという卑怯な手を使った片桐が、そう言っている。……だが。
「知香は……恨んで、憎んで、自分の人生の大事な時間を奪われたくない、と……そう言っている」
ゆっくりと瞼を上げて、視界に光を取り込んだ。俺が吐き出したその言葉に、片桐がふっと小さく吐息をもらして笑ったように感じた。
『あはは、知香ちゃんらしいねぇ。……なるほどね、お前はその隣に立つと決めたからこそ俺が赦せなくて葛藤してるってワケね』
電話口の片桐は、俺の内心を一言一句違いもせず言い当てた。その事実に驚くことはない。
「……」
深く息を吸い込んで、淡々と。己の中の黒い感情と……相反する、それでも紛れもない本心をぶちまけていく。
「俺はお前が嫌いだ。赦したい、でも赦したくない。だが、お前には幸せになって欲しい。幸せでいて欲しい。どんな時も……笑っていて欲しい。俺がお前と出逢ったことは、奇跡なのだから」
『……』
黒い感情とともに、この数日で考えていたことを、噛み締めるように口にした。
世界人口は78億人を超える。この78億人全てに1人1秒ずつ会うとすれば約250年という月日がかかってしまうのだ。すなわち、俺と片桐が出逢い、確執が生まれたことも……紛れもなく、奇跡なのだ。
『……俺も。お前のこと、嫌いだ。この感情がひっくり返ることは絶対にないと言い切れる』
左の耳元から、静かな声が転がってきた。予想を外さないその言葉に、妙な安心感が湧き上がってきたのは何故だろうか。小さく胸を撫で下ろした、次の瞬間。
『俺ね? タンザニアに来て、タンザナイトの商売に携わることになって、気づいたことがあるんだよね~ぇ』
耳に届いた片桐の声は、いつも俺に向けられていたような飄々とした雰囲気を纏っていた。コインの裏表が、くるりと切り替わったように感じた。何を考えているのかさっぱり読めないヘーゼル色の瞳が目の前にあるようで、思わず身構える。
『……原石の写真、送ったでしょ?』
その言葉とともに、ほぅ、と。長いため息が零されていく。……同族であるからこそ、俺は片桐の思考が読めたはずだというのに。これから先何を言われるのかが全く読めず、身体を強張らせたままじっと耳を澄ませた。
『完璧に見えるものも完璧じゃない。一見、綺麗に見える宝石も実はあの原石のように黒ずんでいる部分も持ち合わせている。不純物を内包し、それでもなお光を取り込んで輝くことができる。自然が作り出した存在というのは、そういうもの』
淡々と紡がれていく言葉に纏わりついた、ある種の寂しさのような何か。それを感じ取って、思わずゆっくりと瞠目した。
『俺は……10年前。取り返しのつかない間違いを選択した。……いや、正しい選択をした。そして何もかもを失った。そんな自分が赦せなかったし、今でも赦せていない。だから俺は……黒川を潰すために、間違った選択を選び取った』
スピーカーから響く声が、震えていた。悲鳴のような、それでいて堪え切れない怒声のような……だというのに、咽び泣くような声が。真っ直ぐに、俺に向けられている。
『俺はね、ずっと……失ったものを取り戻そうと藻搔いていたんだ。だから、知香ちゃんが欲しかった。失ったものがこの手に戻ってきたような気がしていたから』
「……」
片桐が抱える闇は、俺には到底理解できないだろう、と。そう思っていた。俺は『片桐柾臣』の人生を歩んでいないから。俺が歩むのは、『邨上智』の人生だ。けれど。
今―――その、片桐柾臣という男の、全てが。綺麗な部分も、汚い部分も。その全てが、俺の目の前に曝け出されている。
片桐の声が、ふたたび明るく飄々としたものに切り替わっていく。
『マスターはね? 俺にどう生きるか、って問いかけてくれた。そして、間違ってもいい、って……肯定してくれた。完璧な人間なんて、誰一人としていない。だから俺はどんなに足掻いたって、お前が嫌いだっていうこの黒い感情を捨て去ることは出来ない。そうして、それを受け入れることを……カナさんは俺に教えたかったんじゃないかなって思うんだ。……智くんにも、ね?』
「……」
最後の言葉を聞き届けた瞬間。ひゅっと息を飲む音が、自分の喉から上がった。予想外の言葉を投げかけられたことで思考が真っ白に染まって、……しばらく言葉が出なかった。
愛した人間を失くし、家族や仲間を失くし、後悔の残骸を抱えたまま生きて。己の心を護るために、自己防衛として……感情を読ませないための仮面を被り続け、間違った選択を選び続けることで、正しさを証明する、という不器用な生き方をしてきた。
そんな片桐から告げられた、完璧な人間はいない、という言葉の重み。それが、ずっしりと……俺の身体にのしかかってくるようだった。
「……」
白い閃光が脳内を埋め尽くす中、ふい、と。手元に置いた、タンザナイトの煌めきに視線を落とした。
あの時。明けない夜はある、と、片桐は口にした。けれど、その考えはきっと。いや、間違いなく覆されている。
目の前にある……彩度の高い瑞々しい青色、それでいて鮮やかな紫色に煌めくそれが。必ず明ける……夜の始まりの色、なのだと。
片桐も―――同じように感じているのだ、と。そう、直感した。
負の感情を持ち続ける自分自身を嫌悪していた。けれど、それを……俺の天敵とも言える人間から、これ以上ないほどに強く強く肯定されたように感じた。不意に込み上げる何かを歯を食いしばって堪え、強張った身体を緩ませるように深く呼吸をしながら……片桐へ向かって小さく問いかけた。
「今夜。知香に、プロポーズする。……お前のこと、話していいか?」
電話口の片桐は、はぁ、と。大きなため息を零し心底つまらなさそうに声を上げた。
『どうせ指輪の入手先について聞かれるだろうし。好きなように話せばいいよ』
「……すまない。感謝する」
片桐の突き放すような了承の言葉を得て、見えないとわかっていても小さく頭を下げた。さらり、と、自分の髪が揺れ動くのを感じ取ったと同時に、何かと決別するような声色が響いていく。
『……10年前の自分を赦すことはこの先も出来ないと思う。でもね、だからこそ俺は、自分のために生きることにした。他の誰でもない、自分のために。……智くん。お前は、どう生きる?』
「……」
どう、生きるか、なんて。答えはもう、決まっている。
返答しようと、ゆっくりと息を吸い込んだその瞬間。小さく笑う声が耳朶をくすぐっていく。
『ま、お前はきっと。知香ちゃんのために生きる、って言うんだろうけどさ~ぁ?』
くすくす、と。心底愉しげに紡がれていく、片桐の声。その声に思わず俺もつられるように笑みが溢れた。
『これから先、きっと辛いことや哀しいこともある。だけど、何があろうとも俺は……知香ちゃんに笑ってて欲しい。……知香ちゃんのそばに、お前がいて欲しい』
「……お前に言われずとも、そのつもりだ」
片桐の……片桐なりの、俺と知香へ向けての餞別の言葉。それを素直に受け取り、心の奥底へと仕舞って。いつものように、悪態めいた言葉を返した。片桐も―――それを望んでいる、と。そう感じた。
『さて。俺はもう行かなきゃ』
「……ん」
その声とともに、僅かな衣擦れの音がスピーカーから響いてきた。片桐にとってのタイムリミットが訪れたのだろう。
『智くん。……あの夜の言葉は、訂正するよ』
いつかの電話口で聞いたような、やわらかな声色で紡がれていく、俺と片桐の―――きっと、生涯最後の会話。
ゼロからふたたび人生を歩み始めた片桐は、屈託のない笑みを浮かべているのだろう、と。そう思える声で。流暢な英語が、耳元で響いた。
『The night is long that never finds the day.』
届けられたその言葉の意味を、理解して。
「……ふっ」
朝の光を掴んだ、遠い場所にいる……世界一嫌いな男に向かって。俺は思いっきり、口の端を歪めた。
《Fin》
◆ ◆ ◆
これにて番外編①完結となります。
番外編②の前にスピンオフ『I'll be with you in the spring.』を、桜が咲く頃公開する予定です。時系列としては挿話『The night is long that never finds the day.』から少し後のエピソードとなります。連載開始については近況ボードにて改めてお知らせいたしますね。
桜が咲く頃……外伝。そうです。あの方々が主役のお話しとなります。お楽しみ頂けましたら幸いです。
春に向かって寒暖差が激しい日が続きます。皆様もお身体にはどうぞご自愛くださいね。
「……なんか…こっちまでドキドキするっスよ…」
予備デスクに腰掛けた藤宮が固唾を飲んで俺の一挙手一投足を見つめている。その様子に思わず苦笑いが溢れた。
あっという間に知香の誕生日まで1週間となった。池野課長、そして片桐に依頼していた指輪は今月初旬に完成し、小包として今日俺の手元に届いた。
この小包だけは自宅に送ってもらうわけにはいかない。そう考えて近隣の営業所留めで手配してもらったのだが、臨時の株主総会が近くなかなか取りに行く時間が取れずにいたところ、偶然その近くに商談に出るという藤宮が代理で取りに行くと申し出てくれたのだ。
「すまねぇな、藤宮。助かった」
「どうってことねぇっスよ。これくらい」
藤宮がニカっと満面の笑みを浮かべる。……本当に、俺は周囲の人間に恵まれている。その幸運を噛み締めていると、コンコン、と、扉がノックされた。
「部長、来月の株主総会の資料について……お! 届いたのか」
浅田が手に持った資料に視線を落としながら扉を開いて丁寧語で俺に問いかけてくるが、俺の手元の小包の存在に気が付いたのか声色と口調を切り替えた。
「いよいよだな、邨上」
「……だな」
ニヤリ、と、揶揄うように声をかけてくる浅田に、ふっと笑みを返す。このふたりには……本当に頭が上がらない。
浅田が俺のデスクに歩み寄ってくる間に、ゆっくりと小包を開封した。緩衝材の奥に潜む、木製の小さな四角い箱。それをそっと取り出し、ゆっくりと開いていく。
「……」
眼前に映るのは、黒いベルベットの布の上に浮かぶ……青とも、藍色とも、紺色とも。紫とも、藤色とも、葡萄色とも言えない。美しい、だけの一言で表せられないような複雑で濃密な煌めきを湛えた、白金の指輪。
「……すげぇっスね…」
「……だな…すげぇ」
完成した指輪の画像を見ていた俺よりも早く、真横のふたりが自分を取り戻している。そのことに気がつき、ハッと我に返った。
俺が放心している場合ではない。このふたりには、まだ……頼まなければならないことがあるのだ。
「お前らに、もう一つだけ頼みたいことがある。いいか?」
俺のひどく真剣な表情に、浅田と藤宮が不思議そうに顔を見合わせた。視線を左右に振って両者に目を合わせながら、ゆっくりと言葉を続けていく。
「……浅田はお前の再従兄弟に、藤宮はお前の彼女に、伝えて欲しい。来週の月曜日、知香を残業させないでくれ、と」
俺の問いにパチパチと目を瞬かせた浅田が、「そういうことか」と小さく呟く。
「うっす。りぃちゃんに伝えておきます」
藤宮はニコニコと満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに了承の言葉を発した。その事実に、来週は計画通りになりそうだ、と。そう胸を撫で下ろした、次の瞬間。
「すまん、邨上。俺はそれには協力できねぇ。俺は真梨の実家の連絡先しか知らねぇんだ」
浅田が手に持った株主総会の資料を腋の下に挟んで身体の前で手を合わせ頭を下げた。その仕草を大慌てで阻止する。そんな風に平謝りされるほどのことではない。……が、内心では思わず落胆の吐息がこぼれ落ちていった。
(……あいつに、連絡取るっきゃねえか…)
ひどく悔しげな表情を浮かべる浅田を宥めながら、黒曜石の瞳を思い浮かべて心の中で独り言ちた。
久しぶりに会話を交わし俺が連絡を取った目的を噛み砕いた電話の向こう側にいる小林は、呆れたような口調で俺に言葉を投げつけていた。
『ようやくですか。長かったですね。あんたのことだからあの事件の直後にとっくに済ませているかと』
「……色々と忙しくてな…」
まるで糾弾されるようなその言葉に妙に居た堪れなくなり、視線を彷徨わせて小さくため息を吐き出した。部長業務を終えオフィスビルを出て最寄り駅まで歩みを進めながら、ゆっくりと会話を交わしていく。
「今日はもう遅いから、明日にでも三木に伝えて欲しい。……頼めるか?」
頭上には群青色の空が広がっている。知香が所属する通関部は年末が差し迫り非常に忙しいらしい。後輩である三木も同様だ。きっとこの時間に三木に連絡を取ることは仔犬自身が渋るだろう、という考えの元に発した言葉だった、のだが。
『……ちょっと待ってくださいね』
俺のその申し出の言葉のあとに、僅かな衣擦れの音と、パタパタとスリッパの音がスピーカーから響いていく。そうして。
『……真梨さん』
『何?』
張り上げたような三木の声が、少し遠くに聞こえている。そこから導き出される、このふたりの現在の関係に思わず目を見開いた。
(……同棲…してんのか…)
知香に本気で惚れていたからこそ……あの時。俺に託すという身を引き裂くような選択をした仔犬だから。こいつには、どうしたって幸せになって欲しい、と。そう思っていた。
その願いは、とっくの昔に聞き届けられていたのだ、と。そう理解して。ゆっくりと、顔が綻んだ。
◇ ◇ ◇
『あのねぇ、智くん。あの原石見つけるの、俺がどれだけ苦労したかわかってる?』
クリスマス当日の……昼休み。手元に指輪を用意し、今夜知香へ告げる言葉を自分の中でシュミレーションしつつ、電話をかけて応答した片桐の第一声が……これ、だった。数ヶ月前に俺に向けていたあの飄々とした雰囲気は、欠片も感じられない。
「……それは、すまないと思ってる」
思わず眉を下げながら返答すると、大きなため息とともに先ほどから変わらない、呆れたような、そうして咎めるような。そんな口調で畳み掛けるように言葉が続けられていく。
『その一言で済むなら警察要らないよ? スワヒリ語の勉強と並行してそれ探して。カナさんは急にいろいろ仕事押し付けてくるし。この2ヶ月ほんっとに大変だったんだけど』
あの池野課長のことだ。あの人の下に着いていた頃、俺も急に案件を投げられる事は多かった。そう言えば、3月の決算日に株主総会で発表する新部門プレスリリースの原案を作ることをぶん投げられたこともあった。もう、遥か遠い昔のように感じてしまう。タンザニアに移住し自ら会社を興したとて、そういった点も変わらないのだな、と思うと、思わず苦笑いが零れ落ちていく。
『普通に考えたら小数点第2位までしかないものを第3位までよく指定してきたよね。なに、俺への嫌がらせのつもり?』
むすくれたような声色で飛んでくる批難の言葉に眉を顰めた。あの時の電話には片桐も同席していたはず。元はと言えば池野課長の提案だったろう、という言葉が喉元まで出かかるが、その言葉を已の所で飲み込んだ。
今はこんな言い合いをしている場合ではない。そう自分を諫め「手間をかけさせてすまなかった」と声を上げると、沈黙ののちにがさがさと頭を掻くような音が耳元で響いた。
俺はもちろん、片桐も。こんな関係に落ち着くとは、互いに思っていなかったはずだ。自分が放った文句に対してこうも素直に頭を下げた俺に、どう応対していいのか……片桐自身もわからないのだろうと察した。
『……で? 話って、何。もうすぐ仕事に出るから手短に済ませて欲しいんだけど』
はぁっというため息とともに、投げつけるように言葉が紡がれる。日本は今は昼で、タンザニアは朝の時間帯だ。出勤する前だからこそ、時間を浪費したくない、と。そう言いたいのだろう。その言葉に……ゆっくりと瞼をおろした。真っ暗な視界に映り込むのは、最愛の女性の屈託のない笑顔。
(……前に)
知香とともに、幸せになるために。俺も、前に……進む。浅田に言われたように、腹を割って話す機会は―――今、この瞬間しかない。
覚悟を決めるように拳を握り締め、瞳を閉ざしたまま一気に心の内を吐き出した。
「……俺は、お前に感謝はしている。だが、赦したくない。俺から知香を奪おうとしたことも。知香の心に触れて、感情を捻じ曲げようとしたことも」
『……』
俺だけが在籍する、企画開発部のブースに。僅かに低くした俺の声が、この静かな空間に溶け込んで消えていく。
片桐の胸の中に閉じ込めてあった、誰も失いたくない、という、一糸纏わぬ裸の……言葉。それに触れたとて、全てを赦せるほど俺は人格者ではなかった。そんな自分が、嫌になる。
『……別に、赦さなくていいよ。っていうか、赦さないで。お前のためじゃなく、他でもない知香ちゃんのために』
「……」
自分に向けられる悪意をものともしない、抑揚のない静かな声が耳元で響いた。毒を喰らわば皿までの精神を貫き通した片桐は、他人から向けられる黒い感情に対してひどく鈍感なのかもしれない。
赦すな、と……あの日、他人の心のやわらかな部分に触れるという卑怯な手を使った片桐が、そう言っている。……だが。
「知香は……恨んで、憎んで、自分の人生の大事な時間を奪われたくない、と……そう言っている」
ゆっくりと瞼を上げて、視界に光を取り込んだ。俺が吐き出したその言葉に、片桐がふっと小さく吐息をもらして笑ったように感じた。
『あはは、知香ちゃんらしいねぇ。……なるほどね、お前はその隣に立つと決めたからこそ俺が赦せなくて葛藤してるってワケね』
電話口の片桐は、俺の内心を一言一句違いもせず言い当てた。その事実に驚くことはない。
「……」
深く息を吸い込んで、淡々と。己の中の黒い感情と……相反する、それでも紛れもない本心をぶちまけていく。
「俺はお前が嫌いだ。赦したい、でも赦したくない。だが、お前には幸せになって欲しい。幸せでいて欲しい。どんな時も……笑っていて欲しい。俺がお前と出逢ったことは、奇跡なのだから」
『……』
黒い感情とともに、この数日で考えていたことを、噛み締めるように口にした。
世界人口は78億人を超える。この78億人全てに1人1秒ずつ会うとすれば約250年という月日がかかってしまうのだ。すなわち、俺と片桐が出逢い、確執が生まれたことも……紛れもなく、奇跡なのだ。
『……俺も。お前のこと、嫌いだ。この感情がひっくり返ることは絶対にないと言い切れる』
左の耳元から、静かな声が転がってきた。予想を外さないその言葉に、妙な安心感が湧き上がってきたのは何故だろうか。小さく胸を撫で下ろした、次の瞬間。
『俺ね? タンザニアに来て、タンザナイトの商売に携わることになって、気づいたことがあるんだよね~ぇ』
耳に届いた片桐の声は、いつも俺に向けられていたような飄々とした雰囲気を纏っていた。コインの裏表が、くるりと切り替わったように感じた。何を考えているのかさっぱり読めないヘーゼル色の瞳が目の前にあるようで、思わず身構える。
『……原石の写真、送ったでしょ?』
その言葉とともに、ほぅ、と。長いため息が零されていく。……同族であるからこそ、俺は片桐の思考が読めたはずだというのに。これから先何を言われるのかが全く読めず、身体を強張らせたままじっと耳を澄ませた。
『完璧に見えるものも完璧じゃない。一見、綺麗に見える宝石も実はあの原石のように黒ずんでいる部分も持ち合わせている。不純物を内包し、それでもなお光を取り込んで輝くことができる。自然が作り出した存在というのは、そういうもの』
淡々と紡がれていく言葉に纏わりついた、ある種の寂しさのような何か。それを感じ取って、思わずゆっくりと瞠目した。
『俺は……10年前。取り返しのつかない間違いを選択した。……いや、正しい選択をした。そして何もかもを失った。そんな自分が赦せなかったし、今でも赦せていない。だから俺は……黒川を潰すために、間違った選択を選び取った』
スピーカーから響く声が、震えていた。悲鳴のような、それでいて堪え切れない怒声のような……だというのに、咽び泣くような声が。真っ直ぐに、俺に向けられている。
『俺はね、ずっと……失ったものを取り戻そうと藻搔いていたんだ。だから、知香ちゃんが欲しかった。失ったものがこの手に戻ってきたような気がしていたから』
「……」
片桐が抱える闇は、俺には到底理解できないだろう、と。そう思っていた。俺は『片桐柾臣』の人生を歩んでいないから。俺が歩むのは、『邨上智』の人生だ。けれど。
今―――その、片桐柾臣という男の、全てが。綺麗な部分も、汚い部分も。その全てが、俺の目の前に曝け出されている。
片桐の声が、ふたたび明るく飄々としたものに切り替わっていく。
『マスターはね? 俺にどう生きるか、って問いかけてくれた。そして、間違ってもいい、って……肯定してくれた。完璧な人間なんて、誰一人としていない。だから俺はどんなに足掻いたって、お前が嫌いだっていうこの黒い感情を捨て去ることは出来ない。そうして、それを受け入れることを……カナさんは俺に教えたかったんじゃないかなって思うんだ。……智くんにも、ね?』
「……」
最後の言葉を聞き届けた瞬間。ひゅっと息を飲む音が、自分の喉から上がった。予想外の言葉を投げかけられたことで思考が真っ白に染まって、……しばらく言葉が出なかった。
愛した人間を失くし、家族や仲間を失くし、後悔の残骸を抱えたまま生きて。己の心を護るために、自己防衛として……感情を読ませないための仮面を被り続け、間違った選択を選び続けることで、正しさを証明する、という不器用な生き方をしてきた。
そんな片桐から告げられた、完璧な人間はいない、という言葉の重み。それが、ずっしりと……俺の身体にのしかかってくるようだった。
「……」
白い閃光が脳内を埋め尽くす中、ふい、と。手元に置いた、タンザナイトの煌めきに視線を落とした。
あの時。明けない夜はある、と、片桐は口にした。けれど、その考えはきっと。いや、間違いなく覆されている。
目の前にある……彩度の高い瑞々しい青色、それでいて鮮やかな紫色に煌めくそれが。必ず明ける……夜の始まりの色、なのだと。
片桐も―――同じように感じているのだ、と。そう、直感した。
負の感情を持ち続ける自分自身を嫌悪していた。けれど、それを……俺の天敵とも言える人間から、これ以上ないほどに強く強く肯定されたように感じた。不意に込み上げる何かを歯を食いしばって堪え、強張った身体を緩ませるように深く呼吸をしながら……片桐へ向かって小さく問いかけた。
「今夜。知香に、プロポーズする。……お前のこと、話していいか?」
電話口の片桐は、はぁ、と。大きなため息を零し心底つまらなさそうに声を上げた。
『どうせ指輪の入手先について聞かれるだろうし。好きなように話せばいいよ』
「……すまない。感謝する」
片桐の突き放すような了承の言葉を得て、見えないとわかっていても小さく頭を下げた。さらり、と、自分の髪が揺れ動くのを感じ取ったと同時に、何かと決別するような声色が響いていく。
『……10年前の自分を赦すことはこの先も出来ないと思う。でもね、だからこそ俺は、自分のために生きることにした。他の誰でもない、自分のために。……智くん。お前は、どう生きる?』
「……」
どう、生きるか、なんて。答えはもう、決まっている。
返答しようと、ゆっくりと息を吸い込んだその瞬間。小さく笑う声が耳朶をくすぐっていく。
『ま、お前はきっと。知香ちゃんのために生きる、って言うんだろうけどさ~ぁ?』
くすくす、と。心底愉しげに紡がれていく、片桐の声。その声に思わず俺もつられるように笑みが溢れた。
『これから先、きっと辛いことや哀しいこともある。だけど、何があろうとも俺は……知香ちゃんに笑ってて欲しい。……知香ちゃんのそばに、お前がいて欲しい』
「……お前に言われずとも、そのつもりだ」
片桐の……片桐なりの、俺と知香へ向けての餞別の言葉。それを素直に受け取り、心の奥底へと仕舞って。いつものように、悪態めいた言葉を返した。片桐も―――それを望んでいる、と。そう感じた。
『さて。俺はもう行かなきゃ』
「……ん」
その声とともに、僅かな衣擦れの音がスピーカーから響いてきた。片桐にとってのタイムリミットが訪れたのだろう。
『智くん。……あの夜の言葉は、訂正するよ』
いつかの電話口で聞いたような、やわらかな声色で紡がれていく、俺と片桐の―――きっと、生涯最後の会話。
ゼロからふたたび人生を歩み始めた片桐は、屈託のない笑みを浮かべているのだろう、と。そう思える声で。流暢な英語が、耳元で響いた。
『The night is long that never finds the day.』
届けられたその言葉の意味を、理解して。
「……ふっ」
朝の光を掴んだ、遠い場所にいる……世界一嫌いな男に向かって。俺は思いっきり、口の端を歪めた。
《Fin》
◆ ◆ ◆
これにて番外編①完結となります。
番外編②の前にスピンオフ『I'll be with you in the spring.』を、桜が咲く頃公開する予定です。時系列としては挿話『The night is long that never finds the day.』から少し後のエピソードとなります。連載開始については近況ボードにて改めてお知らせいたしますね。
桜が咲く頃……外伝。そうです。あの方々が主役のお話しとなります。お楽しみ頂けましたら幸いです。
春に向かって寒暖差が激しい日が続きます。皆様もお身体にはどうぞご自愛くださいね。
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