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本編・第三部
225 背を、向けた。(上)
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ブラウンの扉の内側にかかっている、黒い黒板調のプレート。透明な窓ガラス越しに見える『open』と記されたそれを認識して、ゆっくりとその扉に手をかけた。
チリチリと軽い音がして、真っ白な壁紙に包まれた店内に足を踏み入れる。目の前に飛び込んでくる銀の光を湛えた大きな焙煎機。天窓から差し込む太陽の光が眩い。そんな店の奥に視線を向けると。
「………いらっしゃい、マサ」
目尻に皺を作って、いつものように、穏やかにマスターが笑みを浮かべている。
今日のマスターは珍しくカウンター席に座って、俺が開いた入り口の扉を眺めていた。普段、店内に客がいない時は、店の奥に積み上げられた焙煎後の豆が入ったコンテナボックスを漁っているか、カウンターの中で書類整理をしているか、なのに。
マスターのその姿はまるで―――誰かを待っているかのようで。
「マスター、久しぶり。や~っと余裕が出来た」
へにゃり、と。いつもの笑みを浮かべてマスターに返答する。
この人は。やっぱり……俺の父親に。どことなく、似ている。
多分。待っていたのは、俺だ。きっと、俺が今日この喫茶店に立ち寄ることを予感していたのだろう。その理由までは、俺にはさっぱりわからないけれども。
そういった察しのいいところも含めて。俺の父親に、似ている、と。なんとなく、そう感じている。
「ずいぶんとご無沙汰だなぁ、マサ。ほかの店に浮気でもしてるのかと思ってたぜ?」
マスターが揶揄うように笑いながら席を立った。そうして、踵を返してカウンターの向こう側に入っていく。マスターが歩く度に彼の背中で左右に揺れ動く黒いエプロンの腰紐を眺めつつ、苦笑したように肩を竦めて声を上げた。
「そんなワケないでしょ?マスターの豆を飲みつけたら今更ほかの店なんて行けるわけないよ」
「ははは、それは光栄なこった」
愉しげに笑みを浮かべたマスターの横顔。白髪混じりの髪と口元の髭が特徴的だ。
口にした言葉は日本独特のお世辞でもなんでもない。俺は本心から、この店の豆が世界一美味しい、と、そう感じている。だから、香典返しを渡しに来て以降、缶コーヒー以外のコーヒーを口にしていない。
マスターがカウンターに入り、琥珀色の瞳が俺を優しく見据えた。
「今日は?何飲む?」
マスターがケトルの電源をいれつつ俺に声をかけた。視線だけで、座れ、と伝えられる。その穏やかな視線に、俺は素直に腰を下ろした。
するりと足を組んで、カウンターに頬杖をつく。何を飲もうか。ふい、と、戸棚の寸胴の瓶に視線を向けると、昨日のあの瞬間が脳裏をよぎった。
『どうして片桐さんが彼を庇うような発言をするんですか?』
昨日の帰り際。知香ちゃんが、焦げ茶色の瞳に不審感を募らせて。訝しげに眉を顰めて……こう問いかけてきた時。
咄嗟に、その問いに対する答えが出てこなかった。
自分でも不思議だった。彼女が智くんに向かって怒っていると勘付くや否や、気が付けば彼女を……いつの間にか宥めにかかっていた。
今までの俺だったら―――その怒りに付け込んで。その恋慕を俺に向けるように、誘導していたはずなのに。
(……)
気が付けば。彼女と智くんの仲を取り持つような。俺が智くんを庇って、知香ちゃんと智くんが仲直りをするような形に……会話を誘導していた。どうして自分がそんな行動に出たのかが全く分からなかった。
極めつけに。
『あなたは、何を隠しているの?』
こんなことを……あの優し気な赤い口紅を纏った唇で、言われてしまったのだ。
このまま失ったMaisieのことを独りで抱え込んでいては、彼女に全てを暴かれてしまう。それがひどく恐ろしかった。
俺の過去の過ちも、傷も、俺がかっとなって黒川の恨みを買ったことも、だから代わりに道化を演じると決めたことも、ずっと目を背けてきた―――あの日から蹲って歩けなくなってしまっている、自分自身のことも。何もかもが白日のもとに晒されてしまう。
それだけは避けたかった。そんなことは俺のプライドが赦さない。俺は、今度こそ全てを護るために、間違った選択をすると決めたのだから。
だから……俺の過去を、話せる範囲で吐き出す。そう決めて、今日はこの店に足を運んだ。父親代わりのマスターに吐き出すことで自分の―――この心の中の、霞がかった感情を整理したい、と。そう思ったのだ。
太陽の陽射しを反射する寸胴の瓶。その中で目に留まったのは「モカ」。Maisieが好きだった、エチオピア産の……コーヒー。奇しくもこんな場所で、こんな日に…思い入れの深い産地の豆に巡り合うとは。
(タイミングがいいのか、悪いのか……)
心の中で小さく苦笑しながら、「モカ」と短く声をあげた。俺の返答に、マスターがふっと小さく笑って、メジャースプーンを使ってその瓶からペーパーに豆を入れていく。
豆を砕くミルの音がして、ふわりと仄かな香りが漂った。マスターが挽いた豆をいれたペーパーをドリッパーにセットして、コーヒーポットからお湯を注いでいく。
「……マスター。俺ね。昔、大事なひとを、死なせたんだ」
「………そうかい」
マスターがコーヒーを淹れていく様子をぼうっと眺めながら、誰に聞かせるでもないような小さな声で呟いた。マスターは俺の声に、視線を手元のドリッパーに落としたまま短く返答してくれる。
こういうところも……父親に似ている。聞いていないようで、きちんと聞いてくれている。俺が話したいこと、吐き出したいこと、そのすべてを、最後までしっかりと聞いてくれる。
Maisieだけではない。軍隊、そして諜報機関、という、ある種のアウトローな世界に身を置いていたから。派遣先や諜報先で争いに巻き込まれて、たくさんの仲間を目の前で亡くした。
耳を劈くような爆撃の音が遠くに聞こえる。思い出すものは、ただ、果てのない焼け野原のみ。歩けど歩けど続く亡骸を彩るのは白骨のカケラたち。
そんな幻影の中。ふわり、と。Maisieがつけていた、桜の香水が漂った気がした。
そんなはずはない、と。心の中で、軽く頭を振って。目の前のマスターに意識を向け、なんでもない風を装って……わざと明るく言葉を続けた。
「うん。夜更けにね?胸騒ぎがして。別れた彼女に関することだと思ったんだ。でも、軍の遠征中だったから、電話をかけることが出来なかった。……その日、哀しい夢を見て」
「……」
あの夜のことは。あの日、見た夢のことは。
久しぶりに休みが重なって。久しぶりに街まで一緒に買い物に出た、幸せだった日々を夢に見たことは。
今でも、鮮明に覚えている。
「朝起きたら、ラジオがうるさくってねぇ。テロが起きたって、ひっきりなしに報道してた」
自分の過失でひとを死なせた、という重たい告白をしているというのに。この場に似つかわしくない、明るい俺の声が響く。
ひどく明るく振舞わなければ、今にも全てが瓦解してしまいそうだった。俺の身体も魂も心も、Maisieとの優しい想い出も、知香ちゃんに焦がれている気持ちも、――― 彼女が俺に向けた、あの悪戯っぽい微笑みも。
ほろほろと、全てが散り散りになって……砂塵の彼方へ消えていきそうな気が、して。
少しでも吐き出さなければ、全てが白日の下に晒される。それは嫌だ。そんな気持ちでここに来たのに。俺はいつだって弱いから、マスターに頼ろうと思ったのに。
この期に及んでも―――精一杯。飄々とした人相をかぶって、強がっている俺がいた。
「……そうか」
マスターは淡々と。じれったいような速度でお湯を注ぎながら、小さく返事をしてくれる。
頬杖をついてカウンターに置いてあるブロックカレンダーを右手でくるくると乱暴に弄ぶ。その手を止めて、決定的な言葉を。俺が人生の中で一番後悔している、あの事を。なんでもない風を装って、口にした。
「……夜中に、胸騒ぎがした時間。あの子が……死んだ時間、だったんだ」
「……」
コトリ、と、マスターがコーヒーポットを置いて。サーバーからコーヒーカップに淹れたてのコーヒーを移しながら顔を上げた。
琥珀色の瞳。彼女と、そっくりな、その瞳。
そこに浮かぶ感情は読めない。表情を見ればその人が何を考えているのかすぐにわかるのが…俺の特技だったはずなのに。
……琥珀色の瞳だけは、いつだって読めなくて。翻弄、されるばかりで。
俺は自分の本心を誰にも読ませないつもりだった。愛した人を失った話で同情されたくなかった。憐れみ、同情。カワイソウ、イタマシイ。そんな目で見られたくなかった。
何も感じていない、と。そう演じなければ、俺の心が壊れる。取り返しのつかないことになると本能的にわかっていたから。
(……ずっと昔から…俺は、道化、だったんだな…)
道化を演じると決めたのは最近のつもりだった。けれど、Maisieを失ったあの日から俺は道化だったのだ。
だから、誰にも助けを求めなかった。求めたくなかった。
きっと、話せばみんな口を揃えて言う。
―――よく我慢したね、痛かったね、苦しかったね。
異口同音に、口々に。こんな言葉を言ったはずなんだ。そんなの、俺は求めてない。俺はただ、静かに暮らしたかった。愛しいひとと他愛のない日々を過ごせたらそれでよかったんだ。
だから―――いつも通り。皮を被って、普段の表情をして。
もう誰も愛さない、と、知らず知らずのうちに心に決めていた。愛することではなくて、愛されることを、無意識に望んだ。
だって、俺が愛したら―――神はその愛したモノを俺から奪っていく。だから……自発的に愛する、ではなくて。誰かから、愛されたかった。誰かに愛を向けて欲しかった。
それにすら、誰にも気付かせてやるもんか、と。意固地になっていた。
あのひとは。マスターと同じ、琥珀色の瞳をしたあの人は。俺が気付いていなかったその事実を、見抜いた。この店の扉に手をかけて、赤い唇から目が離せなくなった、あの瞬間から、きっと。
(……堕ちて、いたんだ)
誰も気付かない、気付かせないはずだった俺のホントウの苦しみに触れた、あのひとに。
俺はMaisieが死んだ世界を受け入れられていない、と、そう気付いた知香ちゃんですら。普段は驚くほど鈍感なくせに、妙なところで聡いあの子ですら気が付かなかった、その感情に。
そっと。それでいて、鋭く触れた、あのひとに。
俺は、堕ちて、いた。
でも。もう、あの人には届かない。日本にいない。
居場所は知っている。タンザニアだ。けれど、俺は従兄叔父の伝手で極東商社に正社員登用された。あまつさえ、今日付けで課長代理にまで昇進した。
しがらみができた。俺をこの地に結ぶ鎖ができた。
それに。タンザニアに居ると知っていても。……タンザニアは日本の約2.6倍の国土面積がある。そんな広大な国土を、たったひとりで。何処にいるかもわからない彼女を尋ね歩くのは現実的ではない。
ほら。俺は愛したモノを―――全て失う。
だから。もう、彼女に触れることも、あの悪戯っぽい笑顔を、この目で見ることも。出来なくて。
琥珀色の瞳が、俺を見つめている。その瞳には、憐憫も何も感じられない。だから、俺も。何の感情もなく―――俺の罪を、告白できる。
カウンターに頬杖をついたまま、視線をマスターから外して、戸棚の寸胴の瓶に向けて。ゆっくりと、言葉を吐いた。
「だから、俺が……あの子を殺したんだ」
「……マサ、それは違う」
いつだって。俺が話したいこと、吐き出したいこと、そのすべてを、最後までしっかりと聞いてくれるマスターが。珍しく、俺の話の途中で口を挟んだ。その事実に、視線をそっと……戸棚からマスターに戻していく。
(……違わ、ないよ。マスター…)
あぁ。この人も。俺は悪くない、と。痛かった、苦しかった、だから―――もう我慢しなくていい、と。カーボン紙よりも薄っぺらい言葉を並べ立てるのだろうか。
俺の読みは間違っていた。マスターに話せば、俺の欲求を満たしてくれる、と。そう思っていた。
そんな薄っぺらい言葉など、俺はいらない。欲しくない。欲しいのは、断罪だけ。あの子を殺したのは俺だという、痛みだけ。
痛覚が欲しい。Maisieを死なせた罪を背負った俺が、粗陋に生きているとわかるだけの。ひどく鋭い痛みが欲しい。今はただ、それだけなのに。
(……マスターも…みんなと一緒、だ……)
考えれば考えるほど身体の奥から湧き上がる感情を抑えることが出来なくなった。気が付けば―――黒川と対峙していた、あの瞬間と同じように。かっとなって、言葉を放っていた。
「違わない。あの時、規則違反だとしても、電話をしてやればよかったんだ。俺は、元カノ相手に意地を張って、」
「落ち着け、マサ。お前のせいじゃない」
俺の言葉を遮るようなマスターの声に。パキンと大きな音を立てて―――俺を包む何かに罅が入った。
「あんたに何がわかる!?」
悲鳴のような、それでいて堪え切れない怒声が自分から響いた。空気を介して聞こえる怒声と、自分の身体の内部から聞こえてくる咽び泣くような声が、ひどく乖離しているように思えた。
それと同時に。ガタンっ!と、ひどく大きな音がした。俺が立った拍子に……カウンター席に備え付けられていた、俺が座っていた黒い椅子が倒れた音だった。
心拍が普段より速い。上手く息が出来ない。
パキンと音を立てて罅割れ、何かが剥がれた箇所から、メリメリと。誰かの手によって、容赦なく俺を包む全てが剥がされていく。
喉が引き攣れて、ひゅうひゅうと音を立てている。
まるで……この店内全体が真空になったかのように、重苦しい空気が俺たちを包んだ。
肺の中から大きく息を吐き出して、唇を噛んで。
目の前の、マスターの表情を見つめる。
琥珀色の瞳は。
俺を、ただ。真っ直ぐに………貫いていた。
「……俺が、……殺したんだ」
絞り出すように、声を上げた。あの日の自分を呪うように。正しい選択を選び取った、自分への怨嗟をこれでもかと込めた。
俺は正しく行動した。けれど、それすらも神は否定した。首を横に振って、俺の手から何もかもを取り上げていった。
何も残らなかった。神は俺にたったひとつさえ残してくれなかった。
いや、違う。神が俺に残し与えたものは、ただの―――果てのない絶望、だけ。
ぬるりとした空気が、俺の身体に纏わりついている。けれど、目の前のマスターの周りには、そんな空気は微塵も感じられない。
相変わらず。この店の天窓からは、梅雨の狭間の太陽の光が降り注いでいる。その光は、カウンターの内側と、マスターの背後の戸棚を照らしている。
それに対して、俺が立っているカウンター席は。直接、太陽の光が降り注がない、場所で。
カウンター席に座った客とカウンターの内側に立つマスターの視線が平衡になるような、配慮のある構造にしてある店内だ。きっと、この建物の造りとして、来訪した客を強い陽射しで焼かないように……という、マスターの心配りなのだろうけれど。
奇しくもそれが―――俺とマスターの立ち位置が違うのだ、と。改めて、思い知らされていく。
これが。『光』に生きている人間と『闇』に生きている人間の、違いなのだ、と。まざまざと―――見せつけられるようで。
お前の居場所は、『光のある場所』ではない、と。そう、突き付けられていくようで。
きりきりと。身体が軋んだ。見えない透明で脆い壁が、俺とマスターの間を遮っている。
しばらくの沈黙ののち。マスターが静かな声で、俺に語りかけた。
「お前が悪いわけじゃない。悪いのは……聖戦と称した殺人行為を仕掛けた側の人間だ。………お前が悪いわけじゃないんだよ、マサ」
感情の読めない、無機質な声が。真っ直ぐに俺を貫いた。
数分前まで。俺がマスターを詰るその前に、このあと投げかけられるだろうと想像していた―――憐憫や惻隠を纏った言葉たちとは正反対の。ただただ、無機質で、無感動で、無感情な言葉が、俺に投げられた。
ふい、と。マスターが俺から視線を外す。そうして、カウンターの内側からこちら側に足を動かしていく。
トン、トン、と。マスターが履いているスニーカーの音が、木目張りの床に響いた。
「もし、お前が本当に悪かったのならば。お前は、それ相応の社会的な処罰を受けている。亡くした人を思うあまりに……お前は自分の落ち度を過大に考え過ぎている」
穏やかで、それでいて強い意思を孕んだ声が。マスターの足音とともに交じって、店内に溶け込んでいく。マスターは俺に近づいて、腰を少しだけ曲げ、俺が立ち上がった瞬間に倒した椅子に手をかけてぱたんと元の位置に戻した。
そうして、すとん、と。俺が腰をおろしていた席の隣に、マスターが座った。
先ほどまでの俺と同じように、左手で頬杖をついて。マスターの皺が入った右手が、緩やかに。おいで、と。手招きをした。
「……お前は不器用だなぁ、本当に。不器用で……それでいて、他人のことをこんなに深く思える、優しい人間だ」
マスターが。俺の話を聞くときに、こうしてカウンター席に腰かけるのは、初めてのこと。
さっきまで。マスターと、俺の間に。透明な壁があるように思えていた。脆くて、それでいて決定的に俺たちを阻む何か。
それを。この人は、軽々と越えて。俺の隣に、来てくれた。
「……」
優しい、だなんて。そんな言葉をかけられるとは、思ってもみなかった。
憐れみを向けられる、と思っていた。愛した人を亡くして苦しいね、と。
批難される、と思っていた。その時に行動に移せなかったお前のせいだ、と。
マスターからかけられた言葉は、そのどちらでもなくて。予想だにしていない、言葉で。
胸の奥がズンと痛む。でも、軋むような痛さではなくて。
鼻の奥がツンとする。でも―――眠っていた知香ちゃんを前に、心を吐露した時のような痛みは、なく、て。
くしゃりと顔が歪む。泣きたいのか、笑いたいのか、そのどちらでもないのか、自分でもわからない。
「マスター……俺…」
壊れてしまったみたいだ、と。滲んで歪んだ、穏やかなマスターの笑顔を眺めながら。
光が差し込まない場所に立ち尽くしたまま、小さく呟いた。
チリチリと軽い音がして、真っ白な壁紙に包まれた店内に足を踏み入れる。目の前に飛び込んでくる銀の光を湛えた大きな焙煎機。天窓から差し込む太陽の光が眩い。そんな店の奥に視線を向けると。
「………いらっしゃい、マサ」
目尻に皺を作って、いつものように、穏やかにマスターが笑みを浮かべている。
今日のマスターは珍しくカウンター席に座って、俺が開いた入り口の扉を眺めていた。普段、店内に客がいない時は、店の奥に積み上げられた焙煎後の豆が入ったコンテナボックスを漁っているか、カウンターの中で書類整理をしているか、なのに。
マスターのその姿はまるで―――誰かを待っているかのようで。
「マスター、久しぶり。や~っと余裕が出来た」
へにゃり、と。いつもの笑みを浮かべてマスターに返答する。
この人は。やっぱり……俺の父親に。どことなく、似ている。
多分。待っていたのは、俺だ。きっと、俺が今日この喫茶店に立ち寄ることを予感していたのだろう。その理由までは、俺にはさっぱりわからないけれども。
そういった察しのいいところも含めて。俺の父親に、似ている、と。なんとなく、そう感じている。
「ずいぶんとご無沙汰だなぁ、マサ。ほかの店に浮気でもしてるのかと思ってたぜ?」
マスターが揶揄うように笑いながら席を立った。そうして、踵を返してカウンターの向こう側に入っていく。マスターが歩く度に彼の背中で左右に揺れ動く黒いエプロンの腰紐を眺めつつ、苦笑したように肩を竦めて声を上げた。
「そんなワケないでしょ?マスターの豆を飲みつけたら今更ほかの店なんて行けるわけないよ」
「ははは、それは光栄なこった」
愉しげに笑みを浮かべたマスターの横顔。白髪混じりの髪と口元の髭が特徴的だ。
口にした言葉は日本独特のお世辞でもなんでもない。俺は本心から、この店の豆が世界一美味しい、と、そう感じている。だから、香典返しを渡しに来て以降、缶コーヒー以外のコーヒーを口にしていない。
マスターがカウンターに入り、琥珀色の瞳が俺を優しく見据えた。
「今日は?何飲む?」
マスターがケトルの電源をいれつつ俺に声をかけた。視線だけで、座れ、と伝えられる。その穏やかな視線に、俺は素直に腰を下ろした。
するりと足を組んで、カウンターに頬杖をつく。何を飲もうか。ふい、と、戸棚の寸胴の瓶に視線を向けると、昨日のあの瞬間が脳裏をよぎった。
『どうして片桐さんが彼を庇うような発言をするんですか?』
昨日の帰り際。知香ちゃんが、焦げ茶色の瞳に不審感を募らせて。訝しげに眉を顰めて……こう問いかけてきた時。
咄嗟に、その問いに対する答えが出てこなかった。
自分でも不思議だった。彼女が智くんに向かって怒っていると勘付くや否や、気が付けば彼女を……いつの間にか宥めにかかっていた。
今までの俺だったら―――その怒りに付け込んで。その恋慕を俺に向けるように、誘導していたはずなのに。
(……)
気が付けば。彼女と智くんの仲を取り持つような。俺が智くんを庇って、知香ちゃんと智くんが仲直りをするような形に……会話を誘導していた。どうして自分がそんな行動に出たのかが全く分からなかった。
極めつけに。
『あなたは、何を隠しているの?』
こんなことを……あの優し気な赤い口紅を纏った唇で、言われてしまったのだ。
このまま失ったMaisieのことを独りで抱え込んでいては、彼女に全てを暴かれてしまう。それがひどく恐ろしかった。
俺の過去の過ちも、傷も、俺がかっとなって黒川の恨みを買ったことも、だから代わりに道化を演じると決めたことも、ずっと目を背けてきた―――あの日から蹲って歩けなくなってしまっている、自分自身のことも。何もかもが白日のもとに晒されてしまう。
それだけは避けたかった。そんなことは俺のプライドが赦さない。俺は、今度こそ全てを護るために、間違った選択をすると決めたのだから。
だから……俺の過去を、話せる範囲で吐き出す。そう決めて、今日はこの店に足を運んだ。父親代わりのマスターに吐き出すことで自分の―――この心の中の、霞がかった感情を整理したい、と。そう思ったのだ。
太陽の陽射しを反射する寸胴の瓶。その中で目に留まったのは「モカ」。Maisieが好きだった、エチオピア産の……コーヒー。奇しくもこんな場所で、こんな日に…思い入れの深い産地の豆に巡り合うとは。
(タイミングがいいのか、悪いのか……)
心の中で小さく苦笑しながら、「モカ」と短く声をあげた。俺の返答に、マスターがふっと小さく笑って、メジャースプーンを使ってその瓶からペーパーに豆を入れていく。
豆を砕くミルの音がして、ふわりと仄かな香りが漂った。マスターが挽いた豆をいれたペーパーをドリッパーにセットして、コーヒーポットからお湯を注いでいく。
「……マスター。俺ね。昔、大事なひとを、死なせたんだ」
「………そうかい」
マスターがコーヒーを淹れていく様子をぼうっと眺めながら、誰に聞かせるでもないような小さな声で呟いた。マスターは俺の声に、視線を手元のドリッパーに落としたまま短く返答してくれる。
こういうところも……父親に似ている。聞いていないようで、きちんと聞いてくれている。俺が話したいこと、吐き出したいこと、そのすべてを、最後までしっかりと聞いてくれる。
Maisieだけではない。軍隊、そして諜報機関、という、ある種のアウトローな世界に身を置いていたから。派遣先や諜報先で争いに巻き込まれて、たくさんの仲間を目の前で亡くした。
耳を劈くような爆撃の音が遠くに聞こえる。思い出すものは、ただ、果てのない焼け野原のみ。歩けど歩けど続く亡骸を彩るのは白骨のカケラたち。
そんな幻影の中。ふわり、と。Maisieがつけていた、桜の香水が漂った気がした。
そんなはずはない、と。心の中で、軽く頭を振って。目の前のマスターに意識を向け、なんでもない風を装って……わざと明るく言葉を続けた。
「うん。夜更けにね?胸騒ぎがして。別れた彼女に関することだと思ったんだ。でも、軍の遠征中だったから、電話をかけることが出来なかった。……その日、哀しい夢を見て」
「……」
あの夜のことは。あの日、見た夢のことは。
久しぶりに休みが重なって。久しぶりに街まで一緒に買い物に出た、幸せだった日々を夢に見たことは。
今でも、鮮明に覚えている。
「朝起きたら、ラジオがうるさくってねぇ。テロが起きたって、ひっきりなしに報道してた」
自分の過失でひとを死なせた、という重たい告白をしているというのに。この場に似つかわしくない、明るい俺の声が響く。
ひどく明るく振舞わなければ、今にも全てが瓦解してしまいそうだった。俺の身体も魂も心も、Maisieとの優しい想い出も、知香ちゃんに焦がれている気持ちも、――― 彼女が俺に向けた、あの悪戯っぽい微笑みも。
ほろほろと、全てが散り散りになって……砂塵の彼方へ消えていきそうな気が、して。
少しでも吐き出さなければ、全てが白日の下に晒される。それは嫌だ。そんな気持ちでここに来たのに。俺はいつだって弱いから、マスターに頼ろうと思ったのに。
この期に及んでも―――精一杯。飄々とした人相をかぶって、強がっている俺がいた。
「……そうか」
マスターは淡々と。じれったいような速度でお湯を注ぎながら、小さく返事をしてくれる。
頬杖をついてカウンターに置いてあるブロックカレンダーを右手でくるくると乱暴に弄ぶ。その手を止めて、決定的な言葉を。俺が人生の中で一番後悔している、あの事を。なんでもない風を装って、口にした。
「……夜中に、胸騒ぎがした時間。あの子が……死んだ時間、だったんだ」
「……」
コトリ、と、マスターがコーヒーポットを置いて。サーバーからコーヒーカップに淹れたてのコーヒーを移しながら顔を上げた。
琥珀色の瞳。彼女と、そっくりな、その瞳。
そこに浮かぶ感情は読めない。表情を見ればその人が何を考えているのかすぐにわかるのが…俺の特技だったはずなのに。
……琥珀色の瞳だけは、いつだって読めなくて。翻弄、されるばかりで。
俺は自分の本心を誰にも読ませないつもりだった。愛した人を失った話で同情されたくなかった。憐れみ、同情。カワイソウ、イタマシイ。そんな目で見られたくなかった。
何も感じていない、と。そう演じなければ、俺の心が壊れる。取り返しのつかないことになると本能的にわかっていたから。
(……ずっと昔から…俺は、道化、だったんだな…)
道化を演じると決めたのは最近のつもりだった。けれど、Maisieを失ったあの日から俺は道化だったのだ。
だから、誰にも助けを求めなかった。求めたくなかった。
きっと、話せばみんな口を揃えて言う。
―――よく我慢したね、痛かったね、苦しかったね。
異口同音に、口々に。こんな言葉を言ったはずなんだ。そんなの、俺は求めてない。俺はただ、静かに暮らしたかった。愛しいひとと他愛のない日々を過ごせたらそれでよかったんだ。
だから―――いつも通り。皮を被って、普段の表情をして。
もう誰も愛さない、と、知らず知らずのうちに心に決めていた。愛することではなくて、愛されることを、無意識に望んだ。
だって、俺が愛したら―――神はその愛したモノを俺から奪っていく。だから……自発的に愛する、ではなくて。誰かから、愛されたかった。誰かに愛を向けて欲しかった。
それにすら、誰にも気付かせてやるもんか、と。意固地になっていた。
あのひとは。マスターと同じ、琥珀色の瞳をしたあの人は。俺が気付いていなかったその事実を、見抜いた。この店の扉に手をかけて、赤い唇から目が離せなくなった、あの瞬間から、きっと。
(……堕ちて、いたんだ)
誰も気付かない、気付かせないはずだった俺のホントウの苦しみに触れた、あのひとに。
俺はMaisieが死んだ世界を受け入れられていない、と、そう気付いた知香ちゃんですら。普段は驚くほど鈍感なくせに、妙なところで聡いあの子ですら気が付かなかった、その感情に。
そっと。それでいて、鋭く触れた、あのひとに。
俺は、堕ちて、いた。
でも。もう、あの人には届かない。日本にいない。
居場所は知っている。タンザニアだ。けれど、俺は従兄叔父の伝手で極東商社に正社員登用された。あまつさえ、今日付けで課長代理にまで昇進した。
しがらみができた。俺をこの地に結ぶ鎖ができた。
それに。タンザニアに居ると知っていても。……タンザニアは日本の約2.6倍の国土面積がある。そんな広大な国土を、たったひとりで。何処にいるかもわからない彼女を尋ね歩くのは現実的ではない。
ほら。俺は愛したモノを―――全て失う。
だから。もう、彼女に触れることも、あの悪戯っぽい笑顔を、この目で見ることも。出来なくて。
琥珀色の瞳が、俺を見つめている。その瞳には、憐憫も何も感じられない。だから、俺も。何の感情もなく―――俺の罪を、告白できる。
カウンターに頬杖をついたまま、視線をマスターから外して、戸棚の寸胴の瓶に向けて。ゆっくりと、言葉を吐いた。
「だから、俺が……あの子を殺したんだ」
「……マサ、それは違う」
いつだって。俺が話したいこと、吐き出したいこと、そのすべてを、最後までしっかりと聞いてくれるマスターが。珍しく、俺の話の途中で口を挟んだ。その事実に、視線をそっと……戸棚からマスターに戻していく。
(……違わ、ないよ。マスター…)
あぁ。この人も。俺は悪くない、と。痛かった、苦しかった、だから―――もう我慢しなくていい、と。カーボン紙よりも薄っぺらい言葉を並べ立てるのだろうか。
俺の読みは間違っていた。マスターに話せば、俺の欲求を満たしてくれる、と。そう思っていた。
そんな薄っぺらい言葉など、俺はいらない。欲しくない。欲しいのは、断罪だけ。あの子を殺したのは俺だという、痛みだけ。
痛覚が欲しい。Maisieを死なせた罪を背負った俺が、粗陋に生きているとわかるだけの。ひどく鋭い痛みが欲しい。今はただ、それだけなのに。
(……マスターも…みんなと一緒、だ……)
考えれば考えるほど身体の奥から湧き上がる感情を抑えることが出来なくなった。気が付けば―――黒川と対峙していた、あの瞬間と同じように。かっとなって、言葉を放っていた。
「違わない。あの時、規則違反だとしても、電話をしてやればよかったんだ。俺は、元カノ相手に意地を張って、」
「落ち着け、マサ。お前のせいじゃない」
俺の言葉を遮るようなマスターの声に。パキンと大きな音を立てて―――俺を包む何かに罅が入った。
「あんたに何がわかる!?」
悲鳴のような、それでいて堪え切れない怒声が自分から響いた。空気を介して聞こえる怒声と、自分の身体の内部から聞こえてくる咽び泣くような声が、ひどく乖離しているように思えた。
それと同時に。ガタンっ!と、ひどく大きな音がした。俺が立った拍子に……カウンター席に備え付けられていた、俺が座っていた黒い椅子が倒れた音だった。
心拍が普段より速い。上手く息が出来ない。
パキンと音を立てて罅割れ、何かが剥がれた箇所から、メリメリと。誰かの手によって、容赦なく俺を包む全てが剥がされていく。
喉が引き攣れて、ひゅうひゅうと音を立てている。
まるで……この店内全体が真空になったかのように、重苦しい空気が俺たちを包んだ。
肺の中から大きく息を吐き出して、唇を噛んで。
目の前の、マスターの表情を見つめる。
琥珀色の瞳は。
俺を、ただ。真っ直ぐに………貫いていた。
「……俺が、……殺したんだ」
絞り出すように、声を上げた。あの日の自分を呪うように。正しい選択を選び取った、自分への怨嗟をこれでもかと込めた。
俺は正しく行動した。けれど、それすらも神は否定した。首を横に振って、俺の手から何もかもを取り上げていった。
何も残らなかった。神は俺にたったひとつさえ残してくれなかった。
いや、違う。神が俺に残し与えたものは、ただの―――果てのない絶望、だけ。
ぬるりとした空気が、俺の身体に纏わりついている。けれど、目の前のマスターの周りには、そんな空気は微塵も感じられない。
相変わらず。この店の天窓からは、梅雨の狭間の太陽の光が降り注いでいる。その光は、カウンターの内側と、マスターの背後の戸棚を照らしている。
それに対して、俺が立っているカウンター席は。直接、太陽の光が降り注がない、場所で。
カウンター席に座った客とカウンターの内側に立つマスターの視線が平衡になるような、配慮のある構造にしてある店内だ。きっと、この建物の造りとして、来訪した客を強い陽射しで焼かないように……という、マスターの心配りなのだろうけれど。
奇しくもそれが―――俺とマスターの立ち位置が違うのだ、と。改めて、思い知らされていく。
これが。『光』に生きている人間と『闇』に生きている人間の、違いなのだ、と。まざまざと―――見せつけられるようで。
お前の居場所は、『光のある場所』ではない、と。そう、突き付けられていくようで。
きりきりと。身体が軋んだ。見えない透明で脆い壁が、俺とマスターの間を遮っている。
しばらくの沈黙ののち。マスターが静かな声で、俺に語りかけた。
「お前が悪いわけじゃない。悪いのは……聖戦と称した殺人行為を仕掛けた側の人間だ。………お前が悪いわけじゃないんだよ、マサ」
感情の読めない、無機質な声が。真っ直ぐに俺を貫いた。
数分前まで。俺がマスターを詰るその前に、このあと投げかけられるだろうと想像していた―――憐憫や惻隠を纏った言葉たちとは正反対の。ただただ、無機質で、無感動で、無感情な言葉が、俺に投げられた。
ふい、と。マスターが俺から視線を外す。そうして、カウンターの内側からこちら側に足を動かしていく。
トン、トン、と。マスターが履いているスニーカーの音が、木目張りの床に響いた。
「もし、お前が本当に悪かったのならば。お前は、それ相応の社会的な処罰を受けている。亡くした人を思うあまりに……お前は自分の落ち度を過大に考え過ぎている」
穏やかで、それでいて強い意思を孕んだ声が。マスターの足音とともに交じって、店内に溶け込んでいく。マスターは俺に近づいて、腰を少しだけ曲げ、俺が立ち上がった瞬間に倒した椅子に手をかけてぱたんと元の位置に戻した。
そうして、すとん、と。俺が腰をおろしていた席の隣に、マスターが座った。
先ほどまでの俺と同じように、左手で頬杖をついて。マスターの皺が入った右手が、緩やかに。おいで、と。手招きをした。
「……お前は不器用だなぁ、本当に。不器用で……それでいて、他人のことをこんなに深く思える、優しい人間だ」
マスターが。俺の話を聞くときに、こうしてカウンター席に腰かけるのは、初めてのこと。
さっきまで。マスターと、俺の間に。透明な壁があるように思えていた。脆くて、それでいて決定的に俺たちを阻む何か。
それを。この人は、軽々と越えて。俺の隣に、来てくれた。
「……」
優しい、だなんて。そんな言葉をかけられるとは、思ってもみなかった。
憐れみを向けられる、と思っていた。愛した人を亡くして苦しいね、と。
批難される、と思っていた。その時に行動に移せなかったお前のせいだ、と。
マスターからかけられた言葉は、そのどちらでもなくて。予想だにしていない、言葉で。
胸の奥がズンと痛む。でも、軋むような痛さではなくて。
鼻の奥がツンとする。でも―――眠っていた知香ちゃんを前に、心を吐露した時のような痛みは、なく、て。
くしゃりと顔が歪む。泣きたいのか、笑いたいのか、そのどちらでもないのか、自分でもわからない。
「マスター……俺…」
壊れてしまったみたいだ、と。滲んで歪んだ、穏やかなマスターの笑顔を眺めながら。
光が差し込まない場所に立ち尽くしたまま、小さく呟いた。
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