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本編・第三部
143 溶け込んで、いった。(下)
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(……もう着くのか)
残業を終え、知香に今から帰ると連絡し、電車に乗り込んで座席に座っていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。偶然意識が浮上しなければ乗り過ごすところだった。
「……あっぶね…」
自分の指先で目尻をゴシゴシと擦る。
(………本格的に寝不足だな…)
毎晩、知香が魘されていないか気になって起きてしまい、寝不足になってしまっている。このままではいけない、と、わかってはいるのだが。
脳裏に浮かんだヘーゼル色の瞳を、軽く頭を振って振り払う。遅くまで残業して疲れている今は、それを考えたくはない。
電車を降りたらすぐ電話をかけよう。 とにかく今は、知香のあの甘い声が聞きたい。
(……仕事で関わりができるなんて考えたこともなかったな)
あの一瞬の空白の時間で、恐らく池野課長に取り次ぐように伝えたはずの知香も、俺が出て驚いたのだろうと察する。電話口では落ち着いた声色だったが、内心はきっと顔を真っ赤にしていたはずだ。
真っ赤になった知香の愛らしい表情を想像すると、口の端がゆっくりつり上がっていく。少しだけ揶揄ってやろうと考えて、パスケースとスマホを手に持って席を立った。
電車のドアが開いた瞬間に、知香に電話をかける。呼び出し音が数コールで途切れた瞬間に声をあげた。
「すげぇビビったんだけど」
『……え?』
知香の呆けたような声が電話口で上がる。仕事中はあんなにしっかりした声色だというのに、こんな声色が聞けるのも彼氏特権というものだろう。口元がにやけるのを止められやしない。
「昼間の電話」
『あぁ!そのこと』
カチャカチャと音が反響している。洗面台の前にいるのか。
『私の方がびっくりした。だって池野さんをお願いしたら智が出るんだもん』
怒ったような、困ったような声色。きっと、頬を膨らませているか、口先を尖らせているかのどちらかだろう。想像すると思わずふっと息が漏れた。
地上に出るための階段を早足で登りあがる。そうして、あの電話のあとに取り寄せた書類のことを口にする。
「あれから、工場に連絡して書類受け取った。帰り際に知香と水野さん宛にメールで送付してあるから、明日確認しておいてくれな」
そう締めくくった瞬間、ププッとキャッチの音が入った。
(こんな時間に誰だ…?)
もう23時前だ。こんな遅くに電話をかけてくる人物なんて、心当たりがない。訝しげにスマホを耳から外し、スマホの画面を見てひゅっと息を飲んだ。
「すまん。キャッチ入ったから切る」
電話口の知香に返答する時間すら与えなかった。けれど、コイツが俺にかけてくるということは、あの時のように『何かがあった』ということを意味するからだ。
「はい」
今度は何があったのか。さっきまで通話していた知香は、無事のはずだ。そう考えながら強張った声で返答すると。
『……遅い時間だから出ないかと思っていました』
ほう、と。仔犬の声が、ため息とともにスピーカーから響いた。さぁっと、春のやわらかく冷たい風が吹き抜けて、その風が嫌な予感を誘っているようで。思わず、ぶるりと身震いをする。
「………今、帰宅しているところでな。今度は何があった?」
あの時、未登録だった仔犬の電話番号。念のために電話帳に登録をしていた。それが今回は役立ったことに安堵すると同時に、言いようのない不安感が渦巻いていく。
『……一応、忠告です。片桐は一瀬さんを諦めてはいない』
「……は?」
手を引く、と俺の前で2度も宣言した、片桐。諦めていない、というのは、どういうことだ。ざぁっと全身の血の気が引いていく。
『説明は省きます。俺はもう部外者なので。ですが、念のため忠告まで。話しは、それだけです』
仔犬は、それだけを告げてプツリと通話を切った。
「………」
真っ黒になったスマホの画面を呆然と眺める。自宅マンションのエントランスに繋がる自動ドア付近に立ち、硝子に反射する窓に映った自分の……今にも泣きそうな、情けない表情を眺めた。
俺は―――こんなに弱い人間だっただろうか。
あの夜、仔犬に言われた。不敵に、余裕ぶった、スカした顔をしていろ、と。けれど、今はそんな表情なんて浮かべられる余裕なんて、無い。
片桐に。知香を、奪われてしまうかもしれない。そう考えるだけで、言葉にならない感情が嵐の海の渦潮のように渦巻いていく。
結局。俺は、知香のことに関しては、余裕なんてものを失ってしまうのだ。
ぼんやりと仔犬の忠告の意味を脳裏に反芻させながら、自宅の玄関を開いて無意識のうちに革靴を脱いだ。
「おかえ……り…?」
リビングに向かうと、きょとん、としたような知香の顔が目の前にあった。
今は……その、焦げ茶色の瞳を見つめるだけで。焦げ茶色の瞳の向こう側に、ヘーゼル色の瞳がチラついてしまう。
その瞳を見ていられなくて。ゆっくりと知香から視線を逸らした。
「……すまん、ちょっと一服つけてくる」
今は、とにかく落ち着きたい。昨晩準備したカレーの味がわからなくなってもいい。とにかく……落ち着きたい。
ベランダに出てジッとライターの横車を擦る。煙草の先端に火が灯るのを確認して、大きく息を吸い込んだ。ほわり、と、アメリカンスピリットの煙草葉の香りが漂う。
もう一度深く吸い込み、吐き出す。と同時に、ざぁっと春の風が吹き抜けていく。ふっと、煙草の先端の火が揺らめいて消えた。
「……チッ…」
アメリカンスピリット特有の、ぎちぎちに詰め込まれた煙草葉の量と、燃焼促進剤不使用による火のつきにくさ。それ故に、ライターの灯し方が甘ければ火が消えてしまう。
苛つきながらももう一度ライターを取り出して、今度はライターに灯った火を、風から守るように手を翳しつつ煙草に火を灯し、ふたたび紫煙を吸い上げる。
(……何故、仔犬は片桐が知香を諦めていないと気付いたんだ?)
吸い上げた紫煙を吐き出しながら、疑問点を洗い出していく。
仔犬は確か、今日から畜産販売部に異動になると聞いていた。一方の片桐は長期休暇を取得して、今日から復帰、さらに今日付けで農産販売部へ異動。アイツらの接点は途切れたはず、なのだが。
ふたたびゆっくり煙草を吸って、煙を吐き出す。
仔犬が口にした、部外者、という言葉も気になる。自分は知香のことを諦めたから、部外者、ということなのだろうか。
(………わからんな)
ほう、と息をついて、夜空を見上げた。
一体全体、何がどうなっているのか。さっぱりわからない。細い糸が絡み合って、ぐちゃぐちゃになったまま俺の手に放り投げられたような気分だ。
「…………満月、か…」
そうだ。今日は旧暦の15日。営業から離れて、旧暦の把握すら失念していた。
3課所属の時は水産品を主に取り扱っていた。
満月の夜は、九州地方の多くの漁師が漁に出ない。満月近くになると海上が明るくなることにより魚が船の集魚灯に集まってこなくなる。限りある資源の保護……魚の取りすぎを防ぐ目的もあり、取引のあった九州地方の商社はその満月付近に休みを取るという場合が多かった。それ故に、3課に居た頃は旧暦の把握も怠らないようにしていた。
新部門の立ち上げに本格的に携わるようになってから、営業から離れてから。精神的に不安定になる機会が増えている気がする。営業という仕事が俺の精神安定剤だったのかもしれない。
ふたたび、煙草に口をつけてゆっくり吐き出す。
「…………綺麗、だな…」
目の前に浮かんでいる、春の満月はこんなに綺麗なのに。……俺の目の前は、真っ白で、それでいて真っ黒な霧が立ち込めている。
今日は考えることが多すぎる。一旦、思考をゼロに戻してから考えよう。俺の原動力である知香という存在を補充してから。
そう考えて煙草の火を消し、リビングに戻った。
知香の昇進の報告、それに合わせて新入社員の話しを聞く。新入社員の話しになると知香が話しづらそうに口を窄めた。その動作に感情が暴れそうになるも、幸い、片桐のように知香に目をつけたわけでは無さそうで胸をほっと撫で下ろした。
「帰り際に……定時で上がらせたはずの南里くん、っていう男の子の方が、三木ちゃんに一目惚れしたって待ち構えてて。………それで…」
知香がそこまで口にして、一瞬躊躇ったように俺から視線を外す。
(……なにが、あったんだ)
ザワザワと胸が騒めいている。まさか、その後輩同士の痴情の縺れに、物理的に巻き込まれたのか。その男に殴られたか、それとも。
躊躇ったように逸らされた焦げ茶色の瞳が、俺を強く貫いた。
「えっとね……後輩の三木ちゃんに強引に迫っている南里くんを、片桐さんが間に入って止めてくれたの」
「片桐が?」
思わぬ人物の名前に大きく目を見張る。ヤツは自分さえ良ければという人間だ。そんな人助けのような事をするようなタマじゃねぇと思っていたが。
「えと、ね。片桐さん……その、智への償いだって言ってた」
「……償い」
紡がれた単語を繰り返す。知香が、ゆっくりと頷いて。
「うん。片桐さんが間に入って、止めてくれて。三木ちゃん、好きな人がいるって言ってたよね、こんなオープンな場所で迫るなんてナイと思う、って言ってたの。だから、びっくりしちゃって……片桐さんがそれを言うか、って言ったら『彼への償いだから』って、片桐さんは言ったの」
知香が説明する言葉に。何かが繋がりそうな、気がした。ゆっくりと足を組む。
その三木という後輩には『好きな人』がいる。片桐は、その後輩に迫る新入社員を止めた。そして、それは『彼への償い』。
(…………『部外者』)
その単語に、パチン、と。パズルのピースが嵌るような感覚があった。ゆっくりと、口元がゆるんでいく。
「…あいつも隅に置けねぇな……」
そこから導き出される結論。仔犬と、その三木という後輩の、関係性。
「なるほどな。だから『償い』そして『部外者』か。やっと繋がった」
くつくつと、喉が鳴る。
知香は生粋の人誑しだ。男女問わず、己の味方にしていく。マスターが知香の本質をそう表現したように、俺もそれに同じ考えを持っている。
三木、という後輩も例に漏れず、知香を慕っているのだろう。俺は三木という人物に、あの合コンの場でしか接したことは無いが、あの時は明らかに知香をサポートして回っていた。傷付いた知香を癒してくれるような男が現れないか、目を光らせていた。
恐らく。片桐を阻むため、三木という後輩も俺が知らない所で色々と動いていたのではないだろうか。それほどまでに極東商社内での片桐の行動はあからさまだった、ということだろう。
その後輩が何をどう動いたのか、詳しくはわからない。けれど、それを見た仔犬が、知香を守ろうとする三木に惹かれ―――堕ちた。
あの夜、仔犬は初恋に自ら幕を引いて、そして新たな未来へ、その一歩を踏み出した、と。それ故に、自分はもう部外者、だと。そういうこと、なのだろう。
片桐は仔犬と三木の関係性に気づいている。だから、彼への償い、というのは。
(仔犬に向けての言葉、だ)
でなければ、片桐が三木という後輩を守ろうする行動に矛盾が生じてしまう。この結論が、今俺の手の中にあるピースを嵌めるためには一番整合性が取れている。一部、嵌める方向を逆にしてしまっている箇所もあるかもしれないが、ある程度は正解のはずだ。
そして、片桐は。仔犬に……もたもたしていると新入社員に三木を奪われるぞと忠告に行った。
その際に―――片桐が自分はまだ知香を諦めていない、と、宣言したということだろう。
(ようやく繋がった……)
だから。さっき。仔犬が俺に忠告をした。自分が口にできる範囲で。それは、恐らく。
(仔犬の想い人である、三木の想いを汲んで、のこと)
どういう形で三木が知香を守ろうとしたのかはわからない。けれど、仔犬は間違いなく三木に惹かれている。
そして……三木の願いは即ち自分の願いでもある、と。そういう考えに至ったのであろう。
知香に本気で惚れていたからこそ、あの時、俺に託すという、身を引き裂くような選択をした仔犬。
(……幸せになってくれりゃぁいいな)
だからこそ、本心から、そう思うのだ。三木と仔犬がうまくいけばいい。
「……え?え?どういうこと?」
さっぱりわからない、というような表情を浮かべている知香。その表情にゆっくり微笑んだ。
「知香は気付かなくていい。……いや、違うな。知香が自分で気が付かないと意味がねぇ」
そう、これは、知香が自ら気付くべきことだ。
知香は、鈍い。色々と聡い癖に、周りが自分に向ける恋慕や思慕の感情に、恐ろしく鈍い。
恐らくだが、感受性が豊かすぎるからだ。他人の感情に引っ張られやすい、それ故に自己防衛が働いて、本能的に周囲が自分に向ける恋慕や思慕という感情に鈍くなっている。
(それは……一旦置いておくとして)
気にかかるのは、結局のところ片桐が知香を諦めていないということだ。足元を、ゆっくりとヘーゼル色の瞳が這っているような感覚があって。目の前の知香が消えてしまうような、そんな気がして。そんなことはない、と、目の前にいる知香の存在を確かめるように、額にキスを落とす。
言いようのない不安感で脈拍が上がっていくのを押し殺しながら、知香に問いかけた。
「んで?片桐は?それ以上はなにも言わなかったのか?」
じっと。知香が、俺を見ている。事の顛末を口にする知香の瞳に、『俺』が映っていることを感じて、小さく安堵の息を吐いて。続いて告げられた言葉に、その吐いた息を思わず飲み込んだ。
「あの人、本当は私のことなんか好きじゃないのに」
「……え?」
日本語、だというのに。意味が、分からなかった。理解が及ばなかった。
知香は、まるで幼い子どもに噛んで言い含めるかのように。ゆっくりと、『俺』に届くように。俺の心に、届くように。言葉を紡いでいく。
「だから。あんな暗示をかけられたって……私があの人の元に行く、だなんて、世界がひっくり返ってもあり得ない。私を好きでいてくれる智を捨てて、私を好きでもない片桐さんの元に行く、だなんて。暗示だろうと、絶対にあり得ない」
やはり、知香は…強い。
優しく、それでいて、力強い。
「私には、智だけ。たとえ世界が滅んでも、智さえ生きていれば、それでいいの」
愛しい声が響いて。ふわり、と。知香が、わらった。
知香に気が付かれないように、自分の中で抑えてきた闇ですら。
知香には……隠せない。
そう、実感して。視界が、ゆっくりと歪んでいく。
「……ほんと、知香には敵わねーなぁ…」
本当に。知香には、適わない。
俺の、身勝手な独りよがりな想いも、醜い感情も、怯える心も、全部全部、飲み込んで。
それでいて、怯えて縮こまった俺を、その小さな身体で、暖かく包み込んでいく。
『……愛しているからこそ彼女に向き合ってやれよ』
今日、浅田が俺にかけた言葉が、脳裏に蘇った。
今。己の恐怖と向き合わずして。
(いつ、向き合うんだ)
知香の華奢な身体を、力強く掻き抱いて。
「……知香。俺のこと、好き?」
ちいさく、ちいさく。
目の前にいる、愛しい人に、語り掛けた言葉が。
ふたりだけの空間に、俺の小さな吐息と、その言葉が。溶け込んで、行った。
残業を終え、知香に今から帰ると連絡し、電車に乗り込んで座席に座っていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。偶然意識が浮上しなければ乗り過ごすところだった。
「……あっぶね…」
自分の指先で目尻をゴシゴシと擦る。
(………本格的に寝不足だな…)
毎晩、知香が魘されていないか気になって起きてしまい、寝不足になってしまっている。このままではいけない、と、わかってはいるのだが。
脳裏に浮かんだヘーゼル色の瞳を、軽く頭を振って振り払う。遅くまで残業して疲れている今は、それを考えたくはない。
電車を降りたらすぐ電話をかけよう。 とにかく今は、知香のあの甘い声が聞きたい。
(……仕事で関わりができるなんて考えたこともなかったな)
あの一瞬の空白の時間で、恐らく池野課長に取り次ぐように伝えたはずの知香も、俺が出て驚いたのだろうと察する。電話口では落ち着いた声色だったが、内心はきっと顔を真っ赤にしていたはずだ。
真っ赤になった知香の愛らしい表情を想像すると、口の端がゆっくりつり上がっていく。少しだけ揶揄ってやろうと考えて、パスケースとスマホを手に持って席を立った。
電車のドアが開いた瞬間に、知香に電話をかける。呼び出し音が数コールで途切れた瞬間に声をあげた。
「すげぇビビったんだけど」
『……え?』
知香の呆けたような声が電話口で上がる。仕事中はあんなにしっかりした声色だというのに、こんな声色が聞けるのも彼氏特権というものだろう。口元がにやけるのを止められやしない。
「昼間の電話」
『あぁ!そのこと』
カチャカチャと音が反響している。洗面台の前にいるのか。
『私の方がびっくりした。だって池野さんをお願いしたら智が出るんだもん』
怒ったような、困ったような声色。きっと、頬を膨らませているか、口先を尖らせているかのどちらかだろう。想像すると思わずふっと息が漏れた。
地上に出るための階段を早足で登りあがる。そうして、あの電話のあとに取り寄せた書類のことを口にする。
「あれから、工場に連絡して書類受け取った。帰り際に知香と水野さん宛にメールで送付してあるから、明日確認しておいてくれな」
そう締めくくった瞬間、ププッとキャッチの音が入った。
(こんな時間に誰だ…?)
もう23時前だ。こんな遅くに電話をかけてくる人物なんて、心当たりがない。訝しげにスマホを耳から外し、スマホの画面を見てひゅっと息を飲んだ。
「すまん。キャッチ入ったから切る」
電話口の知香に返答する時間すら与えなかった。けれど、コイツが俺にかけてくるということは、あの時のように『何かがあった』ということを意味するからだ。
「はい」
今度は何があったのか。さっきまで通話していた知香は、無事のはずだ。そう考えながら強張った声で返答すると。
『……遅い時間だから出ないかと思っていました』
ほう、と。仔犬の声が、ため息とともにスピーカーから響いた。さぁっと、春のやわらかく冷たい風が吹き抜けて、その風が嫌な予感を誘っているようで。思わず、ぶるりと身震いをする。
「………今、帰宅しているところでな。今度は何があった?」
あの時、未登録だった仔犬の電話番号。念のために電話帳に登録をしていた。それが今回は役立ったことに安堵すると同時に、言いようのない不安感が渦巻いていく。
『……一応、忠告です。片桐は一瀬さんを諦めてはいない』
「……は?」
手を引く、と俺の前で2度も宣言した、片桐。諦めていない、というのは、どういうことだ。ざぁっと全身の血の気が引いていく。
『説明は省きます。俺はもう部外者なので。ですが、念のため忠告まで。話しは、それだけです』
仔犬は、それだけを告げてプツリと通話を切った。
「………」
真っ黒になったスマホの画面を呆然と眺める。自宅マンションのエントランスに繋がる自動ドア付近に立ち、硝子に反射する窓に映った自分の……今にも泣きそうな、情けない表情を眺めた。
俺は―――こんなに弱い人間だっただろうか。
あの夜、仔犬に言われた。不敵に、余裕ぶった、スカした顔をしていろ、と。けれど、今はそんな表情なんて浮かべられる余裕なんて、無い。
片桐に。知香を、奪われてしまうかもしれない。そう考えるだけで、言葉にならない感情が嵐の海の渦潮のように渦巻いていく。
結局。俺は、知香のことに関しては、余裕なんてものを失ってしまうのだ。
ぼんやりと仔犬の忠告の意味を脳裏に反芻させながら、自宅の玄関を開いて無意識のうちに革靴を脱いだ。
「おかえ……り…?」
リビングに向かうと、きょとん、としたような知香の顔が目の前にあった。
今は……その、焦げ茶色の瞳を見つめるだけで。焦げ茶色の瞳の向こう側に、ヘーゼル色の瞳がチラついてしまう。
その瞳を見ていられなくて。ゆっくりと知香から視線を逸らした。
「……すまん、ちょっと一服つけてくる」
今は、とにかく落ち着きたい。昨晩準備したカレーの味がわからなくなってもいい。とにかく……落ち着きたい。
ベランダに出てジッとライターの横車を擦る。煙草の先端に火が灯るのを確認して、大きく息を吸い込んだ。ほわり、と、アメリカンスピリットの煙草葉の香りが漂う。
もう一度深く吸い込み、吐き出す。と同時に、ざぁっと春の風が吹き抜けていく。ふっと、煙草の先端の火が揺らめいて消えた。
「……チッ…」
アメリカンスピリット特有の、ぎちぎちに詰め込まれた煙草葉の量と、燃焼促進剤不使用による火のつきにくさ。それ故に、ライターの灯し方が甘ければ火が消えてしまう。
苛つきながらももう一度ライターを取り出して、今度はライターに灯った火を、風から守るように手を翳しつつ煙草に火を灯し、ふたたび紫煙を吸い上げる。
(……何故、仔犬は片桐が知香を諦めていないと気付いたんだ?)
吸い上げた紫煙を吐き出しながら、疑問点を洗い出していく。
仔犬は確か、今日から畜産販売部に異動になると聞いていた。一方の片桐は長期休暇を取得して、今日から復帰、さらに今日付けで農産販売部へ異動。アイツらの接点は途切れたはず、なのだが。
ふたたびゆっくり煙草を吸って、煙を吐き出す。
仔犬が口にした、部外者、という言葉も気になる。自分は知香のことを諦めたから、部外者、ということなのだろうか。
(………わからんな)
ほう、と息をついて、夜空を見上げた。
一体全体、何がどうなっているのか。さっぱりわからない。細い糸が絡み合って、ぐちゃぐちゃになったまま俺の手に放り投げられたような気分だ。
「…………満月、か…」
そうだ。今日は旧暦の15日。営業から離れて、旧暦の把握すら失念していた。
3課所属の時は水産品を主に取り扱っていた。
満月の夜は、九州地方の多くの漁師が漁に出ない。満月近くになると海上が明るくなることにより魚が船の集魚灯に集まってこなくなる。限りある資源の保護……魚の取りすぎを防ぐ目的もあり、取引のあった九州地方の商社はその満月付近に休みを取るという場合が多かった。それ故に、3課に居た頃は旧暦の把握も怠らないようにしていた。
新部門の立ち上げに本格的に携わるようになってから、営業から離れてから。精神的に不安定になる機会が増えている気がする。営業という仕事が俺の精神安定剤だったのかもしれない。
ふたたび、煙草に口をつけてゆっくり吐き出す。
「…………綺麗、だな…」
目の前に浮かんでいる、春の満月はこんなに綺麗なのに。……俺の目の前は、真っ白で、それでいて真っ黒な霧が立ち込めている。
今日は考えることが多すぎる。一旦、思考をゼロに戻してから考えよう。俺の原動力である知香という存在を補充してから。
そう考えて煙草の火を消し、リビングに戻った。
知香の昇進の報告、それに合わせて新入社員の話しを聞く。新入社員の話しになると知香が話しづらそうに口を窄めた。その動作に感情が暴れそうになるも、幸い、片桐のように知香に目をつけたわけでは無さそうで胸をほっと撫で下ろした。
「帰り際に……定時で上がらせたはずの南里くん、っていう男の子の方が、三木ちゃんに一目惚れしたって待ち構えてて。………それで…」
知香がそこまで口にして、一瞬躊躇ったように俺から視線を外す。
(……なにが、あったんだ)
ザワザワと胸が騒めいている。まさか、その後輩同士の痴情の縺れに、物理的に巻き込まれたのか。その男に殴られたか、それとも。
躊躇ったように逸らされた焦げ茶色の瞳が、俺を強く貫いた。
「えっとね……後輩の三木ちゃんに強引に迫っている南里くんを、片桐さんが間に入って止めてくれたの」
「片桐が?」
思わぬ人物の名前に大きく目を見張る。ヤツは自分さえ良ければという人間だ。そんな人助けのような事をするようなタマじゃねぇと思っていたが。
「えと、ね。片桐さん……その、智への償いだって言ってた」
「……償い」
紡がれた単語を繰り返す。知香が、ゆっくりと頷いて。
「うん。片桐さんが間に入って、止めてくれて。三木ちゃん、好きな人がいるって言ってたよね、こんなオープンな場所で迫るなんてナイと思う、って言ってたの。だから、びっくりしちゃって……片桐さんがそれを言うか、って言ったら『彼への償いだから』って、片桐さんは言ったの」
知香が説明する言葉に。何かが繋がりそうな、気がした。ゆっくりと足を組む。
その三木という後輩には『好きな人』がいる。片桐は、その後輩に迫る新入社員を止めた。そして、それは『彼への償い』。
(…………『部外者』)
その単語に、パチン、と。パズルのピースが嵌るような感覚があった。ゆっくりと、口元がゆるんでいく。
「…あいつも隅に置けねぇな……」
そこから導き出される結論。仔犬と、その三木という後輩の、関係性。
「なるほどな。だから『償い』そして『部外者』か。やっと繋がった」
くつくつと、喉が鳴る。
知香は生粋の人誑しだ。男女問わず、己の味方にしていく。マスターが知香の本質をそう表現したように、俺もそれに同じ考えを持っている。
三木、という後輩も例に漏れず、知香を慕っているのだろう。俺は三木という人物に、あの合コンの場でしか接したことは無いが、あの時は明らかに知香をサポートして回っていた。傷付いた知香を癒してくれるような男が現れないか、目を光らせていた。
恐らく。片桐を阻むため、三木という後輩も俺が知らない所で色々と動いていたのではないだろうか。それほどまでに極東商社内での片桐の行動はあからさまだった、ということだろう。
その後輩が何をどう動いたのか、詳しくはわからない。けれど、それを見た仔犬が、知香を守ろうとする三木に惹かれ―――堕ちた。
あの夜、仔犬は初恋に自ら幕を引いて、そして新たな未来へ、その一歩を踏み出した、と。それ故に、自分はもう部外者、だと。そういうこと、なのだろう。
片桐は仔犬と三木の関係性に気づいている。だから、彼への償い、というのは。
(仔犬に向けての言葉、だ)
でなければ、片桐が三木という後輩を守ろうする行動に矛盾が生じてしまう。この結論が、今俺の手の中にあるピースを嵌めるためには一番整合性が取れている。一部、嵌める方向を逆にしてしまっている箇所もあるかもしれないが、ある程度は正解のはずだ。
そして、片桐は。仔犬に……もたもたしていると新入社員に三木を奪われるぞと忠告に行った。
その際に―――片桐が自分はまだ知香を諦めていない、と、宣言したということだろう。
(ようやく繋がった……)
だから。さっき。仔犬が俺に忠告をした。自分が口にできる範囲で。それは、恐らく。
(仔犬の想い人である、三木の想いを汲んで、のこと)
どういう形で三木が知香を守ろうとしたのかはわからない。けれど、仔犬は間違いなく三木に惹かれている。
そして……三木の願いは即ち自分の願いでもある、と。そういう考えに至ったのであろう。
知香に本気で惚れていたからこそ、あの時、俺に託すという、身を引き裂くような選択をした仔犬。
(……幸せになってくれりゃぁいいな)
だからこそ、本心から、そう思うのだ。三木と仔犬がうまくいけばいい。
「……え?え?どういうこと?」
さっぱりわからない、というような表情を浮かべている知香。その表情にゆっくり微笑んだ。
「知香は気付かなくていい。……いや、違うな。知香が自分で気が付かないと意味がねぇ」
そう、これは、知香が自ら気付くべきことだ。
知香は、鈍い。色々と聡い癖に、周りが自分に向ける恋慕や思慕の感情に、恐ろしく鈍い。
恐らくだが、感受性が豊かすぎるからだ。他人の感情に引っ張られやすい、それ故に自己防衛が働いて、本能的に周囲が自分に向ける恋慕や思慕という感情に鈍くなっている。
(それは……一旦置いておくとして)
気にかかるのは、結局のところ片桐が知香を諦めていないということだ。足元を、ゆっくりとヘーゼル色の瞳が這っているような感覚があって。目の前の知香が消えてしまうような、そんな気がして。そんなことはない、と、目の前にいる知香の存在を確かめるように、額にキスを落とす。
言いようのない不安感で脈拍が上がっていくのを押し殺しながら、知香に問いかけた。
「んで?片桐は?それ以上はなにも言わなかったのか?」
じっと。知香が、俺を見ている。事の顛末を口にする知香の瞳に、『俺』が映っていることを感じて、小さく安堵の息を吐いて。続いて告げられた言葉に、その吐いた息を思わず飲み込んだ。
「あの人、本当は私のことなんか好きじゃないのに」
「……え?」
日本語、だというのに。意味が、分からなかった。理解が及ばなかった。
知香は、まるで幼い子どもに噛んで言い含めるかのように。ゆっくりと、『俺』に届くように。俺の心に、届くように。言葉を紡いでいく。
「だから。あんな暗示をかけられたって……私があの人の元に行く、だなんて、世界がひっくり返ってもあり得ない。私を好きでいてくれる智を捨てて、私を好きでもない片桐さんの元に行く、だなんて。暗示だろうと、絶対にあり得ない」
やはり、知香は…強い。
優しく、それでいて、力強い。
「私には、智だけ。たとえ世界が滅んでも、智さえ生きていれば、それでいいの」
愛しい声が響いて。ふわり、と。知香が、わらった。
知香に気が付かれないように、自分の中で抑えてきた闇ですら。
知香には……隠せない。
そう、実感して。視界が、ゆっくりと歪んでいく。
「……ほんと、知香には敵わねーなぁ…」
本当に。知香には、適わない。
俺の、身勝手な独りよがりな想いも、醜い感情も、怯える心も、全部全部、飲み込んで。
それでいて、怯えて縮こまった俺を、その小さな身体で、暖かく包み込んでいく。
『……愛しているからこそ彼女に向き合ってやれよ』
今日、浅田が俺にかけた言葉が、脳裏に蘇った。
今。己の恐怖と向き合わずして。
(いつ、向き合うんだ)
知香の華奢な身体を、力強く掻き抱いて。
「……知香。俺のこと、好き?」
ちいさく、ちいさく。
目の前にいる、愛しい人に、語り掛けた言葉が。
ふたりだけの空間に、俺の小さな吐息と、その言葉が。溶け込んで、行った。
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