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30.月に背を向ける
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ブラウンの扉の内側にかかっている、黒い黒板調のプレート。今日はそのプレートが『closed』となっている。それはそうだろう、今日と明日はマスターのお店の定休日。だからこそ、今日のこの日に取材を受けてもらえたのだ。透明な窓ガラス越しに見えるプレートを認識して重い足を叱咤する。
明日、と言った亀ちゃんには明確に答えが返せなかった。彼の想いに応えられないとわかっていて、彼の写真のモデルになる――それに対する正解の言葉が見つからなかった、というのが正しいかもしれない。ましてそれがコンテストに出すための写真というのだから、なお迷った。写真のモデルになるということは彼の手元にこの先も私の存在がずっと残るということだから。
重いため息をひとつだけ落とし、ふるふると頭を振った。今は目の前の仕事に集中しなければ。きっと、これが私のライター人生で最後の取材になる。そう自分に言い聞かせ、扉の取っ手に手を伸ばしその扉を押し開いていく。
久方ぶりに聞く、チリチリと軽い音が耳に届いた。その音を聴きながら真っ白な壁紙に囲まれた店内に足を踏み入れる。店内を見回すと、いつものカウンター内にマスターの姿が無い。どうしたのだろうと小さく首を傾げながらカウンター席に視線を向けると、琥珀色の瞳と――彼の膝の上にちょこんと座る、ブルーグレーの小さな双眸と視線が絡み合った。それとは別にもうひとつの視線を感じそっと顔を動かすと、マスターが腰かけている席の手前にも同じくブルーグレーの瞳をした双眸の少年がいて、私を見つめている。
「あぁ、いらっしゃい。取材だっつぅのにすまねぇな、やよい、今日はちょっくら臨時保育園してんだ」
「保育園?」
マスターが困ったように目尻を下げ、それでもいつものように穏やかに笑っている。彼のその表情に、あれだけ重かった心と足が軽くなっていくような気がした。この場所は本当に、私のオアシスのようだと心の中で小さく独り言ちる。
「妹夫婦が仕事に行ってるからな。その間だけこいつら預かってんだ。もうすぐ迎えにくると思うから、取材はその後でもいいか?」
「うん、もちろん」
彼の言葉に頷きながら入り口に一番近い席に鞄を置いた。今日はもう、マスターの取材を終えたら直帰することにしている。何時まで、という区切りも作っていないから彼の都合に合わせることは私にとっては容易なことだった。そもそも、こちらは取材させてもらう側なのだ。多少の融通は利かせるべき。
鞄を置いた隣の椅子に腰を下ろし、無言のままの小さな兄妹の様子を眺める。彼らの顔立ちと背丈を見るに、お兄ちゃんの方はおそらく年少さんくらい。妹ちゃんの方はひとつふたつ年下くらいだろう。妹さんの子どもということは、マスターの甥っ子と姪っ子に当たるはず。
(綺麗な目……)
純日本人とは異なる綺麗な瞳の持ち主だ。髪の色もふたりとも黒というよりは茶色に近い。そういえば、と。千歳を取材した時のことを思い返す。彼の話によると、マスターの妹さんはタンザニアで仕事をしていると言っていた。おそらく彼女の旦那さんがタンザニアで出会ったとかいう外国筋の人なのだろう。
「……マスターの妹さんってそんなに若いんだっけ?」
「ん? 俺の7つ下だ。確か、今年で46? いや、47になるんじゃなかったか」
浮かんだ素朴な疑問に言葉を返すマスターも小さく眉根を寄せた。兄妹間で互いの年齢が曖昧になるという話は聞いたことがあったけれど、まさしく彼らもそういう間柄なのだろう。……それよりも。
(妹さん……40代で出産した……ってこと、か)
芸能界ではよく聞く話だ。けれど、私は自分自身の身の回りでそのような例を見たことがなかった。私ももう35歳を過ぎて、結婚はもとより出産はもう難しいかもしれない、と……そう思っていたというのに。
カウンター席に腰かけたままぼうっとそんなことを考えていると、マスターの膝の上に座っていた女の子が勢いよく降りて、パタパタと私に駆け寄ってきた。
「おねーちゃん、よくきてるの? おじさんとなかよし?」
「こら、ミオ。だれかれ構わず喋りにいかない。迷惑でしょ」
私の膝に乗らんばかりの彼女の勢い。まん丸に開かれたブルーグレーの瞳に強い好奇心が混じっている。彼女をミオと呼んだ男の子は慌てたようにミオちゃんの腕を引いた。その様子から察するに、きっと日々の日常生活でも同じなのだろう。彼らの言動が微笑ましくて、思わず口元が緩んでいく。
「ううん、大丈夫よ?」
「すみません……」
「俺からもすまん。ハルキは妹の旦那に似て落ち着きがあるんだが、ミオは妹に似ちまってなぁ。お転婆もお転婆で」
私がお兄ちゃんににこりと笑みを返せば、マスターも苦笑したように肩を竦めた。そして腰掛けていた椅子から立ち上がり、店の奥に足を運んでカウンターの内側に戻っていく。彼らの言葉にピンとくるものがあって、私は店の入り口を指さした。
「もしかして、あのドアノブストッパーってこの子のため?」
「そそ。こいつが外に飛び出さねぇように、な」
カウンター内に戻ったマスターは困ったように眉を下げた。けれどもその声色は全く困ってなんかいないように思える。血が繋がった家族だからこそ向けられる感情。マスターが以前千歳に向けて諭していた『無償の愛』というもの。
羨ましい。いまは、素直にそう思える。偽れない僅かな羨ましさとともに、こみ上げてくる小さな哀しみ。それを押し殺して、私はぎゅっと口角を上げた。
「ミオちゃんっていうんだ」
「うん! もーすぐ、3さい」
にかっと満面の笑みを返す純粋なミオちゃんの笑みに心がほころんでいく。そしてミオちゃんのそばに立つはらはらとした表情のハルキくんにも視線を向けた。
(お兄ちゃんの方はマスターにも似てる、かな?)
瞳の色は違えど、目元がマスターにそっくりだ。ハルキくんはどちらかというと母親であるマスターの妹さんに似ているのだと察した。
「二人とも春生まれでな。甥っ子は季節の春に樹々の樹で春樹、姪っ子は美しいに桜で美桜っつうんだ」
マスターがケトルの電源をいれつつ「ブレンドか?」と短く問いを投げかけた。今日は店休日だというのに、それでもコーヒーを淹れてもてなそうとしてくれる彼の心配りに、じんわりと込み上げてくる感情。眦に小さく涙を浮かべながらこくんと頷いた。
千歳とマスターがあの夜にどんな話をしたのか。尋ねてみたいが、今日はビジネスでここに来ているのだと自分を律する気持ちもまだ私の中にわだかまりのように残っている。
今日は星霜出版社の鷹城として、最後の取材日だ。いつもと同じようにしっかりこなさなければ。
高齢出産をした事例を身近で見たけれど、私はどうなのだろう。叶えられるのだろうか。
亀ちゃんには、どう返事をしよう。モデルになるだなんて大仕事、私にこなせるだろうか。未だに答えは出せない。
数多の想いが押し寄せてきて、綯い交ぜになっていく。相変わらずなににも集中出来ず、なにもかもが中途半端の自分が嫌いになってしまいそう、で。情けなさから思わず小さくため息がこぼれた。
「あ~っ! おねーちゃん、ためいきついちゃ、だめだよ!」
「え?」
私の膝にちいさな手を乗せた美桜ちゃんがぷくりと頬を膨らませた。彼女の言っていることがわからず、ぱちぱちと目を瞬かせる。
「ためいきつくとね、しあわせがにげちゃうんだって! えっと、ワン、サイン……なんだっけ?」
「One sigh will take one happiness away from you.」
「うん、それ!」
美桜ちゃんが話しながら途中で首を傾げ、それをフォローするかのように春樹くんが流暢な英語を紡ぎだす。思い出せなかった答えが出てきて嬉しいのか、美桜ちゃんはふたたびにかっと笑みを浮かべた。ふわふわとした茶色の髪の毛が揺れる。
年少さんくらいの年頃だろうに、春樹くんのほうは既にバイリンガルなのかと私は感嘆の言葉を落とした。
「良く知ってるね……」
「うん。ママがパパによくいってるの!」
満面の笑みで嬉しそうに髪を揺らす美桜ちゃんは本当に『ママとパパ』が大好きなのだろう。愛にあふれた家庭でのびのびと育っているのだと察せられて、ふたたび羨望の感情が沸き起こってくる。
「あいつが加奈子の言動に額押さえてんのが想像出来るなぁ」
マスターが苦笑しながらケトルの電源を落とす。コポコポというお湯が沸騰する小さな音とともに、私は春樹くんの方にも笑顔を向けた。
「お兄ちゃん、英語上手だね」
「……ありがとうございます、お姉さん」
春樹くんは小さく会釈をし、「ほら、美桜。じっとしてて」と美桜ちゃんの腕を引っ張った。マスターが言うように、どちらかというと落ち着いている部類の子だ。天真爛漫な妹に、ストッパー役のようなお兄ちゃん。兄妹仲のよさを感じさせるふたりのやりとりがひどくほほえましい。
「あっ」
唐突に、美桜ちゃんが店の入り口に向かって弾かれたように駆け出した。その行動に呆気に取られていると、美桜ちゃんは必死に背を伸ばして扉の取っ手を掴もうとしている。ドアノブストッパーがなければ突破していたような勢いに、彼女のお転婆ぶりを察して私も思わず苦笑いしてしまう。
「まどからパパのかみがみえた!」
「お~。終わったんだな、仕事」
マスターがカタンと小さな音をさせ、手に持っていたドリッパーをカウンター上に置くと同時に、砕かれたコーヒー豆の仄かな香りがふわりと漂った。
明日、と言った亀ちゃんには明確に答えが返せなかった。彼の想いに応えられないとわかっていて、彼の写真のモデルになる――それに対する正解の言葉が見つからなかった、というのが正しいかもしれない。ましてそれがコンテストに出すための写真というのだから、なお迷った。写真のモデルになるということは彼の手元にこの先も私の存在がずっと残るということだから。
重いため息をひとつだけ落とし、ふるふると頭を振った。今は目の前の仕事に集中しなければ。きっと、これが私のライター人生で最後の取材になる。そう自分に言い聞かせ、扉の取っ手に手を伸ばしその扉を押し開いていく。
久方ぶりに聞く、チリチリと軽い音が耳に届いた。その音を聴きながら真っ白な壁紙に囲まれた店内に足を踏み入れる。店内を見回すと、いつものカウンター内にマスターの姿が無い。どうしたのだろうと小さく首を傾げながらカウンター席に視線を向けると、琥珀色の瞳と――彼の膝の上にちょこんと座る、ブルーグレーの小さな双眸と視線が絡み合った。それとは別にもうひとつの視線を感じそっと顔を動かすと、マスターが腰かけている席の手前にも同じくブルーグレーの瞳をした双眸の少年がいて、私を見つめている。
「あぁ、いらっしゃい。取材だっつぅのにすまねぇな、やよい、今日はちょっくら臨時保育園してんだ」
「保育園?」
マスターが困ったように目尻を下げ、それでもいつものように穏やかに笑っている。彼のその表情に、あれだけ重かった心と足が軽くなっていくような気がした。この場所は本当に、私のオアシスのようだと心の中で小さく独り言ちる。
「妹夫婦が仕事に行ってるからな。その間だけこいつら預かってんだ。もうすぐ迎えにくると思うから、取材はその後でもいいか?」
「うん、もちろん」
彼の言葉に頷きながら入り口に一番近い席に鞄を置いた。今日はもう、マスターの取材を終えたら直帰することにしている。何時まで、という区切りも作っていないから彼の都合に合わせることは私にとっては容易なことだった。そもそも、こちらは取材させてもらう側なのだ。多少の融通は利かせるべき。
鞄を置いた隣の椅子に腰を下ろし、無言のままの小さな兄妹の様子を眺める。彼らの顔立ちと背丈を見るに、お兄ちゃんの方はおそらく年少さんくらい。妹ちゃんの方はひとつふたつ年下くらいだろう。妹さんの子どもということは、マスターの甥っ子と姪っ子に当たるはず。
(綺麗な目……)
純日本人とは異なる綺麗な瞳の持ち主だ。髪の色もふたりとも黒というよりは茶色に近い。そういえば、と。千歳を取材した時のことを思い返す。彼の話によると、マスターの妹さんはタンザニアで仕事をしていると言っていた。おそらく彼女の旦那さんがタンザニアで出会ったとかいう外国筋の人なのだろう。
「……マスターの妹さんってそんなに若いんだっけ?」
「ん? 俺の7つ下だ。確か、今年で46? いや、47になるんじゃなかったか」
浮かんだ素朴な疑問に言葉を返すマスターも小さく眉根を寄せた。兄妹間で互いの年齢が曖昧になるという話は聞いたことがあったけれど、まさしく彼らもそういう間柄なのだろう。……それよりも。
(妹さん……40代で出産した……ってこと、か)
芸能界ではよく聞く話だ。けれど、私は自分自身の身の回りでそのような例を見たことがなかった。私ももう35歳を過ぎて、結婚はもとより出産はもう難しいかもしれない、と……そう思っていたというのに。
カウンター席に腰かけたままぼうっとそんなことを考えていると、マスターの膝の上に座っていた女の子が勢いよく降りて、パタパタと私に駆け寄ってきた。
「おねーちゃん、よくきてるの? おじさんとなかよし?」
「こら、ミオ。だれかれ構わず喋りにいかない。迷惑でしょ」
私の膝に乗らんばかりの彼女の勢い。まん丸に開かれたブルーグレーの瞳に強い好奇心が混じっている。彼女をミオと呼んだ男の子は慌てたようにミオちゃんの腕を引いた。その様子から察するに、きっと日々の日常生活でも同じなのだろう。彼らの言動が微笑ましくて、思わず口元が緩んでいく。
「ううん、大丈夫よ?」
「すみません……」
「俺からもすまん。ハルキは妹の旦那に似て落ち着きがあるんだが、ミオは妹に似ちまってなぁ。お転婆もお転婆で」
私がお兄ちゃんににこりと笑みを返せば、マスターも苦笑したように肩を竦めた。そして腰掛けていた椅子から立ち上がり、店の奥に足を運んでカウンターの内側に戻っていく。彼らの言葉にピンとくるものがあって、私は店の入り口を指さした。
「もしかして、あのドアノブストッパーってこの子のため?」
「そそ。こいつが外に飛び出さねぇように、な」
カウンター内に戻ったマスターは困ったように眉を下げた。けれどもその声色は全く困ってなんかいないように思える。血が繋がった家族だからこそ向けられる感情。マスターが以前千歳に向けて諭していた『無償の愛』というもの。
羨ましい。いまは、素直にそう思える。偽れない僅かな羨ましさとともに、こみ上げてくる小さな哀しみ。それを押し殺して、私はぎゅっと口角を上げた。
「ミオちゃんっていうんだ」
「うん! もーすぐ、3さい」
にかっと満面の笑みを返す純粋なミオちゃんの笑みに心がほころんでいく。そしてミオちゃんのそばに立つはらはらとした表情のハルキくんにも視線を向けた。
(お兄ちゃんの方はマスターにも似てる、かな?)
瞳の色は違えど、目元がマスターにそっくりだ。ハルキくんはどちらかというと母親であるマスターの妹さんに似ているのだと察した。
「二人とも春生まれでな。甥っ子は季節の春に樹々の樹で春樹、姪っ子は美しいに桜で美桜っつうんだ」
マスターがケトルの電源をいれつつ「ブレンドか?」と短く問いを投げかけた。今日は店休日だというのに、それでもコーヒーを淹れてもてなそうとしてくれる彼の心配りに、じんわりと込み上げてくる感情。眦に小さく涙を浮かべながらこくんと頷いた。
千歳とマスターがあの夜にどんな話をしたのか。尋ねてみたいが、今日はビジネスでここに来ているのだと自分を律する気持ちもまだ私の中にわだかまりのように残っている。
今日は星霜出版社の鷹城として、最後の取材日だ。いつもと同じようにしっかりこなさなければ。
高齢出産をした事例を身近で見たけれど、私はどうなのだろう。叶えられるのだろうか。
亀ちゃんには、どう返事をしよう。モデルになるだなんて大仕事、私にこなせるだろうか。未だに答えは出せない。
数多の想いが押し寄せてきて、綯い交ぜになっていく。相変わらずなににも集中出来ず、なにもかもが中途半端の自分が嫌いになってしまいそう、で。情けなさから思わず小さくため息がこぼれた。
「あ~っ! おねーちゃん、ためいきついちゃ、だめだよ!」
「え?」
私の膝にちいさな手を乗せた美桜ちゃんがぷくりと頬を膨らませた。彼女の言っていることがわからず、ぱちぱちと目を瞬かせる。
「ためいきつくとね、しあわせがにげちゃうんだって! えっと、ワン、サイン……なんだっけ?」
「One sigh will take one happiness away from you.」
「うん、それ!」
美桜ちゃんが話しながら途中で首を傾げ、それをフォローするかのように春樹くんが流暢な英語を紡ぎだす。思い出せなかった答えが出てきて嬉しいのか、美桜ちゃんはふたたびにかっと笑みを浮かべた。ふわふわとした茶色の髪の毛が揺れる。
年少さんくらいの年頃だろうに、春樹くんのほうは既にバイリンガルなのかと私は感嘆の言葉を落とした。
「良く知ってるね……」
「うん。ママがパパによくいってるの!」
満面の笑みで嬉しそうに髪を揺らす美桜ちゃんは本当に『ママとパパ』が大好きなのだろう。愛にあふれた家庭でのびのびと育っているのだと察せられて、ふたたび羨望の感情が沸き起こってくる。
「あいつが加奈子の言動に額押さえてんのが想像出来るなぁ」
マスターが苦笑しながらケトルの電源を落とす。コポコポというお湯が沸騰する小さな音とともに、私は春樹くんの方にも笑顔を向けた。
「お兄ちゃん、英語上手だね」
「……ありがとうございます、お姉さん」
春樹くんは小さく会釈をし、「ほら、美桜。じっとしてて」と美桜ちゃんの腕を引っ張った。マスターが言うように、どちらかというと落ち着いている部類の子だ。天真爛漫な妹に、ストッパー役のようなお兄ちゃん。兄妹仲のよさを感じさせるふたりのやりとりがひどくほほえましい。
「あっ」
唐突に、美桜ちゃんが店の入り口に向かって弾かれたように駆け出した。その行動に呆気に取られていると、美桜ちゃんは必死に背を伸ばして扉の取っ手を掴もうとしている。ドアノブストッパーがなければ突破していたような勢いに、彼女のお転婆ぶりを察して私も思わず苦笑いしてしまう。
「まどからパパのかみがみえた!」
「お~。終わったんだな、仕事」
マスターがカタンと小さな音をさせ、手に持っていたドリッパーをカウンター上に置くと同時に、砕かれたコーヒー豆の仄かな香りがふわりと漂った。
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