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19.いただきます
いただきます⑤
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着替えた美冬がウォークインクローゼットの中にある鏡で背中の方を見てみると、いわゆるヴィーナスのえくぼと呼ばれる腰の下の臀部辺りのくぼみがくっきり見えていて、割れ目がギリギリ見えないくらい。
それにしても相当に……。
エロくない?
それに開いている脇部分からは胸の横が微妙に見えているような見えていないような。
「美冬? どれだけ待たせ……」
「やあんっ!」
心の準備がまだできていなかったのに!
慌てて正面を隠すものの、背後の鏡で後ろ姿はばっちり槙野には見えていて。
「えっろ……」
嬉しそうな口元を槙野が押さえている。
「なんなのよ! その嬉しそうな顔!」
「嬉しいに決まってるだろ。大福のやついい仕事するな」
「大福じゃないってば。今はすごい和風美人なのよ」
「美人だろうが俺には大福。お前が一番可愛い。何その格好、ヤバすぎ」
ウォークインクローゼットの中まで入ってきてしまった槙野に美冬は鏡の前まで追い詰められる。
「あのさあ、後ろの鏡で丸見え」
「いやっ……」
くるりと振り返ると今度は無防備な背中を槙野に見せることになる。
後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「可愛い、綺麗。すげーエロい」
槙野の身体ごと抱きしめられるのは美冬は嫌いではない。一瞬にして大人しくなれる。
それにぎゅうっとされていたら、背中は見えない。
美冬が大人しくなったのをみて槙野は脇の隙間に手を触れた。心もとないそのデザインではすぐに胸に手が触れてしまう。
「これ、胸のラインが見えちゃうな」
そう囁きながら胸の横にすうっと手を滑らせた。
そのまま手の平はするりと服の中に入る。
「ブラもしてないのか。いやらしくて、すげーいい」
尖ってしまっている先をきゅっと指で摘まれる。
「……んっ、や……」
「これ、着てるのにエロくて超絶にいい。あちこち触れる」
美冬もはだけている背中に、槙野の服が擦れる感触にドキドキする。
自分はあられもない格好なのに、槙野は襟元すら緩めていないこの状況に。
サラリとネクタイが背中に触れる。
服の隙間から身体を辿る指と肩に触れる唇。唇はゆっくりと背中の方にまで動いてきて、そのぬるっとした舌の感触まで伝えてきた。
それが分かるくらいに自分の肌が敏感になってしまっているのを美冬はつぶさに感じる。
「鏡で顔が見える……」
「っ……や」
カッと顔が熱くなる。
ちらっと鏡で見てしまった自分の顔に美冬はうろたえた。
──いつも、こんな顔してるの?
頬を赤くして潤んだ目元で切なそうに求めるような。
「や……」
美冬は鏡に映っている自分の顔から目を逸らすのに、槙野の顔が映っていてドキンとする。
鏡から美冬を見つめる顔は、その美冬の表情を一瞬でも見逃すまいとするように射抜くように見られていたからだ。
「そんな……見ちゃ……やだ」
「自分の顔、見たか?」
こくりと美冬は頷く。
「ん……すごい、恥ずかしい……」
「感じてる顔、可愛いからもっと見せろよ」
鏡越しの真っ直ぐな瞳にドキドキさせられる。
この人に食べられてしまいたい、と思うのはこんな時だ。
それにしても相当に……。
エロくない?
それに開いている脇部分からは胸の横が微妙に見えているような見えていないような。
「美冬? どれだけ待たせ……」
「やあんっ!」
心の準備がまだできていなかったのに!
慌てて正面を隠すものの、背後の鏡で後ろ姿はばっちり槙野には見えていて。
「えっろ……」
嬉しそうな口元を槙野が押さえている。
「なんなのよ! その嬉しそうな顔!」
「嬉しいに決まってるだろ。大福のやついい仕事するな」
「大福じゃないってば。今はすごい和風美人なのよ」
「美人だろうが俺には大福。お前が一番可愛い。何その格好、ヤバすぎ」
ウォークインクローゼットの中まで入ってきてしまった槙野に美冬は鏡の前まで追い詰められる。
「あのさあ、後ろの鏡で丸見え」
「いやっ……」
くるりと振り返ると今度は無防備な背中を槙野に見せることになる。
後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「可愛い、綺麗。すげーエロい」
槙野の身体ごと抱きしめられるのは美冬は嫌いではない。一瞬にして大人しくなれる。
それにぎゅうっとされていたら、背中は見えない。
美冬が大人しくなったのをみて槙野は脇の隙間に手を触れた。心もとないそのデザインではすぐに胸に手が触れてしまう。
「これ、胸のラインが見えちゃうな」
そう囁きながら胸の横にすうっと手を滑らせた。
そのまま手の平はするりと服の中に入る。
「ブラもしてないのか。いやらしくて、すげーいい」
尖ってしまっている先をきゅっと指で摘まれる。
「……んっ、や……」
「これ、着てるのにエロくて超絶にいい。あちこち触れる」
美冬もはだけている背中に、槙野の服が擦れる感触にドキドキする。
自分はあられもない格好なのに、槙野は襟元すら緩めていないこの状況に。
サラリとネクタイが背中に触れる。
服の隙間から身体を辿る指と肩に触れる唇。唇はゆっくりと背中の方にまで動いてきて、そのぬるっとした舌の感触まで伝えてきた。
それが分かるくらいに自分の肌が敏感になってしまっているのを美冬はつぶさに感じる。
「鏡で顔が見える……」
「っ……や」
カッと顔が熱くなる。
ちらっと鏡で見てしまった自分の顔に美冬はうろたえた。
──いつも、こんな顔してるの?
頬を赤くして潤んだ目元で切なそうに求めるような。
「や……」
美冬は鏡に映っている自分の顔から目を逸らすのに、槙野の顔が映っていてドキンとする。
鏡から美冬を見つめる顔は、その美冬の表情を一瞬でも見逃すまいとするように射抜くように見られていたからだ。
「そんな……見ちゃ……やだ」
「自分の顔、見たか?」
こくりと美冬は頷く。
「ん……すごい、恥ずかしい……」
「感じてる顔、可愛いからもっと見せろよ」
鏡越しの真っ直ぐな瞳にドキドキさせられる。
この人に食べられてしまいたい、と思うのはこんな時だ。
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