契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした!

如月 そら

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15.ま、まさか加齢sy……

ま、まさか加齢sy……①

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 迎えの車の中で、槙野はため息をついていた。
 なんでも開けっぴろげに相談してくれるところが美冬のいいところだった。

 悩みがあるように見えるのに、何かを隠している。それが槙野にはひどくもどかしい。
 なぜ言ってくれないのか……。

 ──言いにくいのか?

 言いにくいこと……まさか、本当に加齢しゅ……いや、それはない、それは多分。
 事実だったら相当に言いづらいとは思うがそれは……多分ない、はず。

 槙野の車を運転してくれているのは秘書室の社員だ。
「日中はお車をお使いになるんですね」
「そうだ。14時に行かなくてはいけないところがある」

 14時というとオフィスではコアタイムになる。槙野のその時間を空けるために秘書は苦心して今日のこの時間の出勤になったのだ。

「聞きづらいことを聞いていいか?」
「はい」
 この秘書は割と言いにくいこともズバリと言ってくれるタイプだ。

「その……俺は」
 加齢臭があるだろうかとは、やはり秘書には聞けない。

「変な匂いとかはしてないよ、な?」
「いや、いつもの香水の香りですね。ブルガリでしたか? シャープな香りで雰囲気にもお似合いです。どちらかというととてもいい香りだと思いますが」

 良かった。どうやら匂いは大丈夫らしい。

 ではやはり、他に問題がある、ということなのだろう。

 今日の早朝のことだ。うとうとしてぼうっとしている中、腕の中に美冬がいることに気付いて、槙野はきゅうっとその腕の中の温もりを抱きしめた。

 ふにゃっと手に柔らかく触れるものがあって、その感触を楽しむ。柔らかくて触れているだけでも気持ちいい。

 そうして、手を動かしていたら指に尖ったものが触れたのだ。つん、としていて指に軽く引っかかる。その素直な反応が可愛らしくて、執拗に触ってしまったかもしれない。

 途中で美冬の身体に触れているのだと気づいていた。昨日の夜は押しのけられてしまったから嫌われているのかと思ったら、抵抗するでもなく、美冬は声をころしている。

 寝ぼけて霞がかった思考の中で、声が聞きたい、肌に直接触りたい、と思った。胸に触れているうち、ファスナーに指がかかったので少しだけそれを下ろす。本能のように肌に触れた。

 きめ細かさが指で触れても分かるくらいのさらりとした肌と、つんと尖った先端。本当は唇で触れたり、舌で舐めたりしてみたい。濡れて、赤くなるまで虐めたり、甘い声を上げさせたりしたい。

 けど、今は……もっと触れてみたい場所がある。
 ショートパンツのゴムから指を潜らせて、その場所に触れた。

 指先がぬるりとした感触を伝えてきたので、嬉しくなって、さらに愛おしく感じる。
 さすがに美冬の息が乱れて、や……という甘い声が聞こえた時に、もっとぐちゃぐちゃにしたい、と強く思った。

 上の尖りと下の尖りを同時に弄っていたら、
「んっ……あ、やぁんっ……」
 とささやかな声が聞こえてびくんっと身体が揺れる。美冬はそのまま眠ってしまったようだった。

 しかし、逆にハッとしたのは槙野の方だ。
 美冬の下着の中にしっかりと手を入れていた自分を確認して一気に目が覚めてしまった。
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