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3.や……やられるっ!
や……やられるっ!⑤
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『時間はありますので、よろしくお願いします』
そう送り返すと、すぐに返事があった。
メールには駅前のタワーの最上階のレストランのURLが貼ってある。
そこの個室を用意した、ということだった。
そして、連絡先を返送してくれと書かれてあったのだ。
そう言えば、個人携帯やメールアプリなどの個人情報の交換はしていなかった、と美冬は個人携帯の連絡先をメールに添えて送った。
美冬は社長室のパーテーションの奥にある全身鏡を見る。
美冬がお出かけ前に必ずそこで全身をチェックしてから出るためだ。
『ミルヴェイユ』のスーツはカッコいいけれど、フレンチレストランにはどうなんだろう?
少し考えた美冬はデザイン室に向かった。
「あ! 社長! こんにちは!」
「お疲れさまー」
デザイン室に入ると美冬は社員達に歓迎される。
「どうしたんです?」
「私がデートに行く、として服を着るとしたらどんなのがいいかしらね?」
そう言って美冬が首を傾げると、猫の耳がピンっとした時のような表情になる社員達である。
「社長! デートですか?」
「するとしたら、だってば」
社員にとって、美冬は美人で自慢の社長なのだ。
「夜の高層ビルのフレンチレストランで結構高級な雰囲気のお店かな」
ちょっと特別な気分で特別な服。
まさにミルヴェイユのコンセプトにぴったりではないか。
「社長! これはどうですか?」
そう言ってスタッフが持ってきたのは、ピンクのワンピースで肩が出ているデザインだ。
けれど、その上を品のあるベージュのチュールで包んでおり、袖も長めなのでセクシーになりすぎず可愛らしい。ウエストと袖がサテンで飾られているのもいい。
今までは槙野は、美冬のスーツ姿しか見ていないし、美冬も普段はパンツスーツが多いので、ミルヴェイユの服を見てもらうにはいい機会だろう。
まさか、槙野に着せるわけにもいかないのだし。
「うん! これにする」
「きっと似合いますよ」
デザイン室の奥にはフィッティングルームもあるので、美冬はそこで着替えをする。
シャッとカーテンを開けて出てきたら社員達が釘付けになっていた。
「社長~! めちゃくちゃ可愛い!」
「チュールとワンピースの色違いも展開しようと思ってるんです。ワンピースはグリーンとか、パープルとか」
「でも社長はデートなので、このピンクでお願いしますね!」
ミルヴェイユの洋服は今こうして美冬を囲んでいるデザイナー達が作っている。
美冬が囲まれている中、デザイン室のトップである石丸が打ち合わせから返ってきた。
「ああ、そのワンピやっぱ可愛いよな」
「ねー、似合いますよね! デートって感じで!」
「デート? デートなの? 美冬?」
「打ち合わせなんだけど、高級フレンチなのよね」
「うち合わせで高級フレンチ? ふうん……。でそのワンピはどう?」
石丸が近付いてきて、サイズが合っているか、確認している。
「むちゃくちゃ可愛くて気に入った!」
「ラインに乗せようと思ってる」
「いいんじゃないかな」
わーい!とデザイン室のみんなが喜んでいた。
可愛くて、綺麗な服は自分の気持ちも盛り上がる。
やはり、ミルヴェイユが好きだと美冬は思った。
そう送り返すと、すぐに返事があった。
メールには駅前のタワーの最上階のレストランのURLが貼ってある。
そこの個室を用意した、ということだった。
そして、連絡先を返送してくれと書かれてあったのだ。
そう言えば、個人携帯やメールアプリなどの個人情報の交換はしていなかった、と美冬は個人携帯の連絡先をメールに添えて送った。
美冬は社長室のパーテーションの奥にある全身鏡を見る。
美冬がお出かけ前に必ずそこで全身をチェックしてから出るためだ。
『ミルヴェイユ』のスーツはカッコいいけれど、フレンチレストランにはどうなんだろう?
少し考えた美冬はデザイン室に向かった。
「あ! 社長! こんにちは!」
「お疲れさまー」
デザイン室に入ると美冬は社員達に歓迎される。
「どうしたんです?」
「私がデートに行く、として服を着るとしたらどんなのがいいかしらね?」
そう言って美冬が首を傾げると、猫の耳がピンっとした時のような表情になる社員達である。
「社長! デートですか?」
「するとしたら、だってば」
社員にとって、美冬は美人で自慢の社長なのだ。
「夜の高層ビルのフレンチレストランで結構高級な雰囲気のお店かな」
ちょっと特別な気分で特別な服。
まさにミルヴェイユのコンセプトにぴったりではないか。
「社長! これはどうですか?」
そう言ってスタッフが持ってきたのは、ピンクのワンピースで肩が出ているデザインだ。
けれど、その上を品のあるベージュのチュールで包んでおり、袖も長めなのでセクシーになりすぎず可愛らしい。ウエストと袖がサテンで飾られているのもいい。
今までは槙野は、美冬のスーツ姿しか見ていないし、美冬も普段はパンツスーツが多いので、ミルヴェイユの服を見てもらうにはいい機会だろう。
まさか、槙野に着せるわけにもいかないのだし。
「うん! これにする」
「きっと似合いますよ」
デザイン室の奥にはフィッティングルームもあるので、美冬はそこで着替えをする。
シャッとカーテンを開けて出てきたら社員達が釘付けになっていた。
「社長~! めちゃくちゃ可愛い!」
「チュールとワンピースの色違いも展開しようと思ってるんです。ワンピースはグリーンとか、パープルとか」
「でも社長はデートなので、このピンクでお願いしますね!」
ミルヴェイユの洋服は今こうして美冬を囲んでいるデザイナー達が作っている。
美冬が囲まれている中、デザイン室のトップである石丸が打ち合わせから返ってきた。
「ああ、そのワンピやっぱ可愛いよな」
「ねー、似合いますよね! デートって感じで!」
「デート? デートなの? 美冬?」
「打ち合わせなんだけど、高級フレンチなのよね」
「うち合わせで高級フレンチ? ふうん……。でそのワンピはどう?」
石丸が近付いてきて、サイズが合っているか、確認している。
「むちゃくちゃ可愛くて気に入った!」
「ラインに乗せようと思ってる」
「いいんじゃないかな」
わーい!とデザイン室のみんなが喜んでいた。
可愛くて、綺麗な服は自分の気持ちも盛り上がる。
やはり、ミルヴェイユが好きだと美冬は思った。
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