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8.契約書に『アレ』の記載は?
契約書に『アレ』の記載は?③
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はっ……とため息のような声がもれて、美冬は槙野にきゅうっと抱きしめられた。
「やべ……。お前ってなんで本当にそんなに顔だけは可愛いの」
──顔だけ……。失礼か?
「童顔で好みじゃないとか言われたような気が……」
そうだ、好みじゃないとか散々言われた気がする。
「整っていることに間違いはないぞ。誰が見てもお前の顔は可愛いだろ」
本当にやめて欲しい。
さっきから恥ずかしくて、顔から火が出そう。
「祐輔こそ、なんでそんなに正直なの?」
「真実ほど強いものはないからだ」
そうして、ぐっと下半身を押し付けられた。それで美冬は気づいた。
真実……その真実、ここで証明する必要あるだろうか?
槙野のソレがしっかりと質量を持っている。それをぐいっと美冬の下半身に押し付けられているのだ。
無意識に顔が熱くなっていた。
多分真っ赤なはずだ。
「へーえ? いつもイキリ倒してるくせに、そんな顔しちゃうんだ」
「イ、イキリ倒してなんかないもん。それに、そんな顔って……」
「俺が思わず滾っちゃうような顔」
滾……っ、ホントにやだこの人。正直には程があるでしょ!?
そう思うのに、さっきから美冬の心臓はドキドキと大きな音を立てるだけなのだ。
もー、静まってよ!
「なあ……」
「っ、なに!?」
「本当に可愛いな」
そんな風に言う槙野の顔が本当にとても愛おしいものを見るかのようなので、美冬はとても動揺してしまう。
「可愛いとか……思ってもないこと、言わなくて……」
「ばーか、お前可愛くもないのに勃つかよ」
また、ぐっと下半身を押し付けられて、美冬は黙る。
くすっと槙野に笑われた。
「怖いか?」
本当のことを言ったら怖い。
美冬は男性を受け入れるのは初めてなのだ。
こくっ、と頷いた。
「大丈夫。すげぇ優しくするし、美冬がもっとしたくなるくらい良くしてやるから」
「すごく、ドキドキするの……も?」
「ドキドキしてんの?」
そう言って、いつもみたいにバカにするようにじゃなくて、すごく優しい顔でふわっと笑って、美冬の胸にその大きな手の平を置くので、どきん、としてますます心臓は鼓動を大きくした。
「本当だな。ドキドキしてるのが分かる」
「痛……い?」
「気持ちいいだけだ。美冬、頼むから煽んないでくれないか」
「煽るって?」
槙野は苦笑する。
「お前にそんなこと出来るわけないか。怖いなら手を繋いでろ」
そう言って、槙野が手を差し出すので、美冬は言われたままその手に指を絡めた。
その絡められた指を見て、槙野の口元が微笑む。
その指をゆっくりと口元に持っていった槙野は美冬の目をその肉食獣のような瞳で真っ直ぐ見つめながら口付けたのだ。
指に槙野の唇の感触を感じて、そんな些細なことにも美冬はドキドキしてしまう。
槙野はまだスーツのジャケットを脱いだだけで、ベストも着たままだし、ネクタイも付けたままである。
なのにその雰囲気はとてもセクシーなのだ。
「もう、逃げられると思うなよ?」
「やべ……。お前ってなんで本当にそんなに顔だけは可愛いの」
──顔だけ……。失礼か?
「童顔で好みじゃないとか言われたような気が……」
そうだ、好みじゃないとか散々言われた気がする。
「整っていることに間違いはないぞ。誰が見てもお前の顔は可愛いだろ」
本当にやめて欲しい。
さっきから恥ずかしくて、顔から火が出そう。
「祐輔こそ、なんでそんなに正直なの?」
「真実ほど強いものはないからだ」
そうして、ぐっと下半身を押し付けられた。それで美冬は気づいた。
真実……その真実、ここで証明する必要あるだろうか?
槙野のソレがしっかりと質量を持っている。それをぐいっと美冬の下半身に押し付けられているのだ。
無意識に顔が熱くなっていた。
多分真っ赤なはずだ。
「へーえ? いつもイキリ倒してるくせに、そんな顔しちゃうんだ」
「イ、イキリ倒してなんかないもん。それに、そんな顔って……」
「俺が思わず滾っちゃうような顔」
滾……っ、ホントにやだこの人。正直には程があるでしょ!?
そう思うのに、さっきから美冬の心臓はドキドキと大きな音を立てるだけなのだ。
もー、静まってよ!
「なあ……」
「っ、なに!?」
「本当に可愛いな」
そんな風に言う槙野の顔が本当にとても愛おしいものを見るかのようなので、美冬はとても動揺してしまう。
「可愛いとか……思ってもないこと、言わなくて……」
「ばーか、お前可愛くもないのに勃つかよ」
また、ぐっと下半身を押し付けられて、美冬は黙る。
くすっと槙野に笑われた。
「怖いか?」
本当のことを言ったら怖い。
美冬は男性を受け入れるのは初めてなのだ。
こくっ、と頷いた。
「大丈夫。すげぇ優しくするし、美冬がもっとしたくなるくらい良くしてやるから」
「すごく、ドキドキするの……も?」
「ドキドキしてんの?」
そう言って、いつもみたいにバカにするようにじゃなくて、すごく優しい顔でふわっと笑って、美冬の胸にその大きな手の平を置くので、どきん、としてますます心臓は鼓動を大きくした。
「本当だな。ドキドキしてるのが分かる」
「痛……い?」
「気持ちいいだけだ。美冬、頼むから煽んないでくれないか」
「煽るって?」
槙野は苦笑する。
「お前にそんなこと出来るわけないか。怖いなら手を繋いでろ」
そう言って、槙野が手を差し出すので、美冬は言われたままその手に指を絡めた。
その絡められた指を見て、槙野の口元が微笑む。
その指をゆっくりと口元に持っていった槙野は美冬の目をその肉食獣のような瞳で真っ直ぐ見つめながら口付けたのだ。
指に槙野の唇の感触を感じて、そんな些細なことにも美冬はドキドキしてしまう。
槙野はまだスーツのジャケットを脱いだだけで、ベストも着たままだし、ネクタイも付けたままである。
なのにその雰囲気はとてもセクシーなのだ。
「もう、逃げられると思うなよ?」
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