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カチ、それはスイッチの入る音です
カチ、それはスイッチの入る音です①
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土曜日が出勤、日曜日が休みで、月曜日が遅番。
つまり日曜日はゆっくり出来るというシフトの土曜日、結衣は涼真の自宅マンションにいた。
結衣が自分の作ったビーフストロガノフが無性に食べたい。と言ったところ、涼真が食べさせて欲しいとすごくねだったので、作りにきたのだ。
「圧力鍋で一気にやっちゃうんで、すぐ出来ますからね」
部屋着の袖をまくって、結衣がキッチンに立つ。
「手伝います」
涼真の自宅には、そこそこの料理道具が揃っている。
涼真は一時期、料理にハマっていたらしい。
その頃は凝っていろいろ作っていたけれど、今は忙しくて外食中心になってしまっていると言っていた。
そんな涼真は結衣のためにと気付いたら、いろいろ部屋着からスリッパ下着から、エプロンまで揃えてくれている。
「結衣さん! 部屋着可愛いです。やっぱり似合いますね、ジェラピケ」
もこもこのタオル地のパーカーとショートパンツにソックス。それが全部、お揃いの柄なのだ。
肌触りは最高だし、色合いも可愛い。
部屋着やエプロン姿、料理をしている姿も手伝いながら、さり気なく写メに収めている涼真だ。
部屋着は結衣も気に入ったのだが、どんな顔して選んだのかは、あまり考えないことにした。
エプロンもお揃いのブランド物。
どんな顔して選んだのか……もう以下略だ。
ただこうして一緒に過ごすことを、すごく楽しみにしてくれていたんだろうなぁという気持ちはとても伝わってきて、それは純粋に嬉しい。
「やはり玉ねぎ、からですか?」
「うん、普通に真ん中で切ってどんどんスライスしていってください。あまり薄くなくていいので」
「はい」
包丁を持つ涼真は、一時期料理に凝っていたというだけあり、手慣れた様子で結衣に言われた通りに玉ねぎをカットしてゆく。
涼真も同じブランドの部屋着を着ていた。
ヘンリーネック、つまり丸襟のボタン止めになっているデザインのものを着用している。
涼真のものは紺のストライプで、生地もサッカー地のさらりとしたものだ。
部屋着なので、ボタンも上までぴっちり閉めている訳ではない。
時折ちらっと見える胸元に、結衣はどきりとさせられていた。
無駄に色っぽいんだよね。涼真さんて。
「玉ねぎ、炒めていいですか?」
「ん。先にお肉入れましょう」
「結衣さん、これ使って?」
涼真が冷蔵庫から出してきたのは、紙に包まれたお肉だ。
つまりグラム売りのものを専門店で購入してきたということだ。
「また、こんなにいいお肉買ってきて……」
「だってせっかく結衣さんが作ってくれると言うから」
「煮込んじゃうのにー」
「まあまあ、思い切り美味しいものを食べましょう」
もったいないーと言う結衣の頬に、涼真がちゅ、とキスをする。
結衣のどんな表情も可愛くて仕方ない涼真なのだ。
その時、ピンポーンと呼び鈴の鳴る音。
二人は顔を合わせた。
「ん?」
「こんな時間に?」
土曜日の夜9時である。
人を訪ねるには若干遅い。
「ねこさん?」
「いや、今日はお届けの予定はないです。ポチってもないですし」
涼真が、インターフォンの画面を見る。
そこには、若い男性の姿だ。
『涼真兄~~』
「楓真だ」
「楓真さん……?」
つまり日曜日はゆっくり出来るというシフトの土曜日、結衣は涼真の自宅マンションにいた。
結衣が自分の作ったビーフストロガノフが無性に食べたい。と言ったところ、涼真が食べさせて欲しいとすごくねだったので、作りにきたのだ。
「圧力鍋で一気にやっちゃうんで、すぐ出来ますからね」
部屋着の袖をまくって、結衣がキッチンに立つ。
「手伝います」
涼真の自宅には、そこそこの料理道具が揃っている。
涼真は一時期、料理にハマっていたらしい。
その頃は凝っていろいろ作っていたけれど、今は忙しくて外食中心になってしまっていると言っていた。
そんな涼真は結衣のためにと気付いたら、いろいろ部屋着からスリッパ下着から、エプロンまで揃えてくれている。
「結衣さん! 部屋着可愛いです。やっぱり似合いますね、ジェラピケ」
もこもこのタオル地のパーカーとショートパンツにソックス。それが全部、お揃いの柄なのだ。
肌触りは最高だし、色合いも可愛い。
部屋着やエプロン姿、料理をしている姿も手伝いながら、さり気なく写メに収めている涼真だ。
部屋着は結衣も気に入ったのだが、どんな顔して選んだのかは、あまり考えないことにした。
エプロンもお揃いのブランド物。
どんな顔して選んだのか……もう以下略だ。
ただこうして一緒に過ごすことを、すごく楽しみにしてくれていたんだろうなぁという気持ちはとても伝わってきて、それは純粋に嬉しい。
「やはり玉ねぎ、からですか?」
「うん、普通に真ん中で切ってどんどんスライスしていってください。あまり薄くなくていいので」
「はい」
包丁を持つ涼真は、一時期料理に凝っていたというだけあり、手慣れた様子で結衣に言われた通りに玉ねぎをカットしてゆく。
涼真も同じブランドの部屋着を着ていた。
ヘンリーネック、つまり丸襟のボタン止めになっているデザインのものを着用している。
涼真のものは紺のストライプで、生地もサッカー地のさらりとしたものだ。
部屋着なので、ボタンも上までぴっちり閉めている訳ではない。
時折ちらっと見える胸元に、結衣はどきりとさせられていた。
無駄に色っぽいんだよね。涼真さんて。
「玉ねぎ、炒めていいですか?」
「ん。先にお肉入れましょう」
「結衣さん、これ使って?」
涼真が冷蔵庫から出してきたのは、紙に包まれたお肉だ。
つまりグラム売りのものを専門店で購入してきたということだ。
「また、こんなにいいお肉買ってきて……」
「だってせっかく結衣さんが作ってくれると言うから」
「煮込んじゃうのにー」
「まあまあ、思い切り美味しいものを食べましょう」
もったいないーと言う結衣の頬に、涼真がちゅ、とキスをする。
結衣のどんな表情も可愛くて仕方ない涼真なのだ。
その時、ピンポーンと呼び鈴の鳴る音。
二人は顔を合わせた。
「ん?」
「こんな時間に?」
土曜日の夜9時である。
人を訪ねるには若干遅い。
「ねこさん?」
「いや、今日はお届けの予定はないです。ポチってもないですし」
涼真が、インターフォンの画面を見る。
そこには、若い男性の姿だ。
『涼真兄~~』
「楓真だ」
「楓真さん……?」
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