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研修講師は未経験
研修講師は未経験②
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それにぎゃーとか、わーとか直ぐに声が出るのは反応良くていい事だ。
うんうん、いいチームかも。
女子率が高い中、今回は深夜勤の派遣社員が男性になる。
きゃっきゃしている中、なかなか打ち解けられない様子で、結衣は少し気にしてはいた。
いざ、勤務に入ってしまえば、深夜勤は男性ばかりなので、大丈夫だと思うのだが、今この研修中は女性ばかりだ。
そんなある日、当の契約社員予定の藤川幹也に結衣は相談がある、と言われた。
「分かりました! じゃあ、今日の研修終わってからでも大丈夫ですか?」
結衣は笑顔でそう言ってはみたが、内心はどきどきだ。
「はい……」
俯きがちに返事をしてきた彼に、何かやらかしただろうか⁉︎と思ってしまう。
夕方の休憩の際、結衣は莉奈に聞いてみた。
「研修生さんに、相談があるって言われたよー」
「あー、出た。分岐点だよ。続けるか辞めるか、迷うものだからね」
やっぱりかー。
「まあ、単なる相談ていうケースもあるし、聞いてあげて結衣さんなりの回答をしてあげたらいいと思うよ」
気持ちは分かる。
誰しも迷いつつ進むものだし、特に新しいことにチャレンジする際の迷いは大きいことも理解できるから。
結衣は自分にできることは限られているけれども、何か手助けできることがあれば、協力しようと思った。
その日の研修が終わったあと、研修室に藤川がポツンとした様子で座っていた。
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
挨拶したところで話にくそうなのは間違いなく、結衣は柔らかく話かける。
「研修、どうですか?」
「あ……自分は新しいことばかりで、面白いこともありますけどなかなか知識がなくて……」
「不安ですか?」
「そうですね……少し」
「アンタ新人なんだから、完璧にやることなんか無理! そんなこと求めてないし!」
ハキハキっと結衣が言うと、藤川がびっくりしている。
結衣はにこっと笑った。
「……て、言われたの私。入社してすぐ。そうか! と思いました。知識が不足しているのが不安ですか?」
「はい」
「じゃ、覚えましょ。もうすでに藤川さんはご自身で足りないところが分かっているんだから、あとはそこを補強すればいいだけですよ」
「そ……か。そうですね」
「そして藤川さん、当社の社員数ご存知ですか?」
きょとん、としている。社員数?という顔だ。
「10000人です」
「は……あ……」
「だから、藤川さんのバックには1万人いますから、藤川さんが対応出来なくても知らなくても、誰かが必ずそのノウハウを持っています。自信を持って確認しますって言っていいですよ。必ず解決方法はありますから」
これも結衣が上司に言われたことだ。
一人で悩まなくていい。
どんどん周りを頼りなさいと言われた。
それは今も結衣の中にあって、だからこそ色んな人に助けられつつ、結衣は仕事を進めていると思っている。
──ひとりじゃないもん。
「知識は確かに必要なんだけど、ここで必要なものはなんだと思いますか?」
「保険のご案内でしょうか?」
「それも、もちろんなんだけど、まずは電話の向こうの方に安心してもらうことです」
そうなのだ。知識の勉強をするから、知識ばかりが重要なのかと思われてしまう。
けど、ここ何ヶ月かコールセンターにいて、そうではない、と結衣は思っていた。
「まずは聞いてください。今どういう状況なのか。判断はそこからです。仮に分からないことがあってSVに確認するとしても、何も分からないでは私達も困ることもあります。大丈夫! 私達もいますから、バックアップします」
うんうん、いいチームかも。
女子率が高い中、今回は深夜勤の派遣社員が男性になる。
きゃっきゃしている中、なかなか打ち解けられない様子で、結衣は少し気にしてはいた。
いざ、勤務に入ってしまえば、深夜勤は男性ばかりなので、大丈夫だと思うのだが、今この研修中は女性ばかりだ。
そんなある日、当の契約社員予定の藤川幹也に結衣は相談がある、と言われた。
「分かりました! じゃあ、今日の研修終わってからでも大丈夫ですか?」
結衣は笑顔でそう言ってはみたが、内心はどきどきだ。
「はい……」
俯きがちに返事をしてきた彼に、何かやらかしただろうか⁉︎と思ってしまう。
夕方の休憩の際、結衣は莉奈に聞いてみた。
「研修生さんに、相談があるって言われたよー」
「あー、出た。分岐点だよ。続けるか辞めるか、迷うものだからね」
やっぱりかー。
「まあ、単なる相談ていうケースもあるし、聞いてあげて結衣さんなりの回答をしてあげたらいいと思うよ」
気持ちは分かる。
誰しも迷いつつ進むものだし、特に新しいことにチャレンジする際の迷いは大きいことも理解できるから。
結衣は自分にできることは限られているけれども、何か手助けできることがあれば、協力しようと思った。
その日の研修が終わったあと、研修室に藤川がポツンとした様子で座っていた。
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
挨拶したところで話にくそうなのは間違いなく、結衣は柔らかく話かける。
「研修、どうですか?」
「あ……自分は新しいことばかりで、面白いこともありますけどなかなか知識がなくて……」
「不安ですか?」
「そうですね……少し」
「アンタ新人なんだから、完璧にやることなんか無理! そんなこと求めてないし!」
ハキハキっと結衣が言うと、藤川がびっくりしている。
結衣はにこっと笑った。
「……て、言われたの私。入社してすぐ。そうか! と思いました。知識が不足しているのが不安ですか?」
「はい」
「じゃ、覚えましょ。もうすでに藤川さんはご自身で足りないところが分かっているんだから、あとはそこを補強すればいいだけですよ」
「そ……か。そうですね」
「そして藤川さん、当社の社員数ご存知ですか?」
きょとん、としている。社員数?という顔だ。
「10000人です」
「は……あ……」
「だから、藤川さんのバックには1万人いますから、藤川さんが対応出来なくても知らなくても、誰かが必ずそのノウハウを持っています。自信を持って確認しますって言っていいですよ。必ず解決方法はありますから」
これも結衣が上司に言われたことだ。
一人で悩まなくていい。
どんどん周りを頼りなさいと言われた。
それは今も結衣の中にあって、だからこそ色んな人に助けられつつ、結衣は仕事を進めていると思っている。
──ひとりじゃないもん。
「知識は確かに必要なんだけど、ここで必要なものはなんだと思いますか?」
「保険のご案内でしょうか?」
「それも、もちろんなんだけど、まずは電話の向こうの方に安心してもらうことです」
そうなのだ。知識の勉強をするから、知識ばかりが重要なのかと思われてしまう。
けど、ここ何ヶ月かコールセンターにいて、そうではない、と結衣は思っていた。
「まずは聞いてください。今どういう状況なのか。判断はそこからです。仮に分からないことがあってSVに確認するとしても、何も分からないでは私達も困ることもあります。大丈夫! 私達もいますから、バックアップします」
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