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ちょっとだけ番外 その1
ちょっとだけ番外
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データをUSBに入れたものを受取り、涼真は自分のパソコンを立ち上げる。
先程から、楓真の視線を感じる。
説明を求めているのであろうが、涼真は自分から説明する気はない。
弟の楓真は行政書士、司法書士の資格を持っており、書士に依頼する書類関係はほとんど楓真に依頼しているのだ。
2歳下ではあるが、もっと、若く見える。
色素の薄い髪に、今時風にパーマをあて、裾とサイドはスッキリとさせた髪型。
趣味は自転車とバスケ、というスポーツ少年をそのまま大きくしたような感じだ。
今日も恐らく自転車で来たのだろう、カジュアルなショートパンツと、自転車用のシューズ。
「えっと……人、いたよな?」
「いたな」
「女性だったよな」
「女性だな。お付き合いしている人だからな」
「彼女⁉︎」
涼真はパソコンの画面を確認する。
相変わらず、こんな見た目のくせして、仕事は完璧だ。
「うん。いいな。」
「彼女、涼真兄の趣味知ってんの?」
「僕が今まで性癖を隠して付き合ったことあるか?」
「ないけど……」
逆にオープンすぎてどうだろうと思うこともあるのだが。
「隠してはいない。だから、彼女用のフォルダがあると知ってる」
「マジか……」
「しかも、彼女自身はまっさらなんだ」
涼真は、うっとりと目を細める。
楓真は気の毒そうな顔をしているが、その表情は失礼ではないだろうか。
「まあ、俺はなんも言わないし、向こうが分かってんならいいけど」
「最初は声に惹かれたんだ。けど姿を見たらまた会いたくなって、会ったら欲しくなって欲しくて、欲しくて……やっと来てくれたんだよ」
口にしているその内容は相変わらず危なっかしくて仕方ないが、兄のその表情は見たことがないほど温かいものだったので、楓真はまあいいかと思ったのだ。
「紹介してよ」
涼真は口元にだけ笑みを浮かべる。
「いつかな」
「今、いるのに紹介してくんないのかよ。意味分かんない」
涼真にしてみれば、今なんて、会わせられる訳がない。
初めての夜を過ごした朝なのだ。
仕事は仕方ないけれど、そんな結衣を共有するつもりは一切ない。
「わがまま言うなよ。今度、場を作るから。今日はダメだ」
「わがままはどっちだよ」
それでも言い出した事を引くような兄でもないので、楓真は素直にその場は引き下がることにする。
「じゃ、今度」
リュックを、背負ってオフィスを出ていく楓真に涼真は声を掛けた。
「楓真、仕事は完璧だ」
「んー。また、よろしく」
楓真はオフィスを出て、ふと先程の事を最初から思い出す。
兄は見たことがないくらい、彼女を抱き込んでいた。
それが、その2人の光景があまりにも幸せそうで、壊したくなくて固まってしまったのだ。
しかもその光景はとても綺麗で、まるで一幅の絵のようだった。
今まで彼女がいるなんて話は聞いたことがないから、付き合い始めたのはごく最近なのだろうと楓真は察する。
ちらりとしか見えなかったけれど、何となく可愛かったような気がする。
まあ、あの兄があれだけ惚れ込むんだから、相当なんだろう。
兄の趣味を知っていながら、お付き合いを了承し、あまつさえまっさら……。
そんな希少な人居たんだな。
思わず口元が笑ってしまう。
その彼女に会うのが楽しみになってしまった、楓真なのだった。
先程から、楓真の視線を感じる。
説明を求めているのであろうが、涼真は自分から説明する気はない。
弟の楓真は行政書士、司法書士の資格を持っており、書士に依頼する書類関係はほとんど楓真に依頼しているのだ。
2歳下ではあるが、もっと、若く見える。
色素の薄い髪に、今時風にパーマをあて、裾とサイドはスッキリとさせた髪型。
趣味は自転車とバスケ、というスポーツ少年をそのまま大きくしたような感じだ。
今日も恐らく自転車で来たのだろう、カジュアルなショートパンツと、自転車用のシューズ。
「えっと……人、いたよな?」
「いたな」
「女性だったよな」
「女性だな。お付き合いしている人だからな」
「彼女⁉︎」
涼真はパソコンの画面を確認する。
相変わらず、こんな見た目のくせして、仕事は完璧だ。
「うん。いいな。」
「彼女、涼真兄の趣味知ってんの?」
「僕が今まで性癖を隠して付き合ったことあるか?」
「ないけど……」
逆にオープンすぎてどうだろうと思うこともあるのだが。
「隠してはいない。だから、彼女用のフォルダがあると知ってる」
「マジか……」
「しかも、彼女自身はまっさらなんだ」
涼真は、うっとりと目を細める。
楓真は気の毒そうな顔をしているが、その表情は失礼ではないだろうか。
「まあ、俺はなんも言わないし、向こうが分かってんならいいけど」
「最初は声に惹かれたんだ。けど姿を見たらまた会いたくなって、会ったら欲しくなって欲しくて、欲しくて……やっと来てくれたんだよ」
口にしているその内容は相変わらず危なっかしくて仕方ないが、兄のその表情は見たことがないほど温かいものだったので、楓真はまあいいかと思ったのだ。
「紹介してよ」
涼真は口元にだけ笑みを浮かべる。
「いつかな」
「今、いるのに紹介してくんないのかよ。意味分かんない」
涼真にしてみれば、今なんて、会わせられる訳がない。
初めての夜を過ごした朝なのだ。
仕事は仕方ないけれど、そんな結衣を共有するつもりは一切ない。
「わがまま言うなよ。今度、場を作るから。今日はダメだ」
「わがままはどっちだよ」
それでも言い出した事を引くような兄でもないので、楓真は素直にその場は引き下がることにする。
「じゃ、今度」
リュックを、背負ってオフィスを出ていく楓真に涼真は声を掛けた。
「楓真、仕事は完璧だ」
「んー。また、よろしく」
楓真はオフィスを出て、ふと先程の事を最初から思い出す。
兄は見たことがないくらい、彼女を抱き込んでいた。
それが、その2人の光景があまりにも幸せそうで、壊したくなくて固まってしまったのだ。
しかもその光景はとても綺麗で、まるで一幅の絵のようだった。
今まで彼女がいるなんて話は聞いたことがないから、付き合い始めたのはごく最近なのだろうと楓真は察する。
ちらりとしか見えなかったけれど、何となく可愛かったような気がする。
まあ、あの兄があれだけ惚れ込むんだから、相当なんだろう。
兄の趣味を知っていながら、お付き合いを了承し、あまつさえまっさら……。
そんな希少な人居たんだな。
思わず口元が笑ってしまう。
その彼女に会うのが楽しみになってしまった、楓真なのだった。
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