君の声を聴かせて~声フェチの人には聞かせたくないんですけどっ!~

如月 そら

文字の大きさ
上 下
27 / 70
備えよ常に

備えよ常に④

しおりを挟む
「言いましたよね? ここでは最後までしないって。意味、分かります?」

──なんだか全然、安心出来ないのはなぜなのかしら?!

結衣はつい、反射的に脚を閉じてしまう。    
タイツの上から、蓮根の指が太腿の付け根をゆっくり辿る。

「っん……や……」
「感じやすいくせに無駄な抵抗をして。そんなところも可愛らしいんですけどね。抵抗するあなたを無理やり……なんてすごく楽しそうだ」

結衣は一瞬耳を疑った。
(は? え? 今なんつった? コノヒト)
蓮根はその端正な顔に妖艶な笑みを浮かべただけだ。

知らなかったのだ。脚を閉じていても、いちばん敏感なところに触れることが出来るなんて。
だから、ふふっと笑った蓮根がそこを指で辿ったから高めの声が漏れてしまう。

「あなたが脚を閉じているから、ココしか、触れないんですよね」
そう言ってタイツの上から花芽の部分だけをつん、と指でつつく。
「……あ、やっ……」

「僕が焦らしている訳じゃないですよ? あなたが脚を閉じているから」
「いじわる」

「ん? いじわるなんてしていませんよ。約束ちゃんと守ってますよね。ここではしない、って」
それに……と蓮根が自分の片方の足を上げる。

横座りしている結衣は蓮根の足に膝裏が乗っているので、それに伴ってひょいっと膝が上がってしまうのだ。
(ん……?)

「そんな抵抗、全く問題ないです」
するりっと狭間を撫でられた。
「やあぁ……んっ……」

「結衣さん、タイツの上からでも分かりますよ。すごく濡れてる。気持ち悪くないですか?」
「だ、大丈夫です!」
    
「ああ、そうだ。僕は万一に備えるって話ですよね。最初から僕はあなたを僕のものにしたいんです。あなたの全部を僕のものにしたい。この近くにね、僕の名義のリゾートマンションがあるんですよ。今から、そこにあなたを連れて行きます」

「え? うそ……」
蓮根がにっこり笑う。
「僕が嘘を言うように見えますか?」
「見えません……」

何故か、そこは信頼出来るような気がする。
こういうことだけは!

「もうちょっとだけ、我慢して」
そう言って頬にキスをして膝から結衣を降ろすと、呆然としている結衣にシートベルトをつけ蓮根は運転席に移動する。

結衣はただ呆然と座っているだけだ。

我慢……?
我慢て、ナニ?

リゾートマンション?
万一に備える?

え?え?じゃあ、そもそも、ここに来たこと自体、こういう事態に備えてたって事?

ひょええ……。
結衣は後部座席で頭が真っ白になり、ちーん……という音を聞いた気がした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

恋とキスは背伸びして

葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員 成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長 年齢差 9歳 身長差 22㎝ 役職 雲泥の差 この違い、恋愛には大きな壁? そして同期の卓の存在 異性の親友は成立する? 数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの 二人の恋の物語

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈

玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳 大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。 でも、これはただのお見合いではないらしい。 初出はエブリスタ様にて。 また番外編を追加する予定です。 シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。 表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。

あまやかしても、いいですか?

藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。 「俺ね、ダメなんだ」 「あーもう、キスしたい」 「それこそだめです」  甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の 契約結婚生活とはこれいかに。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

誘惑の延長線上、君を囲う。

桜井 響華
恋愛
私と貴方の間には "恋"も"愛"も存在しない。 高校の同級生が上司となって 私の前に現れただけの話。 .。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚ Иatural+ 企画開発部部長 日下部 郁弥(30) × 転職したてのエリアマネージャー 佐藤 琴葉(30) .。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚ 偶然にもバーカウンターで泥酔寸前の 貴方を見つけて… 高校時代の面影がない私は… 弱っていそうな貴方を誘惑した。 : : ♡o。+..:* : 「本当は大好きだった……」 ───そんな気持ちを隠したままに 欲に溺れ、お互いの隙間を埋める。 【誘惑の延長線上、君を囲う。】

Perverse

伊吹美香
恋愛
『高嶺の花』なんて立派なものじゃない ただ一人の女として愛してほしいだけなの… あなたはゆっくりと私の心に浸食してくる 触れ合う身体は熱いのに あなたの心がわからない… あなたは私に何を求めてるの? 私の気持ちはあなたに届いているの? 周りからは高嶺の花と呼ばれ本当の自分を出し切れずに悩んでいる女 三崎結菜 × 口も態度も悪いが営業成績No.1で結菜を振り回す冷たい同期男 柴垣義人 大人オフィスラブ

同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい(らしい)【番外編も完結】

光月海愛(こうつきみあ)
恋愛
「二度となつみ以外の女を抱けないと思ったら虚しくて」  なつみは、二年前婚約破棄してから派遣社員として働く三十歳。  女として自信を失ったまま、新しい派遣先の職場見学に。  そこで同じ中学だった神城と再会。  CEOである神城は、地味な自分とは正反対。秀才&冷淡な印象であまり昔から話をしたこともなかった。  それなのに、就くはずだった事務ではなく、神城の秘書に抜擢されてしまう。 ✜✜目標ポイントに達成しましたら、ショートストーリーを追加致します。ぜひお気に入り登録&しおりをお願いします✜✜  

処理中です...