26 / 70
備えよ常に
備えよ常に③
しおりを挟む
「あなたを見てると……その、とてもピュアな感じで、初々しいところをとても好ましく思うんですよ。けど、反面それを汚したいっていう乱暴な気持ちにもなる。誰彼構わず見せびらかしたいような、閉じ込めて、誰にも見せたくないような……極端ですよね。でも、そう思うんです」
熱に浮かされたような、蓮根の言葉にぞくんとする結衣だ。
結衣にとって、恋愛とはただ甘いだけのものかと思っていたけれど、蓮根のそれだけではない気持ちにくらくらする。
それは執着にもひどく似ているのではないだろうか。
「結衣さん……」
ふと、蓮根と目線が絡まりキスされるのかと結衣は目を閉じてしまった。
ふっと、蓮根の息が頬にかかり、その唇は耳元に移る。
「可愛い……」
と囁かれて、ぞくぞくっとした結衣は、蓮根の服をぎゅうっと掴む。
「耳、感じるの?この前も耳元、感じていましたよね?」
息をわざと吹き掛けるように、殊更低い声で囁かれ、思わず甘い声が漏れてしまう。
ふーっと息を吹きかけられて、鼻にかかったような声が出てしまい、結衣は口元を抑えた。
くすくすと、笑い声が聞こえる。
からかわれてるの?!
「その顔もその声も、その仕草も……たまらない」
服一枚脱いでいないのに、結衣は先程から頬が熱い。
蓮根は涼し気な顔で、たまらないと言いながららも結衣を煽るだけ煽っているような気がする。
──こんな感覚、知らないよ!怖い!!
目を閉じて結衣は泣きそうになる。
「どうしました?」
「うっ……く。こ、怖いんです……。こんなのやだ」
「怖い?」
「だって、さっきから息をするのも、いっぱい、いっぱいで……なんにもしてないのに、変なんです。やだ。こんなの……」
後部座席で両腕に閉じ込めていた蓮根が身体を起こして、結衣の腕を引く。
おいでと微笑んで、膝の上に横抱きにして座らせた。
「自分で何言っているか、分かっていますか?」
「やだ。って言ってます」
結衣はその顔を蓮根に向けた。
「違いますよ。今まで、こんなに感じたことないって言ってるんですよ。初めての感覚だって」
蓮根の長い指で結衣はそっと顎の辺りをくすぐられる。
「本当に可愛い人ですね」
あの……こんなに感じたことないとか、初めてとか言ってませんけど、そんなこと。
相変わらず脳内変換がすごくて、結衣は絶句する。
「抱きたい」
「は……?」
聞いていたのだろうか?
「えっと……無理です。やだ。怖いです」
「さっきも言いましたよね、それは、今までない感覚だからですよ。僕があなたに初めての感覚を体験をさせるなんて、すごく……興奮する」
指が顎から鎖骨を通って胸元に辿り着く。
「んっ……」
軽い声が出てしまって、つい身体を縮めてしまうと、また顔を掬い上げられて、目を覗き込まれた。
近くで見る蓮根の顔はとても艶っぽくて、しかも楽しそうだ。
「本当に嫌なのか、確認しましょうね」
さらりと、太腿を撫でられる。
「あ、待って……」
「待ちますよ?」
口ではそう言うけれど、指はゆっくりとスカートの中に侵入する。
熱に浮かされたような、蓮根の言葉にぞくんとする結衣だ。
結衣にとって、恋愛とはただ甘いだけのものかと思っていたけれど、蓮根のそれだけではない気持ちにくらくらする。
それは執着にもひどく似ているのではないだろうか。
「結衣さん……」
ふと、蓮根と目線が絡まりキスされるのかと結衣は目を閉じてしまった。
ふっと、蓮根の息が頬にかかり、その唇は耳元に移る。
「可愛い……」
と囁かれて、ぞくぞくっとした結衣は、蓮根の服をぎゅうっと掴む。
「耳、感じるの?この前も耳元、感じていましたよね?」
息をわざと吹き掛けるように、殊更低い声で囁かれ、思わず甘い声が漏れてしまう。
ふーっと息を吹きかけられて、鼻にかかったような声が出てしまい、結衣は口元を抑えた。
くすくすと、笑い声が聞こえる。
からかわれてるの?!
「その顔もその声も、その仕草も……たまらない」
服一枚脱いでいないのに、結衣は先程から頬が熱い。
蓮根は涼し気な顔で、たまらないと言いながららも結衣を煽るだけ煽っているような気がする。
──こんな感覚、知らないよ!怖い!!
目を閉じて結衣は泣きそうになる。
「どうしました?」
「うっ……く。こ、怖いんです……。こんなのやだ」
「怖い?」
「だって、さっきから息をするのも、いっぱい、いっぱいで……なんにもしてないのに、変なんです。やだ。こんなの……」
後部座席で両腕に閉じ込めていた蓮根が身体を起こして、結衣の腕を引く。
おいでと微笑んで、膝の上に横抱きにして座らせた。
「自分で何言っているか、分かっていますか?」
「やだ。って言ってます」
結衣はその顔を蓮根に向けた。
「違いますよ。今まで、こんなに感じたことないって言ってるんですよ。初めての感覚だって」
蓮根の長い指で結衣はそっと顎の辺りをくすぐられる。
「本当に可愛い人ですね」
あの……こんなに感じたことないとか、初めてとか言ってませんけど、そんなこと。
相変わらず脳内変換がすごくて、結衣は絶句する。
「抱きたい」
「は……?」
聞いていたのだろうか?
「えっと……無理です。やだ。怖いです」
「さっきも言いましたよね、それは、今までない感覚だからですよ。僕があなたに初めての感覚を体験をさせるなんて、すごく……興奮する」
指が顎から鎖骨を通って胸元に辿り着く。
「んっ……」
軽い声が出てしまって、つい身体を縮めてしまうと、また顔を掬い上げられて、目を覗き込まれた。
近くで見る蓮根の顔はとても艶っぽくて、しかも楽しそうだ。
「本当に嫌なのか、確認しましょうね」
さらりと、太腿を撫でられる。
「あ、待って……」
「待ちますよ?」
口ではそう言うけれど、指はゆっくりとスカートの中に侵入する。
0
お気に入りに追加
274
あなたにおすすめの小説
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
誘惑の延長線上、君を囲う。
桜井 響華
恋愛
私と貴方の間には
"恋"も"愛"も存在しない。
高校の同級生が上司となって
私の前に現れただけの話。
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
Иatural+ 企画開発部部長
日下部 郁弥(30)
×
転職したてのエリアマネージャー
佐藤 琴葉(30)
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
偶然にもバーカウンターで泥酔寸前の
貴方を見つけて…
高校時代の面影がない私は…
弱っていそうな貴方を誘惑した。
:
:
♡o。+..:*
:
「本当は大好きだった……」
───そんな気持ちを隠したままに
欲に溺れ、お互いの隙間を埋める。
【誘惑の延長線上、君を囲う。】
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
Perverse
伊吹美香
恋愛
『高嶺の花』なんて立派なものじゃない
ただ一人の女として愛してほしいだけなの…
あなたはゆっくりと私の心に浸食してくる
触れ合う身体は熱いのに
あなたの心がわからない…
あなたは私に何を求めてるの?
私の気持ちはあなたに届いているの?
周りからは高嶺の花と呼ばれ本当の自分を出し切れずに悩んでいる女
三崎結菜
×
口も態度も悪いが営業成績No.1で結菜を振り回す冷たい同期男
柴垣義人
大人オフィスラブ
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる