君の声を聴かせて~声フェチの人には聞かせたくないんですけどっ!~

如月 そら

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備えよ常に

備えよ常に③

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「あなたを見てると……その、とてもピュアな感じで、初々しいところをとても好ましく思うんですよ。けど、反面それを汚したいっていう乱暴な気持ちにもなる。誰彼構わず見せびらかしたいような、閉じ込めて、誰にも見せたくないような……極端ですよね。でも、そう思うんです」

熱に浮かされたような、蓮根の言葉にぞくんとする結衣だ。

結衣にとって、恋愛とはただ甘いだけのものかと思っていたけれど、蓮根のそれだけではない気持ちにくらくらする。
それは執着にもひどく似ているのではないだろうか。

「結衣さん……」
ふと、蓮根と目線が絡まりキスされるのかと結衣は目を閉じてしまった。

ふっと、蓮根の息が頬にかかり、その唇は耳元に移る。
「可愛い……」
と囁かれて、ぞくぞくっとした結衣は、蓮根の服をぎゅうっと掴む。

「耳、感じるの?この前も耳元、感じていましたよね?」

息をわざと吹き掛けるように、殊更低い声で囁かれ、思わず甘い声が漏れてしまう。

ふーっと息を吹きかけられて、鼻にかかったような声が出てしまい、結衣は口元を抑えた。
くすくすと、笑い声が聞こえる。
からかわれてるの?!

「その顔もその声も、その仕草も……たまらない」
服一枚脱いでいないのに、結衣は先程から頬が熱い。

蓮根は涼し気な顔で、たまらないと言いながららも結衣を煽るだけ煽っているような気がする。

──こんな感覚、知らないよ!怖い!!
目を閉じて結衣は泣きそうになる。
「どうしました?」
「うっ……く。こ、怖いんです……。こんなのやだ」
「怖い?」

「だって、さっきから息をするのも、いっぱい、いっぱいで……なんにもしてないのに、変なんです。やだ。こんなの……」

後部座席で両腕に閉じ込めていた蓮根が身体を起こして、結衣の腕を引く。
おいでと微笑んで、膝の上に横抱きにして座らせた。

「自分で何言っているか、分かっていますか?」
「やだ。って言ってます」
結衣はその顔を蓮根に向けた。

「違いますよ。今まで、こんなに感じたことないって言ってるんですよ。初めての感覚だって」
蓮根の長い指で結衣はそっと顎の辺りをくすぐられる。

「本当に可愛い人ですね」
あの……こんなに感じたことないとか、初めてとか言ってませんけど、そんなこと。
相変わらず脳内変換がすごくて、結衣は絶句する。

「抱きたい」
「は……?」
聞いていたのだろうか?

「えっと……無理です。やだ。怖いです」
「さっきも言いましたよね、それは、今までない感覚だからですよ。僕があなたに初めての感覚を体験をさせるなんて、すごく……興奮する」

指が顎から鎖骨を通って胸元に辿り着く。
「んっ……」
軽い声が出てしまって、つい身体を縮めてしまうと、また顔を掬い上げられて、目を覗き込まれた。

近くで見る蓮根の顔はとても艶っぽくて、しかも楽しそうだ。
「本当に嫌なのか、確認しましょうね」

さらりと、太腿を撫でられる。
「あ、待って……」
「待ちますよ?」

口ではそう言うけれど、指はゆっくりとスカートの中に侵入する。
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