11 / 70
マウント噛み噛み
マウント噛み噛み②
しおりを挟む
この表情、反則ではないのだろうか。
それに腰にくるっ!声‼︎
「何がお気に召したんでしょうか?」
結衣はやっとの思いで声を出す。
「声です」
迷いなく、蓮根はそう言った。
なんか、そんな気はしたけども。
「声フェチなんですか?」
「はい」
きっぱりした回答。爽やかな笑顔。
質問の内容と回答の内容の全く合っていないその爽やかさ。
「最初はあなたの声が……けれどその後の対応のテキパキした感じや、納得のいく説明を聞いていて、どんな方なんだろうと思っていました。まあ、もともと若干声フェチ気味だったんですけどね」
若干?若干って⁉︎
声だけじゃないですよ、とはにかまれても……。
この際、約款でもいいとか言っていたよね!
さっき!
もう、声さえ聞ければ中身はなんでもいいって思ったよね⁉︎
ガチのフェチじゃん!
「仮にステキな人がいても、声がイマイチだと萎えてしまって。その点あなたは完璧です。確かに最初に声に惹かれたのは、間違いないですけど、こうしてお会いしたら……」
ふわりと頬を撫でられる。
「綺麗です。きめ細かくてさらりとした肌、大きな瞳、ゆるりとした髪、時折、耳にかける仕草も。顔立ちも好みです。子供っぽくもなく、色気がありすぎもしない。逆にその曖昧なバランスに色っぽさを感じられる。あと背筋が伸びていて姿勢がとてもいい」
蓮根は結衣を見つめたまま背中にふっと触れて、そのまま髪を指で掬って髪にキスをする。
「声しか知らなくて、がっかりしたかもしれないですよ」
「いいえ。現実のあなたは想像以上でした」
気付いたら蓮根は片肘をカウンターに乗せ、身体を完全に結衣に向けている。
近いなぁ。
「蓮根先生、聞いてほしいことって……」
「はい」
蓮根は眉を寄せ、キュッと唇を噛みしめた。
端正な顔立ちなので、少しだけ表情が動くだけでも印象がガラッと変わるのだ。
そんな表情には、さすがに結衣もくらりと来る。
顔が綺麗って万能なのね……。
「最初は声に惹かれました。そして今日お会いしてぜひとも、もっとお話をしたいと思った。また会ってもらえませんか?」
「あの、私地方にいるので」
結衣はコールセンターが地方にあることを残念に思っていたが、この際それを考え出したのは誰かは知らないが心から感謝したい。
ありがとう!知らない人だけど!
「では、会いに行きます」
誰にっ⁉︎
「先生! お忙しいですよね!」
「あなたに会えるなら、どこにでも行きます。」
手をキュッと繋がれる。そして、真っ直ぐな瞳。
「あの、お会いしたの、今日が初めてですよね。」
「でも、お互い存在は知っていた。ロマンティックじゃないでしょうか」
うっとりしないで……。
「それに、あなたは僕が嫌いではないですよね? 何が気になったんです? 顔?」
「違います!」
うっ、このタイミングでそれを聞かれるとは!
「じゃあ、何なんですか?」
「嫌いではないです。でも、私は蓮根さんのことをよく存じあげないですし」
「これから、お互い知っていけばいい」
お願い。もっと知りたいんです……と息を吹きかけるように耳元に囁かれる。
またっ……!
さすがに直接耳元で囁かれると、ビクッとしてしまう。
「ね、何でそんな顔してるんです……?」
蓮根はとても妖艶な瞳で結衣を見つめてくる。
絶対、絶対、言いたくない!
このガチな声フェチの人の声に、腰が砕けそう、とか言いたくない!
なんだか!!
「じゃあ、最初は話すだけ。会ってもいい、と思ったら会ってください」
にこりと蓮根笑顔を向けられる。
先程のようになぜか逆らえなくて、つい、こくっと頷いてしまった結衣だ。
そして、その場で電話番号とかメルアドとか、果てはメールアプリのIDまで交換して、また連絡しますとホテルまで送ってもらったのである。
部屋に着くと、結衣はベッドにヘタリ込んでしまった。
何!?何!?何が起きたの?
うっ……変態にマウント取られてるんじゃ……。
結衣は首元を噛まれて咥えられている仔猫を想像してしまった。
それに腰にくるっ!声‼︎
「何がお気に召したんでしょうか?」
結衣はやっとの思いで声を出す。
「声です」
迷いなく、蓮根はそう言った。
なんか、そんな気はしたけども。
「声フェチなんですか?」
「はい」
きっぱりした回答。爽やかな笑顔。
質問の内容と回答の内容の全く合っていないその爽やかさ。
「最初はあなたの声が……けれどその後の対応のテキパキした感じや、納得のいく説明を聞いていて、どんな方なんだろうと思っていました。まあ、もともと若干声フェチ気味だったんですけどね」
若干?若干って⁉︎
声だけじゃないですよ、とはにかまれても……。
この際、約款でもいいとか言っていたよね!
さっき!
もう、声さえ聞ければ中身はなんでもいいって思ったよね⁉︎
ガチのフェチじゃん!
「仮にステキな人がいても、声がイマイチだと萎えてしまって。その点あなたは完璧です。確かに最初に声に惹かれたのは、間違いないですけど、こうしてお会いしたら……」
ふわりと頬を撫でられる。
「綺麗です。きめ細かくてさらりとした肌、大きな瞳、ゆるりとした髪、時折、耳にかける仕草も。顔立ちも好みです。子供っぽくもなく、色気がありすぎもしない。逆にその曖昧なバランスに色っぽさを感じられる。あと背筋が伸びていて姿勢がとてもいい」
蓮根は結衣を見つめたまま背中にふっと触れて、そのまま髪を指で掬って髪にキスをする。
「声しか知らなくて、がっかりしたかもしれないですよ」
「いいえ。現実のあなたは想像以上でした」
気付いたら蓮根は片肘をカウンターに乗せ、身体を完全に結衣に向けている。
近いなぁ。
「蓮根先生、聞いてほしいことって……」
「はい」
蓮根は眉を寄せ、キュッと唇を噛みしめた。
端正な顔立ちなので、少しだけ表情が動くだけでも印象がガラッと変わるのだ。
そんな表情には、さすがに結衣もくらりと来る。
顔が綺麗って万能なのね……。
「最初は声に惹かれました。そして今日お会いしてぜひとも、もっとお話をしたいと思った。また会ってもらえませんか?」
「あの、私地方にいるので」
結衣はコールセンターが地方にあることを残念に思っていたが、この際それを考え出したのは誰かは知らないが心から感謝したい。
ありがとう!知らない人だけど!
「では、会いに行きます」
誰にっ⁉︎
「先生! お忙しいですよね!」
「あなたに会えるなら、どこにでも行きます。」
手をキュッと繋がれる。そして、真っ直ぐな瞳。
「あの、お会いしたの、今日が初めてですよね。」
「でも、お互い存在は知っていた。ロマンティックじゃないでしょうか」
うっとりしないで……。
「それに、あなたは僕が嫌いではないですよね? 何が気になったんです? 顔?」
「違います!」
うっ、このタイミングでそれを聞かれるとは!
「じゃあ、何なんですか?」
「嫌いではないです。でも、私は蓮根さんのことをよく存じあげないですし」
「これから、お互い知っていけばいい」
お願い。もっと知りたいんです……と息を吹きかけるように耳元に囁かれる。
またっ……!
さすがに直接耳元で囁かれると、ビクッとしてしまう。
「ね、何でそんな顔してるんです……?」
蓮根はとても妖艶な瞳で結衣を見つめてくる。
絶対、絶対、言いたくない!
このガチな声フェチの人の声に、腰が砕けそう、とか言いたくない!
なんだか!!
「じゃあ、最初は話すだけ。会ってもいい、と思ったら会ってください」
にこりと蓮根笑顔を向けられる。
先程のようになぜか逆らえなくて、つい、こくっと頷いてしまった結衣だ。
そして、その場で電話番号とかメルアドとか、果てはメールアプリのIDまで交換して、また連絡しますとホテルまで送ってもらったのである。
部屋に着くと、結衣はベッドにヘタリ込んでしまった。
何!?何!?何が起きたの?
うっ……変態にマウント取られてるんじゃ……。
結衣は首元を噛まれて咥えられている仔猫を想像してしまった。
0
お気に入りに追加
274
あなたにおすすめの小説
シンデレラは王子様と離婚することになりました。
及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・
なりませんでした!!
【現代版 シンデレラストーリー】
貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。
はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。
しかしながら、その実態は?
離婚前提の結婚生活。
果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
誘惑の延長線上、君を囲う。
桜井 響華
恋愛
私と貴方の間には
"恋"も"愛"も存在しない。
高校の同級生が上司となって
私の前に現れただけの話。
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
Иatural+ 企画開発部部長
日下部 郁弥(30)
×
転職したてのエリアマネージャー
佐藤 琴葉(30)
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
偶然にもバーカウンターで泥酔寸前の
貴方を見つけて…
高校時代の面影がない私は…
弱っていそうな貴方を誘惑した。
:
:
♡o。+..:*
:
「本当は大好きだった……」
───そんな気持ちを隠したままに
欲に溺れ、お互いの隙間を埋める。
【誘惑の延長線上、君を囲う。】
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。

【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
Perverse
伊吹美香
恋愛
『高嶺の花』なんて立派なものじゃない
ただ一人の女として愛してほしいだけなの…
あなたはゆっくりと私の心に浸食してくる
触れ合う身体は熱いのに
あなたの心がわからない…
あなたは私に何を求めてるの?
私の気持ちはあなたに届いているの?
周りからは高嶺の花と呼ばれ本当の自分を出し切れずに悩んでいる女
三崎結菜
×
口も態度も悪いが営業成績No.1で結菜を振り回す冷たい同期男
柴垣義人
大人オフィスラブ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる