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それは通常対応です
それは通常対応です①
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「久しぶりー!」
査定の仲間が予約してくれたのは、会社の近くの割烹だ。
刺し盛りが新鮮で、結衣が好きな店である。
お店の大将も結衣の顔を見て、久しぶりだねー!と喜んでくれた。
馴染みでもあるので、奥のこじんまりした個室を用意してくれている。
大将は結衣が刺身が好き、ということも知っているので予約があった時点で覚えていてくれて、お刺身も今日はいいのがあるからね、と言ってくれた。
みんなで席に着き、乾杯すると、
「で、どうー?」
と仕事の話になる。
「環境の変化が結構大変だったー」
元の仲間達には、本音を言える結衣だ。
「あ、でも最前線で結衣ちゃんが電話受けてくれてると思うと、あたしたちも安心なんだよねえ」
「そう言ってもらえると泣けるよー。うちのセンターの子たちも頑張っているからさあ、何かあったら何でも言ってねー」
「シフトなんだっけ?」
「そーなの、曜日とか時間の感覚がおかしくなりそうだよ」
そういえば、なんとかさんは異動になったよーとか、今は査定はこんな方針だとか、センターではこんな取り組みをしているとか情報交換も交えて話をしていたところ、大将がごめんよ、と入ってくる。
「ごめん、ちょっといい? 同業の人が来ているよ」
途端に声が小さくなる結衣達だ。
「え? 誰ですか?」
「営業さんかな……向こうも気づいていて、本社の子達だって分かっているみたい。できればご挨拶されたいそうなんだけど」
営業も代理店も、お客様のようなものである。
この人たちが稼いでくる数字で成り立っているのが保険会社なのだ。
お世話になっている大将のことだ。
結衣達は受けるつもりで笑顔を向けた。
「よかったら、お伺いしますけど」
「いや、ご挨拶だけでお願いしますと伝えたよ。プライベートな集まりだしね。けど大丈夫?」
「はい」
しおらしく返事をしながら、変なこと言ってないよね?という雰囲気になる。
お酒の席でのことが外部の人に聞かれて、個人情報漏洩だ!と騒がれることもあるので、余程注意はしているけれど。
「こんにちは。ごめんね、楽しんでいるのに。法人営業部の北条と言います」
彼はとてもにこやかに感じよく個室に入ってくる。
スーツ姿も魅力的な塩顔男子だ
笑顔で入ってきたのは、結衣も電話は何度か受けたことのある北条という営業担当者だった。
査定としては交渉が難しい件も間に入ってくれて助けてもらったり、不備書類も手早く用意してくれるし、素早い支払いにいつも協力してくれる人だ。
査定は支払ってなんぼなので、実は払えない案件より、払える案件のが担当者は好きなのだ。
その点、支払いに協力的な営業や代理店さんは好かれる。
特に今、顔を出してくれた北条は分からないことは査定になんでも確認してから、対応してくれるので、みんなからは好印象の人物だった。
──好印象ではあったけれど……え?イケメンとか聞いてないけど。
個室の中はそんな雰囲気だ。
北条はそつなく結衣の先輩の席に行き、さりげなく名刺を渡している。
「大将からはプライベートと聞いたんですけど、いつもお世話になっているのに、なかなか顔を合わせてお礼を言う機会がないので」
とか言っていた。
順繰りに名刺を交換し、結衣も名刺を渡した。
「ああ、高槻さん。異動されたんですって?」
結衣も何度となく電話を受けているため、結衣の名前は覚えてくれていて、電話に出ても、最初の数分は世間話をすることもある相手だった。
査定の仲間が予約してくれたのは、会社の近くの割烹だ。
刺し盛りが新鮮で、結衣が好きな店である。
お店の大将も結衣の顔を見て、久しぶりだねー!と喜んでくれた。
馴染みでもあるので、奥のこじんまりした個室を用意してくれている。
大将は結衣が刺身が好き、ということも知っているので予約があった時点で覚えていてくれて、お刺身も今日はいいのがあるからね、と言ってくれた。
みんなで席に着き、乾杯すると、
「で、どうー?」
と仕事の話になる。
「環境の変化が結構大変だったー」
元の仲間達には、本音を言える結衣だ。
「あ、でも最前線で結衣ちゃんが電話受けてくれてると思うと、あたしたちも安心なんだよねえ」
「そう言ってもらえると泣けるよー。うちのセンターの子たちも頑張っているからさあ、何かあったら何でも言ってねー」
「シフトなんだっけ?」
「そーなの、曜日とか時間の感覚がおかしくなりそうだよ」
そういえば、なんとかさんは異動になったよーとか、今は査定はこんな方針だとか、センターではこんな取り組みをしているとか情報交換も交えて話をしていたところ、大将がごめんよ、と入ってくる。
「ごめん、ちょっといい? 同業の人が来ているよ」
途端に声が小さくなる結衣達だ。
「え? 誰ですか?」
「営業さんかな……向こうも気づいていて、本社の子達だって分かっているみたい。できればご挨拶されたいそうなんだけど」
営業も代理店も、お客様のようなものである。
この人たちが稼いでくる数字で成り立っているのが保険会社なのだ。
お世話になっている大将のことだ。
結衣達は受けるつもりで笑顔を向けた。
「よかったら、お伺いしますけど」
「いや、ご挨拶だけでお願いしますと伝えたよ。プライベートな集まりだしね。けど大丈夫?」
「はい」
しおらしく返事をしながら、変なこと言ってないよね?という雰囲気になる。
お酒の席でのことが外部の人に聞かれて、個人情報漏洩だ!と騒がれることもあるので、余程注意はしているけれど。
「こんにちは。ごめんね、楽しんでいるのに。法人営業部の北条と言います」
彼はとてもにこやかに感じよく個室に入ってくる。
スーツ姿も魅力的な塩顔男子だ
笑顔で入ってきたのは、結衣も電話は何度か受けたことのある北条という営業担当者だった。
査定としては交渉が難しい件も間に入ってくれて助けてもらったり、不備書類も手早く用意してくれるし、素早い支払いにいつも協力してくれる人だ。
査定は支払ってなんぼなので、実は払えない案件より、払える案件のが担当者は好きなのだ。
その点、支払いに協力的な営業や代理店さんは好かれる。
特に今、顔を出してくれた北条は分からないことは査定になんでも確認してから、対応してくれるので、みんなからは好印象の人物だった。
──好印象ではあったけれど……え?イケメンとか聞いてないけど。
個室の中はそんな雰囲気だ。
北条はそつなく結衣の先輩の席に行き、さりげなく名刺を渡している。
「大将からはプライベートと聞いたんですけど、いつもお世話になっているのに、なかなか顔を合わせてお礼を言う機会がないので」
とか言っていた。
順繰りに名刺を交換し、結衣も名刺を渡した。
「ああ、高槻さん。異動されたんですって?」
結衣も何度となく電話を受けているため、結衣の名前は覚えてくれていて、電話に出ても、最初の数分は世間話をすることもある相手だった。
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